複雑・ファジー小説
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- 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日
- 日時： 2015/08/12 17:14
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
タイムマシン、スーパーロボ……すごい発明品は数あれど、役に立たない発明品はない。ならば、私が作るしかない。この物語は、変人発明家のシナモン博士と助手のフレンチくんの凸凹コンビが繰り広げる爆笑日常である。
登場人物紹介 >>13>>57
第1話 フレンチと博士の出会い >>1>>2>>3>>4
第2話 新しい家族 >>5>>6>>7>>8
第3話 散歩をしていたら >>9>>10>>11>>12
第4話 悪夢 >>14>>17>>18
第5話 ハニーの秘密 >>19>>22
第6話 沖縄旅行① >>23>>24>>25>>26
第7話 沖縄旅行② >>27>>28>>29>>30
第8話 沖縄旅行③ >>31>>32>>33>>34
第9話 沖縄旅行④ >>35>>36>>37>>38
第10話 沖縄旅行⑤ >>39>>40>>41>>42
第11話 沖縄旅行⑥ >>40>>41>>42>>43
第12話 沖縄旅行⑦ >>44>>45>>46>>47>>48
第13話 沖縄旅行⑧ >>49>>50>>51>>52
第14話 沖縄旅行⑨ >>53>>54>>55>>56
第15話 沖縄旅行⑩ >>58>>59>>61>>62>>63
第16話 巨大ロボ登場！>>64>>65>>66>>67
第17話 ハニーのお料理タイム >>68>>69>>70>>71
第18話 ハニーのスイーツタイムパート2 >>72>>73>>74>>75>>79
第19話 白と黒の決闘>>76>>80>>81>>82
第20話 お風呂に入ろう>>83
第21話 赤ちゃんになっちゃった！>>84>>85
第22話 メープルの仲直り大作戦>>86>>87>>88
第23話 バスケット対決>>89
第24話 中国からきた美少年>>90>>91
第25話 勘違い>>92
第26話 本屋さんに来た>>95
第27話 障害物競争>>96>>97>>98>>99
第28話 初めての回転寿司>>100
第29話 ハニー大ピンチ！>>101>>102>>103
第30話 コロッケをめぐる戦い>>104>>105>>106>>107
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.167 )
- 日時： 2015/02/23 08:11
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
翌日、十堕天使は再びラピスに召集された。
「エリックさんのおかげで敵の情報を把握し、レオンハルトさんによって作戦が立てられました。そしてついでと言ってはなんですが、サンダルフォンさんによって敵のひとりであるヨハネスがもち肌だということが判明しました！それではみなさん、三人の活躍に敬意を払い拍手をしましょー!!」
しかしながら、彼女以外の九人は拍手をしようとしなかった。当の本人達は不満があり、その他は興味がない様子である。そうしているうちに、ひとりまたひとりと部屋へ帰って行き、ついには彼女とメンバーのひとりの覗いて誰もいなくなってしまった。
「あううっ、せっかくの集会なのにぃ……これじゃあ面白くありませんよぉ」
彼女が泣きじゃくると、残っていた天使はハンカチを差出し涙を拭うように言った。ラピスが顔を上げて見てみると、そこにいたのはツインテールの金髪に緑の装甲を身にまとった女性堕天使のギムレットであった。彼女は実力的にはリーダー格であるラグエルを凌ぐ実力者である。いつも集会に顔を出さず関心がないと思っていたラピスは、彼女が最後まで残っていた事に疑問を感じた。
「ねぇギムレット。あなたはどうして最後まで残ってくれたんですかぁ？」
彼女の問いに、ギムレットは片膝を立てたお嬢様風の礼をして、
「ラピス様、お願いがひとつだけございます」
「私の大事なおやつの苺大福を譲ってほしいという願いは聞きませんよー」
「……そのようなお願いではございません。ぜひとも私に外出許可をください。どうしても倒したい敵がいるのです」
苺大福を狙っていないと知ってラピスは安心し、快くＯＫを出した。持つべきものはよき上司である。
「それで、誰を倒したいんですか？」
「——私の宿敵、リヨン＝クッサンドです」
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.168 )
- 日時： 2015/02/23 13:36
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
「ギムレット……」
「随分とお久しぶりじゃない、リヨン」
ギムレットは早速リヨンに挑戦状を送り、彼女を決闘にはもってこいのスポットとして判断した公園で対峙することになった。
因縁があるふたりは空中でバチバチと火花を鳴らす。
観客席と化した土手には、博士、ハニー、フレンチ、ロディ、川村、白井の五人が座る。
「見物客も集まったことだし、始めましょうか」
「参ります」
リヨンは敵にパンチを見舞う。けれどギムレットは彼女の拳の軌道を見切り避ける。ハイキックも同様に避けられた彼女は、今度は飛び上がりモンゴリアンチョップを放つ。
「ガラスの靴を履いてないあなたの攻撃なんて、この私には通用しないのよっ」
堕天使は二つの手刀を受け切り、リヨンの腹にパンチを食らわせ数メートル吹き飛ばす。
「リヨンさん！」
フレンチが彼女の劣勢を見て呼びかける。その声に彼女は途中で体勢を立て直し、倒れまいと強く踏ん張る。
「へぇ……結構しぶといじゃない？」
小ばかにした口調でギムレットは言うと、掌からエネルギー波を放出した。
「きゃあーっ！」
エネルギー波のパワーに圧倒され、きりもみ回転し地面に倒れ伏す彼女の姿を、まるで害虫でも見ているかのような冷たい瞳で睨む宿敵。
彼女は敵が動けないのをいいことに、（誰も頼んでいないのにも関わらず）自分の身の上話を長々と語り始めた。
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.169 )
- 日時： 2015/02/23 18:01
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
「つまり、きみはリヨンちゃんに相当な劣等感を抱いているという訳だね。なんというか、ありきたりな過去でつまんないね」
博士は彼女の話を聞き終わった後大きな欠伸をしてそう言った。
「つ、つまらなくなんかない！ひ、人の過去を笑う奴なんて失礼よっ」
「それは失礼したね。だけどあんなに長く話されたら、誰だって少々うんざりしてくるよ」
ギムレットは唇を噛みしめて怒りをむき出しにする。その刹那、今まで倒れていたはずのリヨンの体がピクリと動いた。彼女はギムレットが博士に気を取られている隙に背後から手刀を打ち込む。けれど敵は瞬時に裏拳で対応した。
「ウフフッ、チームプレーとはやってくれるじゃない。でも、少しくどいようだけど、もう一度教えてあげるわ。パワーの源であるガラスの靴がない限りあなたはフルパワーで闘う事はできないのよ」
すると、ここにきて白井はガラスの靴を懐に隠し持っていた事を思い出した。
「リヨン、この靴はお前のか？」
靴を持った右手を大きく掲げ彼女に確認をとる。
「そうです。先ほど買い物の帰りになくしたと思っていましたが、あなたが拾ってくれていたんですね。ありがとうございますっ」
「どうってことねぇよ。受け取れ、リヨン！」
白井が投げた靴をキャッチし、普通の靴から履きかえる。すると彼女に変化が起きた。髪は金髪、瞳は鮮やかな翡翠色になり、エプロンだった服装は美しい青いドレスになり、肘までかかる長い手袋を装着している。これが彼女の本気の戦闘モードである。
「これでやっと私の本気を皆様に見せる事ができます。ギムレット、ご覚悟はよろしいでしょうか？」
「それはあんたのセリフよ。もう一度返り討ちにしてあげるわ！」
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.170 )
- 日時： 2015/02/24 05:38
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
リヨンは飛び上がってからのマシンガンキックで敵に猛攻を加え後退させる。
「さすがにフルパワーのあなたは攻撃力が上昇して、先ほどとは段違いの強さを見せているわね。でも、そう簡単にはこの私は倒せ——」
「やあああああっ」
腕を掴まれそのまま硬いコンクリートの地面にこれでもかとばかりに投げつけられるギムレット。柔道の一本背負いの威力は地面に亀裂を生じさせるほどの威力があった。地面に倒れ起き上がろうとしたその刹那、彼女の強烈なパンチが顎にクリーンヒットし、空高く打ち上げられる。
「ウフフッ、お前はこの私に羽が生えていることを忘れてはないかしら？」
彼女は炎が所々に着いた天使の羽を背中から出現させ飛行し、空中でパフォーマンスとして八の字滑空を見せて下にいる博士達から拍手を貰う。そして翼を持っていないリヨンに対し人差し指を彼女に突きつけながら嘲笑った。
「お前には翼がないからこんな真似はできないだろう。つまりこの勝負は既に勝敗が見えている」
「くっ……」
「アハハハハハハハハ、アハハハハハハハハ!!」
翼の有無という差を見せつけ、宿敵に絶望を与えたと思った彼女はここぞとばかりに高笑いを始める。しかしながら、これがリヨンの作戦であることに気が付くほどの頭の良さは彼女にはなかった。
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.171 )
- 日時： 2015/02/24 08:06
- 名前： モンブラン博士 （ID: EhAHi04g）
突如、彼女のバカ笑いが消え、戦慄した表情と化した。
その理由は、眼下にあった。彼女が恐れをなしているのは宿敵ではなく、今まで全くのノーマークであり、ふたりの戦闘が始まって一言も口を利いていないロディであった。彼は自分の出番が少ない事と、彼女を撃ち落せるかもしれないという興味から、巨大なバズーカ砲をテンガロンハットから取り出し（構造がどうなっているのかは不明）、彼女に標準を定めた。
「あんた、何する気!?」
彼女の質問には答えず、彼はバズーカの引き金を引き弾を発射させる。
弾は真っ直ぐ彼女に突撃していき、大爆発を起こす。
当然ながらその衝撃で羽は跡形もなくなり、髪は漫画などでお馴染みの現象である爆発パーマになってしまった。
「よくも私の美しい髪をこんなにしてくれたわね〜！」
瞳に赤い炎を宿し、ロディに向かって急降下していくが、それを待っていたリヨンに背後から腰のあたりを掴まれ、超高角度のバックドロップを決められＫО。
こうして因縁の対決の幕は閉じた。
「勝ちましたね、リヨンさん！」
フレンチが嬉しそうに声をかけ、彼女とハイタッチを交わす。ロディも射撃の腕前を披露できたのでご満悦であり、博士もニコニコ顔でリヨンとフレンチを見ていた。そんな中で少し不満げだったのが、このふたりであった。
「拙者達、出番がなかったでござるな……」
「出番がない事を言うだけが出番なんて、悲しすぎるよぉ」
川村とハニーは体育座りで今回セリフが少なかった事を嘆いた。
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