複雑・ファジー小説

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ブラック・スクール・サイクル
日時: 2016/07/23 23:22
名前: たぶれっと (ID: clpFUwrj)
参照: http://black school cycle

本編を始める前に。

本編には、いじめに関する表現が含まれます。

それでも問題ない(‾^‾)ゞ
という方は本編へゴー

1章 藍野 晴希〈あいの はるき〉高3 3-B在籍 ( No.1 )
日時: 2016/07/15 19:52
名前: たぶれっと (ID: clpFUwrj)

どこの学校にも存在する、スクールカーストと呼ばれる裏のサイクル。

それは、ここ蓮那南〈れんなみなみ〉高等学校でも例外ではなかった。

「キモメガネが来たぞ!」
「うぇー、逃げろ!メガネ菌に汚染されんぞー」

もう、慣れた。
こう言われるたび、言い聞かせてきたつもりだ。
いつもの教室。違うのは、『さっさと消えろ』とでも言いたげな雰囲気だけ。俺はクスクスと聞こえる雑音を右から左へ受け流し、ただ無言で、MY雑巾を取り出した。机の落書き消しも今では朝の日課である。
ガラガラッ

「はーい、席に着いてー。HR〈ホームルーム〉始めます。」
これが、一時中断の合図だ。
俺のクラス担任である水川先生は、若そうで活発そうなショートボブだ。噂では意外と美人だと言われているらしい。
残念ながら俺はそうは思わない。

え?担任は気付いてないのかって?
どうだろう、HR中に雑巾で机を磨いているのが既におかしいとは思うんだけども…。
それでも注意すらしてこないという事は、ただ面倒事に巻き込まれたくないだけだろう。

……ふぅ、やっと拭けた。今日は案外すぐ取れたな。
MY雑巾を洗いに行けないのでカバンにしまい、机の中を探った。
(お前ら、どんだけ溜まってんだよ)
思わず、ため息がこぼれた。


藍野晴希 ( No.2 )
日時: 2016/07/16 21:27
名前: たぶれっと (ID: clpFUwrj)

俺が今見ているのは、数学、と書かれた真新し"かった"ノート。しかし、既にそれは名ばかりのものとなっていた。軽くペラペラとめくってみたところ、なんともご丁寧に全ページが落書きで埋まっている。
わざと置いて帰ったとはいえ、人のノートでストレス解消してんじゃねぇよと言いたい。あぁ、でもこれのおかげで机がまだマシだったのか。
と、小さな笑い声と視線を感じた。
これを書いたやつらか。こいつらは俺がショックを受けていると思っているようだが、呆れられていると思った事はないのだろうか。

そういえば、どうして俺がイジメを受けているのか。それは、この顔にある。
俺は正直に、そしてハッキリ言ってイケメンに分類される顔だ。その証拠に今、イジメられているのは99%男から。残りはカレカノ関係で結託してたりとか、ボーイッシュな女子とかなんだけど。
よく少女漫画とかに出てくる、学校一のイケメンとか、まぁイケメンのほとんどは男女問わず好かれている(と、少なくとも俺は思ってる)がしかし、俺は残念ながら違う。『男』に嫌われている。
まぁ、自覚はある。誰かに"ナルシストメガネ"と命名されてから始まった。それにしても、眼鏡をかけてる奴に◯◯メガネって言うのは安直だと思う。せめてもうちょい捻ってくれよ。
と、話が逸れた。そこからエスカレートして今に至る。
イジメをしていて楽しいのか、ふとそんな風に思うときがある。
もし、これで俺が自殺したら、あんたらは責任とれんのかよ。

白石優花〈シライシ ユウカ〉高3 3-E在籍 ( No.3 )
日時: 2016/07/21 23:42
名前: たぶれっと (ID: clpFUwrj)

なんで、なんでなの…。
私、なんかした?

「 んぁぁッ!うぜえんだよカスッ!ついてくんなって言ってんだろ馬鹿!!」
「ねぇ、だからさ。私がなんかしたの?だったら何したの? 」

異常にアホ、カスと放つ親友は、昨日までは普通だった。
いきなり変わってしまった親友に、私は愕然とした思いが抑えきれず、逃げようとしている親友を追いかけている。 ー私が悪いなら、これから改善したらまた戻れる。そんな思いを抱えて。
唐突に、はぁ、とため息をついた親友はうっとうしそうにこちらを振り返る。その表情はどこか、自虐まじりのうすら笑いだった。
「 …そういう。しつこいとこじゃないのぉ?自分でッ、気づけば?それくらいさぁ(笑)用、もう済んだでしょ?なら、さっさと消えてくんないかな」

それが、元の関係が壊れた瞬間だった。
いくら親友だったとはいえ、えぐれてゆくような心の痛みが耐えられなかった。
廊下を走るな!という、いかにも手書きのポスターも無視して私は全力で走っていた。

その頃、走り去った後ろ姿を見送っていた親友は、顔を歪める。
「 ごめん優花。…でも、従うしかないの。だって……見てるんだよ、そこで」
悲しそうにつぶやき、背を向けて歩き出した。

白石優花 ( No.4 )
日時: 2016/07/22 20:36
名前: たぶれっと (ID: clpFUwrj)

ガララッ
走ってきた勢いのまま教室のドアを開けると、いつもと変わらないはずなのにまるで別の場所だった。
氷のように冷たく、重々しい空気、30人ほどの鋭い視線。それらが全て私に向けられている。
その場の空気に縛り付けられたかのように、ただ呆然と立ち尽くしていた。
なんで…、みんなどうして……?
昨日までは。
そこでふと、親友との一連の事を思い出した。
そうだ、もう、昨日までには戻れないんだと。

これが絶望への幕開けだった。無視されて、空気のように扱われて。もう、精神がぶっ壊れるのも時間の問題だった。なのに、日を重ねるごとにどんどんとエスカレートしてゆく。
ーもう限界…ッ
それからは楽だった。私の心と呼べるものが無くなって、器だけになったからだ。
そんなある日の体育の時間。マット運動で疲れたな、なんて思いながら更衣室のロッカーを開ける。
「…… 」
そのまま、手が止まった。理解が追いつかなかったからだ。
…制服、破く暇なんてあったかな。それを成し遂げる頭を勉強につぎ込んだらどうだろう。
ロッカーを開いたままの私を置いてみんなはさっさと更衣室から出てゆく。
人の気配のない更衣室で、私は笑った。ひたすら、笑っていた。

「…さん、ちょっと、白石さんッ 」
「 !?」
誰もいないと思っていたのに突然声が聞こえて、思わず肩が震える。
明るいよく通る声。いじめっ子にしては聞いた事のない…。

「いきなり笑い出したから何事かと…あ、あれ?聞こえてる?…もしかして覚えてない?」
ゆっくりとそちらを見ると、ショートカットの活発そうな女の子が映り込んだ。いや、覚えてない、というより、見たことがない…。

「 えと……」
「 あー、やっぱ覚えてない、か。ぼーっとしてたもんね。私は…」


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