複雑・ファジー小説
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- STORM[2月17日 本編UP!]
- 日時: 2015/02/17 23:43
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: BYbKc4ae)
世の中には、悪がはびこっている。
悪により、世界は蝕まれ、人の命が容易く奪われる、そんな時代。
それに対抗すべく、立ち向かう者がいた。
国際平和維持兼犯罪阻止機関——『STORM』
使命は一つ。正義のために戦う事。
はじめまして。ブラッドオレンジといいます。
SFというかアクションというかファンタジーというか、まぁ何でもアリな世界観でヒーローモノを書いていきます。
なにとぞよろしく御願いします。
コメント大歓迎ですが、荒らし等はおやめください。
※注意事項※
・グロ/エロ普通にあります。とくにグロ。
・文章力や語彙力がまだ素人レベルです。
・設定がごちゃごちゃになりがちです。
・一回が800文字くらいです。なるべく読みやすくするよう善処します。
[更新情報]
2月17日 本編更新
>>136
[目次]
プロローグ『夜明けの闘争』
>>3 >>10 >>15
第一話『VS 鷹の目』
>>16 >>20 >>21 >>22 >>26 >>27
第二話『パラダイス00(前編)』
>>29 >>30 >>33 >>36 >>38 >>39 >>42 >>45 >>46 >>47
第三話『パラダイス00(後編)』
>>48 >>49 >>50 >>51 >>52 >>58
第四話『影の戦士』
>>59 >>60 >>62 >>69
第五話『VS クライシス(前編)』
>>78 >>80 >>84 >>87 >>98 >>99 >>104
第六話『VS クライシス(後編)』
>>118 >>121 >>122 >>123 >>124 >>127 >>129 >>130
第七話『支配者の影』
>>131 >>132
[番外編]
①>>111
[登場人物紹介]
>>1
オリキャラ様>>61
[オリキャラ募集]
味方ver >>4 (終了いたしました)
敵ver >>52(終了いたしました)
[お客様]
るみね様/悪人様/珠洲音燐様/モンブラン博士様/007様/眞鵝様 /i.A様/三条様/siyaruden様/カルム様
祝!参照500突破メッセージ >>37
祝!参照1000突破メッセージ >>70
祝!参照1500突破メッセージ >>107
祝!参照2000突破メッセージ >>128
番外編予告&リク受け付け>>73
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.46 )
- 日時: 2014/11/23 22:57
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)
「さて、じゃあ君はそこで大人しくしていることだね。幼なじみのよしみとして命は助けてあげるよ」
「ふっざけんな…!」
無理にでもワイヤーをちぎろうとするが、その度にワイヤーは肉体へと食い込み、体のあちこちが悲鳴を上げるだけである。
ボラル合金製のスーツは耐久性はあるが、薄さ故に刃物や鋭利な武器に弱めである。おまけに啓司の使うワイヤーもボラル合金製ときたものだから、相性は最悪だ。
一人あがき続ける幼なじみに憐憫を帯びた視線を向け、啓司は彼女に背を向ける。
だが、その先に、彼の行く手を阻むべく仁王立ちで待ち構えている者がいた。
「待てよ。姉さんにそんな仕打ちをしておいて、僕がただで許すと思うか?」
「…たしか、『キメラ』だっけ?」
矢筒に仕舞われている矢の一本に手を掛けつつ、啓司は確認するように誠の顔を見た。
最愛の姉を傷つけられたことによって、誠は息を荒くしていた。額にはわずかに青筋が浮かんでいる。
「君も姉と同じ目に遭うつもりかい」
矢筈をつまみそっと矢を抜き出すと、そこからの啓司の行動は速かった。
わずか一秒の間に矢を弦に引っ掛け、最大まで引くとすぐに手を放した。矢が誠の心臓目がけ飛んでいく。
しかし、誠は避けようともしない。
やがて誠へと到達した矢は、何かに押し返されるように「く」の字に折れ曲がってしまった。
「ちっ、硬化か…」
誠は先ほど兵士たちと戦った時のように体を鱗で覆っていた。
鱗はボラル合金のスーツと違い厚みがある。だからたとえ刺さったとしても心臓には届かない。
つまりは真っ当な矢では誠には効果がなくなったという事だ。
「まあいいか」
啓司は次の矢を取り出し、即座に放つ。誠はそれと同時に床を大きく蹴った。
鍛え上げられた足をバネのように使い、一気に前へと進んでいく。向かいくる矢を気にする必要はない。何もせずとも鱗に弾かれる。
だが、その矢はダミーだった。一本目の矢の背後から今度は違う種類の矢が飛んでくる。
これもまた、気にする必要のない矢——だと誠は思っていた。
しかし、直前で矢の鏃が花のように真ん中から開くのを見て、反射的にかわそうとした。それも空しく、矢は誠の体に「刺さる」のではなく「張り付いた」。
「!?——があぁっ!」
誠の全身を電流が走る。
今しがた啓司が放った矢は、相手へと電気を流し込む「稲妻」という矢だ。
稲妻を受け、地面に仰向けに倒れ込む誠。
それを見下すように立つ啓司。
二人の間の勝敗はここに決した、のだが。
「…どうして、笑ってるんだい?」
不思議そうに訪ねる啓司に、誠は掠れた声で答えた。
「俺は姉さんの役に立てればそれでいい」
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.47 )
- 日時: 2014/11/23 23:17
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)
「はい、あんたの負け」
自身の脇腹から顔を出す刃が、そう勝ち誇ってるように啓司には思えた。
実際はその台詞は背後に立つ鈴音が放ったものであるが、混乱する啓司の頭はまともにそれを処理できない。
「んなっ…」
「油断も隙もありすぎよ。私の愛刀があの程度の針金を切り刻めないとでも?」
ゆっくりと刃を抜きながら、鈴音は我が子の自慢話でもするかのように語る。
数秒前まで鈴音は縛られていて、食い込むワイヤーに苦戦していた。
ワイヤーの強度も確かなものだが、鈴音がそこから抜け出せなかった理由は冷静さを欠き、激昂していたことによる。
怒りにまかせ身を動かしてしまったことで、鈴音を縛るワイヤーはさらに食い込みを強くした。
しかし、逆に言えば落ち着きを取り戻し無駄なあがきをしなければ、それ以上は強くならない。
誠は、その様子を見てどうにかして鈴音を落ち着かしてしまえば背後からの奇襲をかけられると思った。
だから、鈴音が冷静になり、ワイヤーから抜け出すまでの時間を稼いだのだ。
言葉は交わさない。長年付き合ってきた二人にとってはアイコンタクトで十分だった。
「ぐ、くそっ…!」
啓司は背後にいる鈴音に、せめてもの一発食らわそうと弓を振おうとするが、振り向くと同時に鈴音に足を掛けられ転んでしまう。
床に伏した啓司はなんとか立ち上がろうと腕で体を支えようとするが、そこを容赦なく鈴音が一突きする。
「ぐああっ!!」
「あんたはそこで大人しくしてなさい。幼なじみのよしみとして命は助けてあげる」
屈辱的な意趣返しを聞いたのを最後に、啓司は意識を失ってしまった。
「…なんでそうなっちゃったのよ、馬鹿」
寂しそうに呟く鈴音の目は、この時ばかりは普通の悩める若者の目をしていた。
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.48 )
- 日時: 2015/02/07 01:03
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: BYbKc4ae)
第三話『パラダイス00(後編)』
鈴音たちが矢島啓司との戦闘を繰り広げていたその頃。
パラダイス00の三階——ゲームセンターやカラオケなど、アミューズメント施設を取り揃えたその階では、道郎と蓮助が探索を続けていた。
どうやらこの階にも人質はいないらしく、階の趣旨にそぐわない静けさが充満していた。
(ここも人質の気配ナシか…。やはり、この上か?)
道郎は顔を上に向けるが、天井を気にしている訳ではない。その先にある四階へと意識を向けていた。
「隊長、自分は早急に上の階へと行った方がよろしいかと」
石像のように道郎の後ろでどっしりと構えていた蓮助が謙った口調で提案する。彼の声はドスが利いてるうえ、マスクでこもっているので道郎すらも敵と間違えそうになる。
あまり表面の特徴で相手を印象づけるのは良くないが、蓮助の風貌からは悪意と憎悪しか感じ取れない。
「あぁ。おそらく人質はそこだ。行こう」
「はっ」
忠誠心がよく現れている、元気のいい返事だ。悪い気はしないが、こう大男を従えていると正義の組織ではなくギャングと思われてしまいそうだ。
「しかし、今回のやつらの狙いは何なのでしょう」
蓮助がマスクに手を当てうなる。
「さぁな。だが、それを考えるのは後にすればいい。まずは人質の救出だ。目的は拷問でもすれば聞き出せる」
「…拷問ですか」
気づいたときには時すでに遅し。蓮助の抱える過去を思い出して、道郎は取り繕おうとする。
「今のは失言だった。悪かったな」
「いえ」
道郎が謝らざるを得ないほど、蓮助は重いトラウマを抱えている。
もとは蓮助は、アフリカのとある地で、奴隷としてとある大富豪に飼われていたのだ。奴隷といっても、ペット程度の愛情は注がれていたので、他に比べれば悪い暮らしぶりはしていなかった。
だが、その大富豪が麻薬の密売の手伝いをしているということで、地元の警察が検挙に乗り出した。それを知った大富豪とその家族はすぐさま国外へ逃亡。蓮助は一人、大きすぎる屋敷に残された。
警察に保護され、やっとマトモな暮らしができると思ったのもつかの間。
警察は重要参考人として蓮助を連れ、取り調べという名の拷問を行った。どうしても彼らは、その大富豪の尻尾を掴みたかったらしい。一介の奴隷などが彼の秘密など知る由もないのに、その身に鞭を打ちつけ、飼い主の居場所を吐けと迫られた。
拷問は三日三晩続いた。終わる頃には蓮助はもう物を言うのも二本足で立つのも出来ず、ショックで半分記憶喪失になっていた。
だが、最終日の夜。彼を助けにきた人物がいた。それこそ現在のSTORM日本支部長、黒瀬 彰その人だった。
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.49 )
- 日時: 2014/11/25 18:47
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)
『もしもし、シャドウフェイス?』
インカムから急に通信が入ってきた。呼びかけてきたのは大人びた女性の声。
通信士のヴァネッサである。
彼女は外部から見た敵の情報や現在の状況を伝える役目を担っている。外国人にしては日本語が流暢だったり、身体能力がシャドウフィスと肩を並べるほどだったりと謎な部分がたくさんあるが、それでも肩書きはただの通信士である。
『今さっき、第二部隊がそこに到着したわ。もう侵入を開始してるみたい』
「案外遅いな。何かあったか?」
『転送機の不調よ。まぁ、まだあれは未完成だから仕方ないのだけれど』
やや皮肉が混じっているようにも聞こえるが、ヴァネッサは口調こそ冷淡であるが裏表のない性格だ。おそらく他意はないだろう。
『とにかく、援軍も来たところだし、もうちょっとゆっくり探索しても問題ないわ」
「いや、もう上の階へあがる。どうやらこの階には誰もいなさそうだ」
『了解』
短い返事とともに通信が切れる。
後ろで聞いているだけだった蓮助は道郎の様子から次の行動を察したようで彼の後ろに着いて歩く。
急に道郎が足を止めた。
すぐ目の前に上の階に通じるエスカレーターがあるというのに、進むどころか後ろを振り返った。
何かを探るように目線を右へ左へ向けると、瞬きを一度して、再び前を向いた。
「クラッシュエース」
「はい」
「この場は任せた」
「了解しました」
蓮助は頷くと、懐から銀色のグローブを取り出し両手にはめた。
それを確認してから、道郎はエスカレーターへと落ち着きのある足取りで向かう。
道郎が四階へ上がった後、蓮助は周囲を見渡した。
かすかだが、何者かの視線を感じる。正確に言えば四時の方向から。しかし、そこには何もない。ただ、その先のCDショップから不穏な空気が漂っている。
恐る恐る店内を覗いてみる。が、変わった様子は見られない。客も店員もいない事を除けば、蓮助の良く知るただのCDショップだ。
「………」
耳を澄ましてみると、奥の方から音楽が流れているのが聞こえる。CDショップなのだし、別に不思議な事ではないが、一応調べてみる事にした。
商品棚の横を二つほど通った場所にある曲がり角。音が聞こえるのはその先からだ。
角に隠れて様子を窺う。
そこにいたのは一般人——いや、マネキンだった。アパレルショップなどでよく見かける、顔がないタイプのマネキンだ。
マネキンは、誰に悪戯されたのか、壁に設置されている視聴コーナーでヘッドフォンをつけ音楽を聴いている。ものを聴く耳などないくせに、誰がこんな事をしたのか。
呆れた蓮助がその場を去ろうとした、まさにその時だった。
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.50 )
- 日時: 2014/11/26 22:50
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)
「ぐあっ!?」
蓮助の真横から手が伸び、彼のヘルメットを鷲掴みにし、そのまま壁へと叩き付けた。
幸いヘルメットで衝撃は吸収されたが、しかし頭が揺れる。
ふらつく体をなんとか支えながら、敵が襲ってきた方向を向く。だが、そこには誰もいない。
周りを見渡していても、やはり人気はない。頭がまだ痛むので視覚が鈍っているのかもしれないが、それにしてもあの一瞬で消えるのは不可解だ。
どこかに隠れていないかと店内を探してみる。
(今のは…?何者だ?クライシスの兵士である事は間違いないだろうが…)
店中を駆けながら考える。
先ほどのような攻撃が使えるクライシス兵の情報は今までになかった。ということは、新規の兵だろうか。
情報が少ない相手と戦うのはどうにも厄介だ。特に蓮助の様な頭で考える事が苦手なタイプにとっては、かなりの強敵である。
(落ち着け、俺…)
熊のように大きな体を深呼吸で膨縮させながら、心の中で自分に言い聞かせる。
一度CDショップの中心で立ち止まると、再び当たりを見回した。
後ろで何かが蠢く気配を感じ振り返ると、商品棚と壁の隙間へ消える影を、一瞬だが視界に捉えた。
「そこかっ!!」
敵が消えた方向へと、蓮助は空気を殴るように拳を振るった。
すると、数メートル先にある棚や機械類が、メキメキと音を立てて『ひしゃげて』しまった。
これこそ、彼の能力——というよりかは、蓮助の持つグローブの能力である。
蓮助がもとより備えている物理的なパワーをエネルギー波に変換し、広範囲へと放つ事が出来る。
優れたグローブではあるが、装着すれば誰でも力を得られる訳ではない。蓮助のように、岩をも砕くパンチの持ち主だからこそその本領が発揮される道具である。
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