複雑・ファジー小説
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- ~*優しいあの子がついた優しい嘘*~
- 日時: 2017/08/27 10:35
- 名前: 雪姫 (ID: ru6kJfJs)
貴方の幼い頃仲良かった、大切な幼馴染は—
今何処にいますか—?
そしてその幼馴染と再会した時—
あの頃のままの関係で居られるでしょうか—?
+主な登場人物+
☆名前 猫咲千鶴(ねこざき ちづる)♀
学年 2年
本作の主人公。
めっちゃ暗く素直な性格で人見知りが激しい。
今年の春、親の都合で星月学園に転校してきた。
麻奈とは幼い頃の友達。
☆名前 桜井麻奈(さくらい まな)♀
学年 2年
学園のマドンナ。
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能の完璧かつ性格も明るくて人懐っこくて優しい。
少し男っぽいところもあるが基本は女の子。武術を習っているため凄く強い。
だから、女の子からも男の子からもモテモテ。
☆名前 桐生優(きりゅう ゆう)♀
学年 2年
麻奈のいとこで麻奈のことが大好き。
いつも男装をしており、将来の夢は男になること!そして麻奈と結婚すること。
千鶴とはライバル関係。
☆名前 ラピス・ミフェクター ♀
学年 2年
イギリス人で留学生。普段は片言の日本語で生徒達とコミュニケーションを取る。メモ帳を常備。
容姿と声が可愛いらしい。趣味はお菓子作り。
千鶴の事をなぜか気に入っている。
☆名前 秋山姫(あきやま ひめ) ♀
千鶴達の担任で小学生くらいに背が小さいがこれでも28歳。
彼氏はいないらしい・・・。生徒のみなから「姫ちゃん先生」と呼ばれ慕われている。
生徒からは大人気だが他の先生達からは「変わり者」「先生失格」など嫌われている。
*目次*
〜Prologue〜(>>01
№0 夢(>>02
№1 外国人の少女(>>03
№2 初登校(>>
№3 再会(>>
№4 保健室にて(>>
№5 引きこもり生活(>>
№6 青い海と空と…(>>
№7 とある事件(>>
- 〜Prologue〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/08/26 09:15
- 名前: 雪姫 (ID: HSAwT2Pg)
あれはまだ肌寒い春のことでした——
お父さんの会社が倒産してしまい、あんなに継ぐのを嫌がっていたお婆ちゃんが昔やっていた喫茶店を継ぐことになったのです。
私とお母さんは今引っ越しの準備をしています。
「千鶴〜、準備できた〜?」
「…うん」
「そう。じゃあ、早く車に乗って」
「分かった……」
ガチャと車のドアを開けて乗り込むと車はブゥゥゥゥと走り出しました。
乗りなれた何の変哲もないいつもの車に乗って私とお母さんはは懐かしの街へと向かう…。
どうしてだろう…全然悲しくない…涙も出ない…。
この街に私は全然未練がないという事か……。
「千鶴。クラスのみんなから貰った花束や寄せ書き、大切にするのよ」
「うん……」
私の腕の中にはほとんど話したことのないクラスメイトからの贈り物、花束と寄せ書きが書かれたノートが握りしめています。
顔も名前も知らないクラスメイトのみんなが書いた寄せ書きだからみんな同じようなことを書いてる。
まぁ、当たり前だよね…。
「あっ、千鶴。窓の外を見てごらん、海だよ!」
「えっ?」
お母さんの言った通りに窓の外見てみると…
「わぁ〜!」
そこには、凄く大きくて凄く綺麗なエメラルドグリーン色の海と白くて太陽の光が反射してきれいな砂浜があった。
「綺麗…」
思わず心の声が出てしまった…。お母さんは優しい声で笑いながら、
「そうでしょ〜。竹原の海は綺麗って有名なんだから♪」
「うん! そうだね!!」
自然と私も笑顔で答えてしまう。お母さんには敵わないな…。
「新しい学校は海の近くだってお父さんが言ってたから、良かったね。千鶴」
「えっ? あっ、うん…そうだね…」
新しい学校…。
今までお父さんの転勤とかで何度も転校を経験してるから、全然ドキドキもワクワクもしない。
…新しい出会いなんて無いのを私は知ってるから。
「あっ、そろそろ喫茶珊瑚礁が見えてきたよ!」
気を使ってかお母さんが話を変えた。
喫茶珊瑚礁…お婆ちゃんが昔やっていた喫茶店…。今となっては会社が倒産したお父さんが跡を継いだ喫茶店……。
それでも私にとってとても大切な場所、思い出の場所。
「よ〜し、着いたぁ〜。千鶴〜、もう降りてもいいわよぉ〜」
「わかった」
お母さんにそういわれ、車を降りた。
「ようこそっ、喫茶珊瑚礁へ!!」
「あははは、お父さんなにやってるの♪」
「…………」
ふざけた感じのお父さんが店の中から出てきました、笑っているのはお母さんだけ。
全く笑っていない私を見てお父さんは
「あっ、えっえっと……ほっほら! 早く入りなさい、千鶴」
「言われ無くても入るよ。今日からここが私の家なんだから」
「あっ、ああそうだったね」
「おっ、お父さん…」
自分で言ってあれだけど……そうか、今日からここが私の家なんだ…。
この思い出の喫茶店が、今日から私の家になったんだ……。
そう、心に言い聞かせながら私は“始まりと終わりの家”の中に入って行きました。
キ〜ガッチャン
----------------------------------------------千鶴の日記-------------------------------------
4月2日(晴れ)
今日やっと、お婆ちゃんの喫茶店に着いた。
移動距離が思ったより長くて、お尻が痛い…。
あと、お父さんが変な格好で出迎えてきた。あれは絶対にないと思う…。
今日はほとんど車に乗って居たから何も書くことが無い。
☆今日の気づき☆
あの学校にはなんの未練も無かった。
涙一つ流れなかった。
- №0 夢 ( No.2 )
- 日時: 2017/08/26 09:08
- 名前: 雪姫 (ID: HSAwT2Pg)
「ちーちゃん、ここまでおいで〜♪」
「あっ、待ってよ! まーちゃん!!」
あれ? この光景なんだか、見たことあるような…?
いつ、見たんだっけ…?
「う〜ん…仕方ない! 待ってあげよう!」
「はぁはぁ…ありがとう。まーちゃん。」
「いえいえ、それほどでも〜、あるかなぁ〜♪」
「あっははは♪ なにそれ(」
あっ、そうだ…この女の子たちは小さい頃の私とまーちゃんだ…。
まーちゃん……お婆ちゃんの家に遊びに行ったときに、いつも遊んでくれた優しい女の子。
いつも明るくて元気いっぱいで、私とは正反対の性格の女の子…懐かしいな……。
「ちーちゃん……」
「ん? なにまーちゃん」
「明日にはお家に帰ちゃうんだよね……」
「あ、うん……」
「コラァァァ!!!」
「わぁ!!!? なっ、何?」
「沈んだ顔したらダメだっていつも言ってるでしょ!」
「沈ましたのはまーちゃんじゃあ…?」
「すべこべなべかべ言わない!」
「かべとなべは余計だよ、まーちゃん……。」
くふふ…そういえば、まーちゃんはいつもよくわかんないことばかりっていたな……。
今聞いても、よくわかんないや…。
「とにかくっ、沈んだ顔はしたらダメなの! そんな顔の人にはこれあげないよ!!」
そういうと、まーちゃんはイルカのストラップを差し出した。
「わぁ! イルカさんだぁ!!」
「なぬっ、笑っただと!? 仕方ないっ、これは君のものだ。受け取りたまえ」
「ありがとうございます! 隊長!!」
「どういたましてっ」
あれ? あんなイルカのストラップ貰ってたけ……?
どうしてだろう…? 記憶が無い……。
「あっ、そろそろ帰らないと!」
当然まーちゃんが言い出した。
「えっ、もう!?」
「うんっ、だってもう朝だし」
「今はまだ夕方だよ、まーちゃん…」
そうだよ、まーちゃん。
だからまだ、行かないで…まだ私のそばにいて……
私を1人ぼっちにしないで—お願いだから…まーちゃん
「ハッ?!」
次の瞬間目が覚めると、私は新しい自分の部屋で涙を流しながら寝ていました。
まーちゃんの夢を見たのは何年振りだろう…?
と思いながら、早々と準備食事を済まし懐かしの街に探検しに出かけます。
まーちゃんとの、思い出の場所も見て回りたいから。
- №1 外国人の少女 ( No.3 )
- 日時: 2017/08/27 10:46
- 名前: 雪姫 (ID: ru6kJfJs)
犬山猫坂商店街—
名前の通り、沢山のお店が立ち並ぶ商店街。
ここは昔とそんなに変わらないな…。
私とまーちゃんの思い出のお店がたくさん並んでるや……。
********************************
「知ってる? ちーちゃん」
「何を」
「個々の商店街はね! いぬやまねこさか商店街って言うんだよ!! 犬が山を登って猫が坂を降りるんだよ! 滑り台みたいでしょっ!?」
「わぁ!! ほんとだぁ!! まーちゃん凄い!!」
「ふっふ〜ん、どうだ凄いだろぉ〜♪」
あの時は本気で凄いと思った私だけど、今は全然思わない…時の流れって残酷……。
そういえばなんで、まーちゃんはまーちゃんなんだっけ?
私は千鶴だから、ちーちゃんで……まーちゃんは……?
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「キャッ」
「ん?」
留学生かな?
綺麗な金髪で沢山のノートを持った私と同い年くらいの女の子が、道のど真ん中で転んでいました。
転んだ拍子にノートがばらまかれて、慌てて拾っている…。
でも誰も手伝おうともせずみんな見て見ぬ振りをしてサッサと歩いて行っている…。
まぁ…これが人というものだよね、今まで行ったどの町でもそんな感じだったから…。
私も無視して通り過ぎ去ろうとしたんだけど…
***
「人助けをしたら、大福が貰えるんだよ!」
「まーちゃん…大福じゃなくて幸せだよ?」
「えっ、そうなの!?」
***
まーちゃんと話したことを思い出してしまいました…。
なんでこのタイミングで…。なんだか、まーちゃんに「人助けしてあげなよ」と背中を押されたような気がした…仕方ないので手伝ってあげよう…かな。
「アッ、アリガトウゴザイマス!!」
ノートを拾っただけなのに女の子はペコペコと頭を下げる…。
「いや、もういいですからっ。今度は気負つけてくださいね、それじゃあっ」
「ア!」
何か言いたそうな顔をしていたけど、それを無視して早々にその場を立ち去りました。
だって、他人と深くかかわったところでなにもいいことなんてないのだから……。
---------------------------------------千鶴の日記--------------------------------------------
4月3日(晴れ)
今日は久しぶりに犬山猫坂商店街を歩きました。
昔とそんなに変わってなくて、凄く安心しました。
知らない留学生のノートを拾うのを手伝ったら、凄いお礼を言われました。
もう人助けなんて慣れないことををするのはやめようと思いました…。
☆今日の気づき☆
英語を少し勉強した方がいいと思う。
今日の留学生が日本語を話せて本当に良かった……。
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