複雑・ファジー小説
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- -塀の中の暗殺者-【オリキャラ募集中】
- 日時: 2017/02/04 22:07
- 名前: あぽろ (ID: HIlhEcoy)
死ねーーーなんて、ありふれた言葉。
その言葉を放つ人間の中で、『死ぬ』恐ろしさを知っているのは、どれだけ一部なのだろうか?
それも知らずに放つ言葉は、本当に意味を持っているのかな。
ーーーー相手に、届いているかな。
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・流血表現、銃声などの表現が含まれます。苦手な方はご退室ください。
・オリキャラを作ってくださる際は、下記のように記入してください。
・年齢、名前。(不明、またはコードネームでもok)
・性格、どのような戦闘が得意か。
・暗殺してきた人数。
・その他自分が好きな設定。
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「卒業…とは言わねえが、脱獄…っていうのはどうだ…?」
その言葉は、不思議と僕の思考を変えていった。
あの低い声、そして凍り付くような眼に慣れることはないけれど、学校に侵入して、『余命』を宣告される内に、ある感情が芽生えた。
『殺して、脱獄する』ってね。
暗殺者になった以上、『普通』だった生活を取り戻すことはまず、出来ない。
山の静まり返った路地に入り、桜坂刑務所と書かれた門を飛び越え、山奥へ歩く。
その静かさは、先ほどのビルが立ち並ぶ街中の騒がしさを直ぐに忘れてしまうぐらいだ。
手ぶらで薄い明らかに囚人ですと言わんばかりの服。今更ダサいなんて思えない。
最近の流行りのファッションは何なのだろう。突然親戚にいた年老いたおじさんが「最近の流行りがわからん。」ととぼけたように言っている気持ちが少しわかった。
少し渋いような土の匂いと、自然の風。
少し気味が悪いけど、歩き進む。
俺にとっての学校の門に足を踏み入れて、少し重い扉を開ける。
黒ずんだ場所が所々ある廊下を歩き進んで、一つしかない教室に入る。
もう、『暗殺』は、始まってるんだ。
「…遅かったな。」
他の男よりもワントーン低く、鋭い声が背後から聞こえる。
少し肩が震えたけど、普通に、いつも通り答えた。
「すいません。少し、寝坊してしまいました…」
俺がそう答えると、また低い声で答える。
「そんな普通の学校みたいなこと言うな。ここはあくまで訓練学校だ。」
その正論に少し反応が遅れる。
暗殺者とは思えないほどの教師らしさに、違和感すら覚えた。
「はい。でも、一応学校ですから。」
この笑顔はもちろん作ってる。
爽やかにしたつもり。暗殺するための過程でもある。
まず、暗殺者が笑顔を見せるなんて、ありえない。
「その笑顔、何か裏がありそうだな。」
そんな、冗談にもならない冗談をかまされたところで銃を構える。
銃弾を微かに顔から外し、相手の意識を逸らしたところでナイフで太ももを切り裂く。
でも、手に手応えは感じない。
「…失敗…か。」
「テクニックは上達したな。でもまだ足りない。余命まで、大人しくしてろ。」
そう言われて、力が抜けたような気がした。
暗殺して、感情を作るのは難しいけど、不思議と楽しかった。
脱獄を目指して、ただひたすら暗殺の訓練をする。
たった一ヶ月前は、『支配』されてたようだったのに。
ーーーここに集まった生徒は、子供ながらに暗殺をしてきた人間。
理由なんて今更知りたくもないし、知ろうともしない。
訓練学校に入学して早五ヶ月。
警察に支配され、憂鬱な日々を過ごしていた。
この学校は、もともと山奥の廃校を利用しできた訓練学校。
刑務所で少年法の例外に処される場合はこの学校へ進学する。
しかしーーー、この学校は警察側も何も状況がつかめていない。
何か起きても、違法をしても、何にもならない、警察にとっては自由の場だ。
こんないい加減な規則でいいのか…?もはやそんなことを言える立場ではなかった。
でも、一ヶ月前、組織に関係のない、正体不明の暗殺者が現れた。
セキュリティ、そして数十人いた人間離れした能力を持った警察をも全滅させ、この学校に侵入してきた人物ーーー、
『カイト』。
正体不明の暗殺者。190cm近くある身長と、フードに身を包み、眼だけを見せている。
まだこの学校に来た理由も掴めていない。
そんな中、僕らは『余命』を、宣告されたのであった。
- Re: -塀の中の暗殺者-【オリキャラ募集中】 ( No.1 )
- 日時: 2017/02/05 21:27
- 名前: あぽろ (ID: /1lxIDkZ)
過去side
古臭く、木の臭いが漂う教室で。
緊迫感、そして不気味な程の静けさ。
その雰囲気が、また教室を暗くさせているようにも思えた。
その静けさは、生徒の自発的な感情ではなく、強制的に、そのような空気に染め上げられていると言えるだろう。
「…お前は…誰だ…」
名も知らない、誰かが言った。
名も知りたくもない、声も聞きたくもない、顔が俯いたまま、会話を聞き流す。
「言葉を謹め…お前らの様な中途半端な暗殺者なんかじゃねえ…格が違うんだ。」
「…っ!言わせておけばお前!舐めやがって……っ!?」
その怒りの感情を表す言葉を遮って、爆音の様な音が、教室中に響き渡る。
生徒の視線は、全てそいつの方に行く。
まるで小学生の様な好奇心旺盛な眼をして、同時に驚いた素振りを見せて。
正体不明、人間離れした能力を持つ警察数十人を素手で全滅させ、フードに身を包んだ男が放った銃弾は、そう訴えた生徒の体を少し右に外し、『当たらない様に』した。
当たらないのではなく、当たらない様にした。こんなにも意味が違うのを気づけるだろうか。
男は、楽しんでる。
不気味な笑みを半分隠している。
さっきまで偉そうに訴えていた奴も、今は怯えて目に涙を浮かべている。
「紅月。」
間髪入れずに、俺の名前を呼ぶ。
低く、慣れない声に少し心臓が止まる感じがした。
「…はい。」
わざと強がる様に怯える描写を見せず、男の方へとゆっくりと歩いていく。
「五ヶ月十日。これが、お前の余命だ。」
端から見れば、意味のわからない会話だろう。
でも、僕たちからすれば、重要というよりかは、自分の生死を、宣告されている。
薄っぺらく、真っ白な紙に、さっき宣告された余命の文字が書かれている。
さっき直接言われた言葉よりも、文字を見た方がよっぽど怖かった。
「…、脱獄番号、3。」
あえて名前では呼ばず、出席番号代わりの脱獄番号で呼ぶ。
何故、名前で呼ばないのか。それは呼ばれた本人の言動でわかった。
「…ん?俺か。」
名前不明、黒髪、整った顔。
現実にいたらモテそうな顔立ちだ。
でも、ここは現実とはかけ離れた、現実になることすら許されない訓練学校。
そんなことを妄想することさえ許されなかった。
「…名前は。」
生徒達が気になっていることを代弁する様に言った。
でもそいつは落ち着いて、かつ憎たらしい口調で答えた。
「…明かす必要ある?」
明かす理由、この場でそいつに語らせるか。
そんな批判の視線を全く気にすることなく、言った。
「無いな。お前の余命は、7ヶ月。せいぜい脱獄しろ。」
この凍りつく様な眼、そして体に突き刺さる様な一言に、適当に、母親に返事するときの様に答えた。
『怖いもの知らず』というよりは、恐怖を知り尽くした者という矛盾した発想が頭に浮かぶ。
こいつは何者なんだ。
そんな批判の眼を、また気にせず、人差し指で銃を回して見せた。
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