複雑・ファジー小説
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- 横浜ストレイドッグス【7/28更新】
- 日時: 2015/09/02 21:41
- 名前: 太宰林太郎 (ID: Xr21cKIW)
——初書
おはこんばんは、太宰林太郎の太宰林檎(佐渡 林檎)です。ダザい林檎です。
クリック有難う御座います!!
この度合作させていただく事に致しました。
拙い文になるとは思いますが、何卒宜しくお願い致します。
最後に、本日にささやかですが誕生日をお祝いいたします。
文豪大好きです。
【諸注意、お願い】
・元ネタ様が多数有ります
・更新不定期です
・感想、ご指摘等頂くと凄く嬉しいです!!
・出来るだけ率直な感想を頂ければなお有難いです
・荒らしと判断致しました場合、無視させて頂きます
[CONTENTS]
【初書】 >>00
【第一話 人間不万事塞翁が刀】 >>01-05-06-07-08
【太宰のご挨拶】 >>09
【キャラ設定】 >>10
【お知らせ】
■2015.06.19 スレッド立てました。「初書」更新しました。
□2015.06.30 第一話の其の壱更新しました。
■2015.07.07 第一話の其の弐更新しました。参照150突破しました。
□2015.07.22 第一話の其の参更新しました。参照200突破しました。
■2015.07.28 第一話の其の四、五更新しました。太宰のご挨拶、キャラ設定更新しました。参照250突破しました。
《お客様》
・書き述べる 様
・雪 様
・ゆづ 様
・メデューサ 様
・八枝 様
・ Gilochin 様
・あるねーる 様
・琴立芽吹 様
・モンブラン博士 様
・コーラマスター 様
・フォルテ 様
誠に有難う御座います!!
- 横浜ストレイドッグス 1-1 ( No.1 )
- 日時: 2015/06/30 17:27
- 名前: 太宰林太郎 (ID: Xr21cKIW)
壁に手をつく。
————賞味期限がとうに過ぎたサンドイッチ。三日前、ただ口に詰め込んだ。
何処かカビ臭かった気もしたし口に入れた瞬間吐き出してしまいそうだったけど、今はそれが恋しい。
走るのも歩くのも止めて、考えるのも前にとりあえず今は
「ここどこ……」
そこが体力の限界で、疲労した僕はゆっくりと倒れた。
■ ◇
【第一話 人間不万事塞翁が刀】
倒れた僕を待っていたのはふかふかのベッドではなく、赤レンガ造りの道路だった。
衝撃は意外にも感じず、ただひんやりとした煉瓦が心地良い。
僕の名は大和。
——訳有って餓死寸前です。
うつぶせに倒れたまま、周りの状況を確認する。
どうやら都市部の大分近くまで走って来ていた様で、貧民街には無い種類の喧騒が少し遠くから聞こえて来た。そう判ると安堵して長い溜息が出てきた。
良かった……、これで逃げられたんだ。
随分逃げたなあと我ながら思う。何故か逃げたその時の記憶はどうしても思い出せなかったが。何も考えられず頭が真っ白だったのだろう。
そんな事を考えていると、近くから明るい声がした。
「それにしてもよくこんな大荷物頑張ろうとしましたねえ、危ないですよ」
聞こえた方角に焦点を合わせると、荷物を抱えた青年(荷物で顔は見えなかったが、おそらく青年だ)と、青年の目線の先に初老はもう過ぎたであろう女性がゆっくりと青年の後を歩いて来ていた。
「御免なさいね」
「いえいえ、よく頼まれることですし」
その時だった。
僕の視界に飛び込んできたのは、高速で自転車が青年達の直ぐ前に突っ込もうとするところ。
反射で立ち上がり飛びだす。庇おうととっさに考えた。
青年と女性の間をすり抜ける為、青年の袖を掴もうとした途端、
青年は優雅におばあさんをエスコートしながら自転車を避け、僕の伸ばした右手は虚しく空を掴んだ。その所為で僕はバランスを崩し、その横から颯爽と自転車が走り去った。
ここまでで二秒の出来事である。
つまり要約すると、僕は勝手に一人、もつれて倒れた。
「あ、バスが来ましたね。じゃあ気を付けて」
「有難うねぇ」
倒れたままの僕の目の前でバスが停車した。入り口へおばあさんは歩き、プシューっという音をたててドアが閉まった。
バスの窓越しから不思議そうな顔で僕を見た後、おばあさんは青年に向かって手を振った。
バスがゆっくりと動き出し、遂に煙を残して去って行った。
「うわあ……そうだった」
クルリと振り返り、青年は僕を眺めた。何とも形容しがたい顔を作る。
「大丈夫かい?? 先程急にすぐ後ろで倒れたものだから吃驚したよ……」
——僕も吃驚だった。
まさかあそこまでに体がついて行かないとは露ほどにも思っていなかった。思ったより衰弱している様だった。
「というか君、服に血が付いているよ。……色から見て、今日では無さそうだけど」
「あ、それは」僕はよろけながら立ち上がった。
僕の薄汚れたシャツの群れあたりに、多量の血があった。
「返り血……なんだと思います。ちょっとばかし貧民街にいて。ショックだったからか全然覚えていないんですけど」
「ふぅん」僕がそう云うと、青年は何か面白いものを見たかのような顔になった。
僕は改めて青年を見た。背は高く痩せぎす、明らかに若くまだ二十代であろううのに、何故か白髪だった。
そんな白髪は手入れをあまりされていない感じだったが顔立ちは綺麗に整っていた。そして長く茶色のロングコートを羽織っていたが、愛用されているのかくたくたになっている。
奇妙なヒトだ。
「君、何処から「ぐうぅうぅぅうぅ」
反射で僕は腹を抑えた。豪快に腹が鳴る。
クスッとその人は笑った。
「空腹のようだね」
「あっはい……実はここ最近、まともなもの食べてな「ぐうぅうぅぅうぅ」
その人は腹を抑えていた。
「私もだ。ちなみにさっき本を買ってお金は一銭も無い」
「えええ?? このままの流れで何か奢ってくれるかと思ったのに」
「お腹空いて倒れそう……ぐぎゅるるるる」
「聞いてましたか??」
「ぉお——いぃぃ!!」
そう会話していると、向こうから呼びかける声がした。
声がする方を見ると、眼鏡を掛けた若い男性が急ぎ足で向かって来ていた。
「あぁ桐君。善い処に来たね」
白髪の人は嬉しそうな顔で名前を呼んだ。“桐”と呼ばれた人はむすっとしている。どうやら苛々しているようだ。
「知り合いなんですか??」
「仕事の同僚でね」「何が『善い処に来た』、だこの迷惑拡散機!! 仕事をほったらかして無断欠勤するから連れ戻しに来たんだろうが!!」
「丁度良い、折角だから桐君に私達のご飯を奢って貰おう。蕎麦屋に行こうか!! ……君、名前は??」
「聞けよ!!」
桐さんの言葉を受け流し、白髪の人が名前を聞いてきた。
「え?? ……ええと、今村大和です」
「大和君か……あ、私はね」
その人はすっと細い手を胸に当て、白い歯を見せて笑った。
「大庭——、大庭亭師迷だ」
- Re: 横浜ストレイドッグス ( No.2 )
- 日時: 2015/07/01 15:10
- 名前: コーラマスター (ID: OHW7LcLj)
こんにちはー、今日も元気なコーラです。
糖尿病の初期症状が現在の自分に完璧にマッチして不安な気分なので、
気分を紛らわせるためコーラを大量に摂取しております。
分かっておられるかもしれませんが、コーラは糖分を多量に含有しています。実に角砂糖30個と言われる程です。
・・・・・・・これは予備軍から糖尿病レギュラーでエース間違いなしですね!
わーい、やったあ(棒読み)
さて、そんな下らないことはさておき、本題に入りましょう。
まあ感想なんですけどね。
まだ始まったばかりだというのにとても魅力的で、見たらさっさと撤収する予定だったのに、今こうしてコメを書いています。
計画が炸裂したじゃないですか全く最高の気分ですよー。
まず、登場人物の掛け合いが漫才のようでにやにやしながら読みました。
今さらっと言いましたがこれってかなり怖いことだと思うんですよね。
だってコーラはタブレットで、しかも家族の前で読んでいたんですよ。
はてさて画面を見ながらにやつく僕の顔は家族にはどう映ったのか・・・・・・・。
おおこわいこわい。
次に、大庭亭師迷のキャラが最高でした。
コーラのツボを1ミリと外れず押さえていました。
こう書くと誤解を招きそうですが、当然ながら私にそっちのケはありません。
そもそもコーラに性別など存在しないのだから、その支配者たる私にもそんな議論は無意味と言えましょう。
ん?論理の飛躍?知らんな。
えー、次。大庭亭師迷という名前について。
これを見た瞬間、私の脳裏に双葉亭四迷がよぎりました。
あの見ようによってはメガネイケメンともとれる顔が横切りました。
今も行ったり来たりしていて、脳裏が交通事故状態です。
双葉亭四迷でゲシュタルトが膝から崩れ落ちました。
そんなことはさておき。
多分元ネタはその方なんじゃないかなあと思いました。
違ったなら土下座で地球一周・・・・・・・はできないので、町内ボランティアにでも参加して世のため人のため尽くします。
このときも、勝手に想像して口角が上がりました。
ああこわいこわい。
最後に。
まだ始まったばかりのようですが、応援しているので執筆がんばってください。
また次に会えたときに自分が糖尿病になっていないことを祈りながら、感想を締めさせていただきます。
さようなら。
- Re: 横浜ストレイドッグス ( No.3 )
- 日時: 2015/07/01 23:45
- 名前: フォルテ (ID: jJ9F5GeG)
はじめまして、フォルテと申します
太宰林太郎さんの作品、いつも
楽しく読ませて頂いています!
前作の短編集のほうから読んでいたのですが
短編集の題名に少し見覚えがありまして…
今作のストレイドッグスで確信しました!
もしかしてなのですが…元ネタ様は
朝霧カフカさんの文豪ストレイドッグスですか?
もしそうでしたら、ぜひ一緒にお話したいです!
差し支えなければの範囲で構いませんので
返信してくださいましたら幸いです
物語、とても面白いですね!
内容がとてもスムーズで分かりやすく
情景が頭に浮かぶようです
ささやかな応援しか出来ませんが
執筆、頑張って下さい!
それでは、長文失礼しました
- コメント返信 ( No.4 )
- 日時: 2015/07/07 21:08
- 名前: 太宰林太郎 (ID: Xr21cKIW)
コーラマスター 様
自分はコーラが飲めません。あの喉元の焼ける感覚がどうも難しい……。コーラが飲める方が大人というか違うイキモノに見えて仕方ない太宰です。しかもコーラのマスターだなんて。支配者。一体どれ程摂取しているのか……。身震い身震い。
大庭さんをべた褒めしてくれて本当に嬉しいです。判る、判ってるなぁ同志って口角が上がって一人画面の前でにやけております。いやぁ、判りましたか。そう、何を隠そうですね、あの超有名文豪の二葉亭四迷様からもじらせて頂きました。
本当に始まったばかりなのに、こうして感想を頂ける自分が怖いです。電車のホームに明日でも転げ落ちちゃうんじゃあないかなと思っております。勿論、執筆頑張らせて頂きます。コーラマスター様が糖尿病にかかっていないのも願いながら……。感想、有難う御座いました。
フォルテ 様
初めまして、太宰です。短篇の方まで……本当にお世話になっております。
はい。元ネタ様で、朝霧カフカ様・春河35様の「文豪ストレイドッグス」を拝借しております。最近人気上がって来ていて、やっとグッズとか出てきて嬉しいばかりです。本当に大好きで御座います。気づいてくれる方がいるかなあ等と考えながらもいないかな、なんて思っていたので嬉しいです。
物語は、今の処「文豪ストレイドッグス」様を借りているので大体先が読めるとは思いますが……飽きさせない様に精一杯頑張る心算ではありますので、今後とも宜しくお願い致します。
こういうコメントで本当に支えになるので、本当に有難う御座います。嬉しい限りです。
感想有難う御座いました。
- 横浜ストレイドッグス 1-2 ( No.5 )
- 日時: 2015/07/07 23:35
- 名前: 太宰林太郎 (ID: Xr21cKIW)
■ ◇
ズルズルズ、ズルズ。
僕と大庭さんの蕎麦を啜る音が蕎麦屋に響く。僕の向かい側に座る桐さんは僕達を厭そうな顔で見ている。
「……全く、何で俺が……」
桐さんが額に手を当ててぶつぶつと喋る中、僕らは手を休めない。
ちなみに僕は大盛り蕎麦定食十人前を完食しようとしていた。
「はひはほうほはいはふ」
僕は額に付いた汁を拭きながら頭を下げた。
「まぁ、いい。……気にするな」
「ズルズルズッ、はひはほうほはいはふ!!」
「死ね、白髪は」
僕らは同時に最後の汁を飲み干し、手を合わせた。満腹満腹。
「あ——美味しかった、もう蕎麦は当分いいなぁ。ねぇ、大和君??」
「ご馳走様でした」
プツンと何か切れる音がしたが、大庭さんは気にもとめない。
ちなみに、ざっと見た処僕と大庭さんの前にある空の皿は二十二皿。向かい席から何か黒いオーラが立ちのぼる。
「いや、本当に助かりました。……貧民街は何も無くて……もう餓死するんじゃないかと」
「へぇ。君、貧民街の出かい」
「というより、逃げて来たのです」
笑ったような、困ったような、自分でも変な顔をして僕は語り始めた。
「最近、僕は孤児になりました。
小学生の時に母親を亡くして、父子家庭でした。父親はいつも明るく、優しい人でした。僕の母親がいなくなった苦しみを、少しでも除いてくれようとしてくれていました。でも最近父親が荒くなって……家中傷だらけで、僕には当たらなかったのですが……顔もやつれていて。
そして先週の事でした。夜中、気づいたら目の前で父がナイフを持っていて……
その時にはもう傷だらけでした。そして『ごめんな』って云いながら……、僕に、何かがたくさん、飛び散りました。
父さんは自殺して、僕は兎に角怖くなって。
そのまま家を飛びだして、ただただ走っていたら……気付けば貧民街に来ていたみたいで。
それで、何か判らないまま貧民街で人身売買される処を逃げて来たのです」
「……それはとんだ災難だったね」大庭さんは少し考え込んだ後、桐さんを見た。
「んで、桐君。依頼が来たから私を捜したのでしょう。何だったの??」
「依頼??」僕は大庭さんに思わず食いついてしまった。
にやり、と大庭さんは笑った。
「ああ。実はなに、私達探偵をしていてね」
「はっ??」
——たんてい。短艇、端艇……
「探偵??」
脳内変換をやり終えまた僕は聞き返した。
「まあ、探偵と云っても探偵らしい仕事が主ではない」
桐さんが付け加えた。
「異能集団『戦闘探偵社』を知らんか??」
「!!」
——『戦闘探偵社』。
聞き覚えがあった。
軍や警察が取り扱えないような事件を専門としている組織で、なんでも『戦闘探偵社』の社員の多くは異能の力を持つ『異能者』らしく——
「あ」大庭さんは頬杖をつきながら喋った。
「あの女性素敵だなあ。神が話しかけろって云ってる気がする。ねえ桐君、私今から口説きに行ってもいいかい??」
「一生地獄へ逝って来い、そして二度と戻って来るな」
——本当に、あの探偵社の社員なのだろうか??
僕は躊躇いながら桐さんに尋ねた。
「えっと……お二人の今日の依頼は??」
む、という顔の桐さんににっこりとする大庭さん。
「いいじゃない。大和君は情報漏えいするような人間じゃないよ。私が責任を持ってあげよう」
大庭さんからそう云われると、桐さんはポケットから手帳を取り出した。
「人捜し だ」
「——人捜し??」
「最近、貧民街で噂になって騒がれている。死傷者は確認出来ているのが二十名。事件はここ最近かららしい。何でも赤い瞳で刀で人を斬るらしく、『紅い化け物』の名で通っている」
「名前が安直なのがまた醸してるねえ」くっく、と笑う大庭さん。
心当たりがあった。
「あ……、確かに騒がれていました。皆怖がっていました、被害に遭った人は皆その『紅い化け物』に絡んだ人みたいで」
「ふうん」僕がそう云うと、大庭さんはまたにやけた。
「大和君、今からは暇だよね」
「な、何か猛烈に嫌な予感が……」
とびきりの笑顔で、手を差し出された。
「『人』捜しを、手伝ってくれないかな」
「や、やですよ!! 危険過ぎます。僕なんかじゃ余計、何も出来ませんし!! ご馳走様でした!!」
慌てて立ち上がり逃げた。だが数歩行った処で桐さんに首根っこを掴まれ、手足をめいいっぱい動かしても体は進まなかった。
「蕎麦代は捜査協力で払え」
「まあまあ大和君、桐君も落ち着いて」
大庭さんの声で桐さんは僕から手を離した。途端に僕は尻餅をつく。痛い。
「大和君。情報とか、貧民街の地理とかね、少しでも協力して欲しいから一緒に現場調査行こうよ。きっと愉しいよ、桐君も面白いけど君も面白いから」
「おい大庭!! 俺は情報提供をもう少し詳しくしろという意味で云ったんだ、一般人をやすやすと危険にさらすな」咎める桐さん。
僕も断るべく理由を考えて口を開けると、大庭さんは遮った。
「報酬高いよ??」
ぴたり、と僕は動きが止まった。報酬。
「……ちなみにおいくらぐらい」
大庭さんは桐さんに何かを催促した。桐さんは手帳を渡し、大庭さんはそれに何か書き込み破いた。
破いたその頁を僕に向けた。
「こんくらい」
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