複雑・ファジー小説

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倭の国ゴッドカーニバル
日時: 2016/07/06 20:56
名前: 稲-ine- (ID: oompVg8u)



「よく言うじゃない?今世果たせなかった思いを来世に果たすとか、生まれ変わっても一緒だとか」

いつもとは違う、禍々しい光を放つ月を見上げながら彼女は呟いた。
とある屋敷の縁側。私と彼女はそこに腰をかけ、お月見のようなものをしていた。
私と彼女の間には、丁寧に盛られたお月見ようのお団子がある。
彼女は、団子に手を伸ばしながら言葉を繋げた。

「私、ああいうの嫌いなのよね」

あむ、とお団子の半分くらいを口に含み咀嚼しながら満月から視線を下ろし私の方を見た。

「そうですか?私にはロマンティックだと思うんですけど…」

首をかしげて、私は問いかけた。
すると彼女は心底驚いたような感じに、

「あら?ロマンティックだなんて、面白いこと言うのね」

と、笑いながら言った。
彼女の金色の髪の毛が、月光に照らされて怪しく輝いている。
私はしばらくそれに見とれつつも、ふと疑問に思ったことを尋ねた。

「どうして、そう思うのです?」

彼女は、私のこの質問が意外だったのか、当然のことじゃないとてで言いたげな顔で答えてくれた。

「何言っているの?人生は一度きり。人生はその時生きている者のものよ。死んだら終わりなのだから、次の人生に荷物を持たせるようなんて事、冒涜だわ」

彼女は、残り半分になった団子を口の中に放り込み、噛んで飲み込む。
そして彼女は続けた。

「魂と人格は切り離して考えるべきよ。前世と今世は違う者。死んだものが次に生きる人格の領分を犯すのは褒められた事じゃない」
「そう、ですか…」

私は、団子に手を伸ばした。
甘い団子の味が、口いっぱいに広がって美味しかった。
無意識に目線を月へと向けると、先ほどのような禍々しい光はなく、澄んだような青白い光をしていた。

「…まあ、確かにそうですよね。死んだら、終わりですし」

私は、もう一度お団子を取り、月にかざすように持った。
ちょうど、月と団子の大きさが同じに見えるように。

「でも残された者にとって、その死は始まりなのよ。死んだ者のいなくなった人生のね」

私は、しばらく考えてから、「そうですね」と言って月にかざすように持っていた団子を口の中に放り込んだ。

「まあでも」

私は団子を丁寧に飲み込んでから口を開いた。

「幸せだと思いますよ。死んで誰かに悲しまれることも、死んで寂しいと思える人がいることも」
それだけ、自分が必要とされて、必要としているということですから。

彼女は、それを無言で聞いていた。
私は、口もとが寂しくなってまた団子に手を伸ばす。

「…食べ過ぎじゃない?」

彼女が口を開いた。

「えっ…?そ、そうですか?」

私は、今まさに団子を掴もうとしていた右手を止まらせる。

「いや、別にいいのだけれどね」

私は、その言葉にほっとして団子を掴んだ。
本当はこの団子は、彼女に食べてもらいたくて私が作った物だったのだが、
結局、私が多く食べてしまっていることになる。
申し訳ないが、思ったより美味しくできた、ということだからまあいいだろう。

「あら、月に雲がかかってきたわね」

その言葉に、私が月を見上げると、さっきまでは凛として輝いていた月には雲がうっすらとかかっていた。

「お月見はお開きですか?」

私がそう問うと、

「いいえ?月見団子はもともと雲に隠れて見えない月を想像して楽しむためのものだったのよ」

と言って笑った。
そうですか、と私はゆっくりと移動していく雲を見ながら、また団子に手を伸ばした。
少し風も吹いてきて、私の赤みがかった茶色い髪の毛を揺らした。


月はもう、完全に雲に隠れていた。

Re: 倭の国ゴッドカーニバル ( No.1 )
日時: 2016/07/07 20:20
名前: 稲-ine- ◆uyidjHQAEo (ID: oompVg8u)

こんな感じで小説書いていきます。
直して欲しい点や、誤字脱字などは遠慮せず言っていただけると嬉しいです!
あと、この小説の注意点なんですが、
書き忘れたので書いておきますね。

はじめに、題名にもあるんですが、神様とかそういう感じのファンタジーちっくな小説です。
次に、これは奈良時代から平安時代にかけてをイメージして書いてます。
最後に、ほのぼのした感じの小説にすると思いますが、シリアスも入れていきたいです…。

Re: 倭の国ゴッドカーニバル ( No.2 )
日時: 2016/07/07 20:19
名前: いづみ (ID: oompVg8u)

はじめまして!
“序”読ませていただきました!
かっこいいっ……!
どこがっていうと、もうなんか内容がシリアスじゃないですか〜。
お月見は今の季節あんましないと思うんですけどね!
なのに、すごい。季節を感じさせるわ。
秋、かな?中秋の名月とか。
まあ、一つ言わせてもらうとしたら、
その文才を私にくださいってことと、長いなってとこかな。
では!長文失礼しました!
できれば返信していただけるとうれしい限りです!

Re: 倭の国ゴッドカーニバル ( No.3 )
日時: 2016/07/07 20:46
名前: 稲- (ID: oompVg8u)

いづみさん、コメントありがとうございます。
この話は私の脳内で、こんな話があったらいいなあなんて思って作ったものなんですが、
楽しんでいただければ幸いです。
あと、手違いで私の名前が“稲-”になってしまってますが
ご了承ください…。
とりあえず、短いんですがどうぞ

ー1ー

時は数年前のこと。
まだ幼かった私が海を渡り、倭の国に渡ってきたことが始まりだった。
それはただの偶然で。
私が自らの国から逃亡し、
家出先を倭の国にした時から運命の歯車は回っていたのだろう。
だからこそ、今私はーにーーがーー…

Re: 倭の国ゴッドカーニバル ( No.4 )
日時: 2016/07/07 21:01
名前: 稲-ine- (ID: oompVg8u)

「ああ、家出なんて簡単に考えるんじゃなかったわ…」

私はがっくりと項垂れながら山道を歩いていた。
倭の国に上陸してからおよそ数時間といったところだろうか?
どこまでも続く山道は徐々に私の体力を奪っていった。
もともと体力は多い方であったのだが、
数時間も山道を歩いていては足ももたない。

「倭の国ってなんか、こう…そうよ。こんなイメージじゃなかったわ」

私にとって倭の国は、平らで広くて都という場所がいくつもあって賑やかな場所だったのだが。
でこぼこ道がずっと続いていたらさすがにそんなイメージも薄れてきた。
この時、私が進んでいたのは都と全く反対の道だったというのはまたずっと後の話。
綺麗に束ねていた髪はくしゃくしゃになり、
フリルのついた洋服もぼろぼろになっていた。
しばらくして。
もう餓死して死ぬんじゃないかとかなんとか思って、
死ぬことを覚悟し始めた頃に、とある村を見つけた。
私はふらふらとその村に足を踏み入れた。
倭の国の人は心優しいと聞く。
都の場所や、水くらいは分けてくれるだろうという軽い気持ちだった。
そこは、小さな村だった。
小さな家が並んで建っていた。
何か特別なものといえば、そう。大きく綺麗な建物があったということだろうか。
豪華な装飾を施されたその建物は、どの家とも違っていた。
私はそうの建物に目を奪われていた。
私のななめ右を通り抜けるような軌道を描き、
こちらへ向かってくる紅白の少女に気がつくまでは。

Re: 倭の国ゴッドカーニバル ( No.5 )
日時: 2016/07/07 21:11
名前: いづみ (ID: oompVg8u)

おおお!
稲さんコメント返してくれてありがとうございますっ!
えっと、ここの語り手は口調からして最初に、前世がどうとか今世がどうとかいってた人でしょうか?
ていうか、今回の終わり方がすごい続きを読みたくなってんで、早く投稿してください〜。
紅白の少女ですかー。
とりあえず、楽しみにしてます!


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