複雑・ファジー小説
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- 美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年-完結-
- 日時: 2017/02/06 09:50
- 名前: 姫凛 (ID: gV64xmvp)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16274
▼━━━━−−ご挨拶をば 】
こんにちは 姫凛(プリン)と言います。
クリックありがとうございます(*'▽')
この作品は、私が今執筆中の「シークレットガーデン〜小さな箱庭〜」のスピンオフになります。
詳しく言うと、本編 第五章シルの封じた過去編の続きです☆
※本編は上記URLにあります。
一応 本編を読んだことのない人でも楽しめる内容にしています。
…が 当然 本編を読まれてた方がより楽しめると思われます。
タイトル変わりました!
「家畜として育てられた少女の物語」→「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」
シークレットガーデンとかのタイトルは尺の都合でカットしましたorz
※無事に完結致しました! 皆さまありがとうございました( *´艸`)
▼━━━━−−目次 】
『登場人物>>13-14
「prologue 美しき雌豚>>01
「第一階層 小さいシルさんとの出会い>>02
「第二階層 ”——”>>03
▽━━━━−−美しき雌豚と呼ばれた少女 】
「第1.5階層 幻の扉 開かれん >>04
「第三階層 オークション会場 >>05
「第四階層 機械仕掛けの街 >>06
「第五階層 家族との再会 >>07
「第六階層 〇〇との出会い >>08
「第七階層 突然の夢の終わり >>09-10
・選択肢 『憎い! でも…僕は…』 >>12
・選択肢 『憎い! 殺す! 殺してやる!!』 >>11 …彷徨いEND
▽━━━━−−おくびょう兎と呼ばれた少年】
「???階層 奪う側/奪われる側 >>15
「???階層 嬉しい再会 そして別れ >>16
「???階層 奪わせないッ 誰にも >>17
「最下層 奪わせないッ もう二度と >>18-19
△━━━━−−完結 】
「あとがき >>
▼━━━━−−その他 作品 】
複ファ板「シークレットガーデン〜小さな箱庭〜」
ニーアレプリカント×ハガレン(二次旧で昔書いてた物)をベースにしたオリジナル作品です♪
複ファ板「シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語」
本編 第一章シレーナの過去へを引っこ抜いた(切り抜いた)作品です。完結済み★
- 第二階層 ”——” ( No.3 )
- 日時: 2017/02/03 11:35
- 名前: 姫凛 (ID: 13XN7dsw)
第二階層?
もう目を開けなくてもわかる ここがどこだなんて
だって
暖かい日差し 動物の鳴き声 青々とした草木の香り
「また牧場だね」
「そうでございますね」
やっぱり第二階層もまた牧場だった。
ここはシルさんにとってとても思い出深い場所、という事なのかな?
それにシルさんのお母さんが言ったあの言葉…。
ちょっと不思議に思いつつも シルさんを探しにまた牧場を探索しようとしたら
『きゃああ!!?』
『だ、誰かたすけてくれー!!』
「「っ!?」」
女の人の悲鳴と男の人の助けを求める声が聞こえてきた。
声はそう遠くない、すぐ近くだ!
「パピコさん!」
「はいっ!」
僕たちはすぐに声がした方へ走って行った。
「あれは魔がい物!?」
魔がい物
プリンセシナに巣喰うバケモノ。
黒い人の形をしているけど目は真っ赤で 口からは紫の液体がダラダラチ垂れ流しで
食べる事しか頭にない生き物? なんだ。
あいつらがなんなのかは僕にもわからない。
でもあいつらはプリンセシナ内で暴れまわり 最後にはシークレットガーデンを壊す危険な存在だ。
一体の魔がい物が農家のおじさんのような格好の男の人とその奥さんらしき女の人に襲いかかろうとしている。
『た…たすけ』
『…ぁああ』
「グルル」
あの人たちを助けないと! 僕は考えるよりも先に剣を抜き
「はぁぁぁ!!」
「グギャァァァ」
気づいたら魔がい物を真っ二つに切り裂いていた。
魔がい物は「グガカ」と断末魔をあげたあと
黒い煙となって消滅した。表現としてあってるのかはわからないけど、゛消滅した”
って言うのが一番合っているような気がする…。
「はぁ…はぁ。 大丈夫ですか?」
『ぁ…ありがとうございます』
『た…助かったのか…私たちは…』
農家さんのご夫婦は 緊張の糸がほつれたみたいで安堵の表情をしている。
良かった二人共 怪我とかはないみたいだ。
そうだ。あの二人ならシルさんがどこにいるのか知ってたりしないかな?
「あのすみません。 シルさんがどこにいるかご存知ないですか?」
『シル…さんですか?』
二人とも首をかしげている。
シルさんって言ったから伝わらなかったのかな…?
じゃあ、別の言い方ならどう?
「えっとあそこの牧場の女の子なんですが…」
『あぁ。″−−−″ちゃんのことね』
あ…まただ
またあの違和感を感じたような気がする。
『なんだ。あんた知らないのかい?』
「?」
農家のおじさんが呆れた顔をしてる。奥さんが続けて
『あの子、少し前に行方不明になったそうなんですよ』
「えっ行方不明!?」
『ええ。今は森緑の騎士団の方々が探しているらしいけど…』
『まだ見つからないらしいよな』
「そんな!?」
僕が知らない間に、第一階層と第二階層の間でシルさんは行く屁不明になってしまったになってしまったみたいだ。
いったい 二つの階層の間でなにがあったんだ!?
シルさん、どこへいってしまったんの? とにかく第三階層へ早く行かないと!
いや先に行くべきは 第一階層と第二階層の間の階層?
う〜〜ん、僕だけじゃわからないや
ここはパピコさんに相談してみよう。
「教えてくださってありがとうございました。
じゃあ僕らはこのへんで…」
『あ?あぁ。助けてくれてありがとよ』
『本当にありがとうございます』
農家さんのご夫婦と別れて、僕はすぐにパピコさんに聞いてみた。
「ねぇパピコさん。
第一階層と第二階層の間に あった出来事って見ることはできないのかな?」
「…できないことはありませんよ」
「えっ そうなの!?」
パピコさんは思ってたよりもあっさり答えてくれた。
良かった! ならすぐにでも見に行こう!
と僕は思ったけどパピコさんの表情が浮かない。
「もしかして…絆度が?」
「はい…。
この記憶はシルさまにとっては最も見られたくない記憶の一部なのでしょう。
ですから内容が全てカットされていたのです」
「そっか…」
僕はまだシルさんに信用してもらえてない。
絆度が足りない今の状態ではここらへんが限界ということなの…か。
「でもでもぉ、絆が深まればこっちのもの♪
意図的に消された、幻の扉も出現するというものです」
「幻の扉?」
パピコさんいわく
幻の扉とは本来は存在しないもの / ありえないもの らしい。
深い絆で結ばれた者同士だけだ出現させて、開くことができる扉らしい。
「ささっご主人様。お帰りの時間でございますよ」
「うん…わかった」
体が光に包まれていく。
「シルさまとご主人様の絆が深まり、幻の扉が出現しましたらまた 愛のラブコールにておせらせ致しますね〜♪」
と言っていたパピコさんの言葉を最後に僕の意識はプツンと、電池の切れた機械のように 途切れ視界は真っ暗になった。
[やっと帰ってくれた…
でもせっかく魔がい物を用意してあげたのに
あんなにもあっさり倒されたらつまらないな…。
次は—
ってボクはなにを考えてるんだろ?
彼が此処に来ることなんてもうないのに
だって—
あいつとアイツの絆が深まるなんて
ありえないもの——]
- 第1.5階層 幻の扉 開かれん ( No.4 )
- 日時: 2017/02/06 10:00
- 名前: 姫凛 (ID: gV64xmvp)
ある日のこと。
『ご主人様!ご主人様!』
いつも通りに過ごしていると 突然 頭の中からパピコの声が聞こえてきたのだ。
『パピコ…さん? どうかしたの?』
『どうかしたの? じゃねーですよ!
シルさまとご主人様の絆が深まったのでお知らせに来たのですよっ!』
『本当!? ちょっと待ってシルさんに話して来るから!!』
『ああんっ、ご主人様〜〜』
嬉しくなってすぐにシルさんに報告した。
そしてすぐに僕はシルさんのプリンセシナに向かうことにしたんだ。
昔の人の言葉で
善は急げって言うしねっ。
***
第1.5階層
『モゥ〜〜』
やっぱ幻の階層も牧場だった。
シルさんはこの広い牧場の何処かに居て、なにかがあって行方不明になるんだ。
早く探さないと!!
(これは過去の出来事を追体験しているにすぎない。
ルシアに過去の出来事を変える権限はない)
牧場を走り回っていたら、小さいシルさんと最後に合ったあの赤い屋根の小屋のところで
『あ、お兄ちゃんたち!』
「…あ シルさんここにいたんだね」
馬たちに牧草をあげる小さいシルさんの姿あった。
良かった今はまだ何もないみたいだ。元気そうに笑いながら馬たちにご飯をあげてる。
『またあったね!』
「うん そうだね。あれ? もしかして少し大きくなった?」
『えへへ。そうかな〜?』
小さいシルさんは嬉しそうにくるりと回る。
「……ご主人様」
「わ!?どうしたのパピコさんっ!?」
肩のところにすごく怖い顔のパピコさんがいた。
近いっそして怖いよっ!
「(幼女でもいいだなんて…どんだけですか!)」
「…??」
なにかそっぽを向いてブツブツ言っているけど…あれは放って置いた方がいい…のかな?
『ヒィィィン!!』
「「!!?」」
馬の悲鳴のような鳴き声が聞こえてきた。
『シルビア!?』
「待ってシルさんっ!?」
止める間もなく小さいシルさんは何処かへ向かって走り出した。
前 バケツを運ぶのを手伝ったときも思ったけど シルさんはとても足が速い。
僕も自分じゃ 速い方だと思っていたんけど小さいシルさんの方がその何倍も速い。
僕たちは見失なってしまう前に小さいシルさんを追って走る。
***
『おぉう。はぐれ馬か!』
『ヒヒッ ヒヒン』
『白馬だぜ!?しかも毛並みも良いし こりゃ高値で売れるぜ親分』
『ぐへへっ、しばらくは遊んで暮らせるぜ』
(三人の山賊たちがシルビアを囲い、下品に笑い名が馬車に載せている檻の中へ入れ込もうとしている)
『シルビアー!!』
『『ああん?』』
『はなして! シルビア いたがってる! はなしてあげてよー!』
『なんじゃいっ、このガキはっ!!』
『きゃっ!?』
(愛馬 シルビアのピンチにシルは 勇敢にも山賊たちのリーダーの腕にしがみついたが
いとも簡単に振りほどかれ
地面に放り投げられてしまった)
『なぁ…このガキも連れてこうぜ 親分』
『そうでさぁー、売れるとこじゃ高値で売れると思いやすぜぇ〜きっと』
(男の一人がシルの顎をくいっと持ち上げ、下品な顔を近づける)
「シルさーん!!」
『たすけて……おにいちゃーん!!』
「ご主人様、シルさまがピンチでございますよっ」
「うんっわかってる。お前たちよくもシルさんとシルビアを!!」
腰に下げた剣に手をかける。
『おぃぃ、なんか変なのが出てきたぞ!
お前らこいつらの相手は頼んだぞ! こっちに来いっ!』
『いやあぁぁ!! お兄ちゃーーん!! たすけてー!!』
「シルさ『おおっとそうはさせないぜ』
くっ。
シルさんを追いかけようとしたら、シルさんとシルビアを連れ去ったあいつの部下らしき男二人が行く手を阻んできた。
「貴方たちと遊んでる暇はないんです!どけてください!」
『『キヒヒヒ…』』
「待ってくださいまし、ご主人様!」
男たちを無理にでもどかそうとしたら、パピコさんがそれを止めた。
いったん離れて男たちを見てみる。
おかしい…。男たちの様子がおかしいんだ。
『『キヒヒヒィ』』
不気味に嗤い出して目の視点が合ってない。あれは…
『『キヒヒ…グルゥ……グアァァァ』』
「ひっ!?」
男たちは突然 口から黒い煙の様な物をだして
その煙は男たちを包み込み
気づけば男たちは魔がい物へとなり果てていた…。
「魔がい物ってこんな 突然なるもなの!?」
「知りませんよっ!? そもそもあの方たちはデスピル病患者というわけでもないようですし…!」
パピコさんにもなにがなんなのかわからないみたいだ…。
「「グシャァァァ!!」」
「今は考えている暇なんてないみたいだ」
僕は剣を抜き、魔がい物たちと戦う。
「ヤァァァ!」
二体一はキツイ。
片方を攻撃してる間にもう片方が攻撃して来るからだ。
でも二匹同時に攻撃できないし 二匹の動きを集中してみる事も出来ない。
「うわっ」
とか考えてたら攻撃をされる。
どうしたら——
[アハハッ 困ってる 困ってる アハハハハハッ!!]
「鬼さ〜んこちらですよ〜」
「パピコさん!?」
戦闘は出来ないから、戦いのときはいつも物陰に隠れているはずの
パピコさんなぜかでてきて、魔がい物注意を引いてくれている。
なんて危険なことを! でも
「ありがとう!!」
「オォォウ!!」
僕はパピコさんが作ってくれたスキを突いて魔がい物を斬った。
「ふぅ…なんとか勝った」
「さっすが、ご主人様♪ 惚れ惚れしますぅ」
「パピコさんが魔がい物の注意を引いてくれたからだよ。
ありがとう。でも、もうあんな無茶しないでね?」
「きゃんっ♪ パピコ嬉しい!
これが夫婦初めての共同作業とゆうものなのですねっ♪」
さて
正直今回は 厳しかった…。
今度また二体一の戦いになった時のために今日の事は反省して復習しておかないと…
「そうだっ! シルさんはっ!?」
当たりのどこを探しても、シルさんとシルビアを連れ去った山賊の馬車の姿はない。
「戦っている間にまんまと逃げられてしまったゆですね…」
「くそう!」
僕がここでなにかをしたところで すでに起こった過去が変わらないのは知ってる。
でも だからと言って女の子が連れ去られるのを黙って見逃すだなんて!!
「次の階層へ急ごう、パピコさん!」
「あ…はい」
僕たちは第三階層へと急ぐ。
[あ〜あ。
いいとこまでイッタのにまた駄目だった…。
それにしてもまさかここに来るとは…ね。
驚いた。まさかアイツが誰かに心を開くだなんて。
でもボクはそうはいかない。
オマエ達なんて簡単に捻り殺してア・ゲ・ル・よ]
- 第三階層 オークション会場 ( No.5 )
- 日時: 2017/02/03 11:42
- 名前: 姫凛 (ID: 13XN7dsw)
ん…ここは?
次に目を開けた場所は牧場じゃなかった。
「会場…?」
大きくてドーム型になっている会場?
中央に舞台があってそれを囲うように観客席らしきものがある。
お客さんらしき人達は高そうな毛皮や装飾品を付けて、顔にはなぜか仮面もしている。
会場は薄暗い…。灯りは点々とまばらにあるロウソクの炎しかない。
僕とパピコさんはどうしてか、観客席に座っていた。
辺りを見ていると急にドドドッと太鼓の音とラッパ? とかの音楽が鳴って、パァァッと中央の舞台にライトが当たって明るくなった。
舞台の真ん中には中華民族風の衣装を着た
黒髪ポニーテールで糸目の長くて一つにまとめているヒゲを生やした男の人が立っていた。
『ハーイ、ミナサン見てラッシャイ! 寄ってラッシャイ!
今日もキュートでラブリーなペットちゃんが揃ってるネ!』
ペット…?
動物の事かな? 魔女の怪しい儀式みたいな風景だったから、なにかと思ったけど…。
なんだ、ただの動物を売ってるだけなんだね。
「…そうでしょうか?」
「パピコさん?」
『ホッホッホ』
「こちらお金持ってそうなご老人が多くありません?」
「…うん …たしかに。 みんな変な仮面つけて顔を隠しているし…」
やっぱりただのペット屋さんじゃ…ない?
『ハーイ!デハ最初の商品ハー』
「「おぉぉぉう!!」」
「…ぇ」
『世にも珍しイ、森の国のさらに奥地にアルとされる隠れ里ナンカデ暮らしているという
リリアンの娘デース!歳はまだ十代の未熟な果実!』
舞台の上に現れたのは僕と同い年くらい
十八歳くらいのウサギの耳と尻尾が生えた女の子だった。
首と手には分厚く冷たそうな鉄の鎖と手錠がかけられているっ。
「動物ってまさか!!?」
『どうしたのかね? 少年、そんなに身を乗り出しては他の客の迷惑になるぞ?』
「…ぁ」
隣の席に座っていた白いサンタさんのようなヒゲをはやしたお爺さんに怒られた。
あっそうだ。このお爺さんなら、ここがどうゆうところなのかわかるかも!
怒られついでで訊いてみよう。
「あのここで取り扱っている商品って…」
『商品? あぁ。ここの品ぞろえは実にいいですなぁ。
リリアンなぞ珍しい種族、他ではそうお目にかかりませぬぞ』
「はぁ…はぁ…?」
『それにコワレタラ廃品回収までもしてくれる。
本当に良い店だ。さすが、天下のドルファフィーリングだ。
この店はわたしのお勧めだよ、少年』
「壊れた…?」
どういう意味だろう…?
( 壊れる / コワレル
あまりにも酷い 肉体労働 惨い仕打ち 拷問 地獄の様な日々 自害の失敗
それらを繰り返すことによって 人の脆い精神は簡単に / 粉粉に
コワレル )
『続きマシテの商品はー』
次に舞台に上がって来たのは…あの子はっ!?
『……』
『山の国から連れ帰って参りマシタ! マダ齢六の幼女。
どのように育てるも(コロスも)アナタ様しだいでゴザイマース!』
「シルさんっ」
「あの山賊どもっ、シルさまを売りやがりましたねぇ!!」
「パピコさんっ!」
「はいっ!?」
「一生のお願い、お金貸して!!」
「えぇー!?」
本当は力づくでもシルさんを助けたいっ。…けど今は派手な行動は控えた方がいいと思う。
さっき隣のお爺さんが叱ってくれなかったら、僕は…
観客席の袖で待機している黒いスーツと黒いサングラス 手にはライフルを持った あの黒服達に撃たれてただろうから…。
「ご主人様…お気持ちはわかりますが…」
「時間がないんだっ!!」
そう僕たちにもシルさんにも時間がない。
見ててわかったんだけど、ここはオークション方式でさらわれた女の子は売買されているみたい。
今もシルさんにかけられた値段が 百万単位で上がっていく。
このままじゃ、誰かに買われて 助けられなくなる!
「はやくっパピコさ『その娘、わたしが三億で買った!』…あ」
『『さ、三億だとぉ!?』』
ざわっ ざわざわと会場がよどめわきたつ。
『他にイナイネ? ハーイ! パクホー伯爵の落札ダヨー!』
カンカンッと落札の合図のコングが鳴らされる…。オークションが終わった。
『悪いね、少年。
オークションとはせりを見極めるのが重要なのだよ。次は頑張りたまえ ホッホッホ』
シルさんを買ったのは、隣の席のあのお爺さん。
負けた。
僕は初めてのオークションで
せりにかけられた友達を救う
絶対に負けっちゃいけないオークションで
負けた。
[ ……。
え? ボクは誰なんだって? そんなこと知ってどうするのさ
そんなのキミには関係ないね。
キミはキミのくだらない、シアワセに満ちた毎日でも送ってればいいんじゃないの?
あーあ。ホント くだらない なにもかも ]
- 第四階層 機械仕掛けの街 ( No.6 )
- 日時: 2017/02/03 11:46
- 名前: 姫凛 (ID: 13XN7dsw)
第四階層…。
第三階層でシルさんを救えなかった僕たちは、次の階層へとやってきた。
「エッホ、ケッホッ」
ここは。ひとことでいうと、鋼鉄の街って感じ。あと咳が止まらなくなる場所だった。
黒くて大きい工場みたいな建物が沢山あって、モクモクと黒い煙が煙突からいっぱいでている。
あっちこっちからカンカン トントン って機械音が聞こえてくる。
空は分厚い黒い雲に覆われて真っ暗だ…。今が朝なのか昼なのか夜なのか、全然わからない。
「…なんだか、すごいハイテク? なところだね」
「そうですね…。産業革命っ! って感じですね、ご主人様っ」
「…すごく都会的ってこと?」
「もぅっカワイイ♪」
???
***
バチンッ!!
(ムチのような) なにかで叩く音と
『ほらっ。まだ汚いかエ。ちゃんと綺麗に拭きなエ!!』
バチンッ!!
すごく怒っている女の人の声が聞こえてくる。
「あちらからの建物からです」
パピコさんが指さす方向には、大きくて巨大で金ぴかで ちょっとしたお城みたいな建物だった。
僕たちは庭に生えている木の物陰に隠れながら、声のする方へ近づいて行ことにしたんだ。
そうしたら……見えたのは…
『………』
無言で渡り廊下を拭き続ける女の子の姿が…。
「あれは…シルさん?」
「ここはシルさまが買われた先でしたのですね」
シルさんが四つん這いになって、廊下を拭いていた。
着ている服はボロボロで薄汚れてて一度も洗濯されてないのがわかる。
髪もクシが通されてないボサボサ。顔や手足は傷だらけ。
遠くから少し見ただけでも、わかる。シルさんがどんな状況でどんな酷いことをされていたのか…。
『ちょいと、返事はないのかエ?』
シルさんの傍に仁王立ちしている女の人。
トマト色の髪を後頭部でお花みたいに 四つ葉のクローバーのような形の髪型で真っ赤な深紅の薔薇が装飾されたドレスを着てる女の人。
不満そうな顔でシルさんを見下げてる。
『へ・ん・じはエ?』
『…はい』
『小さいかエ!!』
バチンッ!!
『ッ!!』
トマトさんが持っていたムチが振り上げられて、ムチの先がシルさんの体に振り落とされる。
バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!
何度も 何度も
シルさんにムチが振り下ろされる。
さっき僕が聞いた音はこの音だったんだ。
『返事が小さいかエ!?』
『はいっ!』
『うるさいエッ!! 静にしないエ』
『すみませんっ……すみませんっ!』
泣きながらシルさんは謝る。 でもムチは振り下ろされ続ける。
何度も 何度も 何度も 何度も!!
「もう止めてあげてよっ!「ご主人様駄目ですっ」
止めに入ろうとする僕をパピコさんが止める。
酷いよ…こんなの…酷すぎるよ!! シルさんが…いったい…なにをしたって言うんだよっ!!
『ほらっ拭きなかエ!? まだ全然っ、汚れが落ちてないかエ』
ビチャッ ポタポタ…
汚れ。
そうだね。貴方からみたらそう、見えるんだね。…あの赤い液体が。
何度もムチで叩かれて、シルさんの体のあちこっちから血が流れ落ちている。
その血は廊下を汚す? 違う。 貴方がシルさんをムチで!!
『……ぅ』
『泣いてる暇があるのかエ?』
バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!
ムチは容赦なく振り下ろされ続ける。
『お姉さま……ってまだ掃除してましたノ? メスブタさん』
「あの人は?」
トマトさんと同じ髪型で、オレンジパプリカのような髪色で、山吹色のタンポポを装飾されたドレスを着た女の人が、シルさんの掃除している廊下の反対側からやってきた。
「お姉さま…。同じ髪型で同じような見た目だから姉妹かな?」
「きっとそうでしょうね。 性格腐ってそうですし」
「うん」
トマトさんはパプリカさんの方を振り向くと
『あら、メリアントさん。メスブタ、だなんてお下品ですエ?
この子は、"シル"よエ』
「シル!?」
そうか…ここで この瞬間 シルさんはシルさんになったんだ…。
『まぁ。ワタクシとなしたコトがなんとはしたない。
オマエのせいよ、シル!』
『………ぁがっ!!』
「っ!!?」
懸命に自分の血を拭き続けるシルさんの頭をパプリカさんは、かかとが鋭利な刃物くらいに尖ったヒールの先で踏みつけtた。
何度も 何度も 何度も 何度も 何度も!
シルさんの頭を踏みつける。
「……なんなんだよ。 …なんだよ、これ!!?」
「ご主人様…」
僕はただ叫ぶ事しか出来なかった。
なにも出来ない自分が腹立たしくて…
「どうして!? シルさんがこんな目に合わないといけないんだよ!!
どうして!? なにも悪い事なんてしてないのに!!
どうしてなんだよ!? 答えてよパピコさん!!」
ただ叫ぶ事しか出来なかった…。
パピコさんに八つ当たりすることしか出来なかった…。
[コワレロ。
コワレテしまえ。
なにもかも 全部 コワレテちゃえ
この世界はザンコクだ
ボク達にイバショなんてない
ワタシ達はコワレテ 処分されるだけの ソンザイ
コワレロ。
コワレテしまえばいい
なにもかも 全て 全部 全部巻き込んで
愛も憎しみも 希望も絶望も 全部 コワレテしまえ]
- 第五階層 家族との再会 ( No.7 )
- 日時: 2017/02/04 13:43
- 名前: 姫凛 (ID: /JJVWoad)
第五階層もやっぱりあの嫌な屋敷だった。
バチンッ!! バチンッ!!
またあのムチの音が聞こえてくる…。
『…ぅ…くっ!!』
シルさんの小さな悲鳴が聞こえてくる…。
やめて…やめて…よ…。
『マリアント、メリアント。少しいいかな?』
『『は〜い』』
「あの人は…たしか…」
第三階層のオークション会場で僕の隣に座っていた人
シルさんを買っていって、こんな酷いことを平気な顔でさせている
この屋敷の主 パクホー伯爵…さん?
がトマトさんとパプリカさんを呼んで、外へ連れ出した。シルさんも後をついていく。
「僕たちも行ってみよう」
「はいっ」
ついてってみるとそこには、パクホー伯爵とその隣に一匹の白馬…
『…シルビア?』
シルさんが誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた。
そこにいたのは重く冷たい鎖で繋がれたシルビアいた。シルビアは元気がなさそうに下を向いている。
その表情からは生気を感じらない。たぶんここに連れて来られる前にも、酷い環境で酷いことをされてきたんだと思う…。
『まぁあ。お父様その馬ハ?』
『いつも出来損ない(シル)の教育を頑張る君たちへのご褒美なのだよ』
パクホー伯爵は自慢げに自分の白いヒゲを触りながら言っている。
出来損ない? シルさんの教育を頑張っている? ご褒美?
「あんなのただの拷問じゃないか!? それでご褒美だって?」
狂ってる…。この屋敷の人たちは狂ってるよっ!!
『まぁ〜美しい毛並みの馬だかエ』
『嬉しいですワ』
『『ありがとうございますエ。お父様』』
『フォッ フォッ フォ』
狂っている家族は嗤っている。愉しそうですね…すごく…。
***
不意に目の前が歪む。グラングランと景色が歪む。
僕は頭を押さえて目をつむる。
「……治まった?」
グラグラする変な感覚が治まり、目を開けてみる。最初に視界に入ってきたのは
『ヒヒーーン!!』
『きゃあ!? もうなんですノ この馬!』
ビチンッ!
シルビアが背に乗ろうとするパプリカさんを振り落として、騎馬用のムチでお尻を叩かれている光景だった。
『ワタクシの言うことが訊けないとでもいいうノ!?』
ビチッ バチッ!
『……ヒヒッ』
何度も! 何度も! パプリカさんはムチでシルビアを叩く。
シルビアはそれを必死に耐えている。やめてよ…なんでこんな…酷いことが…出来るの?
『シルビア』
後ろから声が。 振り返ると、心配そうで/悔しそう なシルさんがまた廊下の掃除をさせられていた。
『よそ見してるのじゃないかエ!!』
バチンッ!!
『…っぅ。すみません』
また叩く。ムチで。
「見ていて気分のよろしくない 光景が続きますね」
不意にパピコさんがそう言った。
僕はパピコさんのその言葉に何も返さず。次の階層を目指す。
なにも言えるわけないじゃないか…。こんな…くっ!
[もう少しかな? アイツがコワレルのは。
それとも もうすでにコワレテしまっているのかな?
アハハ…アハハハハハハッ]