複雑・ファジー小説
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- そして誰もいなくなった
- 日時: 2017/01/05 22:29
- 名前: 東哉 (ID: m9NLROFC)
題名パクってんじゃねぇか!と思われた方申し訳ないです
パクったと思われたらそれでおしまいですが、
この話を書く上でこれほどぴったりな名前はなく、
いくら考えてもこの題名しか思いつきませんでした。
もし不快に思いましたらコメントお願い致します。
また、死体表現や、少々グロテスクな表現があるかもしれません。
18禁ではないレベルですが、ご注意ください。
この話は、
どうしようもなく醜く悲しくむくわれない
そう言葉にしてしまえばおしまいな、そんな話。
- Re: そして誰もいなくなった ( No.1 )
- 日時: 2017/01/05 22:34
- 名前: 東哉 (ID: m9NLROFC)
1章/1 夢。
顔になにがかポツ、ポツと落ちてくる。
それは雨のように冷たいわけでもなく
生ぬるく暖かい。
例えるならば、そう、涙だ。
そう意識した途端に誰かの声が聞こえてくる。
『……、る…、あ…して…、…』
悲しそうに何かを言っている。
でもなにを言っているかわからない。
何かに向かって俺は手を伸ばしたその時、
「あいしてる」
何かに首を絞められた。
紛れもなく手形なのがわかる。
そして、ゆっくりと何かの手の力が入ってゆく。
ゆっくりと、ただしっかりと暗闇が近寄ってくるのがわかる。
その暗闇は死だ、そう悟った。
- Re: そして誰もいなくなった ( No.2 )
- 日時: 2017/01/05 22:36
- 名前: 東哉 (ID: m9NLROFC)
「…ヒュっ.……はぁ、ぁ、…夢…?」
朝8時。いつも通りの起床時間。
いつも違うのはこの気分の悪さだ。
絞められた感覚が確かに残っている。
吐きそうだ。汗もびっしょりだ。寒い。
この気持ち悪さにイライラする。
そのとき部屋にノックの音。
8時5分。いつも通りだ。
「……ユウキ、起きてる、?
ご飯、リビングにおいとくわね」
いつも通りの母の遠慮がちな声。
そして母はそのまま言うのだ。
「学校……どうする?」
いつも通り。
そのいつも通りにもイライラする。
悪い夢を見たせいだ。
「……欠席、って言っておくわね、」
そして立ち去る母。
いつも通り。あぁイライラする。
俺は部屋のドアを開け、階段の途中で音に気づいてこちらに振り向いた母に言う。
「…っもういちいち言ってくるな!!うぜぇんだよ!!」
ドン、と壁を殴る。
完全に八つ当たりだ。
いつも通りを壊し、更に母を傷つける自分に自己嫌悪した。
母が、ごめんなさいね、と無理やり繕った笑顔に、
そのまま急いで階段を降りた母の肩は震えていた。
自分なんか死ねばいいのに。
死ねない自分を恨みながら
今日も俺は怠惰な1日を過ごす。
俺、駿河 ユウキ(するが ゆうき)は
ひきこもりである。
- Re: そして誰もいなくなった ( No.3 )
- 日時: 2017/02/14 00:07
- 名前: 東哉 (ID: v2BiiJyf)
1章/2 再会
いつも親とのコミュニケーションは何を言われても、「あぁ」とか「うん」とか、最低限のことしか話さなかったのに、イライラして八つ当たりをし、あげくのはてにこんなゴミを育ててくれて、愛情を注いでくれている相手を泣かしてしまったと言うことは俺を更に責めててた。
そして俺は逃げるかのように財布と携帯のみ持って家を飛び出していた。
外へ出るのは久しぶりだった。
まだ朝だ。とはいえもうすでに登校の時間は終わっており、学生の姿は見えない。
行くあてもなく、近くのコンビニに入った。
特に欲しいものもないので昔ハマっていた週刊少年シャンプを手に取った。
なつかしい、中学の頃はよく読んだっけ。
「……ねぇ、あれ、高校生じゃない…??」
レジのババァ店員2人のひそ、ひそ、と話した声。
しかしその声は客が全然いなくさらに集中して読んでるわけでもない俺の耳に届く。
「ほんとだ、…学校さぼりなのかしら?」
ぎゅ、と雑誌を握る。
きっと俺は学校にもろくに行かないクズだとおもわれているに違いない。
ダラダラと変な汗を掻く。きもちわるい。
「…ゆうくん?」
ぽん、と肩に手が置かれる。
可愛らしい声。小さな手。
「…、っ、あか、ね?」
振り向くとそこには俺と同じ高校の制服を着た幼馴染がいた。
…さっき店員が話してたのはあかねのことか。
「やっぱり!んと、ゆうくん、ひさしぶり!だねっ」
へら、と笑うこいつは野原 茜(のばら あかね)。
隣の家に住む、幼馴染。そして俺の会いたくない人。
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