複雑・ファジー小説
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- 運命の白い紙
- 日時: 2016/12/31 18:16
- 名前: 零二 (ID: MYmyvGlS)
前に書いたスレッドが使えなくなっていたので、新しく書き直します。
旧:夏の終わる頃に
図書室に残された一枚の漫画の原稿。
たったその一枚の原稿が、二人の幼い頃の絆をより戻すこととなる。
夏の空の下で起こる二人の運命とは…
考案
-水奏さん
-安楽さん
-行宗山姥さん
(各自別サイトで活動中)
Special Thanks...
登場人物-順次更新
主人公
小野寺 綾乃
おのでら あやの
高校一年
学校には内緒で漫画家として活動中
祥平の幼馴染
綾乃の幼馴染
大城 祥平
おおき しょうへい
高校二年
野球部所属、ファーストで常にスタメンは確定
綾乃の幼稚園からの幼馴染
祥平の一番仲のいい友達
御永 優星
おなが ゆうせい
高校二年、祥平と同クラス
野球部所属、ポジションはショート
祥平と同じくほぼスタメン確定
- Re: 運命の白い紙 ( No.1 )
- 日時: 2016/12/31 18:19
- 名前: 零二 (ID: MYmyvGlS)
ドタドタドタ。
スリッパが脱げそうになりながら廊下を急いで走る。
まだ授業が終わったばかりで、誰ともすれ違うことがない。
今は昼放課で、みんなそれぞれ昼食をとる時間だ。だけど私は図書室に向かって全力ダッシュ。
図書室に着けば、角の小さな机に本やら資料やらを並べて頭を抱える。たまに、本に忍ばせるようにして原稿も置くことがある。いつもこうして内容とか背景とか、いろんなことを考える。この時間がとっても幸せで、大好き。
20分ほどで脳内会議を終わらせるとせっせと教室に戻る支度をする。
そして、最後に借りていた本を返して図書室を後にするのだが……教室に戻って、ふと気がついた。
「あれ?原稿がない…?!」
いくら探しても見つからない。本のページの間も、ファイルの中も。
「これで、誰かにばれちゃったら…あーもう!原稿なんて持ってくんじゃなかったあー」
そして私は、机にゴンッと頭を打ちつけながら大きなため息をついた。あまりの音のでかさに驚いたのか、前の席の美玲ちゃんがおどろいた顔でこっちを見ている。
けれど、その時私は知らなかった。
この瞬間に図書室で起こっていた出来事を。
- Re: 運命の白い紙 ( No.2 )
- 日時: 2016/12/31 18:27
- 名前: 零二 (ID: MYmyvGlS)
「えー、祥平、今日も図書室行くのかよ。昼ぐらいゆっくり食えばいいのに」
優星が不機嫌そうな顔で、おにぎりをムシャムシャと頬張りながら文句をつけてきた。
俺は心の中で、またこいつシャケのおにぎり食ってる。とどうでもいいことを考えながら、俺も塩むすびを一口かじる。
「…今日もって、そんなに毎日は行ってないだろ」
すると、額にシワを寄せまくったブッサイクな顔を前に突き出しながら二度目の文句をつけてくる。
「週に二回は行ってんじゃんか!俺さ、もっと話したいこといっぱいあるんだけど!!」
まずさ、食べ物口に入れたまま喋るのやめろって。
なんで図書室に行くことをそこまでして拒むのか理解できないんだけど。別にそんなもんLINEだってなんだって出来るじゃねえかよ。めんどくせえな。俺は内心文句をつけまくりながらも、ただ流すように返事を返す。
「たったの二回じゃん。別に自由な時間をどう使うかなんて人それぞれなんだから、どう過ごしたっていいじゃねえかよ。お前だって自分の生活に文句つけられたら嫌だろ」
「そりゃそうだけどさー」
優星が、チッと舌打ちして机に顔を伏せてしまった。
ったく。こいつとは中学からの付き合いだが、何年経とうと本当に全く変わっていない。図々しく文句つけまくってくるところも、そうやって直ぐ拗ねるところも。でも、なんだかんだで一緒にいてくれて知らないうちに仲良くなって。今じゃ一番の友達で、いいチームメイトだ。
そう思うと、俺の前でぐでっとしている優星に無性に伝えたくなってきた。
「…ありがと」
「はー?いきなりなんだよお前」
「なんでもないさ。気にすんな」
「変なやつだな」
「じゃあ、俺行くから」
そう言って俺は弁当をしまって鞄を持つと、騒がしい食堂を後にした。
- Re: 運命の白い紙 ( No.3 )
- 日時: 2017/01/31 19:01
- 名前: 零二 (ID: G/182c4y)
静かで、本に囲まれたこの空間が俺は好きでたまらない。野球部なんだよね?とか以外だなーとかよく言われるけど、別に気にしてない。俺はただ単に、本が好きなだけだ。
返却と言っても返却ボックスに入れるだけだが、ひとまず本を返し新しい本を探していた時、机の上に置かれた一枚の漫画が目に映った。
「これ、本物の漫画の原稿じゃねえか…」
すげえ…こんなにしっかりと描かれた原稿は初めて見た…とても趣味で描いたものとは思えないクオリティだ。
漫画は好きでよく読んでるし、好きな漫画の原画展とかにも行ったこともある。その時に見た原稿とまるで差がない。本当に高校生が描いたのかよ、これ。
推測するに、戦闘系の漫画っぽい。机の上の原稿には、武器を振り回す少女と悪魔(?)らしきものが描かれていたからだ。
「おもしろそうだなこれ…」
続きとか読んでみたいけど、誰が描いてるかわからないし。困ったな…
そこで俺はふと思いついた。
貸し出し書用のペンを取りに行って、胸ポケットに突っ込んであった紙切れに感想を描いてみることにした。
"誰が描いたのかは知らないけど、すごい上手。面白うそうだし、続き読んでみたいです。"
こんなことして、何か変化が起こるなんて思えないけど、ひとまずやってみるだけやってみる。
小さな紙切れを漫画の下にそっと忍ばせて、再び本探しに戻った。
結局、あまりパッとした本がなかったので、好きな漫画の小説版を借りることにした。
ちょっとでもいいから、返事が返ってくることを祈って図書室を後にした。
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