複雑・ファジー小説
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- 僕の愛する死神へ
- 日時: 2016/07/08 22:50
- 名前: 水色の風船 (ID: jx2ntsZm)
□僕(こころ)
□七瀬
- Re: 僕の愛する死神へ ( No.1 )
- 日時: 2016/07/08 23:34
- 名前: 水色の風船 (ID: jx2ntsZm)
『夏の落とし物』
蝉の抜け殻を集めて、地面に適当に散りばめる。それを足で踏んで粉々にする。アスファルトの上でシャリシャリと音をたてる。音だけだとかき氷をスプーンで崩しているようだった。
あまりにも七瀬が夢中なので、僕は彼女に話しかけられずにいる。
七瀬は、急にスイッチが入って、思考がどこかにダイブしてしまう。何を言っても聞き入れない。自分ひとりの世界に閉じこもる。
車の通りの少ない道路。
そのど真ん中で、抜け殻の解体処理にいそしんでいる最中だ。
何が面白いのかわからないけど、とりあえず七瀬の奇行が終わるまで、少し後ろで待っている。
抜け殻が粉となってもなお、一心不乱にアスファルトを蹴り続けている七瀬の額には、汗が滲んでいる。
「あーあーあー、さようなら、蝉!」
変な歌を口ずさみ、腰まである色素の薄い髪を鬱陶しそうに払った。
ぱっとこちらを見て、ニカッと笑う。屈託のない笑みだった。やれやれ。
「七瀬、早く帰ろう」
「蛙が鳴くから、かぁーえーろぉー」
「わかった、わかった」
七瀬の手を掴んで引っ張る。早く家に帰りたい。外の空気は暑すぎて、息をするのが辛い。
「暑くないの?」
「七瀬の心がメラメラしちゃうぜー」
「……なんだそれ。わけわかんない」
会話の成立が少し難しい。
七瀬から発せられる言葉を分解して、もう一度組み立てて、意味を探す。でも、今は暑さが邪魔をして、意味の探索も面倒くさい。汗で肌に吸い付く制服が鬱陶しい。ついでに前髪も。
「蝉、うっせぇ!」
鳴き声よりもボリュームの大きい七瀬の声。
そして次に、
「死ねええええええええええええええええええええええええええ!」
「いやいやいや、静かにしてくれるか」
いきなりヒートアップしすぎだろ。
「バレちゃダメなんだってば。何のために授業サボってると思っているんだよ」
「死体を隠すため」
わかっているのならよろしい。
「もう、早く行くよ」
「あいあいさー」
埋めに行くんでしょう、と言い聞かせるほど馬鹿ではないし、余裕もない。
この子がこんなふうになってしまったのは、半分は僕のせいでもある。
- Re: 僕の愛する死神へ ( No.2 )
- 日時: 2016/07/09 19:49
- 名前: a empty box (ID: PZX6sAnA)
題名にひかれてきました。
面白そうです。
頑張ってください♪
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