複雑・ファジー小説

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New WORLD
日時: 2016/12/10 22:13
名前: あぽろ (ID: 8a0kChL5)

あるところに、ソードラインという世界がーー
そして、その世界がとても嫌いな魔王がいました。

ソードラインの世界の王子様は、その魔王様を倒し、ソードラインを平和へと導きました。

そして、その世界を創った人は、誰も知りません。

『パタリ』

硬く冷たいもので挟まれた紙を閉じる。
本というらしい。

母は優しくその後に頭を撫でてくれた。

「世界を創る…?へんなはなしだね。」

俺がそう聞いた。

「この世界にはね、創造者っていう人がいるの。」

「創造者」そんな聞きなれない言葉に俺は混乱する。

「あはは、ソルトにはちょっと難しかったかな?」

「ちょっと難しかったかな?」何て言われて、少し恥ずかしかった。
難しかったし、何もわからなかったけど、いざそう言われて見ると恥ずかしい。よくわかんない。

「眠いでしょう?寝ていいよ。おやすみ」
「ぅん…おやすみ」

幼き日の俺は、そう言って目をつぶった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はあ…はあ…」

息を荒げながら俺は剣を握る。

「はああ…!」

剣を思いっきり握って、風を切る勢いで俺は標的ターゲットに飛んだ。

『ビュンッ』

風を切る軽快な音が俺の耳に聞こえる。
両手で剣を握って、的を真っ二つに切る。

『グサッ』

気持ちいい音と、それに伴う衝撃が俺の腕に響く。

地面に着地すると同時に切った的も落ちてきた。

「ふう…」

そう呼吸を整えて、思い出してみた。
この国では、有名な話。

ある世界、『ソードライン』を酷く嫌った魔王を、王子が倒すって話。
そしてそのソードラインを創った、創造者は誰も知らない。と。

母親に何度も聞かされた話。
3歳ぐらいから聞いているけど、全て覚えている。

あの時の光景も、全て。

この世界は、四つに分かれている。

まず、今俺がいる、緑に囲まれたグリーンポップ。
動物が生息していて、道端の草は、すり潰せば薬草にもなる。

…とても苦いことを条件に。

そして赤い薔薇で包まれた土地、レッドポップ。
そして氷に包まれた台地、アイスポップ。
そして最大規模の街、光の都市、ライトシティ。

ライトシティには、いわゆる『セレブ』が集まっていて、女王様もそこに住んでいる。

そして、その四つの大地が融合した世界が、ソードライン。

この地球には二つの世界があり、ソードラインと、ポップライン。

ソードラインにある、レッドポップと、アイスポップが融合したポップは、自然災害で危険なため誰も近寄らない。

そして、俺が住んでいるのがポップラインのグリーンポップ。
アスキル=ソルトという名前だ。

俺の名前はライトシティの女王が付けた。
なぜかというと、俺はまだ誰も知らないソードラインの創造者を探すため。

だから創造者の話もたくさん言い聞かせられた。

たった一人しかいない、創造者を探すために、俺は旅に出たーーー

Re: New WORLD ( No.1 )
日時: 2016/12/13 21:13
名前: あぽろ (ID: jzoJ23FY)

「私ね、引っ越す!」

全ての発端はこの発言にあった。
俺の幼馴染、ミルが引っ越すというのだ。
元々親を戦争で亡くしていて、それなら一緒に住んじゃおう。ということになった。

「はあああ!?ってか何で先に相談しない!俺の食事は!?どうすんの!」
「どーせ先に相談してもオッケー言わなかったでしょ?」
「そういう問題じゃねえ!」

しばらくこんな口論を続けていた。

「…んで、何で引っ越すんだ?」

ミルは先を見ないで物事を決めるようなやつじゃないから、何か理由があるんだと見抜いた。

「ええと…この町の生活に飽きたから。」
「前友達ができたんじゃなかたっけ。」

「ああ、そうですよ!店を開きたいんです!」
「何でそれを先に言わない…って店!?そんな金あるのか!?」

「ひっひっひ…」
ミルは怪しげな笑顔を見せて、言った。

「借金します!」

「…は?」
最初言ってる意味がわからなかった。しばらく考えてもわからない。
借金…胸を張って言えることなのか。

「借金?お前、そこまでして何の店を開くんだよ。」

ここでは冷静を保つ。そう。冷静。興奮せず聞くんだ。

「ふふ…それは。」

またもや怪しい笑みで、紙を見せた。

「薬草屋!」

「薬草屋…薬を売るのか?」

「ソードラインでは薬局っていうみたいだけどね。薬局っつてもピンとこないでしょ。だから薬草屋って名前にしようと。」

「へえ…確かここら辺にも、ライトシティにしか薬屋はなかったんだっけ。」

「そう!しかもカイミさんがグリーンポップから薬草はくれるでしょ。グリーンポップの北側はレッドポップへの入り口が近いから買っていく人も多いだろうって。」

カイミとは、近所に住むおじいさん。主に薬草集めの仕事をしている。

「ほお…お前にしては名案だな。」

「お前にしてはって何?私はいつでも冴えてるよ。ふふ」

冴えてるのか…?そんな疑問は頭に置いといて、引越しの準備を淡々と進めるミルを眺めていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーレッドポップー


「はあ…はあ…」

「どうした。」

その声に、少し怯える。
息が切れていて、すでに限界を出し切っているのに、相手に効いている様子はない。

「…ほざけ!」

レットポップに咲き誇る薔薇を踏み、空へと飛んだ。

「…?」

それを見て浮いた顔をしている相手を見て、余計拳に力が入る。
その力を剣に込めて、振り下ろす。

上空から剣を下に向け、地面に刺すように振り下ろした。

「はああああ!!」

『ブチュッ』

その音は、血が出た音ではなく、薔薇がちぎれた音。

相手は少しステップをしただけで、避け切ったのだ。

「弱く、力の無きものに何が出来る…潔く切られていればいいものを…」

その凍りつくような眼、そして刺さった剣を抜くことができるはずなのに、今は抜くことができずに黙って相手を見つめることしかできない。

『グサッ!』

何かを貫く音がして、震えながら自分の体を見た。
見ると血がポタポタと、そして次第に体を伝って垂れていき、足元に流れる。

本当は激痛がして、今すぐ寝転んで、傷口を押さえたい。
でも止まらない血が怖くて、唖然と立つしかできない。

「さらばだ…」

「ぐわあああっ!」

縦斜めに俺の腹を斬りつけた。
出る血の勢いはさらに増して、傷口を開いていく。


ーーー知ってるか、この薔薇の赤みってな、







血が飛び散ってできてるもんなんだぜ。


終わり際に聞こえた声は、これだけだった。


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