複雑・ファジー小説

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幻想コンツェルト
日時: 2016/09/12 19:53
名前: テトラポット (ID: VI3Pf7.x)
参照: https://tkool.jp/fes/

製作予定(公開日未定)のゲーム「幻想コンツェルト(仮名)」のストーリー案です。未収録部もあるかもしれないです。時間軸バラバラ。3DSのRPGツクールフェス(11月24日発売予定)で公開予定。

人の日記や覚書を見ているつもりで閲覧して頂ければ幸いです。



〜〜



私を見て。私に触れて。私の名前を呼んで。

私、貴方のことを、貴方よりも知ってるわ。

辛いわよね。苦しいわよね。

苦しいなら、私に頂戴?

Re: 幻想コンツェルト ( No.1 )
日時: 2016/09/12 20:47
名前: テトラポット (ID: VI3Pf7.x)
参照: https://tkool.jp/fes/

 レイは0。空っぽの感情と身体を抱えて、貴方は何処へ行くのかしら?
 何も考えなし、なんて言ってるわけじゃないわよ。でもね、もう少し頭で物考えたほうがいいんじゃないかしら、あの子。
 ねえ、どう思う、貴方。

 傍らで座り込むCrownに問いてみる。「聞いてたなら答えられるでしょう。ねえ?」にっこりと笑って言った。彼か彼女か解りづらいそいつは私と同じ貼り付けた笑みを浮かべている。
「そんなの俺の知ったことじゃないな。俺はあいつと同じにゃなりたくないが、意味のある事しか覚えたくないし、言いたくないからさ。」
 へええ。素晴らしい考えだわ。
「貴方の頭融けてるんじゃない?あいつの存在こそ意味が無いわ。そんな人の考えに似てしまうなんて、やっぱりおかしいのよ、貴方。」

 気付くと足元には水が溜まっていた。もう満潮の時刻だったかしら。蓮の花なのか、よく解らない花が浮いている。
「綺麗だね。…ああ、あんたは嫌いか。」
「そうね、嫌いだわ。」
 "疲れているから"短い文章で済ませる。疲れる筈ないのに。何故人は理由を付けたがるのかしら。…ああ、人でも無いのね。馬鹿らしいわ。
 私は白い色が嫌い。だってそれは色じゃ無いから。勝手な理論だけど、何にも染まらない、無感情な気がして、やっぱり嫌い。0みたいだけど、でも好きにはなれないわ。
「今日は随分独り言が多いね?」
 …あら。
「勝手に聞かないでよ。本体の方、喰べちゃうわよ。」
 卑しく笑みを浮かべてみる。そうすれば、こいつも消える訳だから、本人としては嫌だと思うのだけど。笑える冗談程度にしか思ってなさそうだわ。
「そっか、あんたみたいな傷物でも、俺を喰える程の自信があるってこと?それじゃ首を洗って待ってなきゃ。なぁ?」
 へらっとまた嘘っぱちの笑いで答える。…波の音が聞こえる。海岸なんて、ここにあるのかしら。渡れば、別のところに出るのかしら。それとも、深くて沈んで、そのまま死ぬのかしら。

 急に衣擦れの音がした。Cが立ち上がっている。
「どこに行く気なのよ。どうせ、重くて動けないわ。」
 其方の方向も見ずに、あの花を千切って千切ってバラバラにしながら聞いた。なんだか気分が落ち着く。
「いいこと思いついたんだ。自然破壊よりも、ずっと楽しいこと。」
 ふうん。楽しいことなら、少し気になるわね。
「まだ軽い身体を乗っ取ればいいんだよ。そうすれば何処にでも行けるだろ?そんな素晴らしいこと無いよ。あいつの身体にも乗っ取れたし、他の普通の人間ならもっと簡単だと思うんだ。死にたい人間とか、絶望してる人間は大勢いるし、そいつらなら迷い込ませて乗っ取られたって望み通り死ねるんだから、合理的だし、だろ?」
 …中々いい考えだとは思うわ。実際にできればね。でも私にはできないし、貴方にだってそんな技術持ち合わせてるとは到底思えないわ。
「何考えてるのかは聞かなくてもよく分かるよ。あんたの事だからな。出来るよ。俺はあんたが思ってるより弱くは無いからさ。思い通りに動かせるんだぜ?人一人動かせなくてどうするんだ?」
 貴方の方こそ、今日はよく話すのね。「出来るって言うんなら、いいんじゃないかしら。」いつの間にか花は散り散りになっていた。

Re: 幻想コンツェルト ( No.2 )
日時: 2016/09/13 21:10
名前: テトラポット (ID: VI3Pf7.x)
参照: https://tkool.jp/fes/

「レイ、すごく悪いとは思うけど、彼奴らを捕まえてくれないかな。」
 目の前の金髪の、…少女、だろうか。その人はわたしに言った。まだ何もこの状況を理解できてないというのに。あいつら?捕まえる?…そしてあなたは誰?
「ああ、僕はカーグ。君の生まれるずっと前から存在してる。いいよ、今は分からなくて正解なんだから。…彼奴ら、っていうのは、まあ一人はいいとして…問題は…そうだな。」
 どこを見てるのか解らない。それに何故わたしの考えることが解るのかも解らない。ぶつぶつと呟いている。ぼんやりと、なんだか頭がふわっとしていて、わたしはそれをただ眺める。気が抜けて、浮いているみたいで。
「…大丈夫?やっぱり、人じゃ耐性ついてないか。」
 自分の体を外から見ているみたい。…気付くとカーグはわたしの首にネックレスのようなものを付けている。息が掛かりそうな位置にいるのに、感覚がおかしい。
「此処は特殊なんだ。僕が作ったんだけど、アルツェとか、彼奴らが来てから色々ぐちゃぐちゃになってしまって…簡単に言うと、自分の家が広すぎて、自分でもどこに何があるのか解らない感じ。」
 一気に体に意識が戻されて、カーグの下結びにした髪があたっている。くすぐったい。ただ、ネックレスを付けている感覚は無い。
「…此処にいる人は、ヒトじゃないんだ。僕は半分ヒトだけど、それ以外の人は皆…そうだな、神様みたいな物だ。キリストとか、ブッダとか、そういう神聖なものでも何でも無いけど、やっぱりヒトとは違う。そして神様は此処で永遠にいなきゃいけない。ヒトが神様になりたいなら、神様だってヒトになりたいのさ。」
 わたしに向けられているのだろうか。視線は文字通り真っ黒な、空と呼べるのかすら怪しい空を捉えている。夜空だとしても、星がない。あるのは、手作り感のあるボール紙でできた月だけ。…幼稚園の園児がつくりそうな、ガタガタな切り方。

「レイ。」
 唐突に話しかけられる。黒く塗りつぶされたような目が、わたしを見ている。
「…へえ。何でお前死にたがってるんだよ?何でお前自分を呪ってるんだよ?綺麗な手も足も顔もくっついてる癖に。疎まれていても蔑まれていても、生きているならいいじゃないか。生きていて、足にも手にも異常がないなら、何処へだって行けるだろ?なのになんでお前は自分を嫌っている?俺はこんなだ。何処にも行けない。重苦しい鎖に繋がれた猛獣さ。…はは、自分で言うのもなんだなぁ、あっはははははは。
 …そんな顔するなよ。なあ。俺を捕まえて欲しいって、こいつが伝えた筈だろ?ああ、そうだな、こいつのことだから、説明不足なんだろうなぁ。捕まえてみろよ。別に俺はお前になんて微塵も興味ないが、あいつが気にしてるみたいだぜ。ふふ、ははははははははははははははははっはははははははははははっははははははははははは。」
 赤色。赤色に染められて、わたしはわたしがわたしをわたしでわたしはわたしは


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