複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました！使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例）鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【リメイク】 BLACK HERO.S 【焼け切れた翼】
- 日時： 2014/11/18 22:35
- 名前： ジョディア ◆h2BA.K1wzk （ID: D3h9pyay）
【プロローグ】
手を伸ばしても届かないものがある。
いくら泣き叫ぼうがもう意味が無いものもある。
私はそれを嫌と言うほど味わってしまった。
私の部隊のリーダーは冷たい目でこれまでずっと組んでいた仲間の一人を殴り倒していった。
冷酷でなんの慈悲も無く。
彼はその場に震える手をまっすぐと彼に向けていた。
彼の声はもう、あの人には届かない……。
あの娘だ。
【ブラック・フィクション】
あの悪魔の玩具がまだ彼の体を求めているのか。
憎い。
私から何もかもを奪うつもりか。
ようやく手に入れた安らぎの場所さえも。
許さない。
絶対に私はあの子を許すつもりはない。
そう、思っているときだったか。
世界は大きく動き出した。
【エンジェルフォール】が世界に拡散し、人類が能力に目覚めた。
無理矢理の開花。
人々は知らずとして、爆弾を背負わされているとも知らずに。
その能力を互いに自慢し、利用し、犯罪を犯した。
私はただ、夜空輝く摩天楼の上で微笑むことしかできない。
全ての計画は今動き出した。
「全てを破壊する。 私から大事なものを奪ったこの世界に復讐する」
そして、夜空の元に輝くひとつの街に背を向けた。
街の名は
【アンリミテッド・シティ】
表向きは発展しつつあり、賑やかな街。
だが、裏は。
血と腐敗の臭いが充満した、死神の街だ。
ここで、私は目的を果たす。
私が死神だ。
全ての生きるものに【死の鉄槌を】
【NEXT 第１話】
はい、作者のジョディアと申します。
今回、新しく第２部のリメイクを製作しようと思いまして。
新たに作らせていただきました。
こちらは第２部をより詳しく描こうと思います。
本家の方も更新する予定ではありますが。
あくまで今のとこメインをこちら側に移そうかと思います。
- 【リメイク】 BLACK HERO.S 【焼け切れた翼】 ( No.18 )
- 日時： 2015/02/20 02:13
- 名前： ジョディア ◆h2BA.K1wzk （ID: HpE/sQXo）
【第１２話 作戦】
ディフォールはシオンを仲間にし、今いるメンバーを連れ。
祐の家に向かう。
何故祐の家かというと、そこにはBLACK HEROSの右腕二人がいるからだ。
エインヘルヤルと戦う為にディフォールは各地から仲間を集め。
自分に力をつけていた。
そして今、彼の手に駒がそろい始めてきたのだ。
BLACK HEROSと共に大塚 祐を仲間にできた事は彼にとって大きな戦力であり。
更にそこからシオンが網に掛かったかのように現れてくれた。
全ては順調に進んでいる。
彼自身、ここまでうまく話が進むと思ってはいなかった。
この絶対的な安心感が絶望に変わらないように彼は念には念を込めた作戦を考えた。
そして、今それを仲間に明かす。
「さて、全員が揃った所で話を進めよう」
ディフォールは大きな紙をテーブル一面に引き。
色々な場所に印をつけ始めた。
「これはエインヘルヤルの施設の地図である。 今印をつけた場所は幹部がいる場所だ」
印のある場所は、この施設は２５階建てのビル。
４階、１３階、２０階と色々な場所に印がつけられている。
「この印が無い場所では基本的に敵兵との戦闘だと思っていてくれ。 まずは先行部隊であちらの兵力を削る」
「BLACK HEROSが動かなくてはならぬということだな」
カイザーは腕を組みながら言う。
ディフォールをそれをうなずき。
「ああ、だが俺が集めた兵もそこに投入する。 こちらのほうが物量は上で向かう」
いくら向こうの戦力が大きい物だとしてもこちらも同じ以上の数で圧倒すれば、突入は楽だ。
ディフォールは続けて祐に言う。
「先行部隊がある程度の敵兵力を削った後、祐とシオン。 そしてカイザーと一眞が続けて突入してくれ」
「わかった！ 」「…… ふん」「期待には答えよう」「……。」
それぞれは返事をする。
後は……。
「如月は俺と優奈と共に後方支援担当で突入だ。 絶対に祐達を前に行かせるんだ」
「わかりました。 」「ええ、このときを待ってたんだから」
全ての準備は整った。
後は全てをぶつけ、幕を下ろすだけ。
ディフォールは席を立ち、ベランダに出る。
夜風が温まった心を静かに癒してくれる。
コップに入った水を一口飲み。
空を見上げる。
空には満月が一つ彼を照らしている。
ディフォールはコップを空に向け。
「我々の作戦の成功を祈って…… 乾杯」
彼は静かにそう言いながら水を飲み干す。
この作戦。
完璧なものとするために。
【NEXT 第１３話】
- 【リメイク】 BLACK HERO.S 【焼け切れた翼】 ( No.19 )
- 日時： 2015/02/21 02:27
- 名前： ジョディア ◆h2BA.K1wzk （ID: HpE/sQXo）
【第１３話 想い】
ディフォールの対エインヘルヤル対策の作戦会議が一通り済み。
各個人の自由時間に割り当てられた。
それぞれはすぐに席を立ちやるべきことをし始める。
カイザーは現在の兵力の確認と指揮系統の見直し。
一眞は現在保管されている武器・防具の不備の確認。
ディフォールは再び携帯で誰かと連絡を取っている。多分、ディフォールが仲間にした兵達だろう。
それぞれが今やるべき事に立ち上がり、行動をしている。
祐は席から立ち上がり、近くの如月の席に向かった。
何も言わずただ、如月の横に立つ。
「…… ？ 祐、どうかしたの？ 」
「ごめん。 話があるんだ。 ちょっとだけでいい、一緒に来てくれ」
祐はそう言い、如月の手を握りしめ。
外に向かって歩いていく。
如月はただ、彼に引っ張られていくように付いて歩く。
しばらく外を歩き、ある丘の上にたどり着いた。
白い花が一面に咲き誇り、草木が風で音を奏で。
月がそのステージを照らすライトの代わり。
神秘的で気持ちが安らぐ場だった。
祐はそんな丘の端に立ち、街を見下ろす。
自分達が通っている学校、そして商店街や中央の大型建造物達。
彼の顔はとても静かで悲しそうな顔をしている。
不安、恐怖、今にも触れれば崩れてしまう。
彼の心は今不安でいっぱいなのだ。
風が彼女と彼の髪をなびかせる。
白い花びらと共に横に流れて。
如月はその髪を手で押さえ、ゆっくりと祐に近づいていった。
「怖がらないで。 大丈夫、あなたなら必ず成功できるから……。」
祐の背中に手のひらをゆっくりと置いた。
彼の体は少し、ビクッと動き。
そのまま、強張っている。
祐はゆっくりと如月に振り返り。
「ありがとう。 そう言ってくれるだけで俺の力になるよ」
祐は苦笑いをしながら如月に言う。
「だけど、わかるんだ。 この体がもうすぐで【俺】じゃなくなるってことが」
自分の手のひらを身ながら言う。
彼自身、自分の体の変化に気付いているのだ。
人体能力の強化、能力の開花からの能力強化。
更には【暴走】。
あの時のシオンとの戦いの時も、意志は暴走を始めていた。
戦いを好み、血に飢え、痛みを欲していた。
誰が悲しむ、誰が喜ぶなどと言うのは関係が無い。
自分の欲を満たせれば満足だと。
彼は思った。
だからこそ、戦いに恐怖を覚えた。
「大丈夫。 あなたは、あなたよ。 私は忘れない…… 絶対に」
「ありがとう…… 如月。後、もうひとつ伝えなきゃならないんだ」
祐はしっかりと体を如月に向けて。
彼女の両手をしっかりと握った。
祐は大きく深呼吸をして。
「如月、好きだ」
真剣な目で彼女を見て言う。
如月は嬉しそうに微笑み返す。
そして二人は向き合い。
唇を合わせた。
【NEXT第１４話】
- 【リメイク】 BLACK HERO.S 【焼け切れた翼】 ( No.20 )
- 日時： 2015/03/06 02:48
- 名前： ジョディア ◆h2BA.K1wzk （ID: HpE/sQXo）
【第１４話 戦う理由】
祐と如月がその場を抜けてからすぐ。
シオンもベランダに移動して、夜風に当たっていた。
彼自身、何か迷いがあるのだろうか。
静かにただ、月だけを眺めている。
その時、シオンの横に飲み物が入ったコップが伸ばされた。
シオンは素早くその手のほうを向くと。
美空が優しく微笑みながらコップを手渡そうとしていた。
断る理由はなく、シオンはそれを受け取り、軽く礼を言う。
「こんなとこで一人で何をしていたの？ 」
美空は飲み物を飲みながらシオンに聞く。
「はい。 私の戦う理由を探していたんです。 母親の為なのか、人質に取られたからの復讐の為かと」
シオンは冷たい容器を強く握り締め。
その考えがひどく彼を包み込んでいることがわかる。
だが、美空は言った。
「それだったら、誰かを守る為に戦うって理由にしたらどうかな？ 一時とは言えBLACK HEROの仲間なんだしね」
「誰かを守る為……。 」
シオンが悩んでいるとき、美空は何かを決心したのか。
大きく息を吸い込んで。
「どうして、祐を狙っていたの…… ？」
如月が言うとシオンは少し、間を置いて答える。
「ある組織からの命令で大塚祐を命を狙いました。 更にはその仲間も始末しろとも」
シオンは美空から顔を背け、彼女を傷つけることを拒む。
だが、彼女は。
「今は？ 今も、祐君や如月ちゃんを殺すの？ ただ、命令と言う理由で」
それに対し、シオンはただ静かに答えた。
「あなたが望まない限り。 私は彼らに手を出そうと思いません。 」
美空はそれを聞いて、嬉しそうに微笑んだ。
シオンも再びそれを見て、顔を真っ赤にし、顔を隠すように後ろを向いた。
そして、シオンは咳払いを一度し。
美空に告げる。
「あなたを私に守らせてください。 必ず、守ります」
そう、美空に告げると。
「それが、あなたの守りたい者？ 」
「はい」
シオンはそう答えると美空は嬉しそうにうなずき。
「はい、 お願いします。 シオン」
美空は満面な笑みをシオンに向けた。
その笑顔は誰もを引き寄せる。
シオンも例外ではなかった。
日差しのように明るい笑顔。
この人を守るためなら命を捨てることもためらわない。
二人は守るべき者の為に立ち上がった。
世界を守るわけでもなく、大勢の人間を守る為でもなく。
たった一人の人間を守る為に。
【NEXT 第１５話 火種】
- Re: 【リメイク】 BLACK HERO.S 【再開】 ( No.21 )
- 日時： 2017/04/15 01:16
- 名前： ジョディア ◆SoBqNTAW1Q （ID: cZbB.kUa）
【第１５話 火種】
「遂にこの日が来たな……」
「ええ、我々の願いが達成される」
巨大なビル。
要塞の様にその大きな建物の頂上。
そのはるか上から蟻のように群がる人々を見下ろす。
「わかっているな？奴は我々に取って重要な存在。間違っても消すことは……」
「わかってます。その為に、わざわざ準備を進めてきたのですから」
女は手に持つグラスを傾け、中に入っていた赤く透明な液体を喉に流し込む。
「パーティは始まりました。招待状がないお客様はどうか今は手を引いていただけないでしょうか？」
女は頭を下げると、男は不機嫌そうに後ろに下がる。
「あまり油断していると喉元を食らいつかれるぞ？」
「ええ、ご忠告をありがとうございます。ですが、大塚祐の事でしたら問題はありません」
そういうとゆっくりとナイフを取り出し。
不敵な笑みを浮かべる。
「奴に力を使わせなければいいのです……」
「それを聞いて安心した。後はよろしく頼む」
そう言い残し、男は姿を消した。
女はその姿を最後まで見送り
空のグラスを天井に掲げる。
そしてそのままグラスから手を放し……。
「私も貴方も過去を塗り替えたいだけなのよね……無駄だとわかっているのに」
そう言い終えた後、一瞬でその場から彼女は姿を消した。
誰もいなくなった部屋には割れたグラスの破片だけ残っている。
【月が見える丘】
空が次第に赤く染まりだす頃。
祐達はずっと芝生の上で横になり、空を見上げていた。
雲は黒く染まり始め、日はその姿を山の中に消そうとする。
神秘的で、美しい空の色。
青い空が徐々に赤く燃え盛る様に。
力強く握った拳を隠すように頭の下に置く。
隣に座っている如月の目に入り、心配されたくないからだ。
夕日をただ静かに笑顔で見上げている如月をじっと見つめる。
彼女の横顔を目に焼き付けるようにじっと……。
「ん？ どうしたの、祐 」
如月に見ていることがばれ、祐は声を掛けられた。
慌てて祐は立ち上がり、手を振りながら。
「あ、いや！ なんでもないぞ！ …… ただ、夕日が綺麗だなって思って」
祐は、そのまま夕日を見上げる。
燃え盛る様に赤い空は次第に闇に飲まれていく。
普通なら不安を煽りそうなものだが、今は何故か心が楽になる。
戦いによる不安。
仲間を守れるかの不安。
そして、自分が生き残れるかの不安。
祐は色々な不安を抱え、今この場にいる。
戦う事から逃げることはしない。
だが、今の自分には全てが不安にしかならない。
それは力がないからなのか？
それとも、覚悟がないからか？
祐にはわからない。
如月は色んな不安を持った祐を見て。
頭を両手で包み、頭の上に自分の頬を置く。
そして、何度も彼の頭を撫でながら。
「大丈夫。 怖がらないで。 祐ならできるから。 自信を持って…… ね？ 」
「如月…… すまない……。 」
如月はそのまま、祐の正面に立ち。
ゆっくりと目線を合わせる。
「大丈夫、 私は死なないよ。 だってあなたが守ってくれるから」
如月はにっこりと笑った。
「それに、あなたは死なない。 だって、私が守るから」
そう言い、如月は目を閉じ祐の額に自分の額を合わせる。
額からはお互いの熱を感じ。
ただ、二人は微笑んだ。
「ああ、必ずだ。 必ず、守るよ。 約束する 」
二人はまた少し距離を離しながらも向き合う。
ゆっくりと二人は目を閉じ、距離を縮めて行こうとする。
そして、二人の唇が重なる瞬間。
「おい！ 祐。 美空さんが帰るそうだ。 帰るぞ！！ 」
シオンの大きな声が聞こえてきた。
二人は慌てて、その場から離れ後ろを向きあう。
夕日のせいか、二人の顔は物凄く赤くなっていた。
「わ、私。 美空さん送って行くから、祐はシオンと行動して！！ じゃ！ 」
「あ、ああ！ま、またな！」
そう言いながら、如月は慌ててその場から走って行ってしまった。
あの瞬間を惜しむ気持ちもあるが、今は帰ることを優先したほうがよさそうだ。
エンジェルフォールの回復力のおかげでもう既に動き回れるぐらいには完治されていた。
祐はシオンの元に向かい。
「さ、俺たちも戻ろう。 これからよろしくな」
「精々、足を引っ張んないでくれよ祐」
そう言いながら二人は握手を交わした。
彼はそう言いながらもこの状況を悪いとも思っていない。
二人はいいコンビになりそうだ。
だが、問題というものはすぐ起こる。
遠くの方からボンッ！！っと大きな音が鳴り響き。
何かの爆発音と共に、一部から黒い煙が上がる暗くなり始めの今でもはっきりとわかってしまうぐらいの煙。
「な、なんだ？何が……」
「……如月！！」
祐とシオンは悪寒が走り、急いで向かう。
辺りには何かが争った形跡と自分達の学校のバック。
それも…… 見覚えのある。
「み、美空さんのだ…… このバックは……！！ 」
更には壊されている如月の携帯。
白いスマホで特に何もつけていない普通のスマホが割られている。
すぐに祐に連絡を取ろうとしたが、破壊されたのだろう。
「……これは、奴らの宣戦布告だ」
「ああ……、許さねぇ」
「俺が必ず如月達を助け出してやる……！」
【NEXT第１６話】
- Re: 【リメイク】 BLACK HERO.S 【焼け切れた翼】 ( No.22 )
- 日時： 2017/04/15 01:39
- 名前： ジョディア ◆SoBqNTAW1Q （ID: cZbB.kUa）
【第１６話 エインヘルヤル】
【日本：アンリミテッドシティ 5/3 20:19】
超高層のビルが立ち並ぶ中心街。
アンリミテッドシティの核心部とも言われている場所。
そこには様々なビルが立ち並び、その姿で人々を圧倒する。
祐とシオンはそのたくさんある中の一つのビルの前で立ち止まっている。
【株式会社 天使】
ありきたりの名前でありながらも怪しさが臭いそうなビル。
「ここなんだな。 如月と美空さんがいるのは」
祐は隣にいるシオンに確認を取る。
シオンはただ、静かにうなづくだけだった。
だが、それだけで十分だ。
やることはもうわかっている。
重い足取りを一歩、一歩と進めて行く。
敵地に乗り込むのだ、それだけでも緊張するし、命も懸けている。
足取りが重くならないわけがない。
今からでも遅くはない。
引き返すこともできる。
睨まれただけで動けなくさせるような敵がいる場所だ。
勝てるかも怪しい。
だが、それでも。
そこに助けたい人がいるのなら。
行くしかない。
祐とシオンは真っ直ぐとビルの中に入り。
受付前まで歩いていく。
周りの人間も祐達の事を不審に思い、ずっとこちらを見ている。
そして、シオンは受付の前まで行くと。
「【ローゼリア・アークライン】。 今すぐ会いたい」
シオンがそう告げた瞬間。
受付の女は驚いた顔をし。周りの人間からは殺意が溢れ出る。
そして全員が銃を構えこちらを狙う。
「ビンゴだな。 祐！！ 一気に蹴散らすぞ！！ 」
「おう！！ 」
祐は、剣を構え敵に向かっていく。
シオンは素手のまま素早く動き、銃の射線を狂わせる。
相手の銃を無効化させつつ、顎から思いっきりその拳を振り上げ次々と敵を倒していく。
そして次にシオンは敵から奪い取った銃で更に敵を撃ち倒し。
祐は射線などお構いなく、剣で自分の身を守りながら突進する。
敵に接近した時に、思いっきり剣で体当たりを食らわせ、バランスを失った時に斬りつける。
そして、次第にその戦場は立った二人の青年に徐々に壊滅させられていく。
銃であろうが、巨体の男だろうが。
彼らの前ではただの水鉄砲と木偶の坊だ。
彼らが上の階に到達するのに時間はそう掛からなかった。
ビルのロビーが倒れている人達で埋め尽くされる。
「よし、さっさと上に進んでくぞ」
「わかってるよ！ 行こう！！」
そう言い、祐とシオンは階段を上って行く。
次にどんなことが待ち受けているかなど、知る由もなく。
ただ、導かれるままに進んでいく。
「さあ、貴方達の出番ですよ？いいとこを見せて下さいね」
「クヒッ！お任せ……くだせぇ……クヒヒヒヒ」
「やれやれ、あれだけ教育してあげたというのに」
闇に閉ざされたこの死地。
二人は少しずつ死神に近付いていく……。
【NEXT第１７話】
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12