複雑・ファジー小説
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- 時の悪戯
- 日時: 2016/12/24 22:16
- 名前: あぽろ (ID: NePV7AcD)
テレビに流れるニュース。
時に速報を伝え、そして時に火事、事件、そして行事なのを紹介していく。
そしてたまにある、行方不明のニュース。
別に知らない子だし、知らない顔だから、何とも思わなかった。
でも不思議だ。
人間はそのニュースに出る人物を知人立て知ると途端に焦る。
もし知人が行方不明になったら。
まったく心の動かなかったニュースも変わってくる。
人はそれを悪い言い方をすると『差別』とでも呼ぶのだろうか。
極端だと、自分は思い始める。
ーーーだって、今テレビのモニターに映っているのは、紛れもなく。
俺の幼馴染、藤ヶ谷 優香であるのだから。
「…!?」
モニターに顔を近づけ、我が目を疑った。
目を大きく見開け、信じられないといった顔をしている自分がただただ反射するだけ。
下に流れる字幕は、自分が住んでいる地名、そして町名、何区であることを伝え、夏祭り中に姿を消したと報道されている。
人間の頭、いやーー、自分の頭の中では、そんなことを急に記憶できない。
でも、報道内容だけは耳から耳に流れ脳内に残っていく。
何か、大事な物を失くし、焦っているかのような感覚だ。
心臓が倍に動いているのが、よく聞こえた。
ーーでも、何故だろう。
こうなることは、知っていた気がするーー。
いつかこうやってニュースに報道されて、こうやって焦る日が、目に見えていた気がする。
そもそも夏祭りに行った記憶がある。
その時にもこのような感覚があって、繊細に覚えていた。
しかし、そこで何が起きたかは、どうしても思い出せなかった。
自分の頭の髪を掻きむしって考えた。
でも、不運なことに、考える時間など、俺には与えられてもいなかった。