複雑・ファジー小説
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- 短編集。。
- 日時: 2017/01/12 00:49
- 名前: 胡瓜 ◆xMbvVxmzM. (ID: w79JdDm2)
はじめまして。
胡瓜と申します。
ここでは、作者が思い付いた短めのお話を書きたいと思います。おそらく、ジャンルは恋愛…?です。
荒し、誹謗中傷は止めて下さい。
以上を踏まえて読んで頂けると嬉しいです。
- Re: 短編集。。 ( No.1 )
- 日時: 2017/01/12 01:11
- 名前: 胡瓜 ◆xMbvVxmzM. (ID: w79JdDm2)
『放課後の第一音楽室』
「冬樹君、六花大付属受かったのね。おめでとう」
俺は冬樹。ピアノが好きで、ここらでは有名な音大の六花大の付属高校に入学する事になった。
「先生、今日も良いですか」
「ああはいはい、これね」
先生がこれ、と言って渡したのは第一音楽室の鍵だった。何時も放課後にここでピアノの練習をしている。
家にピアノが無い訳ではない。家では、父と母がケンカばかりしていて、ピアノを弾く気になれないのだ。
因みに、ここへ行く理由はこれだけでは無い。
「四時には返してね」
「ありがとうございます」
◆◇◆
第一音楽室には、“あの人”が居るのだ。
鍵を使い第一音楽室に入る。“あの人”はグランドピアノの上に座っていた。
「ダメだよ、ピアノの上に乗るなんて」
濡れた様に煌めく艷やかな黒髪、ふわふわひらひらした黒のドレス、左目の泣きほくろが特徴的な彼女は、こう言った。
「良いじゃない、このくらい」
- Re: 短編集。。 ( No.2 )
- 日時: 2017/01/13 00:16
- 名前: 胡瓜 ◆xMbvVxmzM. (ID: w79JdDm2)
彼女は、自称『ピアノの精霊』らしい。僕は幽霊か何かの類いだと思っているが、僕にしか見えていない様だから、人外であることは間違いないだろう。
「ほら、ピアノ練習来たんだからそこ退いて」
「またあの曲を弾くの?飽きないわねぇ」
「うるさい」
僕は楽譜をセットし、手を最初の位置に置いた。まず、右手の人差し指から動き始める。右手がメロディーを奏でると、左手の小指と中指が同時に動き、伴奏スタートの合図の和音を奏でた。
昔から、音楽は好きだった。
ピアノで好きな曲を弾けば、親の怒鳴り声は聞こえない。手を動かせば、僕の居る空間はカラフルに色付いた。
切る様な音を出せばその度に小さくて可愛らしい花が咲き、ペダルを踏むと夜空はオーロラが光った。
こうなるのがただ好きだっただけなのに、いつの間にかたくさん賞を貰って、『天才少年ピアニスト』なんて囃したてられた。
それでも良かった。
家族の中に笑顔と会話が生まれるのならば。
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