複雑・ファジー小説

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薔薇の痣
日時: 2016/11/30 10:39
名前: mihiro (ID: qF9RkhdN)

・prologue・

昔昔、大昔。
いや、この世界ができるずっと前。
世界を支える大きな国がありました。
その国の国王と女王の間に三人の娘が産まれました。
これは三人の娘の中の末っ子、カレンの過去と今の物語。

Re: 薔薇の痣 ( No.1 )
日時: 2016/11/30 10:47
名前: mihiro (ID: qF9RkhdN)

〜第1章 終わりと始まり〜

暗い、暗い闇の中。
永遠と晴れない霧と闇の中。
私は水に沈む。
あれ、私死んだのかな。
…死んだっぽい?
わからない。

「わか…らない…?」

目を開くと、目の前には石でできた天井が見える。

「…なんだ、夢か…」

?「カレン様。」

知らない声が聞こえて、私は驚き戦闘態勢に入る。

「だ、だれ!?」

?「…忘れてしまったのですか?私です。ユキミです。」

「ユキミ…ユキ…ユキミ…あっ!!あれか!!私の使い魔の!」

ユキミ「そうです。思い出していただけてとても嬉しいです。」

ユキミは嬉しそうに微笑む。

「そういえば…私が眠ってから何年経った?」

ユキミ「ざっと十億年ほどですかね。」

「十億年も…そんなに私寝てたんだ。」

ユキミ「ええ。あの日から丁度、十億年です。」

「あの日ね…」

私はあの日と聞いて、ふっと思い出す。私の一度目の人生を。


Re: 薔薇の痣 ( No.2 )
日時: 2016/11/30 10:57
名前: mihiro (ID: qF9RkhdN)

【ユリトラ】という小さな世界の、【ミキノハ】という大きな国で私は生まれた。
正確には、【ミキノハ】の国王と女王の三女として、生まれた。

物心ついた頃、私は母親に部屋をもらった。

「あなたの部屋はここよ。」

そう言われ、入れられたのは階段下の物置部屋だった。
姉2人はとんでもなく広い部屋を持っているのに、私は埃まみれの階段下の部屋をもらった。

私はこの頃から気づいていた。

「私は必要ない子供…」

階段下の部屋で1人、そっとつぶやく。

そう言うと、黒い羽が1枚、ひらりと私の翼から落ちた。

王族には、大きな大きな天使の翼のような翼が背中についている。王族だけではなく、国民にもついているが、国民の翼はとても小さい。

だから、私はこの翼がとても大好き…だった。
これも物心ついた頃から気がついたことの一つだった。
父、母、姉2人の翼は美しい白で輝いているが、私の翼は片翼が黒色だった。

これも、いらない子供の理由の一つなのだろう。
私は確かにそう、思った。

Re: 薔薇の痣 ( No.3 )
日時: 2016/11/30 11:07
名前: mihiro (ID: qF9RkhdN)

父や母、姉から散々なことを言われながら、私は十三歳まで元気に育った。

学校が終わり帰ってくると早速母から「汚い汚物。あなたはまるで泥みたいね。そのまま城に入らないで欲しいわ。風呂に行くなりなんなりしてその汚れを落としなさい。まったく。王族として恥ずかしくないの?」

と、言われた。
母のいう泥や汚れは私の黒い翼を指している。

「申し訳ありません。」

そう呟き、私は風呂場で翼を洗ってから階段下の自分の部屋に入った。

そして、私は見つけてしまった。
隠し扉を。


一部、壁が変色していて、私はそこに触れてしまった。

その瞬間、激しい轟音とともに床が階段に変わった。

変わってしまった。

私は引き寄せられるかのように、階段を降ってしまった。

そして、私は魔の地下室へ入ってしまった。

昔、父から「ここには地下室があると言われているが、地下への道を見つけても絶対入らぬように」と言われていた。
しかし、私に戻るという思考は一切無かった。

そして、どんどん奥の部屋へ入ってしまった。

そして最後、大きな石の扉を開けてしまった。



開けた先は広い部屋。
大理石の壁と床でできている部屋。

部屋には真ん中には棺桶と紙が置いてあった。

紙を手に取り、読むと私は驚愕してしまった。

「この棺桶の中には悍ましい悍ましい魔王の杖が入っている。その杖は、選ばれし者にしか使えない物。だ。【カレン】。君にしか使えない物だ。君が世界を塗り替えてくれ。この棺桶の中で杖とともに十年眠れば全てを知り、全てを変えられる。君しかいない。頼んだ。 League D より。」


私が、選ばれし者?
私しかできない?




私は生まれて初めて、頼られた。
その嬉しさから、私は棺桶の中で十年眠ることにしてしまった。


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