複雑・ファジー小説
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- 暇つぶしの世界征服
- 日時: 2015/06/29 22:15
- 名前: Lost (ID: 6h5HGW0k)
─とある日、都内某所
平凡な日々のなかで少女はこう言った
「世界が滅ばないかなあ…」
もちろん本気じゃなくて、ただの口癖みたいなものだった
そんな何気ない一言から、彼女の物語は始まる─
─とある日、都内某所
平凡な日々のなかで少年はこう言った
「退屈な世界だなあ…」
そう言っているだけなら、ただの口癖のようなものだった
そんな何気ない一言から、彼の計画は始まった─
─5月1日 山彦学園 1-B教室─
「おはよう、アカちゃん」
そういって声をかけてきたのは私の幼なじみである球時だった
こいつは私の名前…「茜」を略して「アカちゃん」と呼んでくる
たった一文字を何故略すのだろうか…
「ああ、おはようタマ」
かく言う私も「球時」の「球」を文字って「タマ」と呼んでいるが
「これじゃあ飼い猫みたいだね」
そう苦笑いして私の後ろの席に座る
そこがタマの席だ
「ところでタマ、お前また遅刻ギリギリじゃないか」
「あはは、まあね…まあ間に合ったんだからいいじゃないか!そんなことより今日の授業に目を向けよう!」
いつもこんな感じではぐらかしてくる
私でなければ間違いなくイラッとした瞬間だろう
「そうだな、お前は過去を振り返らないんだものな」
「そうだよ!未来に目を向けなきゃね!」
「じゃあ昨日おごって貰ったジュースの事は気にしなくていいということだな、うん」
「ちょっ!それはひどいんじゃない!?」
とかなんとか言ってる間に先生が教室に入ってきた
今日も授業が始まる…
そう考えるだけで既に憂鬱だった
- 暇つぶしの世界征服 第0話 ( No.1 )
- 日時: 2015/06/30 12:25
- 名前: Lost (ID: f0vmnBR9)
今日も授業が終わった
タマが私の髪の毛で遊んで先生に注意されたりとかしながらも、いつも通りに授業が終わった
─帰り道─
「はあ…世界が滅ばないかなあ…」
「また言ってるねアカちゃん」
「まあな…最近特に何も起こらないしな」
「あはは、そうだね」
「しかしお前は…楽観的というかなんというか…」
「まあでも僕もこの世界は退屈だなあとか思うよ?だから─」
そして球時が言ったこの一言を冗談として受け流していなければ、ここで止められたのかもしれない
「だから僕が、この世界を征服するんだ」
これをただの冗談だと思った
いつもの調子で言った冗談だろうと思った
それで私はこう返したのだった
これが決定打になるとは露知らず
「やれるものならやってみることだな、タマ──」
第1章に続く
- 暇つぶしの世界征服 第1話 ( No.2 )
- 日時: 2015/07/28 01:28
- 名前: Lost (ID: YxsO9R9B)
───5月2日 山彦学園1-B教室 ───
「おはよう、茜ちゃん」
教室の机で教科書等を準備している私に話しかけてきたので、何かと顔を上げて相手を確認した私は
「ああ…おはよう、冷夏」
そのクラスメイトは冷夏という私の友人であった。
ちなみに球時とも友人だから共通の友人である。
というかタマに嫌いな奴は居るのか?
それはさておき。
「だるそうだね…茜ちゃん」
「朝早く起きて課題をしていたからな…」
終わらなかったが。
「そう…それで珍しく遅かったの?」
「そういうわけだよ…ん?タマが来てないな…また遅刻か?」
タマの席にその姿は無かった。
が、その直後に私と冷夏は同時にこう言った。
「「また遅刻か…」」
いや当然若干の違いはあるにしても、こういった台詞だった。
タマの遅刻数はクラスでもダントツだからな。
しかしそうそう欠席はしないんだよな。
「何をしてるんだか…」
「案外、課題でもやってるのかもしれないね…」
と、そんな話をしているところに一人の男子生徒がやってきた。
「なあ、球時知らねえ?」
「私達が聞きたい」
そこで話しかけてきたのは1-Cの…つまり隣のクラスの勇人だ。
球時とは小学生の時からの付き合いなんだとか。
「そっか…あいつはまた遅刻かよ」
「いつもはギリギリに来るのにね…」
「それはそれで直したほうがいいがな…」
とそんな話をしているところでチャイムが鳴った。
「おっとHRだ!じゃあな!」
そういって勇人は小走りで自分の教室に帰っていった。
───同刻、球時の部屋───
「へえー…イスラム国とかまだやってるんだ」
新聞を見ながら球時は呟いていた。
「まあ難易度としてはイージーな方だろうけど、それじゃあ意味ないんだよなー」
新聞を閉じて机に置き、朝食を食べに行こうと部屋を出る時、ぼそりと呟いた。
「僕はアカちゃんを退屈しないようにしたいんだから」
そんな球時の思惑は、誰も知らない。
───夕刻、茜の家 リビング───
茜は母親と共にテレビを見ていた。
そしてその番組が終わり、テレビの電源を消そうと思ったその時だった。
流れ始めたニュースから語られたのは何の変哲もない、日夜報道されるような事件のニュースだった。
が。
「速報です。2時間ほど前、○○県○○市の山彦学園付近で男性の遺体が発見されました。遺体は全身をズタズタに切り裂かれたような傷があり、警察は殺人事件や、野生動物によるものと考えて捜査を進めています。」
それを聞いた母は、
「山彦学園!?それってあんたの通ってる学校じゃない…」
「うーむ…気をつけるか…」
そんな会話をして茜は部屋に戻った。
しかし、茜が狙われるわけは無いのだ。
それは球時の仕業だったのだから…
───球時の部屋───
「んー…ま、最初はこんなもんか」
ニュースを見ながら球時は呟いていた。
「まだこのスキルには慣れないね」
彼が人を殺せた理由は、そのスキルと呼ばれる能力に秘められていた。
第2話に続く
- 暇つぶしの世界征服 第2話 ( No.3 )
- 日時: 2015/07/29 19:34
- 名前: Lost (ID: qWJttxFM)
───5月3日 茜の部屋───
ピピピッ!ピピピッ!
「ん…もう朝か…」
あらかじめセットしておいたスマートフォンのアラームを止めながらむくりと起きあがった。
ちなみに今日は土曜日である。
「さて着替えるか…」
今日はタマと出かける予定なのだ。
そうでなければ昼まで寝ているだろう。
「服は…まあこれでいいな」
青っぽいロングスカートと黄色系のシャツにデニムジャケットを羽織って姿見の前で確認する。
ちなみにタマと出かけるのをデートだとか言う奴も居るが、今回の場合は見たい映画が同じだったので折角だから一緒に見に行こうとタマが誘ってきたのだった。
ん?こうしてみると案外デートなのか?
まあそれは置いといて。
「財布…スマホ…チケット…ハンカチ…ティッシュ……こんなものか」
持ち物を確認して玄関に向かって、
「行ってきます」
と言いつつ足早に待ち合わせた駅に向かった。
───駅前───
「あ、アカちゃんやっほー」
「待たせたなタマ」
時間ぴったりに着いたが、この様子だとタマは5分くらい前に来ていたらしい。
その辺しっかりしていたりはする。
学校は遅れて来るが。
「相変わらず時間ぴったりだねアカちゃん」
「まあ時間をなるべく有効に使いたいからな」
「その分寝るんだね…まあとにかく電車に乗ろっか」
「そうだな」
電車に乗って揺られる事約30分。
目的の駅に到着したので、寝ていたタマを叩き起こして電車を降りた。
「アカちゃんって人を起こすの雑だよね…」
「まあお前に限ってはな」
「あっ、ちょっと傷ついた」
「このくらいで傷つくような奴でも無いくせに」
そして映画館に向かい、目的の映画を見た。
予想はできたが、やはりタマは寝ていた。
何の為に見に来たんだこいつは。
そして映画が終わって出てきたわけだが、どこに行くかも決めていなかったのでその話をしようと思ったのだが。
「いやー面白かったね…ふわぁ…」
「お前は寝てただろうに…まあいい、この後どこに行こうか?」
「んー…ゲーセン?」
「私は何をしろと?」
「じゃあ本屋?」
「それはこっちじゃなくてもいいだろ」
「えー…アカちゃんブレインストーミングって知ってる?」
ブレインストーミング。
アイデアを出すために行われる議論方法で、否定的な事は言わずにまずはとにかくアイデアを出す、みたいな感じだったか。
「ああ、知ってるぞ?実行はしないが」
「だろうね…僕のアイデアことごとく潰してくるもんね…」
迷う前に余分な選択肢は消去しておいた方がいいだろう。
「どうするか…帰るか?」
「いや…早いでしょ…」
「まあその辺りで昼ご飯とするか」
「そうしよっか」
そんなわけで飲食店を探すことにした。
第3話に続く
- 暇つぶしの世界征服 第3話 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/12 02:10
- 名前: Lost (ID: jsLEzkti)
──某有名ハンバーガーチェーン店──
「…おいタマ」
「なに?」
「ピクルスもちゃんと食べろと…」
「おいしくないじゃん…」
こんな調子で私とタマの昼食はハンバーガーとなった。
というよりいつもハンバーガーなので、結局は「いつものでいい」という結果になった。
「たまには他のものも食べてみたいけどねー」
「まあ探してると遅くなるからここにしたが…」
「そうだね、時間なくなっちゃうもんね」
次はリサーチしておこうかな、とタマが呟いたりしているが…これも毎回である。
いい加減に有言実行をしてほしい。
「そうだタマ、行きたいところがあるんじゃなかったのか?」
「でも行ったらアカちゃんつまんないよ?」
「またプラモデルか…」
タマはプラモデルが大好きだった。
「正確にはガンプラだけどね」
「どのみちプラモデルだろう…まあいい、どうする?別行動か?」
「まあアカちゃんも行きたいとこあるんでしょ?それならその方がいいんじゃないかな」
「そうしよう」
この後の予定が決まったところでハンバーガーも食べ終わったのでそこで別行動となった。
タマはプラモデルのイベントがあるというデパートに。
私は服を買いに行った。
──一時間後──
「少し買いすぎたか…」
両手に買い物袋を持ってタマの居るデパートに向かうことにした。
連絡もないからまだ夢中になっているのだろう。
そしてその途中、かなり焦った様子の男が走ってきた。
「き、君!ひょっとしてデパートに行くのかい!?」
「そ、そうですが…どうしたのですか?」
勢いにおされつつも返答をする。
しかし、それに対する返答は予想外であった。
「そのデパートで立てこもり事件が起きたんだ!近付かない方がいい!」
「なっ…」
立てこもり。
となるとそれに巻き込まれた故に連絡がつかなかったようだ。
それを聞いた私は、ほぼ反射的にデパートに向かって走り出していた。
第4話に続く
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