複雑・ファジー小説
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- 魔獣戦争。【1２/1９ キャラクター紹介更新】
- 日時： 2017/12/19 16:49
- 名前： 雪兎 （ID: fGppk.V/）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=59405554
初めまして、またはお久しぶりです。雪兎と申します。
複雑・ファジーでは初投稿になります！つたない文章になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
なにはともあれ、まずは簡単に登場人物紹介を。
緋木 良太（あかぎ りょうた）…主人公。明陽高校一年生。
坂井 秋穂（さかい あきほ）…良太の幼馴染。同じく明陽高校一年生。
千石 春一 （せんごく はるいち）…良太の親友。同じく明陽高校一年生。
では、もうすぐ本編始まります！
☆
募集説明>>18
募集説明②>>59
○種族一覧>>60
〇キャラクター紹介 ※随時追加予定
第一弾>>110>>111>>112
第二弾>>129>>130
○オリキャラ一覧
有楽多 遥（うらた はるか）>>19 ……薊様
聖沢 一生（ひじりさわ いっせい）>>21 ……ユッケ様
相澤 理央（あいざわ りお）>>24 ……はにわ様
光立 燐（ひかりだち りん）>>28 ……バラバラ様
楽都 藍（らくと あい）>>30 ……風死様
5/20 本編の主人公である緋木良太を描きました。URLから見れるはずです。どうでしょうか、皆さんのイメージと合っていましたか？>>93
8/3 今回はヒロインの坂井秋穂を描かせていただきました。ぜひURLからご覧下さい！>>103
10/10 第三弾は良太の親友・春一君です。今回はちょっと背景を凝ってみました。ぜひURLからご覧ください！>>121
12/19 第四弾はメインヒロインの咲を描かせていただきました。ぜひURLからご覧ください！>>131
- Re: 魔獣戦争。【キャラクター絵あり】 ( No.95 )
- 日時： 2016/06/05 18:58
- 名前： 雪兎 （ID: VIeeob9j）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode
第三十三話 雨の日、墓地にて
「くそっ、深央。一体どこに行ったんだ」
深央を探し始めてから２０分ほど経過したが、一向に姿が見つからない。この突然の雨が視界を奪っている可能性もあるのだろうが……。まさか、もうこの町にはいないのか？
嫌な予感が胸をよぎった時、良太は何かに呼ばれているような気がして足を止めた。
気が付けば、どうやら町はずれの方まで来ていたらしい。家の数もだんだん少なくなって——、
「——墓地？ 」
良太は何かに引かれるように、視界の隅に見えていた薄暗い墓地に視線を向ける。と、大木の下に何か白いものが見えた。
「み、深央！？ 」
——いた！学校指定の白いシャツとスラックスに身を包む深央が、雨の中ぽつんと佇んでいる。
「……おい、何してんだ深央。こんなとこにいたら風邪ひくだろ。帰るぞ」
「——そこから離れて、良太」
突然声がした方を振り返ると、そこには一生と遥、藍の姿があった。
「あっ、みんな！ ほら、深央が見つかりましたよ。早く連れてかえ——」
「そいつは深央くんじゃないよ。今はね」
「え？ 」
良太の言葉を遮るように、今度は頭上から声が降ってくる。見上げるといつの間にか、大木の枝の上にタツさん、樹月が立っていた。
二人は音もなく地面に降り立つと、良太と深央の間に立ちふさがった。
「ごめん、混乱するね。少なくとも『今は』って話だよ」
「……どういうこと、ですか」
「察しの悪いヤツね。見てみなさいよ、こいつを」
樹月が深央の方に向けて顎をしゃくる。言われるままに、深央に視線を巡らす。
その時、わずかに深央が顔を上げた。そして、その額には——、
「き、金印！？ 」
そう、やつらのものと——腐獣と同じ金印が、深央の額に刻まれていたのだ。そして良太の声を合図にしたかのように、深央が一番手近にいた一生に襲い掛かる。
「ぐっ！ お、重……いッ」
目にもとまらぬ速さで繰り出された深央の蹴りを腕で受け止めた一生だが、それでも大きく後方にふっ飛ばされる。
「イッセ！！ て、テメェ——」
怒りをあらわにした遥の青い炎が正確に深央をとらえた、はずだったのだが。
鮮やかな青色の炎は、一瞬にしてかき消えた。同時に深央の前には、大きな水の盾が出現していた。
「な——ッ！？ 」
訳が分からない。これではまるで、深央が、
「……ふぅん、『雨蛙族』か。絶滅したはずなんだけど——それにしても、腐獣の力とこの雨のせいとはいえ、妖力のこもった山犬の炎を一瞬でかき消すとは」
ちょちょ、ちょっと待て。今タツさんのセリフの中に、物凄い重要かつ驚きの情報が！？
「待ってください、タツさん。それってもしかして、深央が——」
「あれ、言ってなかったっけ？ 彼は魔獣、そして今わかったことだけど、絶滅したはずの『雨蛙族』だよ」
- Re: 魔獣戦争。【キャラクター絵あり】 ( No.96 )
- 日時： 2017/11/16 16:58
- 名前： 雪兎 （ID: fGppk.V/）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode
第三十四話 事件の終結
「雨蛙族……魔獣、ってことですか」
「うん。そうだよー」
タツさんがにっこり笑いながら答える。が、すぐに深刻そうな顔に戻って、深央の方に向き直る。
「こんなことをしたのが誰かは分からないけど。——早く楽にしてあげなきゃ……ねッ！ 」
次の瞬間、タツさんの身体が膨れ上がり、ピンク色の毛皮がそれを包み込むと、体長約３メートルもの巨大な犬が姿を現した。
それに続き、樹月も姿を変化させ、小豆色の体毛の小柄な犬が現れた。金色のリングがはまった耳を揺らしつつ、ピンク色の犬——タツさんの隣に並ぶ。
「ち、ちょっと待ってくださいっ！ 」
良太は慌てて叫んだ。
「深央をどうするつもりですか？ まさか……！ 」
「——良太、あんたは黙ってな。タツさんの邪魔したら承知しないよ」
「そんな……」
すると、タツさんがこちらを振り返った。
「良太君、俺たちは——」
タツさんが何か言いかけたとき、深央が再び地を蹴った。ものすごいスピードで二人に突っ込む。
「樹月っ！ 」
「はい！！ 」
二人が反対方向に飛びのくと、標的を失った深央がバランスを崩す。すかさず、樹月が口から紫色の炎を吐き出す。それはまるで煙のように漂い、深央の周りを取り囲んだ。
（なんだ……？ あの炎）
「タツさん、今です！！ 」
「サンキュー、樹月っ」
大きく跳躍したタツさんの爪が、深央の頭めがけて振り下ろされる。
（や、やめろ……！ )
「深央ーーーっ！！ 」
ヒュオンッ。
何かが空を切り、それと同時にタツさんの動きが止まった。
「！？……あんたは、辻家の……！ 」
振り返った樹月が忌々しそうに声を荒げる。その声につられ、良太も同じように振り返った。そこには、
「雷……鳴？ と、春一！ 」
前に片腕を突き出した状態の雷鳴と、隣には春一の姿があった。二人は風に包まれながら、ゆっくりと降り立つ。
「俺たちが気づかないとでも思ったか？ 良太」
「……そいつにはまだ、聞きたいことがある。勝手に死なれては困る」
「お前ら——」
一方タツさんは、自分の胴体と右前足に絡まったワイヤーを見下ろしてため息をつき、苦笑いを浮かべた。
「あのさあ。俺たちは別に、深央くんを殺そうとしてるわけじゃないんだよ？ だからこれ——ほどいてくれると嬉しいなあ」
「——何だと」
「ええーそうだったの？ 何だよ俺達、結構カッコイイ登場の仕方だったのに、恥ずかしいじゃんかー」
春一が残念そうに、頭の後ろで腕を組む。雷鳴も不服そうな顔で腕を一振りし、ワイヤーが雷鳴の服の袖に戻った。
「えっと。じゃあ、一体どうやって——」
「うん。ちょっと見ててね。樹月、そのまま抑えてて」
「はい」
タツさんは、炎とともに人間の姿に戻ると、手に持っているものをひらひらと振ってこちらに見せた。
「それは——お札？ 」
「そ。さっき俺の前足には、これが貼り付いてたってわけ。じゃあ行くよー」
タツさんは深央の前に立つと、お札を額の金印のところに貼った。すると——
「深央！ 」深央がふらりとよろめき、その体を慌てて駆け寄った良太が支える。お札をどけてみると金印は消え、まがまがしい邪気もなくなっていた。
「——雨蛙族は、水を操る力を持ち、彼らが泣くと雨が降るという。最近雨が多かったのは、もしかしたら——」
タツさんの独白を聞き、良太は深央を支える腕にぐっと力を込めた。
（——一体、誰がこんなことを……！ ）
- Re: 魔獣戦争。【キャラクター絵あり】 ( No.97 )
- 日時： 2016/07/18 14:46
- 名前： 雪兎 （ID: VIeeob9j）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode
第三十五話 新たな出会いの予感……？
「礼司様。ご報告が」
「——入れ」
首都の中心、超高層ビルの最上階。広い部屋に最低限度の家具しかない広い部屋に、男が一人。まだ二十代くらいだろうか。端正な顔立ちに銀髪、同色の瞳。高級そうなスーツに身を包み、デスクの上の資料を眺めている。——電子部品の請求書、家電製品の寸法図など、彼の「本業」で必要な書類たちである。
「先日の実験の結果ですが——」
入ってきた社員らしい男は、手早く「実験」の結果を報告する。銀髪の男は、彼の言葉の家の一言に、わずかに顔を上げた。
「——謎の少年？ 」
「はい。現場に居合わせた山犬族、妖狐族、辻家の者の他に、見慣れない少年が」
そう言いながら、タブレットを手渡す社員。受け取ると、それを目を細めながらじっと見る。
「この制服……明陽高校、か」
男はタブレットを返すと、社員に軽く払うような仕草をする。と、社員は一礼をして部屋を出ていった。
「——調べてみる価値、ありそうかな」
男は誰もいない部屋で手を組み、その上に顎を乗せ、口の端を吊り上げて笑った。
「明陽高校……」
ドアの外で聞き耳を立てていた秘書——美波恭子は、いぶかしげに眉根を寄せた。
☆
「そうだ、千石家に行こう！ 」
「……は？ 」
そう言ったのは良太ではない。他でもない、目の前で高く手を上げているバｋ——春一だ。
「何で、『深央をどう元気づければいいのか考える会』に、お前んちの名前が出てくるんわけ？ 」
良太がため息交じりに言うと、春一が「よく聞いてくれました！ 」とばかりに目を輝かせ、コホンと咳払いをしてから口を開く。
「何でって、当り前だろ良太くん。深央が魔獣だと分かった以上、もう何も気にすることなく俺の家に呼べる。それに今週末、うちに一族の奴らが集まるんだ。みんな気さくな連中ばっかだし、ちょうどいいかなーと」
「何が丁度いいだ！ 深央が人見知りなの忘れたか？ 」
「ったく過保護だなあ良太ママは。ほらよく言うじゃんか、可愛い子にはなんとやらって——」
「旅をさせよ、な。それより、本当に」
言いかけて、頭上に落ちた影に気が付き、顔を上げる。
「……深央」
「はあ。何やってるんですか先輩たち。校舎裏でヤンキー座りなんて」
「おお、いいところに来たな深央！ あのな、今週末もし暇なら——」
「……行きますよ、先輩の家」
「「へ？ 」」
あまりにも予想外な返事に、２人そろって素っ頓狂な声を上げる。即答かよ、ってか話聞いてたのか。
「あれ？ いいの？ 」
「はい。お邪魔します」
なぜか言い出しっぺが困惑しているという謎の事態。いや、俺だってそうだ。こいつ、そんな積極的な奴だったか？——まあ、いいか。
「「もちろん、お前（先輩）も来ますよね？ 」」
「えっ俺も？ 」
「当り前だろ。『深央をどう元気づければいいのか考える会』幹事のお前が——」
「いや、何なんだよそれ」
——というわけで、俺と深央は週末、春一の家に遊びに行くことになった……。
- Re: 魔獣戦争。【キャラクター絵あり】 ( No.98 )
- 日時： 2016/10/10 14:59
- 名前： 雪兎 （ID: QLMJ4rW5）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=58229253
参照２０００突破です、ありがとうございます！ こんな下手な小説を読んでくださっている読者の皆様には、頭が上がりません(´・ω・｀)
ここから、第二回オリキャラ募集で投稿していただいたキャラたちが登場してきます。いつ出せるかは自分でもまだ解っていないのですが、お楽しみに。
あと、キャラクター絵の第二弾も考えております。次は秋穂の予定です……頑張ります。
これからも作品ともどもよろしくお願いします！
- Re: 魔獣戦争。【キャラクター絵あり】 ( No.99 )
- 日時： 2016/08/22 15:32
- 名前： 雪兎 （ID: VIeeob9j）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=56973865
第三十六話 妖狐族の大宴会編・前編
電車を降り、春一の家までの短い距離を歩く。隣では深央が、キョロキョロと辺りを見回している。おそらく初めて来た場所なのだろう——そんな様子を微笑ましく思っていると、ふと一つの疑問を思いつく。
「なあ春一。今日は、一族の人たちが集まるんだよな。俺が言えることじゃないけど、お前の家じゃ狭すぎないか？ 」
そうなのだ。今更過ぎる疑問。春一の家はクリーム色の壁と赤い屋根が特徴的な二階建なのだが、今ではほぼ元造じいとの二人暮らし状態だというから、それには十分広いとは思うのだが。
「お？ ——あー、言ってなかったっけ。ちょっと見てな」
春一はにんまりと笑うと、急に立ち止まった。いつの間にか家に着いていたらしい。
春一は笑みを浮かべたまま家をじっと見つめ、手をかざすと、何かを払うような仕草をした。——そのとき春一の瞳孔は、まるで狐のようにキュッと細くなる。
次の瞬間。
「ん……え？ 何だ！？ 」
驚く良太の横で、深央もわずかに身じろぐ。それもそのはずだ。目の前の一軒家が、煙とともに幻影のように霞み始めたのだから。
「狐は、人に化けるんじゃない。人の目を化かすんだぜ」
春一が得意げに言っている間にも煙はどんどん広がっていき、ついには周辺の家すべてが、黒い屋根の大豪邸に変わってしまったのだ。
「これは、興味深いですね……」
深央は銀縁のメガネを外したりかけたり、角度を変えてみたりして、真剣な顔つきで眺めまわしている。俺も何度か目をこすってみるが、その衝撃的な光景は変わることがない。
「この辺の家は全部、妖狐族——俺の親戚や、使用人たちの住処ってわけ。さ、行こうぜー」
春一には当然何でもないようなことらしく、頭の後ろで腕を組みつつさっさと入って行ってしまう。
「……まあ、よくあることだよな」
良太がよくわからない理屈で自分を納得させていると、隣から黒いオーラが漂ってくる。「……さすが、今まで生き残ってきただけのことはあるって感じでしょうか。……僕達みたいな弱小種族と違って……」——どうやら何かしらショックを受けたらしい。良太は深央の肩をポンポンと叩くと、若干の期待を胸に抱きながら千石家へと足を踏み入れた。
☆
「あ、坊っちゃん！ もう人が集まってきていますよ、早く手伝ってくださいな」
家に入ると早速、たくさん積み上げられた盆を抱えた中年の女性が話しかけてきた。それからも、「坊っちゃん」「おかえりなさい」などの声に、春一は手を振って答え続けていた。
「お前って、人気者なんだな」
「当然だろ！ なんてったって、妖狐族の跡取り息子だからなっ」
かっこいいだろ、と笑う春一だが、それだけではないはずだ。底抜けに明るい笑顔と親しみやすい雰囲気に惹かれたのものは少なくないはずだ。……現に、自分もその一人だし。
長い長い廊下を歩いていると、やはり良太たちに好奇の目線が集中した。こちらを指さして何事かささやき合っている女の子たち。じろじろと遠慮なく視線を送ってくる、いかにも身分が高そうなオジサマ。まあ頭領の息子に連れられていれば当然か。深央はこういう空気がとことん苦手なのか、さっきから良太の後ろに隠れるように付いてきている。
宴会場に入ると、大きな長方形の部屋にはすでに何人かの妖狐族が居り、春一が入室すると一斉に頭を下げてきた。「おう！ 元気してたかー」春一は嬉しそうに笑う。
そんな中、良太は一人の女の子が目についた。肩くらいまでの黒髪、華奢な体を包んでいるのは白いブラウスと膝下丈の黒いスカート。女の子はちょこんと正座して、目の前に横たわる男性に向かって手をかざしていた。よく見ると、むにゃむにゃとだらしなくよだれを垂らす男性の前髪が揺れている。
「おおー玲ちゃん！ ……柊（ひいらぎ）、もう酔っ払っちゃったの？ 」
春一がそう声をかけると、玲と呼ばれた少女はゆっくりとこちらを見た。「……坊っちゃん、こんにち……は。うん、そこに倒れてたから……」
——なんだかこの子の周りだけ、スローモーションみたいだ。
「玲ちゃん、俺のダチを紹介するよ。良太と、深央だ」
紹介された二人は、それぞれ会釈する。「初めまして」
「はい、初めま——、……ｚＺＺ」
「あらら、寝ちゃった。まあこういう子だから気にしないで」
すっげえ可愛いだろ？ とウインクしてくる春一に苦い笑みを返す。——妖狐族にも、やっぱ変わった人はいるもんだなあ。
「ん？ なんか、手から」
よく見ると、玲の手はまだしっかり男性——柊の方に向けられたままで。これは、冷たい……風？
「ああ、これが彼女の能力さ。好きに温度調節できるみたいでね。——といっても、そよ風くらいしか起こすことはできないらしいけど」
なるほど、柊さんの頭を冷やしてあげていたのか。能力にこんな使い方もあるのかと、感心する良太だった……。
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