複雑・ファジー小説
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- 恋の音が響き渡る 【短編集】
- 日時: 2016/11/01 05:44
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
受験生、鏡による、超気まぐれ更新の短編集です。
なるべく、週1更新を目指します。
【目次】
・ピアノと少女・ >>1
・わすれもの【未練】・>>2
・醜く愚かな・ >>3
・大嫌いな・ >>4
・人形彼女・ >>5
・兄と姉と私・>>6
【お知らせ】
2016 10 08・題名変更しました(気まぐれ短編集→恋の音が響き渡る 【短編集】)
・スレ設立・
2016 10 07
- Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.2 )
- 日時: 2016/10/08 19:40
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
・わすれもの【未練】・
真っ白で、何もない殺風景の場所。 私は気づいたらそこにいた。
死に装束を着て、何もないところに立っていた。
「ねぇ。君は現世に何かわすれものはない?」
誰、今私に話しかけたのは。
「ここだよ」
すぐ後ろに、声の主はいた。 小さな—小学生くらいの男の子だ。
「もう一回聞くよ。 君は現世にわすれものはない?」
「言ってる意味、よくわかんないんだけど。 まずさ、ここどこなわけ。それとこの衣装。なんなの」
男の子ははぁ、とため息をつき説明してくれた。
「ここは俗にいう【あの世】。君は死んだの。トラックに轢かれて」
トラックに…轢かれて、今いるのはあの世…?
「言ってる意味わかんない!ねぇ、冗談はやめてよ」
「本当だよ。 もうそんなこと良いから質問に答えてよ。わすれものはない?」
忘れ物…? 本当に何言ってるの、この子。
「忘れ物っていうのはここの世界で【未練】の事」
未練…。 そりゃいっぱいあるよ。だって突然死んじゃったんだもん。
「僕は死んだ人の願いを一個だけ叶える役目なの。 別にないんだったらいいけど」
いっぱいある。でもいざどれをっていうと思いつかない。
「私の…叶えてほしいことはないよ。そんな、一個なんて思いつかない」
男の子はそっか、と言って手を差し出してきた。
「じゃあ向こう側、いくよ。まだ三途の川は渡ってないから」
三途の川の向こう側へ。と言った。
少し怖かったけど、男の子の小さな手を握りついていった。
これで本当に死んじゃうっていうことか。
「さようなら」
特定のだれか、というわけでもなく誰かにそう言った。
三途の川まであと少し。
- Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.3 )
- 日時: 2016/10/12 14:40
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
・醜く愚かな・
下級天使、上級天使問わず、聞けば皆が「愚かだ」と答えるもの。それは堕天使。
私たち天使は、主様の息吹きから生まれ、主様に仕え、主様を愛す。そんな存在。
でも、堕天使は主様以外を愛してしまった愚かな天使。
天界ではいつも噂になる。
「昨日下界に行ったあの子、もう堕天したらしいわよ」
「今日も堕天した子、いるってー」
堕天使は愚かな天使。 翼には天使の象徴である白い—純白の翼。
堕天使はそんな純白な翼はない。漆黒の翼。 醜い、漆黒の翼。
「愚かな堕天使ども。 我々は主様を愛するだけで良いのに。ヒトなどを愛すから悪いのだ」
そう、言っていたのは数か月前の、下界に行く前の私。
下界に行ってから、私の背中には、愚かで醜い天使を表す漆黒の翼がある。
—愚かな堕天使ども。 我々は主様を愛するだけで良いのに。ヒトなどを愛すから悪いのだ—
数か月前の自分の言葉を思い返す。
愚かな堕天使は私。 私は主様以外を愛してしまった馬鹿で、愚かな【元】天使。
ほら、背中に生えている漆黒の翼が何よりの証拠だ。
・この作品は第13回 SS小説大会投稿作品「堕天使」を元にしての作品です・
- Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.4 )
- 日時: 2016/10/29 15:50
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://週1更新とか言っておきながら全然週1じゃない件。
・大嫌いな・
私は英語の椎名先生が苦手。 というか嫌い。
一々絡んでくるし、面倒くさい。
この学校の先生自体がフレンドリーっていうのもあるのかもしれないけど、なんかやたらと絡んでくる。
そんなところが大嫌い。
テスト返しの時、10点以上点が上がった時に「頑張ったな」とほめてくれた。
「この頃提出ノートとか頑張ってたもんな。ワークの問題とか解いたり」
そう笑ってテストを返してくれた。
それから毎日勉強した。 またテストでいい点とって、褒められたいから。
ちょっと前まで大嫌いだったのに。今はちょっとだけ好きになったかも。
- Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.5 )
- 日時: 2016/10/29 20:57
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://週1更新とか言っておきながら全然週1じゃない件。
・人形彼女・
僕の彼女は「可愛い」というよりも「美しい」の方が合う。
白くすべすべ緒陶器の肌。 硝子で作られた綺麗な蒼い眼。金というよりも黄色に近い髪は僕が毎日手入れをしている。
僕の彼女は本物の“人形”
言葉を発することはできない。 でも僕は分かってるんだ。
彼女も僕を愛している!100%間違いない!!
だってあの瞳は僕しか映さない。 ほかの奴の姿なんて映したくないだろう。
あの綺麗な目がケガレテシマウカラ。
彼女に触れていいのは僕だけ。 視界に入るのも、話しかけるのも。
僕 以 外 は 許 さ れ な い ん だ 。 こ れ は 僕 だ け の 特 権 だ 。
- Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.6 )
- 日時: 2016/10/29 21:05
- 名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://週1更新とか言っておきながら全然週1じゃない件。
・兄と姉と私・
私には双子の姉と4歳違いの兄がいる。姉も兄も昔から頭がよくって成績が良かった。
だから二人は両親の“お気に入り”
私は2人と違って頭が悪い。 それに誇れるところと言ったら足アが速いだけ。
でも、両親は頭がいい子を望んでいたんだ。だから私は大嫌いな存在。
そもそも子供は3人もいらなかったって。双子なんて欲しくなかったって。
小さい頃に母さんが泣いているのを見てしまった事がある。
小さい頃はご飯もくれなかった。
「要らない子にはご飯はないわ」
そう言って私にはなにもくれなかった。 姉さんと兄さんは少しご飯を分けてくれた。
でも、それがばれると殴られる。
そんな生活、何年間も続くと耐えられないから、ね?
カーペットにしみ込んだ赤い血。 床に転がる屍二体。
「おい!なんだよ…この、血…」
兄さんが驚いたように私を見る。 その後ろから姉さんが怯えた目で私を見てる。
だって…床に転がってるのは『かつての』父さんと母さん。
それに、血の付いた包丁を持って笑っている私がいれば…
二人とも、怯えちゃうよね。
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