複雑・ファジー小説
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- コクった彼氏は肉食系でした
- 日時: 2016/07/10 19:51
- 名前: 猫又 ◆KePkhUDKPk (ID: 11yHdxrc)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=17981&p=5
○はじめに
初めまして。カキコ3作品目の猫又です。
(他の作品は上のURL参照)
……さて。
この小説は主人公が彼氏に押し倒されたり、後ろから襲われたりするだけのとってもピュアな作品です!
……マジメに言うと、ちょっとだけエロいです。
とはいえエロ小説ではないので、大人小説には移動しません。
ご了承下さい。
基本コメディ調ですが、内容はちょっとだけシリアスです。
さらに言えばグロ要素もちょっと盛り込まれた、この何が何だか分からない小説を読んで下さる方、いらっしゃいましたら、どうぞごゆるりと。
○追伸
いやー更新遅れてスミマセン……。
なんだか序盤からものすごいことになってますがそういう作品です。お察し下さい。
グロ描写もありますが基本ギャグなのでその後のどんでん返しとか推理してくれると嬉しい……です。うん(冷や汗)
○ 読む上でのお願い。
・根拠の無い中傷や荒らし等々、迷惑行為は絶対に止めて下さい。
・コメント・アドバイスは大歓迎です。
・文才はありませんが、温かい目でご覧下さい。(・ω・`)
それでは性欲(?)の抑えきれない彼氏と、肉食系根暗女子のラブコメディ。
『コクった彼氏は肉食系でした』略して『コク肉カレー』
スタートです。
○目次
◇第一話 今日、私は憧れの先輩に押し倒されました
・プロローグ 〜あぁ、初恋は儚くも〜
>>1 >>4
・本編
>>6-8
○登場人物紹介
◇鮎河繭美(あゆかわまゆみ)
中学2年生。恋愛に飢える肉食系女子にして、根暗、コミュ障、日々孤独という負の三拍子が揃っている根暗女子。
男気あふれる当たって砕けろ精神で、憧れの先輩に一世一代の告白をする。が?
人と会うたび硬直しまともに喋れなくなるほどのコミュ障。
ただしともちゃんこと佐々原友恵は例外。
◇井上奏馬(いのうえ そうま)
中学3年生、男子。マユミの思い人。男子陸上部に所属しており。性格は温厚。いつもぼんやり空を見つめていたりする。
多数の彼女志願者がいる中。玉砕覚悟の告白をしてきたマユミと付き合うことになったの……だが?
◇佐々原友恵 (ささはらともえ)
もはや脇役レギュラーな人。
他作品の時間軸から約1年後の高校1年生。
友達がいないマユミにとって友達以上の人見知りせずに愚痴れる先輩。というのも幼い頃から顔見知りで、マユミは家族に近い存在だと感じている。
ちなみにトモエ自身もマユミをまゆまゆと呼んでかわいがっており、今回ひょんな恋愛に巻き込まれたマユミをサポートする。
詳しくは上のURL参照。
- Re: コクった彼氏は肉食系でした ( No.4 )
- 日時: 2016/07/02 00:12
- 名前: 猫又 ◆KePkhUDKPk (ID: 11yHdxrc)
っしゃァあぁッ!!
歓喜。ココロの中で妙に男じみた歓声を上げつつ拳を握り締める。
とにかく今まで感じたことのない幸福が私を満たす。
やった……。これで、やっと私もリア充の仲間入り……。
長かった……長かったなぁ鮎河繭美(あゆかわまゆみ)。
グロ系趣味のせいで周囲の女子からはキモいとハブられ……校則もあるからファッションに気を使わなかった結果、男子からは女として終わっていると笑われ……。放課後になれば楽しそうにはしゃぐ同級生達の声をバックに……ぼっち、下校。
でも……そんな日々は今日で終わり。
『今までの私』というマユを破り、今日から私は大空へ羽ばたく……。
——要するに……。
「先輩さえ手にはいればお前らなど『へ』でもないわァ……ッ!」
「あ、あの。ちょっといいかな?」
辛かった回想シーンの果てにラスボス的なセリフを超小声で呟く私と、それに気付いていないのか恥ずかしそうに声をかけてくる先輩。
「は、はい! 何でしょうか」
思考が危ない方向に行きかけたので、急いで恋愛モードに切り替える私。
すると、らしくもなく「えっと……あの……」と恥じらう先輩。
え? なになに? もしかして手とか繋いでみたいとか?
いやいやいや。先輩に限ってそんな……。もっとハードなことだよね? ね?
キ……いや、無理。あ〜でも男子にとって恋愛ってそういう行為のことなのかな?
い、いいよ…? うん。……こんな私でも好きになってくれたんだから、覚悟はしてる。
「ん……。ん〜」
とりあえずその気はあることを示すために、ちょっとだけ唇を尖らす私。
先輩はそんな私の顔を抱きかかえるように自分の顔を近づけ——ることなど無く。来てからずっと後ろに隠していた左手を差し出した。
「これ……できれば受け取ってほしい。僕と付き合うなら、肩身離さず持っていてほしいモノなんだ」
「えッ?」
嘘っ!? プレゼント?
そんな、まだ付き合ってさえないのに何で……。
突然のサプライズに驚きながら差し出された先輩の左手に目を落とす私。
そこにあったのは結婚指輪より大きく、告白用花束より不格好な——。
——革製の首輪だった。
「……は?」
ナニコレ……。え? どゆこと、これ。
犬用? 将来住むことになる二人のマイホームに居る愛犬用なの!?
首輪と先輩を1秒間に3回のペースで見比べながらそう目で訴える私。
しかし先輩の口から出たのは想像以上の言葉だった。
「僕と付き合う時はその首輪で僕を“縛り付けて”くれない、かな……?」
「……つ、つけ、え。先輩を縛り、私。しば……え?」
突っ込みと質問が口の中で追突事故を起こしたのか言葉が出ない私。
しかしそんな私など眼中に無いのか、さらに先輩は続ける。
「あの……そうしないと——」
「君を襲っちゃうかもしれないから」
表情が見えないよう、うつむきながら信じられないセリフを真顔で吐いた先輩は「で、その……。なんか今日からすぐに、ってのも気まずいし……明日から学校近くのゲームセンターで待っててくれるかな……。うん、じゃ。また明日ね」と言い残してその場を去った。
「…………」
カァー。カァーと……地味なカラスが鳴いている。
あぁ。……あぁと地味な私が空仰ぐ。
あぁ初恋は、儚(はかな)くも。
そんな言葉で済まされるならまだ、よかった。
いや……夢だ。うん、こんなの夢に決まってる。
きっとフラれたショックで見ているだけの夢なんだ……そうだ、現実を見よう。現実の方が、フラれていた方がまだ……幸せじゃない……ぃ……い。がッ。
「ごガぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
限界だった。
私は体のあらゆる所をつねっていた両手(こぶし)を突き上げて、大空に叫ぶ。
“夢ではない”と、全身の痛みが証明するこの世界に吠える。
こうして、私の初恋は始まったのだった。
- Re: コクった彼氏は肉食系でした ( No.5 )
- 日時: 2016/07/02 13:23
- 名前: 立山桜 (ID: ???)
更新は、はやく!(°o°C=(_ _;殴(( スミマセン(^^;つい気になって…
- Re: コクった彼氏は肉食系でした ( No.6 )
- 日時: 2016/07/03 10:46
- 名前: 猫又 ◆KePkhUDKPk (ID: 11yHdxrc)
第1話 今日、私は憧れの先輩に押し倒されました
学校近くのゲームセンター。
心躍る初恋の舞台に“つい昨日までは”なるはずだった待ち合わせの場所。
「はぁ……っ、はぁ……ッ」
そこで私は息を荒げていた。
目の前には先輩。
嬉しいことに私だけを見てくれている。ラブラブだ。
——理性さえ失っていなければ。
「ちっ……」
ゲームセンターの隅で私は静かに舌を打つ。
もっと早く、こうなる前に先輩を止めておくべきだった。
もはや彼の瞳に生気は無く、私を襲うことだけしか考えられなくなっている。
おそらくもう、彼の耳に言葉は届かないだろう。
覚悟を、決めるしかない。
そう自分を奮い立たせた私は、ゆっくりと右手に握っていた『モノ』を先輩に向ける。
そして何のためらいもなく“引き金を引いた”。
先輩の右手に風穴があく。
次の瞬間、そこから思い出したかのように多量の血が噴き出した。
「がっぁああああ!」とその精神にふさわしい獣のように喚き散らす先輩。
しかし私は止まらない。撃ってしまった以上、止まれない。
右腕、右足、脇腹、首、左の手と腕。撃つたび先輩のカラダが何度も宙を舞う。
そして最後に、先輩の脳。眉間に向けて銃口を合わした。
文字通りハチの巣にされ、ボロぞうきんの様な姿で弱々しく呻く先輩。
それ見て、私はこんな状況にも関わらず笑みをこぼす。
何が『君を襲っちゃうかもしれないから』……だ。
拳銃ひとつで怯えるレベルならそんなバカげたことを言わない方がいい。
それこそ、こんな風に——。
「返り討ちにされるくらいなら、ねぇッ!」
弾丸が先輩の皮膚を、頭蓋骨を脳の中心まで抉って……。
そうして先輩は息絶えた。
- Re: コクった彼氏は肉食系でした ( No.7 )
- 日時: 2016/07/03 21:41
- 名前: 猫又 ◆KePkhUDKPk (ID: 11yHdxrc)
『さようなら先輩』「さようなら先輩」
名前も知らない女性声優さんの声と共に私は先輩に別れを告げ、静かに銃を下ろす。
勝利の余韻に浸り、独り静かな時を楽しんでいた私に後ろから水を差す声が、ひとつ。
「そんなにイヤか……まゆまゆよ」
トモちゃんだった。
本名はたしか……えーと、友恵だっけ? 私の中学のOBつまりは卒業生で現在は高校1年生。事実上私どころかソウマ先輩の先輩ですらあるのだがトモちゃんだ。トモちゃんはトモちゃんだ。
そんなトモちゃんに私の目の前で死んでいる先輩を目撃された私は——。
「うん、イヤ」
特に気にすること無く目の前の機体に“銃型コントローラー”を戻して、トモちゃんに歩み寄る。トモちゃんはなんというか困り顔で私を迎えてくれた。
「だからってそのストレスをガンシューティングゲームに向けるなよ……。始終大声で叫んでてたり、人撃つたびにニヤニヤしてたりしてさすがの私も見てるだけで恥ずかしい……」
「いいじゃん、私気にしないし」
「気にしろ」
「ちぇっ。毎回あんな感じだから最近嫌悪を通り越して周りから温かい目で見られるようになったというのに……」
「うら若き十代乙女としてどうなのかを問いたい!」
「トモちゃんこそ、私の保護者として一体どう責任を取ってもらえるのかを問いたい」
「知るかッ!」
なんだか最終的には怒られてしまった。
てか叫びあってるこの状況の方が迷惑じゃね? ま、いっか。
ちなみにだが、私がプレイしていたのは『ブラッティハーツ』というゲーム。
ガンシューティングとしてはよくあるゾンビシューティングにあろうことか学園ラブコメディをミックスさせた奇跡の一作だ。
憧れの先輩と共に学園内を駆け回り、最終的には2人で脱出を果たすストーリーなのだ、が……。
「あーミスったー。……今回。序盤で“たまたま”ルート選択を間違えたから先輩がゾンビ化しちゃって、射殺エンドかー。こっちのルートだとスコア稼げないんダヨナー」
あー。失敗シタナー。
「オイオイ何が“たまたま”だよ……。明らかにいのっちへの当てつけじゃないか」
「……ちっ」
なにやら部外者がうるさい。
せっかく少しだけ鬱憤が晴れたというのにまた不快な気分になったので、私はゲームセンターの隅で壁にもたれ掛かりつつ、ガチトークモードに入った。
- Re: コクった彼氏は肉食系でした ( No.8 )
- 日時: 2016/07/10 19:45
- 名前: 猫又 ◆KePkhUDKPk (ID: 11yHdxrc)
「いやさ……ともちゃん。あんな無茶苦茶なこと告白された私の気持ちも考えてよ。いきなり襲うとか言われたんだよ!?」
「うん、まぁ…ねぇ」
ともちゃんもまた、腕を組んで壁にもたれ掛かる。
「でもさーまゆまゆはそういう積極的なアプローチって好きじゃないの?」
「え……? だって……そんな。恥ずか——」
「いや。そういう女子アピールいいから」
「…………」
驚異的なツッコミの速さに、ある種の絶望と言い返せない現実ともどかしさを覚えながら私は続ける。
「う〜違うんだよぉ……こういう攻略されるルートじゃなくて、気弱で奥手な先輩と徐々に距離を詰めて、その間にだんだん大胆な行動も増えてきて、一時的にお互いの両親から引き離されても私がそれを振り切って、みんなの前で成長した私達を示して恋人としてゴールイン! みたいな先輩を攻略“する”ルートに入りたかったのッ!!」
「ルートって……おいおい、恋愛ゲームじゃないんだから……。妄想に拍車かかりすぎ」
「それ以前に怖いし!」
「まぁ。たしかに恋愛以前に人として怖いレベルの発言だと思う」
「でも先輩だし!」「ほう」
「大丈夫な気がしたからこうやって待ってるわけですよ」
「うん。それでも先輩を待つその勇気は称賛に値する」
「えっへん」「ははーっ」
といった感じでいつもの戯れを終え、とりあえず話を戻す。
「つまりはゲームみたいなテンプレ恋愛がしたかったってこと?」
「うーん、まぁちょっと違うけど大体そんな感じ」
「そっか……」
「ん?」
突然ともちゃんの声が沈む。
何事かと隣に視線をうつすとらしくないトモエが居た。
「でもさ……まさかあんたが告白するとは思わなかったよ」
苦笑いで。まるで何かを懐かしむようなその表情に私は、ちょっと不機嫌に視線を逸らす。
「また…その話?」
真面目な話は基本しないし、したらネタにするがモットーの私達。
その私たちが笑いあえない話の一つにともちゃんの初恋話がある。
ともちゃんの初恋は小学生だったらしい。まだ小さくて何も知らない子供のくせして本気で……自分の全身全霊を注いでやった恋愛の結末は本人が言うには“たったヒトリで終わった”そうだ。
誰にも知られず、当然誰にも理解されずに……仲がイイままで、『友達』のままで、今でも付き合い続けている。そんな話を……何度か聞いた。
「いや、そういうシメっぽい話はしたくないんだけど……なんか嬉しくて」
「えーなにそれー、なんでトモちゃんが嬉しがるの? 気持ち悪いわー」
だから何だと言われればそれまでだけど。
「……後悔のないようにね」
だけど。
「言われなくとも」
だからこそ今日、ともちゃんをここに呼んで。
「防犯ブザー持った? 危険になったら逃げるんだよ?」
こうやって馬鹿やってるんじゃないかと思う。
「うん。ちゃんと先輩から渡された首輪も持ったし!」
そうして叱咤激励を受けた私は、先輩を待つべくトモちゃんと別れを告げるのであ——。
「ちょい待って」「へ?」
完全に話を〆る方向に持って行っていた私をトモちゃんが止めた。
「ちょっとー空気読んでよトモちゃん……。今話が綺麗に終わる所だったでしょー? エキストラはメインヒロインの邪魔しちゃダメなんだよ……?」
「私以外には挨拶すらできないコミュ障のどこがヒロインだッ! ってそんなことはどうでもいいよ、ちょっと待って! ……も、もしかしてさ。まゆまゆ本気でその首輪が自分の身を守ってくれる思ってる……?」
「え? だってこれで先輩を縛れば万事解決だよね?」
わざわざ私の完璧シナリオを止めて、一体ともちゃんは何を言っているのだろうか?
目立ちたいのかな?
「あ、もしかして私の羞恥心の問題? 本気で先輩にこの首輪を付けれるか疑ってるの? 大丈夫、私こういうのに羞恥心は無いから。むしろウエルカムだと——」
「いや! そういう問題じゃなくて先輩を縛ってどうする気なの?」
「ど、どうする気って。このヒモさえ握ってれば先輩は自由に動けないし……あ、いやだからってそういうことする気はさすがに私でも無い……ト思う、んだケド」
まぁ。考えてみればすごくおいしい状態ではあるけれどもそんなことはしない。
そんな決意を固める私を尻目に、ついにともちゃんが頭を抱えだした。
「あ゛ぁもうこの脳内妄想馬鹿……。アンタがヒモを握ってて、襲われた時。どうやってアンタ自身の身を守るって言うの?」
「あ……」
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