複雑・ファジー小説
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- world この世界の為に
- 日時: 2016/12/20 18:23
- 名前: クエン酸Na (ID: sFi8OMZI)
——この世界の為に この世界を壊そう。
———この世界には名前は無い。 じゃあ「名も無き世界」と呼ぼう。
——全ては必然、運命なんてない。
——二人は出会う。 全ては必然。
<作者のメッセージ?>
こんにちは、はじめまして!
クエン酸Naです。
初めての投稿で緊張しています。
長編になることはもうわかったようなものです・・・。
これは私がノートに書いていた物を修正しつつUPしているものなので・・。
先は長い!!
頑張ります!!
<注意>
・更新不定期。
・登場人物は多くなる予定。(初めは少ないかも)
・荒らし禁止!!!
・オリジナルですが他作品と似た部分は多少あると思います。
ご了承ください。
*追記:小説家になろうのサイトに移動しました。
ユーザー名は『榛名白兎』はるなはくと、です。
◆登場人物
ザード:主人公。赤い目、髪。本名=ザード・フ・レ・イクシス。
ハルツ:ヒロイン。黒目、金髪。本名=エリュ・シー・ハルツ・セイン。
<Contents>
第一章 【森】
1−1 「出会い」.>>001
1−2 「夢を見た朝」.>>002
1−3 「不思議な少女」.>>004
1−4 「誘い」.>>005
1−5 「一面」.>>006
1−6 「道しるべ」.>>008
1−7 「狼眼の女」.>>009
- Re: この世界の為に (1−2) 夢を見た朝 ( No.2 )
- 日時: 2015/06/03 20:33
- 名前: クエン酸Na (ID: rS2QK8cL)
ハッとして
「すみません、私の前方不注意です。」
と言うと、青年はにぃっと笑みを浮かべた。青年は炎のような赤色の髪と瞳を持っていた。身長差があるから、彼はハルツを見下ろすようにして言う。
「夜の街を一人で歩くのか?嬢ちゃん、一人じゃ危険だよ??」
初対面なのに馴れ馴れしく、そして失礼なことに青年はハルツの頭をポンポン叩くとまたにぃっとして・・・。
「は?」
ハルツをおぶった。
突然の出来事に混乱する。
(この青年は、誰なんだろうか?)
一瞬、人攫いという可能性を考えて不安になった。だが、青年は急ぐ様子もなくゆっくりと歩いていくだけだった。
少しするとかなり安そう(ボロ)な宿に着いた。青年はハルツを優しく下ろすと、怪しく微笑み
「子供はもう、おネンネの時間だぜ?」
なんて言うと、部屋の鍵を渡してきた。
「隣で寝るからな、朝になったら来いよ?」
青年は小さく手を振りながら隣の部屋に入っていった。
部屋に入った青年は、鍵を閉めてカーテンを閉めてベッドにゴロンと寝転んだ。
「子供のくせしてこんな時間にいるとはね。怪しくないか?」
そして、誰に問いかけるといったわけでもないが、
「これだから夜は飽きなくていいぜ。」
とつぶやきゆっくり目を閉じた。青年はそのまま夢の世界へ一直線に向かうこととなった。
「ザード、ザード?」
—そうだ、俺はザードだ。
「ザード、ザード!!」
—なんだ、早く言えよ。
風が吹いて、辺りの闇が流された。そこに広がるのは、
高い山の上の景色。
「ね、ザード。」
—何を言いたいんだ。
「朝に」
—朝?
「朝になりましたよおおおおっ!!」
青年、ザードはハルツの声で目を覚ました。慌ててつぶやく。
「時計、腕。」
腕に例の時計・・・の赤いのが現れた。だが、それが指している時間は朝の四時。ザードの通常起床時間の二時間前だった。
いつの間にか入っていたハルツはポカーンとするザードを揺さぶった。
ザードはムッとして叫んだ。
「るっせぇんだよ、チビ!!!!!!早すぎだ!」
ガバッと起き上がりベッドから飛び降りた。伸びてからあくびをして気分を入れ替えた。
「えっとだな、俺はザード。はい。」
はい。ザードにこたえる人はいなかった。
「はい。」
もう一度言っても、ハルツは無反応だ。
「お前、名前は?」
耐えかねたザードが質問する。するとハルツはニコッと笑って名乗る。
「ああ、私ですか。私はハルツです。ちなみにチビじゃありませんので。」
怒っているように、ザードには見えた。その時見えたハルツの目は、鳥肌が立つほど真っ黒で寒気がした。ここでは珍しい。
(こいつ、何者だ?)
そんなザードをスルーして、ハルツは言った。
「ザードさん、私には仲間がいません。・・・ので、あなたを仲間にしますね。」
あまりの唐突さに絶句した。
ハルツは問答無用にザードを連れて行った。・・・森に。
続く。
- 頑張ります。 ( No.3 )
- 日時: 2014/11/17 20:23
- 名前: クエン酸Na (ID: LdHPPNYW)
どうも!!クエン酸Naです。
小説家を目指しています!
・・・まだ見てくれる人は少ないですが、楽しんでいただけると幸いです。
小学五年の頃に原作を書き始めました。
ノートに手書きでした・・・。
それをこんなふうにできるなんて感激です!!
返信していただけると嬉しいです。
では!!!!
- Re: この世界の為に (1−3) 不思議な少女 ( No.4 )
- 日時: 2014/11/22 23:10
- 名前: クエン酸Na (ID: 6Bgu9cRk)
>>今回から少し書き方を変えます。
唐突に出た‘仲間‘の話。
驚いている間に、ザードは森へ連れて行かれていた。
「はぐれたら多分死にますよ。ザードさん。」
ハルツは抑揚の感じられない声で言う。道なき道を進む彼女は疲れを感じさせない速さでぐんぐん進んでいく。
途中で毛虫など色々踏んだが気にする様子はなかった。
「はぁっ・・・・・・。」
しばらくすると、他よりひらけた場所に出た。そこには一本の巨木がまるで主の様に佇んでいて、涼しい木陰が広がったいた。
・・・その木陰には沢山の動植物が集まっていた。
オームというつぶらでまんまるい瞳を持ち、頭はダックスフンド、体は羊とポニーを掛け合わせたような草食動物が目立って多い。
その他にはクリムゾンレッドの小さなドラゴンが空を舞い、池をウンディーネが泳いでいた。
ザードは息を飲んだ。
———すっげ、綺麗だ…。見たことねぇぐらい…。
ぼーっと魅入っていると、後ろからハルツに小突かれた。そして振り向くと、笑顔で言われた。
「私の家はあの木の上です。お入りください。」
————へ〜、家。・・・・・・・・ん??
「家っっ!!!???」
ザードは思わず叫んだ。
仲間がなんたらと連れてこられたと思ったら、家。得体も知れない不審者もどきにあっさり家を教える。
———怪しい、何だこいつ。
そう思いつつも急いで追いかける自分に、嫌気がさした。
凸凹とした木肌に触れて、その温かさを感じ、生きているんだと感じる。するすると登っていくハルツを、ザードは見ながら登った。
とても見ていてハラハラさせられた。
やっと一つ目の枝に着くと、そこに扉が見えた。だが、扉だとわかるまで少々時間がかかった。・・・中に入ると香草の香りが鼻腔をくすぐる。広い。そして優しい感じがした。
だが、それもここが少女の部屋だと思うと、違和感でしかない。
よく見れば書棚の中にあるのは魔道書で、ハンガーに掛かっているのは聖服のローブやマントの類。お菓子や木の実が置いてあるテーブルには、何やらよくわからない術式の刻まれた翡翠の首飾りが置いてあった。
ソファに座って観察すると、香草の香りで睡魔に襲われた。
ハルツはそんなザードを、
「聞け、私の話ぐらい。」
と、制してドカっと隣に座った。
ヤギ乳のチーズと柔らかい肉を包んだ芋の揚げ物、チョシーを渡されてあの漆黒の瞳に正面から見つめられて物凄く居心地が悪くなり、ザードはハァ、と浅く短く息を吐いた。
やっと視線を移してくれたハルツ、チョシーを頬張るザード。
しばしの間沈黙が流れた。
「ではまず、旅を・・・・・・しましょうか。」
沈黙を破ったハルツの言葉に、ザードは驚いてチョシーを吐き出すところだった。
続く。
- Re: この世界の為に (1−4) 誘い ( No.5 )
- 日時: 2014/11/22 23:07
- 名前: クエン酸Na (ID: 6Bgu9cRk)
先程までの眠気は吹っ飛んでいた。
———な、な、何を言い出すんだいきなりぃ!?
ザードは落ち着こうと深呼吸をしてから少し早口で叫んだ。
「なんでだよ、意味わかんねー!」
バン、とテーブルを叩く。すると置かれていた黄色っぽい液体の入ったコップが倒れ、中身がぶちまけられた。混乱し、ワタワタするザードと相反して、ハルツは冷静に言う。その表情は嫌悪に満ちていた。
「あぁ、もう・・・。なんて汚い・・・。」
ハルツは大げさに首を振り、雑巾を‘呼んだ’。そしてその雑巾で濡れたテーブルと床を拭き始めた。——やっと落ち着いて冷静になったザードは話を整理した。
———ハルツは俺を仲間にしたくて、一緒に旅に出るつもりか。目的は……さっぱりわかんねえけど。
ザードはハルツをチラリと見た。
———雑巾に、ありゃ名前か?
雑巾を見た瞬間から気になっていた。薄い桃色の雑巾に、黄緑のインクで『エリュ・シー・ハルツ・セイン』なんてご丁寧に名前を書かれていらっしゃった。よくよく見れば、魔道書にも、ローブにも、羽ペンにも、薬草瓶の一つ一つにも…名前が入っていたのだった。
「エリュ・シー・ハルツ・セイン、っつー名前なんだな。ぷっ・・・!!」
・・・思わず笑ってしまった。
「何かおかしい事でも?」
「名前、イマドキ書く奴いたんだなーーーって思って、いや、馬鹿にしてんじゃなくて!!」
ソフトに睨んでくるハルツは、ソファから突然立ち上がった。そして閃いたようにぽん、と手を叩く。
「ああ!!自己紹介を忘れていた!!旅に誘うにも順番があったな。・・・・・失礼した。」
ハルツは自分の事を話した。ついでに旅の目的も聞いたが、ハルツ自身、よくわかっていないらしい。・・・とにかくわかったことは、ハルツが七歳で二年前に聖人に選ばれ、魔の山マグスタに行かなければならない事だ。目的地は、ザードも同じだった。
・・・それにしても。
ザードはハルツをまじまじと見た。
金髪で漆黒の瞳を持ち、背には身の丈ほどの杖を背負っている。顔立ちは整っており、小ぶりの口が愛らしい。将来に期待できそうだ。
、とその時、突然怒鳴られた。
「何見てるんですか、このロリコン!!目つきがいやらしいですよ?」
———将来には期待したけど、今は、なぁ・・・。
「・・・はぁ!?ロリコン!!??」
とんだ勘違いである。ザードはロリコンじゃなく、ただの女好きなのに。二人はギャーギャー言い争った。
———しばらくして———
「わかったわかった、わかったから!!!!大人しくしてろよ、子守はキツいからな!」
「私は貴方が思うほど子供じゃありませんよ!!」
二人は結局旅に出ると決めたようで、言い合いながらも荷物をまとめ、準備に取り掛かっていた。ずっとこんな感じだったらしく、もうすぐ荷物はまとまりそうだ。
———あー、何だこいつ。先が思いやられる。
ザードは本気でそう思った。
続く。
- Re: world この世界の為に (1−5) 一面 ( No.6 )
- 日時: 2015/06/07 17:22
- 名前: クエン酸Na (ID: AwgGnLCM)
ハルツの服装はいつの間にか旅の装いになっていた。
ザードは初めから旅装なのでぼーっと空を見ていた。
「ザード、ぼうっとしてないで早く来てください。」
……いつの間にか降りていたハルツは、中々降りてこないザードに向かって叫んだ。
開きっぱなしのドアから香草の香りが外に流れ、ザードは我に返った。
「お、おう!……ちょっと待ちやがれ!!」
置いていかれていることに気づいて、狼狽える。
結果、ザードがとった行動は・・・テーブルの上のリコチのクッキーを鞄に詰め込むことだった。
ザードは木から降りるためにツタに手をかける。
登る時もだったが、刺が手に刺さる。あの少女・・・ハルツもこの痛みを感じていると思うと、複雑な気分だった。
———いてぇ・・・
ザードは笑った。
「ハルツ!!木から離れろよ?」
「ザード…じゃなくてロリコン、理由は・・・・・・・・・」
トンッ
———木から飛び降りるからだよ!!
ふわっと浮く。今俺は重力に反している…っぽいw
そして次にザードはこの星に引っ張られた。
空気の抵抗と、冷たい風が気持ちいい。
「と、とと投身自殺ぅッ!?」
驚いて叫ぶハルツ。
ザードはその様子を見てにやけながら楽々着地した。
「・・・・・っ!!行きましょうッ!!」
ハルツは頬を紅潮させた。
クールぶってる分、恥ずかしさも倍なのだろう。
背を向け、進み始めるハルツに、ザードは無言でついて行った。
続く。