複雑・ファジー小説
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- 饗宴(原題・人形の家)
- 日時: 2017/01/21 02:24
- 名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: cTS7JEeA)
誰がなんと言おうと恋愛小説です。
>>01
※ 更新速度緩め
※ 突然更新やめたらごめんなさい
- Re: 饗宴(原題・人形の家) ( No.1 )
- 日時: 2017/02/27 13:36
- 名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: xV3zxjLd)
登場人物
城崎日張(しろさき ひばり)
玉川蒼介(たまがわ そうすけ)
乃木華世(のぎ はなよ)
もくじ
第一話「廃園前夜」
>>2-4
第二話「夏夜心中」
第三話「饗宴」
- Re: 饗宴(原題・人形の家) ( No.2 )
- 日時: 2017/01/21 02:22
- 名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: cTS7JEeA)
第一話「廃園前夜」
華世は僕の手のひらで踊る。
鼻と口から汚い水を吐き出して、彼女は咳き込む。僕はその細い体を、思いきり蹴り飛ばした。掃除もろくにされていない男子トイレの床にどさりと倒れ込む華世の、怯えた瞳と目が合う。「やめて」と唇は言葉をなぞるが、僕が何をしたって、華世は抵抗してこない。僕がここでナイフを取り出し華世に向けたとしても、彼女は震えた声で助けを求めるだけで、僕に一切の反撃をしてこないだろう。僕は華世を殺すことさえできる。
日は傾きかけている。冬の日の放課後だった。
繋がれたままの、長いホースを手に取る。蛇口を捻ると、数秒おいて触りたくもないくらいに冷たい水がホースを通って、びたびたと音を立てて床に落ちていった。僕はなんのためらいもなしに、それを華世に向けた。さっきまで汚い便器に突っ込んでいた顔の洗浄のつもりだった。華世は、いや、やめてと小さく悲鳴を上げて、その顔を歪めて苦しがる。僕はそれが幸せだった。いつもへらへら笑っている、乃木華世のことが、心の底から大嫌いだった。
「いいよなあ、ハナは教室の真ん中で、ニコニコしてればみんなちやほやしてくれるんだから。僕にはそんな生活、少しも無かった」
僕は華世を無理やり立たせて、掃除用具入れに突っ込んで、ホースで腕を後ろに縛り付け、それをドアノブに巻き付けて固定した。華世は、暗いところは怖い、嫌だと駄々をこねたが、自分からは絶対にここから出ないことを僕は知っている。そもそもこんな風に即席で縛ったって、少し頭を捻ればすぐに脱出できるのだ。それなのに、華世は狂気的なほどに僕の言いつけを守り、僕が迎えに来るまで、絶対にここを出ない。
そういうところが嫌いだった。ドアを蹴り飛ばし、華世のすすり泣きを聞きながら、僕は汚れてしまった手を洗い流し、消毒もして、乱れた髪を直し、旧校舎の男子トイレを出た。
外はオレンジに染まっていた。穏やかだった秋はとうに失われ、今年も寒い冬が来る。ネイビーのチェックがあしらわれたマフラーが、冷たい風に吹かれている。
グラウンドの向こうで、サッカー部がランニングをしているのを眺めていた僕のたった一人の友達は、やってきた僕に気付いて、「遅かったじゃないか、玉川」と手を振った。彼は城崎日張という、隣のクラスの男だった。
生まれてから今まで付きまとってきた「諸事情」は重く、僕にはずっと友達と呼べる存在が居なかったので、彼に至極ストレートに「友達になろう」と言われたときは戸惑ったが、彼も相当な変わり者だった。今では上手く関係を築けている。
もっとも、僕は日張くんのたくさんいる友達の一人でしかない。日張くんは勉強も運動もできるし、何よりも、こんな僕と仲良くしてくれるくらい、性格が良い。善性だけ持って生まれた人間のようだった。先生も日張くんのことは、成績や素行の良さを抜きにしても一目置いているらしい。僕も彼の事は素直に好いていた。乃木華世とは違って、日張くんは周りに評価されて当然の人間だ。
日張くんには友達も知り合いもたくさんいる。だから、この登下校の時くらいしか、彼は僕とは話をしてくれない。貴重な時間だった。
「ごめん、帰ろっか」
日張くんは名残惜しそうにサッカー部を見ていた。知人がいるのだろうかと思ったが、違うらしい。思えば僕らはもう三年生で、今は冬だから、今グラウンドを走っているのはみんな一年生か二年生だ。日張くんのことだから後輩に親しい人が居てもおかしくないのだが、「うん、帰ろう」と僕に笑いかける彼の態度から察するに、知り合いの後輩など居ない、居たとしても今用事はない、そんなところだろう。
僕より数センチ身長の高い日張くんの隣を歩く。僕らは登下校の期間、電車から降りて別れるまでに、本当にいろんな話をする。好みの女子の話では一度も共感し合ったことはないが、彼はたいていの話は笑顔で聞いてくれる。
日張くんと居ると、僕は少しだけ、まともな人間に近づく。楽しく笑い合っている最中、幼馴染の華世にしてしまったことを、ふとした瞬間に後悔するような、そんな普通な思考が、優しい薬のように頭に降りてくる。一緒に居る時はまだ良いのだが、問題は駅に着いて彼と別れた直後である。一人になった瞬間に、日張くんはあんなに良い人なのに、僕は何をしているんだという酷い自己嫌悪に陥るのだ。早く華世を助けなきゃ。そんな思考に駆られて、降りたばかりの電車にまた乗り込み、暗い場所で震えている彼女に走って会いに行く、という事を、今まで何回も繰り返してきた。
「玉川、帰りミスド寄ろうぜ。今百円セールだし」
華世を待たせれば待たせるほど、その自責は大きくなっていく。
普段なら乗るであろう誘いを断った。日張くんは、残念だなぁと言いながら笑っていた。日張くんに対しても華世に対しても、後ろめたい気持ちだけが残る。早く華世を迎えに行かなきゃと思いながら笑う事は難しくて、僕は日張くんとも上手く話が出来なかった。こういう事があるたびに、華世にあたるのはもうやめようと決意する。どうせ一週間もたたないうちにその誓いは破られるのだが、僕は僕なりに、毎回本気で後悔している。
- Re: 饗宴(原題・人形の家) ( No.3 )
- 日時: 2017/01/27 03:19
- 名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: cTS7JEeA)
服が濡れることも気にせずに、僕は華世を抱きしめる。
華世は酷く冷たかった。肩は震えていた。冬のセーラー服と、黒髪を白い肌に張り付けて、今日は早かったね、と言いながら、僕の背を撫でる。
「ごめん、ごめんね、ハナ」
ううん、大丈夫。華世は首を振る。拘束を解き、青のホースが薄汚れたトイレの床に落ちる。さっきまでここに転がっていた華世は、服も顔も汚れている。腕を引いて、すぐに真冬の旧校舎を出た。雪でも降りそうね、と呑気に呟く華世とは違って、僕は焦っていた。
華世に風邪を引かせてはいけない。華世は友達が多いから、学校を休むと、みんな華世を心配する。みんなに愛されている華世に腹が立って、僕は華世の家に行って、また彼女を殴ってしまう。風邪を引いて辛いのに、今にも気を失って倒れそうなのに、そんな華世を引きずって僕は真冬の公園に放置して帰ったりもする。だから、華世は風邪を引いてはいけない。明らかにサイズの合わない僕のジャージを貸して、女子更衣室の近くまで付き添った。
「僕、ここで待ってるから。ゆっくり着替えていいから」
「うん、ありがとうね、タマ」
女子更衣室の方へ消えていく華世を見送る。短いスカートの縁から滴る雫が、僕がどれだけ彼女を痛めつけたかをまざまざと伝えてくる。そんな光景から目を逸らして、夕陽の差し込む大きな窓を見ていた。この長い廊下をずっと歩くと、職員室や学食のある棟へと繋がる。
ドアがばたんと閉まる音が遠くで聞こえた。授業はとっくに終わり、部活の真っ最中であるこの中途半端な時間に、更衣室を利用するのはきっと華世くらいなので、さっき言った僕の言葉通り、華世はゆっくり貸し切りの更衣室で着替えてくるのだろう。暇だから、僕はまだ廊下の向こうを見つめていた。
大人が嫌いなので、職員室も無条件で嫌いになる。小学生の時から、夏は涼しくて冬は暖かい職員室に疑問を持っていた。今考えてみれば、極端な気温は機械類を弱くするし、他の部屋より気温調節に気を遣うのは当たり前なのだが、いつもコーヒーの匂いがして、教師同士が談笑している職員室を、ずるい、と心で思っていた。そして僕は、生徒が賑わう学食も同じくらい嫌いだった。僕は華世然り、楽しそうな人間が嫌いなのかもしれない。数人で固まってくだらない話をしている集団には恐怖心さえ覚えるし、かといって一人で食べるほど学食のメニューに興味もない。購買もあまり利用しない僕にとっては、全然縁のない場所だった。昼休みは何も食べずに、図書室で中身のない本を読む。それだけで三十分は余裕でつぶせるし、図書委員の人も僕に気を遣ってか、定められていた利用時間を過ぎても何も言わなかった。五時間目が始まっても教室に戻らない僕を心配して、華世が何度か来てくれたことがあったが、少し脅したらすぐにいなくなった。でも一度だけ日張くんが来たことがあって、その時はすぐに戻ったんだっけ。
華世の言う事をもう少し聞いてやればよかったと思う時がある。いや、僕はそう思ってばかりだった。華世は僕と違って、まっすぐで、素直で、偉くて、周りに愛されている。
物心ついたときにはもう、僕は華世に「タマ」と呼ばれていた。華世には、「ハナ」と呼ぶことを強制された。家族がほとんど帰らない僕はよく華世の家に預けられて、思えばその時から、母親も父親も、幸せな生活というものをすべて手にしている華世のことが嫌いだった気がする。ついでに猫みたいな名前で呼ばれるのも嫌だったけれど、父親がつけた下の名前で呼ばれるのも嫌だったので、それに関してはすぐにどうでもよくなった。
僕は嫌いなものが多い。身にまとったみんな同じの制服も、毎日通わなくてはいけない学校も嫌いである。だけど、僕はここから逃げだす方法すら知らない。華世を痛めつけ、その場しのぎの優越感を得ることでしか、幸せにはなれない。
僕のジャージはぜんぜんサイズが合っていなかった。だったら自分のを着ればいいのに、華世は律儀にも上は僕のジャージを、下は自分のを着ていた。
華世は僕の手のひらで踊る。僕も華世の手のひらで踊る。「ねえ、ケーキ食べに行きたい」と隣で言う華世に、僕は逆らいもせず付き合うことにした。これから用事がないわけでは無かったが、今は華世と一緒にいないと、彼女はあまりにも脆くて、透明に消えていきそうだった。
- Re: 饗宴(原題・人形の家) ( No.4 )
- 日時: 2017/02/27 03:31
- 名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: cTS7JEeA)
華世は美味しそうにケーキを食べているが、僕は何も食べなかった。今甘いものなんか口にしたら、すぐに気分が悪くなりそうだからである。
夢のような時間だった。いつも僕に殴られて、叩かれて、蹴られて、泣いてばかりいる華世が笑っている。華世は嬉しそうだった。とても嬉しそうだった。僕がケーキ代を出してあげたからだろうか、それとも、暴力を振るうはずの僕が笑っているからだろうか。幸せな人間の気持ちというものは、僕には理解できない。きっと死ぬまでわからない。だけど、今目の前で華世が楽しそうにしているから、それを見ていると、今はこれでいいやと思う。
安いケーキ屋の、小さなオープンスペースには、複数個席が用意してあって、僕らはその端っこのテーブルを囲んで座っている。小学生の女の子が、将来就きたい職業で毎回トップになるのはパティシエらしいが、ここから見える厨房で忙しそうに走り回っている調理人たちは、女の子が憧れるような姿とは程遠い。華世もかつてそんな夢を見ていたのだろうか。華世のことだから、まだキラキラした職業に希望を持っているかもしれない。普通の父親と母親に、沢山可愛がられて育った、幸せな女の子は、まだ社会に、世界に、ピンク色のフィルターをかけているに違いない。
華世は、好きなものは最後に食べる。クリームを纏ったショートケーキのいちごが、ぽつんと皿に置いてある。最後のお楽しみのつもりだろう。大事にしていたものを、途中で誰かに奪われることを知らない。
一緒に運ばれてきた小さなフォークを手に取った。店員は、華世がひとつだけ頼んだショートケーキを、僕と一緒に食べると勘違いしたのだろう。テーブルにふたつフォークがあったので都合がいい。いちごなんて全然好きじゃないけれど、華世にいたずらがしたかった。
「なに? いちご、食べたいの? いいよ、あげる」
僕がいちごに銀のフォークを突き刺すと、華世はそう言って、変わらずとても嬉しそうに、僕を見ていた。
華世は嫌がると思ったのだ。少なくとも僕は嫌がらせたかった。いちごなんかくれてやる、と言いたそうにしている華世は、まだその笑顔を崩さない。加えて、「タマが食べ物欲しがるの羨ましいね、いちご好きだったっけ?」とまで言う。僕は一瞬で、このいちごに価値を感じなくなって、咀嚼はもちろん、これを口に運ぶまでの過程でさえも面倒になった。フォークをそのまま華世の口に運ぶ。華世は控えめに口を開く。本当は少しだけ食べたかったのであろう、そのいちごを、華世は僕の手によって、食べることができる。それに少しの優越感を覚える。しかし、少し体制を変えた時に香ったラブホテルのシャンプーの匂いと、上唇に薄く乗った白いクリームを見て、僕は昨日抱いた女の感触を思い出して、予想通り気持ち悪くなってしまった。濡れたままの華世をそのままケーキ屋まで連れていくなんて論外だが、ラブホテルに連れていくのはもうやめよう、と思った。あいつらと同じ匂いがするのが嫌だった。華世はその辺の女とは違うし、もし僕が華世を何かの手違いで抱いてしまったら、その時は死のうと思っている。それくらい大事なのだ。でも華世はそんなふうに思われていることを知らないだろうし、僕の事も、なんだか迷惑な幼馴染としか思っていないに違いない。恋愛関係になりたいわけでは決して無いけれど、例えば、家族みたいに、無償の愛を求めている。何をしてしまっても愛されたいのだ。だから殴ってしまうし、酷い言葉もたくさん吐いてしまう。
僕は華世がいなきゃ嫌なのに、華世は僕の事も、いちごの事も、案外どうでもいいんだろう。
□
僕は十時間寝ないと、まともに体が機能しない。いや、もともと体が正常に機能する日など無い。僕は常に心身ともに体調不良である。その気になればいつでも吐けるし、逆に、少し気を抜けば簡単に倒れる。それに加えて、突然記憶が飛んでしまう変な病気まで持っている。僕は早いところ精神の病院にかかったほうがいいと、自分でもかなり思うのだが、生憎うちにそんな金はない。体調のことで、時々市立病院に通院する程度だった。しかし、比較的仲がいいと思い込んでいた看護師の小南さんが、結婚して青山さんになってからは、なんとなく気が乗らなくて、それすらも行かなくなった。どうせ僕はそのうち死ぬんだし、病院のアルコールは頭の中まで溶けてしまいそうになる。
朝が来た。僕が時間通り登校することは滅多にない。日張くんが来てくれたら多分少しは頑張れると思うけど、家の方向が真逆なので、わざわざ僕の家まで来てくれるわけが無かった。
結局、いつも誰かに愛されることを夢見ている。世界にフィルターをかけているのは僕の方だ。ピンクじゃなくて、灰色の。テレビが流すつまらない恋愛ドラマのCMを見ながら、そんな風に思っている。キスもハグもセックスも、上辺でしか満たされないから、心での深いつながりを求めている。恋愛なんて、上の上にいる人間たちがするものだと思っているので、そんな大きなことは望まないけれど、誰でもいいから、無条件に僕の事を愛してほしい。そうでもしないと、僕は今このベッドから起き上がって、学校に行くことは不可能に限りなく近い。「誰にも必要とされていない」ことを、苦しいくらい感じる場所に居るのは辛い。華世も日張くんも、クラスにはいっぱい友達がいて、羨ましいな。ついに遅刻しても担任が電話してこなくなったな。もう一度寝て起きたら、世界が終わるか、もしくは僕が死んでいたらいいのに。
『あー、キミ、なんだっけ? スズキくんだっけ? いーよ、暇だから遊んであげるー』
十二時ごろに目が覚め、学校に行くことを諦めた僕は、連絡先をシャッフルして適当に選んだ女に電話をかけている。
僕は身体も精神も悪ければ頭も悪く、ついでに運動神経も全くないのに、神様は顔だけはそれなりのものをくれたらしく、女に困ったことはない。そういえば父親も、昔は有名なホストだったらしい。日張くんが言うには、「女はお前みたいな、なんか不安定そうなオーラがある奴が好きなんだよ」なので、僕の精神状態はモロに外見に現れているという事なのだろう。それはあまり嬉しくないけれど、他のスペックがどれほど低くったって、外見さえマシなら女は山ほど釣れるので、それだけは父親に感謝している。僕は定期的に、傷をその場しのぎの愛情で埋めてもらわないと、比喩ではなく本当に、死んでしまう。
「うん、そうだよ、スズキ。今日の十六時からでいいかな、いつものホテルで待ってるから」
頭の悪そうな女が、電話の向こうで甘えた猫なで声を出している。なぜ彼女が僕をスズキと呼ぶかはわからなかった。僕が面倒で偽名を教えたか、この女が間違って名前を覚えているかのどちらかだが、僕もこの女の名前を覚えていないぶん、別にどっちだってかまわない。
全ての女と、同じホテルで待ち合わせをする。普通に抱いて、適当にDVDでも見て、シャワーを浴びて終わりだ。そのうちの誰とも恋愛には発展しないし、相手が恋愛的な好意を向けてきたら、すべての連絡を絶つ。僕はこれを、自傷行為の代わりだと思っている。本当に、本当の愛情を誰かが向けてくれるまで、僕はこれを繰り返すだろう。リストカットなんかして、自分の外見の価値さえ削ってしまったら、僕には本格的に何もなくなる。
電話を切ると、華世から「学校来ないの?」とメールが来ていた。僕は、今日は行かないから、そのかわりに、十六時に昨日のホテルに来てよ、と返信をした。そして、約束の時間まで、携帯を投げ捨ててもう一度ぐっすり眠ることにした。
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