複雑・ファジー小説
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- 無口少女と愉快なアニマルズ（仮題）
- 日時： 2017/01/13 12:10
- 名前： 雪姫 （ID: 4J23F72m）
episode0 毛玉拾いました
夕暮れ。沢山の人であふれる商店街を黙々と歩く、家へ帰宅途中の少女が一人。
商店街には様々な声と音であふれていました。
店の主人の客寄せのダミ声。行き交う人々の話声、足音。
そのどれにも耳を貸さず、少女は家路を目指す。なぜなら今日は夕方から見たいドラマの再放送があるからです。
先週のラストで主人公とヒロインが両親の反対を押し切って、駆け落ちしようと崖へ行った際、神の悪戯か、神風が吹きふわっとめくれ上がったヒロインのスカートに見とれていたアホ主人公はヒロインの強烈ビンタをくらい、崖から転落した後のことが気になってしょうがないのです。
もちろん抜かりなく録画済みなのです。でもリアルタイムで見るのと録画したのを見たのでは感動がぜんっっぜんっ違うのですっ。ワカメとコンブくらい違うのですっ。
だから一秒でも早く帰って……
「クゥ〜ン」
だから一秒でも早く帰らないと……
「クゥ〜ン」
色んな声や音に混じって弱弱しい動物の鳴き声が聞こえてくる。どこから?
立ち止まり声の主を探してみると、薄暗い路地裏に小さなダンボール箱が置いてありました。どうやらこの中から声がするみたいです。
蓋が閉じてたので開けてみると、中には…
「クゥン」
カレーうどんを食べていたら汁が服に飛んで慌てて吹いたけどシミが残ったあの色のふわふわの手乗りサイズの毛玉と
［可愛い猫です。可愛がってあげてください］
と書かれた紙が添えてありました。捨て猫ですか?と不思議に思いつつ毛玉をつんつんとつついてみますと
「クゥ!」
「わっ」
毛玉が飛びついて来ました。驚いて思わず、尻餅をついてしまいました。
毛玉は甘えた声を出して体をこすりつけてます。どうやら懐かれてしまったようです。どうしましょう…。
［ピンポーンパンポーン。五時です。五時をお知らせします。ピンポーンパンポーン］
あ、いけません。ドラマの再放送が始まってしまいます。でも毛玉は私にくっついたままです。
…こうなっては仕方ありません、ドラマ最優先なのです。ここまま帰りましょう。
「貴方の事はひとまず保留なのです」
「クゥ?」
立ち上がり、私は急いで家へ帰りました。走って帰りました。
家に帰宅後判明したことなのですが、どうやら私は運命の淵に立たされたようです。道端に落ちている毛玉なんて拾う物じゃありませんね。
-To be continued-
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開設日2017/1/13（金）
