複雑・ファジー小説

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StraИgeRs【オリキャラ募集しております】
日時: 2017/01/06 17:02
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: dUTUbnu5)

時は多分遠い未来。謎の災害が地球を襲い、世界の総人口は5分の1にまで減少した。大地は荒れ果て、空は何も知らないように青い今日此頃、ある者達が世界を放浪していた。
それは———


注意書き
・趣味ぶっこみ他人ドン引き案件小説となっております。嫌な予感がした場合、速やかにブラウザバックすることをオススメ致します。
・読了後の苦情は受け付けません。
・教育上とてもよろしくない表現が使われることが多々あります。ご注意ください。
・最後に、この作品は実在する人物、団体などとは一切関係ありません。


サニ。です。最近TRIGUNにハマってしまったので唐突にそれっぽいのが書きたくなったのでスレ立てしました。ほぼその場の衝動に身を任せた結果となっております。閲覧時、ご注意ください。


—登場人物—
(※物語に登場次第随時追加)

ドルキマス=フォスター(Dolkimas=Foster)♀
元一大マフィア、『フォスタファミリア』のボス。『極殺の黒炎』の異名を持つ。謎の災害か何かにより、足に呪いがかかり車椅子生活を強いられている。闇の瘴気を纏い、黒炎を操る能力を持つ。利用できるものならなんでも利用し、使えないと判断したらその場で焼き捨てるという非情な性格である。鶏肉とアボカドが大好物であったが、災害後思うように口に出来てないのが現状。
ちなみに身体を取っ換え引っ換えして生きている『人外』である。そのため齢は実に142歳。現在は37歳の身体に入っている。しかし見た目は20代そこらにしか見えない。

九十九 閉伊(Hei=Tsukumo)♀
ドルキマスの右腕であり、神の玩具(オーパーツ)の『至高の虹色』(パーフェクト・レインボーアイ)の持ち主。常に傍らにはボックス型のカバンを携えている。
手放さない理由としては、そのカバンが特殊という訳ではなく、本人の『なんでも閉まえる』という能力から来ている。なので、何が悪いものが来たりすると、すかさず本人のその能力でカバンの中に閉まってしまう。閉まったものの取り出しも可能。
聴力が特に優れているため、ひそひそ話も聞き逃さずに、必要とあらばドルキマスに逐一報告する。旅に付いている理由は『ドルキマス』に付いてこいって言われたから。
こちらも身体を取っ換え引っ換えして生きている『人外』。現在実年齢136歳に対し、身体の年齢は27歳。


物語語句>>1
おしながき>>2
オリキャラ募集用紙>>3

Re: StraИgeRs【オリキャラ募集しております】 ( No.11 )
日時: 2017/03/09 20:42
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: dUTUbnu5)

「にしてもうめえな鶏肉」
「それ、ただ単に鶏肉ゆでただけじゃないすか?」
「うるせえ茹でるだけでも力量が試されんだ」
「はあ…」

ゆでた鶏肉を手づかみで口の中に放り、そういうドルキマスに対し、九十九は訝しげに言葉を挟む。しかし一方的な反論により、九十九はため息を漏らすだけに終わる。
ここは先ほどの宿から歩いて5分ほどの距離にある食事処。そこでドルキマスと九十九は、ゆでた鶏肉と新鮮なアボカドとわさびじょうゆ、カリカリに焼いたベーコンとレタスを、パンで挟んだだけのサンドウィッチを今日の夕飯として腹に入れていた。もちろん鶏肉とアボカドは九十九が口に入れようと手を伸ばしたら、ドルキマスからグーで手を潰されそうになった。ひとつくらいいいじゃないすかーと文句を言うと、全部アタシのモンだとピシャリと言われたため、おとなしくサンドウィッチを消費することになった。まあでもゆでただけっぽそうだしいいかな。

「んで、九十九」
「うい」
「なんか有力な情報は得られたか?」
「歩いて5分、しかも人もまばらっすよ?聞こえるもんも聞こえてこねえっす」
「おめえの地獄耳は落ちたんか」
「地獄耳っても限度があるっすよお」

鶏肉を頬張りながらドルキマスが九十九にそう聞くと、九十九は苦笑いしながら返事をする。その答えはドルキマスの気にそぐわなかったのか、多少睨めつけながら九十九を見やると、とうの九十九は最後のサンドウィッチのかけらを口の中に放りこんでうなだれた。無茶言わんといてくださいっすよ、と文句を言うものの、うるせえ、と頭にチョップを入れられる。

「理不尽す」
「バッカ言うなやぃ。そこら辺で鳴らしてるベッドの音くれえ聞き取れや」
「それやばいやつっすから!聞き取ったらダメなやつ!!」
「シャブ漬けクソビッチちゃんがいっかもしんねーだろ。もうちょいでお天都さん沈み切るからな、案外ヤってんじゃね?」
「そーすかぁ…?」
「そうだろ。アイツはそういうヤツだ。前にアタシらが乗り込んでった時もその最中だったろ?あの顔は今でも笑えっけどなーケケケ」
「……はぁ」

悪い笑顔を浮かべてそう言ってのけるマフィア元ボスに、その右腕であった九十九は眉を潜ませる。その手の話題、うちがちょい苦手だってことわすれてるんすかねえ…いや確かに何の嫌悪感聞けるって時点で、苦手とかないけどそれでもそういう…ねえ?九十九はうなだれていた体を起こし、頬杖をついて訝しむ顔で運ばれてきたコーヒーをすする。苦味と酸味が口の中にじんわりと広がり、ベーコンの脂を和らげてくれる。
そんな九十九を脇に、ドルキマスは鶏肉にわさびじょうゆにつけたアボカドを乗せてそれを頬張る。美味そうに咀嚼したあと飲み込むと、ちらりと九十九を見、更に口を開く。

「ほれ、あすこのカドッこに座ってる連中。面白そうな話してやがるぜ?テメエの地獄耳の出番だ」

そう言ってスッと指さした場所には、確かに数人で構成されたグループが、なにやらこそこそと話している様子があった。九十九は嫌そうな顔でドルキマスを見る。

「えー…」
「いいから、はよしろ。命令だ」
「うっす」

ドルキマスに急かされ、しかも命令されてしまえば逆らうこともできないわけで、九十九はしぶしぶ了承して言われたとおりに、角の辺りにいる何やら怪しそうな連中の会話に耳を傾けた。つうかいつのまにアイツら来てたんすかねえ…と思うがそこは気にしない方向で、とドルキマスが言ってくる。読んでたな、この人。

『いいか、明日だぞ』
『例のテントでオークションだろ?大丈夫だ』
『準備ならできてる』
『商品の移動は?』
『今日中に終わりますよ。あいつら、反抗してこねえんで楽っすね。自我ないし』
『女王陛下、マリア様が来られるぞ。粗相のないようにな』
『わかってる。我が身はマリア様とともに、だ』
『あと、フォスタファミリアの連中には気をつけろよ。いくら万全に警戒してたとしても、奴らはスキマをすり抜けてくるからな。まあ生きてるかもわからんが』

「……」
「どーだったよ」
「今この場では言えませんなあ」
「そーかよ。んじゃま宿に戻るとするかねえ。九十九、テメエの『左眼』で戻るぞ。金は前払いなんだ、別にいいだろ」
「うぃっす」
「つーか見えてねえんかねえ…」
「さあ?」

そういうと机の上にほんの少しのチップをおき、九十九は自らの左眼を覆っている包帯に手をあてがい、それをぐっと上に押しやる。そして、顕になった左眼の瞼を開くと、そこには見事な『虹色の瞳』が浮かび上がる。

「———『転移』。『宿』へ」

すこしばかり力の入った声で紡ぐと、左眼の虹色がキラリと光った後、いつの間にか2人の姿はそこから消えていた。ソレに気づくものは、誰1人としていなかった。


———————


ボスンッというなにか重いものが落ちた音がベッドから鳴る。その上にゴロリと寝転がる九十九とドルキマス。

「やっぱオメーの『左眼』は便利よなー」
「落ちる形式で、もすか?」
「らくーに移動できんならそれで構わねえんだよ」
「ズボラっすねえ」
「なんでも楽にできたら別にいいだろが」

ドルキマスの言う『左眼』とは、文字通り九十九のいつも包帯に覆われている左の眼球のことを指すのだが、普通とは意味合いが異なる。
九十九の左のアイホールには、『神の玩具』(オーパーツ)と呼ばれし物のひとつである、『至高の虹色』(パーフェクト・レインボーアイ)なるものが嵌めこまれている。
もともとオーパーツとは、人間の技術では到底作り得ない、未知の領域レベルである力が備わった物であり、形やそれに備わっている力も、個体によって大きく異なる。体に憑依したり一部になったりする『肉体型』と、何らかの物の形をしている『固形型』の主な2種類に分類され、九十九の持つオーパーツは、直接肉体に入り込んでいるので『肉体型』のカテゴリに入る。これがもし、銃やナイフと言ったものだったら、『固形型』となる。
ただ、遺伝子や、その家系の存在そのものがオーパーツというものであると、どちらにも当てはまらないのでその場合『不定型』として扱われる。しかし遺伝子に関しては『肉体型』でも良いのではないか、という声があったため、『不定とも取れるし肉体とも取れる』という、なんとも面倒くさく曖昧な分類となった。
『至高の虹色』(パーフェクト・レインボーアイ)は、『保持者に1つの力を与え、更に時空間転移能力も授ける』という力が故、それはもう血で血を洗う凄惨な争いが、それを手に入れんと躍起にになる人間によって、各地で行われていた。が、九十九がそれを偶然にも手に入れてしまったことにより、その争いはぱったりとなくなってしまった。それにより九十九は時空間転移能力と、『なんでも閉まったり取り出したりすることができる』力を授かった。その当人の九十九曰く、これを手に入れた経緯は『ただの事故』と評しており、それ以来自身の左眼に嵌めこまたオーパーツを隠すために、包帯で顔半分を覆っている。こうでもしないと勝手に転移することがあるから、と九十九は苦笑いを浮かべながらドルキマスに報告していた。ちなみに災害前のことである。

「まったく便利なもんよの」
「便利じゃねえすよ。『厄介モン』っす。そんなことより」
「あーハイハイ。報告ヨロシク」

ドルキマスは投げやりにそう言うと、やれやれと九十九はため息をつきながら話し始める。

「さっきの連中、先生の予測の中に入ってたローゼンファミリアすね。女王陛下、マリア様って言ってたんで」
「大当たりィ!やっぱそうだよなァ!!」
「話を続けるっす。んでオークション開催日なんすけど、明日っす。今日中にも『商品』運びが終わるって言ってたっす」
「なるほどなるほど」
「それと、ウチらのことも言ってたっす。フォスタファミリアには気をつけろ、だそうで」
「ケケケケケ。おもしれえ」
「以上報告っした」
「ご苦労!」

ドルキマスは上機嫌に九十九にそう言うと、九十九があらかじめ出しておいた車椅子に座る。肘置きに頬杖をつき、いつもの悪い笑みをいっそう深めさせた。心の底からおもしろい、というように。彼女は胸ポケットから黒いパッケージのタバコを一箱取り出し、トントンと底を肘置きで叩いてやる。すると黒いタバコが一本出てきたので、それを抜き取り口に加え、九十九が差し出したジッポを受け取り、そのタバコに火をつけた。紫煙はゆっくりと上に立ち、そのタバコをすぅっと吸うと、口から煙を吐き出す。その煙に九十九は眉を若干しかめるものの、特に文句は言わずそれをじっと見る。

「やっぱ生きてやがったか、シャブ漬けクソビッチのガバガバクイーン!!そうでなくちゃおもしろかねえ」
「相変わらずっすねえ」
「そりゃそうだろ。こうでなきゃアタシじゃねえ」
「っすね。にしても先生が生きてるなんて、連中どこから情報仕入れたんすかねえ」
「アタシが生きてるとはひとっことも言ってねえだろ、さっきの奴ら。まあ大方ちらばった奴らんなかで生き残りがいて、そいつらがなんか活動してんだろ」
「ありそうなのは?」
「ギルバート」
「ああ、ブラック家の…」

ドルキマスのいうギルバートとは、災害前フォスタファミリアの幹部として、彼女の忠犬と言わんばかりの活動をしていた『ギルバート・ブラック』のことである。彼は組織のために人一倍に活動し、さらにドルキマスに忠誠を誓い、彼女の好物であり主力であったアボカドの貿易に全力を尽くした人物である。そんな彼ならば、彼自身の『オーパーツ』を使って生き延びてどこかで活動しているに違いない。そうドルキマスは信じていた。ブラック家の『オーパーツ』ならば————

「ゆーてももし生き延びてたとしても、災害からもう結構年数経ってるっすよ?ギルバート何歳になってるんすか」
「さあな。まあ案外アイツはしぶといからな。ひょっこり活動してるだろ」
「そっすね」

ドルキマスの言い分にどこか納得した九十九は、うんうんと頷いてみせた。

「それに、もう2人しぶてえのいただろ」
「…確か、吸血さんとキューブさんすか?」
「そ。その2人は絶対生きてんぞ。吸血の方はアタシにご執心のようだしなァ。キューブの方はキューブ使って生きてんだろ。あと生きてそうなのは…」
「あ、新月になるとぶっ倒れてるあの人」
「ああ。アイツもしぶとそうだな。案外そこら辺にいたり」
「ありそうすねえ」
「っとまあそんな話は置いといてだ」

話を切ると、ドルキマスはタバコをまた一口吸って煙を吐く。そして車いすから立ち九十九に向き直り、いかにもな悪い笑みで言葉を吐く。

「明日、巨大テントにて開かれるオークションにて。目標『人造人間』(レプリカ)の奪取及び———オークション自体の壊滅。以上を任務とする。失敗ないよう、遂行しろ」

その言葉に、九十九は先ほどまで座ってたベッドから立ち上がり、含み笑いをドルキマスに向ける。


「了解、『ボス』」


Re: StraИgeRs【オリキャラ募集しております】 ( No.12 )
日時: 2017/04/03 00:11
名前: HIRO (ID: 98Nvi69E)

面白そうな小説を発見、初めまして。
崩壊した世界、興味深いです。

名前 保科 金剛(ほしな こんごう)
性別 男
容姿 喪服姿の黒髪天然パーマで偉丈夫、服装に乱れはなく髭も伸びておらず清潔感のある様相。
剃刀のように鋭い目付きの三白眼は人を威圧するモノである。
性格 仁義を重んじ人情に厚く困る人には自らの体をも犠牲に人助けをしようとする、今時流行らない筋金入りの任侠を体現する男
年齢 見た目だけなら30くらいだが実年齢は60を過ぎている。
災害前何やってました 警視庁、刑事部、国際捜査課の刑事
災害後何してます 生存者により形成された一つの街のまとめ役、またできうる限りの範囲で組織犯罪を取り締まっている、また警察組織の再建を計画中
神の玩具『神水妙泉(しんすいみょうせん)』
とある山の頂上にある絶えずに水が湧いてくる杯により形成された泉。
杯の中身は常人に大しては劇薬であり、その杯を傾け中身を口にした途端に不快感から始まり、倦怠感や虚脱感を体が襲い、杯の水を飲み干したときは死に至るほどの激痛が体を蝕む。
しかし、全てを耐えなお意識を残し、生き残った時には『仙人』や『超人』と呼ばれるものと同列の力を手にする。
老衰することの無い『不老の体』
人間の限界を優に越える『強靭な躯』
されど『不死』にあらず。
『老衰』以外の死は等しく起きうる可能性がある。
杯から零れ落ち泉を形成する水は杯の水と違い全ての体を蝕む悪しきモノに効く妙薬となっている。
しかし、泉から掬い数秒すると効果を失う為、その恩恵を得るにはこの泉にたどり着き直に口をつけ飲む必要がある。
備考
災害発生時は、捜査の都合上外国に滞在していた。
何とか生き残り日本へと帰国したが、既に妻子、同僚、部下等、自分の知る尽くがなくなっていることを知る。
その後は目的もない放浪生活、その過程である山の頂上の神の玩具を手にし服用見事飲み干し超人と化した。尚、杯は今もその山に鎮座している。
サンプルボイス(5つ以上)
『貴様、フォスタのクズ連中のボスか?マフィアのボスも呪いには敵わないか、これは傑作だ、そのままおとなしくしてくれれば、今までのことは不問にして目をつぶってやってもいいぞ』
『何故、私がマフィアと共闘しなければならない、やりたければ勝手にするといい、その後に貴様ら共々捕まえるだけだ』
『私の中では、あの日から、今日まで、そしてこれからも喪中なんだ、貴様ら、社会のクズどもみたいにいっそ背負うものが無さそうな方が楽そうだ』
『今の世の中では、刑事の肩書きは無意味も同然のモノだ、貴様らマフィアにとってその方が好都合だろうな』
『警視庁、刑事部、国際捜査課の刑事、世界が壊れようと、私はこの肩書きに恥じない私なりの正義を貫き続けよう、それが死んだ私の盟友達に出来る一つの弔いの形だ』
『復讐だとか、制裁だとか、御託を並べるな、殺しは殺しだ、そこに正義はない』

Re: StraИgeRs【オリキャラ募集しております】 ( No.13 )
日時: 2017/04/04 23:08
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: dUTUbnu5)
参照: 今回は時間が取れたよ!近日中に最新話投下予定

HIRO様

オリキャラ様ありがとうございます。
と、その前に質問がひとつよろしいでしょうか。
フォスタファミリアに対し、どんな事件で追っていたとか設定はありますでしょうか。なければこちらで決めてしまいますが、もしありましたら是非お教えください。
その他には特に何もありませんので、返答がきしだい、採用とさせていただきます。

Re: StraИgeRs【オリキャラ募集しております】 ( No.14 )
日時: 2017/04/05 15:04
名前: HIRO (ID: qToThS8B)

返信ありがとうございます。
現場至上主義で、各地に潜むフォスタファミリアが抱えてた下部組織や密輸組織の弾圧、取り締まりに力を入れてた人物かな。
ドルキマスから見たら、貿易行路を潰されたり便利な手駒を切られたりとこそこそとウザい奴認定されてた、むしろ、直接的な関与をしてもらった方がまだマシとかおもってたかもしれない。こんな感じで
よろしくお願いします

Re: StraИgeRs【オリキャラ募集しております】 ( No.15 )
日時: 2017/04/30 22:07
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: dUTUbnu5)

「……」

朝。カーテンから溢れる朝日が、九十九の顔に当たる。さすがに顔に当たり続けると眼も覚めるもので、よっこいせっと体を起こす。ボリボリと首もとをかき、不意に自分から見て左側にいるはずのドルキマスを見やると、

「エンドレェース…サイクリン…」

と、奇妙な寝言を言いながら右手を天たかくあげ、親指をぐっと立てていた。

「気にしないでおこ…」

九十九はそう判断をし、ドルキマスを起こさないように注意しベッドから降りて、支度をすることにした。
風呂、トイレと併設になっている洗面台の前に立つと、まずは寝ている間にずれてよれよれになってしまった、左眼の包帯をはずし、水で顔を洗う。ある程度さっぱりすると、はずした包帯で左眼に巻き直す。

「よしっ」

きっちり巻けると九十九は小さくガッツポーズを取る。すると突然後ろから、にゅっと腕が九十九に伸びてきて、のしっと体重が体にかかった。小さく呻くと後ろにいる上司に苦言を呈する。

「おはよっす先生。あと、のしかかってくんのやめろくださいっす」
「こーとわーる。あークソネミぃ」

そういって更に体重をかけるドルキマス。そのドルキマスをうっとおしげにペチペチと叩くが、ドルキマスは動こうとせず、しかも寝ようとしてくる始末。さすがにイラッと来たので、九十九は強行手段に出ることにした。
九十九はドルキマスをなんとか振り払い、一度脱衣所から出て部屋に戻ると、ボックス型のカバンをむんずとひっつかみ、脱衣所に入ってドルキマスの目の前でそのカバンを開く構えをする。そしてニヤリと笑った。

「先生!!そんなにしてっとカバンにしまうっすよ!!」
「嘘でもしねえの知っとるわ。テメエアタシのことだーいすきだもんな?」
「ぬぐぐ…あ、でも大好きは否定するっす!!」
「素直じゃねえー」

むぅと頬をふくらませるドルキマスは、しぶしぶ九十九から離れ、部屋に戻っていった。そんな彼女をまったくもうと呆れつつ、備え付けの歯ブラシに歯磨き粉をにゅっと出して歯を磨き出す。そしてぼんやりと思考にふける。
今日はオークション会場を叩いて、人造人間(レプリカ)の奪還、そして主催のローゼンファミリアにちょっかいを出して金を巻き上げる…だったかなあ。というかオークション会場を叩くこと自体が、向こうにちょっかいを出してることにかわりないとおもうんだけどなあ。まーいいや、そゆこと深く考えてるとハゲそうだし。とりあえず先生のあとついてけばいいか。っつうか寝起きの先生めんどくさいんだよなー。さっきみたいに絡んでくるし訳わっかんない話ふっかけてくるし、そろそろあの悪い癖やめさせたいんだけどなあ…って

「ふぇんふぇい…」
「あ?」
「いふのふぁにいふぁんふか」
「ついさっき。つうかさっさとしろ。おいてくぞ」
「ええ…」

いつのまにか後ろにいたドルキマスに、九十九の思考はそこで途切れた。ドルキマスはぼーっとしながら歯を磨く九十九にいらだちを感じたのか、ケッと言いながらそう急かしてくる。いやさっきまでアンタ寝ぼけてたでしょどこにいったんすか、などとは歯を磨いている手前言えるはずなく、その言葉は歯磨き粉の泡と水と共に、洗面台の向こうへと流れていった。ほんっとこの人は理不尽だ、と口元を拭いながら思う。

「ほれ着替えろ。いいか、10秒以内だ」
「いやスーツは10秒で着替えられないっす」
「しゃーねえ30秒だ」
「無理があるっす」
「いいからさっさと着替えてこいや。テメエが車椅子出さねえ限りこっちは自由に動き回れねえんだよ」
「うーす」

げんなりとしつつ九十九は部屋に戻り、クローゼットからスーツを取り出す。オプションは真っ黒なジャケットと真っ黒なマフラー、そして真っ黒な帽子と手袋。ハタから見たらただのマフィアだが当人たちは立派に元マフィアであるので何ら問題はない。暑い時期はさすがに視界に入れたくもない格好だが。
ばっと黒のワイシャツを着、黒のズボンを素早く履く。白のネクタイをしゅっとしめたら、ジャケット、マフラー、手袋、帽子の順に身につけていく。
そうして出来上がった元マフィアの九十九に、元マフィアのドルキマスはやっとかと声をかける。

「おせえ」
「結構速いほうだとおもうっすよ!?」
「アタシがおせえっつったらおせえんだよわかったか」
「常々思ってるっすけど、理不尽すよね先生」
「悪いか」
「悪いっす」
「あぁ!?」
「どーうどーう。さっさと行くんでしょー。車椅子出すっすから」
「コイツ…」

九十九はドルキマスを流して自らのカバンから、ドルキマスの車椅子を取り出す。スポンッと小気味いい音がなると、車椅子が広がった状態で勢い良く飛び出してくるので、九十九はそれをひょいっと捕まえて静かに地面に降ろす。その車椅子にドルキマスがドカッと座り、フンと鼻を鳴らす。腕を組み、後ろにいる九十九に振り向くと口を開く。ニヤリと、悪い笑顔で。

「んじゃ、いくぞ。あのクソビッチにちょっかいかけに!!」
「レプリカは?」
「ついで!!!!」
「ついでに下がった…!?」


———————


目的地、現在での地名『ペニュモニア』、旧イタリア北部。

「いやあ人だかりすげえっすね」
「そらー、表向きは慈善事業とお祭りだかんなァ」

ドルキマスたちはオークション会場の近くまで来ていた。が、予想外の人だかりに九十九は感嘆の意をもらす。
そう、いまこの場は表向き、慈善事業と日本で言う『縁日』のような祭りとして近くには広められている。人を程よく集めてカムフラージュにでもする考えなのだろうか。

「…で、どうするすか。潜入」
「こいつを使う」

そういってドルキマスは懐から1枚の鏡を取り出す。その鏡に、九十九は目を見開く。

「もって…きちゃったんすかあ…それえ?」
「使えるもんは持ってくのがポリシーな性分でな」
「にしてもそれ…【幻影の写し身】《ファントム》持ってくるって…それウチの家宝じゃないすかあ!」

そう、ドルキマスが取り出したのは、九十九家の家宝、神の玩具(オーパーツ)の【幻影の写し身】《ファントム》。本来ならば九十九の実家で厳重に封印されている代物のはずなのだが、その家宝は今、目の前の人物の手の中に在る。九十九が驚くのも当たり前の話だ。

「テメエを勧誘する時にジャッポネに行った記念としてくすねてきた」
「いやいやいやいや!!家宝なんでくすねるんすか!!しかも記念って!!」
「いーじゃねーかもう災害後なんだしよー」
「それは…まあ…うぬぬ」
「ほうれさっさとやんぞ。アタシらの顔はもうとっくにバレてんだからなあケケケ」

そう言ってドルキマスは自分の顔をその鏡に写した。するとどうだろうか。鏡からなにか風のようなものが吹いたと思ったら、その風は彼女を包み、みるみる隠していく。そうして一瞬の後、風がばあっと過ぎ去り包んでいたものがなくなると、そこには清楚な女性が憂いを含んだ表情で車椅子に座っていた。その女性はとても華奢で、守りたくなるような雰囲気を醸し出していた。が、そんなイメージは次の瞬間に崩れ去ることとなる。

「ケケケ、うまくいったみてぇだなァ」
「台無しだー…見た目いいのに台無しだ—…」

その憂いを帯びた顔は、悪い笑みを浮かべたものに塗り替わり、九十九はついつい声に出してしまった。清楚で純粋そうな女性の姿が、そのセリフによってガラガラと夢をぶち壊された瞬間であった。
【幻影の写し身】《ファントム》は、その名の通り鏡に写した人物を、全く違う人物に変えてしまうというオーパーツである。その効果故、何にでも応用できることから、鏡を所持していた当時の九十九家当主は、厳重な封印をかけ蔵にしまっていたのだ。何人たりとも近づけぬよう、触れぬようにと。しかし何を思ったかドルキマスは、災害前、当時まだ幼い九十九を引き取り(と書いて誘拐と読む)に来た時に、目を盗んで鏡の封印を解き、蔵から持ちだしたというのだ。どうやったかは知る由もないが。
なくなったと思っていた家宝が、今目の前で披露され、それを実際に家の血筋の者以外が使っている場面を見てしまった九十九は、なんだか複雑な気持ちになっていた。しかも持っていった理由が「日本に来た記念」では、さらに心境は複雑がかんじがらめになっていく。

「おら、オメエも」
「うーす…」

家宝をあたかも携帯のように渡された九十九は、ため息をつきながら鏡に自分を写す。
すぐに鏡から風のようなものが吹き出し、一瞬で九十九は別の人間の容姿になっていた。若干老いが入った女性だが、背筋はしゃんとしている。気品を感じさせるその姿はまさにマダムで、今のドルキマスと並ぶと、まるで母娘のようであった。

「あら…私はこのような姿ですか」
「お母様、キャラが変わっておりますわ」
「貴方も、人のことはいえなくてよ」
「そうですわね、ふふ。失念しておりました」

ドルキマスと九十九は、今なっている人物になりきって会話をし始める。いつものしゃべり口調ではかなり怪しまれるからだ。当たり前といえば当たり前だが。

「それよりも先ほどの。ここでして良かったのかしら」
「心配いらないわお母様。見ないようにと念を出しておきましたから」
「(こっちを見る人たちがなんか怖いものを見たような顔で逃げてったのはそのせいすか…)」

実は先ほど2人が会話していた時、全身真っ黒という変わった人物がいたからよってきたのか、近づく野次馬たちをドルキマスはものすごい目で睨みつけたため、怖がって誰も彼もがさっとそこから逃げていったということがあった。九十九は気にしていなかったのか気づいていなかったのか、ドルキマスがそんなことをしていたのは知らなかったようだが。

「とにかく。これで潜入できますわ。早く参りましょう」
「え、ええ。そうね…えーと」
「『ナターシャ』よ、お母様」
「そうね、ナターシャよね。早く行くとしましょうか」

ついさっき思いついた偽名を出すと、九十九はわかったように頷いて車椅子を動かす。


さあ、ここからは戦場という名の『トイ・パーク』だ。


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