複雑・ファジー小説
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- 氷尽くされた蜜
- 日時: 2016/11/22 06:10
- 名前: 華紅夜姫 (ID: JP5iH4Hy)
目を覚ましたら、そこは真っ暗な闇。
絹のように心地良い風が私の頬を撫でる。
目の前には大きな川があって、皆さんが私を歓迎しているようだ。
あの川の向こうは、どうなっているんだろう。
「おいで」なりやまない、この歓迎の声。
虹色の雲が空に浮いてて、さっきの真っ暗な闇とは大違い。
私の腰まである紫がかった髪が揺れる、ということは物凄い風なんだと思う。
スカートが揺れてて、木が葉を落として舞っている。
そこで、私は目を覚ます。
小さい頃から、よく見る夢だ。
レースの付いたベッドの上に私が寝ているのは間違いない。
退屈という地獄。
12歳の頃に判明した【謎の病気】のせいで、私は退屈を覚えた。
私は病人......のはずだけど、違う。
何が違うかって??
親が、言うんだ。
「貴女は、この家の跡取り。病人何かじゃ無いのよ」ってね。
そう、私は死んだらただのゴミ。
両親は、私の事を子供だから大切にしてるんじゃない。
· · ·
跡取りだから、大切にしてるんだ。
跡取りじゃなかったら、私はどうなっていたんだろう。
想像するだけで、恐ろしい。
· · · ·
小さい頃から、跡取りという重い荷物を背負わされて生きてきた。
———————————疲れた
両親の為に勉強する事に疲れた。
ダンスの練習、バイオリン、もう疲れちゃった。
【病気】これは、神様が私にくれた最高のプレゼント。
想像して、色々考えて。
こっちの方が私が輝いてるんだよ。
もうそろそろ、気が付かないと......お母様。
「ルージェちゃ〜ん!お勉強の時間よ〜!跡取りなんだから。ね?」
ファースト
【跡取り】あぁ、私のキライな言葉1
プリンセス
「家の中のお姫様なんだから♪」
「お母様、気分が悪いので....1人になってもよろしいでしょうか......?」
「あらあら、ルージェちゃ〜ん......分かったわぁ、お母様は行ってますからね」
気分が悪い原因は、お母様とお父様に有るんだけど......ま、いっか
私は、【宝箱】を開く。
「お兄様.....大好き.....」
お兄様からもらった、数々のプレゼント。
大なり小なり全てこの箱に入っている。
· · · · · ·
お兄様.....と言ってもちが血縁では無く、お兄様は養子なんだ....。
お兄様は、優しくて私の事を一番に考えてくれて。
叱ってくれる。
私は、そんなお兄様が大大大大大好きだった。
だった....と言うことは、過去形でしょ?
· · · · · · · · · ·
お兄様は、3ヶ月前に家を出た.....と言うか、追い出された。
理由は、カンタン。
カイヤ
お父様は、お兄様の事が気に入らない。
なぜかというと、お兄様はお父様より信頼が厚かったから。
お父様は、何かを言い訳にしてお兄様をこの家から追い出そう。
そう、考えたのだ。
養子は、簡単には屋敷から追い出せない。
お父様は、お馬鹿な脳ミソでこう考えた.......
"カイヤが人殺しをした"と......
お父様は、自分の手で使用人を殺害し全てお兄様の罪にした。
"重い罪"にはならなかったが......もう、屋敷にはお兄様が居ない
人間は、頂点を欲しがり過ぎだ。欲望でこんなことになる。
14になった私のたった1つの願いなんてとっくに神様とやらにお願いした。
"お兄様に会わせて下さい"
屋敷から、お父様とお母様が出て行っちゃえば良いのに。
——————————————————お兄様と二人きりで
お兄様、好きだよ、大好きだよ、だから.....戻ってきてよ。
お兄様の事以外は泣かない、と言うか...泣けないのだ。