複雑・ファジー小説

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銃声と道化師
日時: 2014/07/05 14:56
名前: ワッフル ◆uigiXIaCSo (ID: gOBbXtG8)
参照: ※エロ、グロ表現があります。

 君は誰?
 私は道化師。貴方が思う存分操る、からくりピエロ。

 君は何処にいる?
 私は貴方のそばにいる。貴方だけの道化師としての役割を果たすために。

 君に生きる意味はある?
 私に生きる意味はない。私たらしめる私も、貴方の中の私ももう死んだ。

 それは何故か?
 何故なら、私は只の人形なのだから。
 はい、よく出来ました。

 ————私の人生、こんなはずじゃなかった。ねぇ……何で貴方は、私を見てくれないの?


  ◇ ◇ ◇


—銃声と道化師—

一章—別れ—

零話〜秘密基地〜>>1
一話〜夏休みの日常〜>>2
二話〜遠くへ〜>>3
三話〜会いたい〜>>4
四話〜答えは簡単〜>>5
五羽〜駆られた衝動〜>>6

Re: 銃声と道化師 ( No.1 )
日時: 2014/07/05 14:27
名前: ワッフル ◆uigiXIaCSo (ID: gOBbXtG8)

 貴方となら何処へだっていける。たとえどんな苦難が待っていようとも。
 貴方となら、乗り越えられる気がする。いつもずっと、二人で一つなのだから。
 そう思っていたから、私は彼を信じていた。

「もう、奏歩くの遅い!」
「あはは。怜奈、そんなに急がなくて……て、うわ!?」

 高校一年のときの夏休み、私『速水怜奈』は彼氏の『長谷奏』と、町のはずれにある海辺にやってきた。
 自然だけが溢れるここで、私や私の友達が嘗て、秘密基地だって言ってみんなでログハウスを建てたんだ。
 秘密って言うほど秘密にはなってないけど、ね。出来上がった結果は普通に家だ。

 今回は、奏ちゃんにそれを見せたくてここまで来た。
 一日に数本しか通らない電車に乗って、終点の駅で降りてから歩くこと数分。
 病気になりそうなほど強烈な日差しの下、歩くほどに、草木の香りが辺りを満たしていたのが磯の香りへと変わる。

 早く見せたいのに、後ろからのんびりついてくる奏ちゃん。彼の手を握って、私は急かすように走る。

「うお、すげぇな!」
「でしょー」

 やがて海が奏でる漣の音が大きくなって、浜辺が見えてきた辺りで、私のログハウスが顔を覗かせた。
 屋根や壁はあっても、扉や窓はない。火や電気はないけど、全て自然に頼れば十分に生活できる。
 近くには天然の温泉もあるし、食用の木の実や作物だってあるし、当然海に行けば魚だっているし、普通に寝泊りが出来る。

 そんな私のログハウスを見て、奏ちゃんは凄くビックリしてる。

「……で、ここで夏休みを過ごそうっての?」
「うん!」

 今回ここへ来た理由は、このログハウスを見せたいだけじゃない。
 実際にここで夏休みの間、奏ちゃんと一緒に暮らしてみたいんだ。
 何が起こるかなんて分かったものじゃないけど、奏ちゃんと一緒ならきっと大丈夫。ううん、絶対に。

「ちゃんと着替え、あるよね?」
「あぁ。ちゃんと準備してきたよ」

 奏ちゃんは着替えとかが入った黒いキャリーバッグを叩く。

「熱ッ!」
「うふふっ」

 当然、黒だから熱を吸収する。
 中身も熱いんだろうけど、外側も相当熱い。

 夏休みが終わるまでの間、私達はここで生活することになる。
 あんな事やこんな事とか、色々できるかも——なーんて、期待する私がいたりいなかったり。

「うわ! ちょっと、俺今汗掻いてるんだぞ?」
「そんなの、気にしないもん」

 だからかどうかは分からないけど、途端に奏ちゃんの事が恋しくなって、彼をぎゅっと抱きしめた。

Re: 銃声と道化師 ( No.2 )
日時: 2014/04/13 18:15
名前: ワッフル ◆uigiXIaCSo (ID: gOBbXtG8)
参照: 更新速度は速くても週一になりそうです。

 この辺りは海も近ければ、川も近いし山も近い。私は早速、奏ちゃんと釣りを楽しんでいた。
 でも私は川で釣りをしてる。力のある奏ちゃんは、海で釣りをするといって行っちゃった。
 本当は私もついていきたかったけど、体力も何もない私に磯での釣りは危ないと奏ちゃんに同行を拒否された。
 断られちゃ仕方ない。私は大人しく、早めに帰るとの約束を交わして鮎でも釣ることにした。

 淡水魚は海水魚と違って、生で食べると危ない。
 それに食べれるのもと食べれないもの、美味しいものと美味しくないものという差も激しい。
 そのことを奏ちゃんから聞いた私だったけど、私はあまり釣りを嗜まないから全然わかんない。
 とりあえず、釣ったの全部持って帰ることに決めた。

 でも釣れたのは、鮎が4匹と鯉が1匹だけ。
 それくらいの量が釣れた時には、もう月が昇り始めていた。
 仕方ないので、もう帰ることにした。ここで完全に暗くなってから帰っては、ましてや迷っては奏ちゃんに怒られちゃう。
 それだけは避けたい。その思いで私は帰ってきたのだけど——

「ちょっと遅いんじゃない?」
「う、ご、ごめん奏ちゃん……」

 結局歩くのが遅かったらしい私は、釣った諸々の魚を水槽に入れて早速奏ちゃんに怒られていた。
 早めに帰ってくると約束したのに、破っちゃったよ。

「……んじゃー、約束守れなかった悪い子にはお仕置きが要るな」
「きゃっ! ちょ、奏ちゃん!?」

 私はいきなり奏ちゃんに、フローリング製の床に押し倒された。
 そして強引に、私の唇へ彼が自分のそれを押し当ててくる。

「んっ……んぅ!」
「あはは、怜奈可愛いっ」

 少しだけ舌を使ったキスを終える。
 力でも技でも、この態勢になった私が奏ちゃんから抜け出せることはない。
 というより、身動きもあまり取れない。
 それを分かっていながら、奏ちゃんは色々といじめてくる。

「俺とこういうこと出来ないかなー……なんて期待してたろ?」
「うっ……そ、それは……」
「ほら、反論できないじゃんか」
「ちょ、ちょっと!」

 抵抗するけど動けない。言いたいことがあるのにキスで口を封じられて言えない。
 そんなこんなで、やっと唇を離してくれたときの私は酸素不足で息を切らせていた。
 でも休ませてくれるわけでもなく、彼の手が私の貧相な胸に手を伸ばす。これ以上はまずい。

「ちょっと! 話聞いてよ馬鹿!」
「えっ……」

 遂に私は怒鳴ってしまい、それはまずいと思った拍子の本能だった。
 本当は怒鳴りたくなかったんだけど、このままだと確実にエッチへ発展しそうだったから怒鳴った。
 私はまだ処女。初めての時はもっと素敵な気分の時にしたいに決まってる。

「ねぇ、私まだ処女なのっ。初めてはもっと大事にしたいから、こんな流れでやるのやめてよ」
「ご、ごめん……」
「わ、分かればいいけど……」

 怒鳴っていいたい事言った瞬間、奏ちゃんは表情を曇らせた。
 もしかしたら、私としたかったのかもしれない。
 そう思うと何故か、こみ上げる罪悪感と切なさで胸が痛くなった。

 場の空気が悪くなる。どうしよう。


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