複雑・ファジー小説
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- 生まれ変わったら敵キャラ幹部でした
- 日時: 2017/02/20 18:33
- 名前: NONTUNE (ID: cH43mN/a)
おかしい。
ここは間違いなく私が生まれた世界で、「地球」なんて星どこにもないはずで。
「日本」なんて国もなくて、もちろん名字も名前も漢字であるわけがなくて。
人々の中の限られた人間が魔法を使い、精霊たちと人間が協力して生きている世界のファフニールという王国の孤児に生まれたはずの私、アリス。
何なの?この記憶。
日本、高校、アニメ、漫画……
アニメに漫画?
ああこれは、私が懸命に生きる世界は、作り物だったというの?
そんなの認めない。
この世界が物語だと言うなら、前世に愛した作り話だというなら、
私は物語通りになんて進めさせない。
魔王カナタが勇者タツミに殺される未来なんて存在しないのよ!
- 生まれ変わったら敵キャラ幹部でした ( No.1 )
- 日時: 2017/02/20 19:26
- 名前: NONTUNE (ID: cH43mN/a)
私はアリス。
面積や人口、文明の発展など様々な分野で世界最大の王国、ファフニールの辺境の町、シュリア。
その町の精霊が奉られた教会で暮らす孤児だ。
昨晩、私は突然高熱を出した。
原因はわからないが、もしかしたら……
私たちの面倒を見てくれている修道女のメリア先生、ナミ先生。
昨日の昼、私は教会の庭で二人の世間話を聞いたのだ。
「メリアさん!聞きました、聖騎士のはなし!」
「ええもちろん。精霊様が聖騎士を遣わされるというお告げですね。」
「これから国を揺らがす事態が起こるということかしら…」
「何が起きてもきっと精霊様や聖騎士様が守ってくださいます。そんなことよりナミさん、洗濯は終わったのですか?」
「あっ!」
若くてうっかりものの明るいナミ先生、長く修道女をしている厳しくも穏やかなメリア先生。
二人の言う「聖騎士」のワードが私に「前世」の物語、「チェンジワールドクロニクル」を思い出させたのだ。
……でも、どうもおかしい。
「『アリス』でこの顔、『チェンワー』の世界って……
間違いなく『魔界のゲート使い・アリス』じゃん!」
噴水の澄んだ水に映った自分の姿に思わず叫ぶ。
なぜか瞳の色と髪の色は違うが、目端が垂れたアーモンド型の目にすっと筋の通った鼻、ふっくらした桃色の唇、小さな顔にサラサラの髪。
「チェンワー」一の美少女、敵なのが残念とファンにいわしめていた「アリス」が私であることは間違いないだろう。
だが、私があげたのは悲しみの叫びではなかった。
「もしかして魔王の仲間になれちゃう!?カナタ様を眺められる!?」
そう、私は「チェンワー」ファンの中でも珍しい「魔王ファン」だったのだ。
そのゲス発言で、ファンから嫌われていた魔王カナタだったが、私は主人公である勇者タツミよりも好きだった。
金髪に青い瞳の典型的主人公タツミよりも……
闇のような黒髪に白い肌、顔、筋肉質な長身、何より血のように紅い切れ長の瞳!
魔王カナタは前世の私の好みドストライクだった!
女遊びが激しく、捕らえたヒロインを嬲って遊んだことをきっかけにファンに嫌われた魔王カナタだったが、私はその時ほど「ヒロインになりたい!」思ったことはなかった。
これからの出会いにワクワクしながら私は記憶を受け入れたのだった。
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