複雑・ファジー小説

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赫き野の華、鬨の咆哮
日時: 2017/03/03 20:09
名前: べびかす ◆T83w.xFVpc (ID: te9LMWl4)

初めまして。
複雑・ファジー始めました。べびかすです。
名前に深い意味はありません。
ベビーカステラです。美味しいです。

〔御注意〕
・当作品には、グロテスクな表現が含まれます。
・更新は不定期です。作者の気分により左右します。
・最低限のマナーを守って掲示板を御利用下さい。

感想、指摘等お気軽にお願い致します。


Re: 赫き野の華、鬨の咆哮 ( No.1 )
日時: 2017/03/03 20:37
名前: べびかす ◆T83w.xFVpc (ID: te9LMWl4)



彼女が雨に気付いたのは、数分の時が経った後であった。
大きな瞳は灰色に澱み、膝に抱いた彼女の親の骸の辺りを彷徨いている。
彼女の周りには、目も当てられない状態の骸が無数に転がっている。
本降り。
雨は血と膿の臭いを和らげ、そして骸に容赦無く降った。
「おかあ、さん」
小さな小さな声が彼女の口から漏れる。
その声には、親を悼む哀惜も、子供らしい悲哀も含まれていない。
「ああ」
掠れた声が、湿った野原に溶けていく。
そして彼女は、

微塵の迷いも見せず、親の骸を膝から落とし、固いブーツの爪先で蹴った。
骸は転がり、周りの景色に溶け込んだ。
彼女は、コートの袂から小振りな銃を取り出し、無造作に撃った。
轟音が響き、弾は寸分違わず頭を射抜いた。
頭部が弾ける。
脳が剥き出しになり、眼球は飛び出して転がった。
「これくらいでしぬおやはいらないの」
依然として灰色のままの瞳に、強烈な軽蔑が走る。
「なさけないわ」
彼女は、野原を後にする。
自分が殺した数多の骸には目もくれず。
齢七にして、武器を操る一流の兵士。
雨愛という少女は、そんな子供であった。


Re: 赫き野の華、鬨の咆哮 ( No.2 )
日時: 2017/03/04 20:41
名前: べびかす ◆T83w.xFVpc (ID: te9LMWl4)



彼女は、目を覚ました。
幾分傾いた陽の差し込む部屋の中。
その暖かさに甘んじ、彼女は—いや、彼女達は転寝をしていたのである。
大きな欠伸をし、彼女は部屋を見渡した。
彼女の仲間が、思い思いの格好で死んだ様に寝息を立てている。
クッションに顔を埋めた少女、豪快に寝転がり鼾を掻く少年、それに潰されている少女。
彼女は机に肘を着き、それを静かに眺め—やがて、また眠りに落ちた。
彼女達の胸には、それぞれ階級章が光っている。
それは、一つを除いた全てが「大佐」であり—
その例外、雨愛の階級章は、大きな大きな「中将」であった。
この部屋は、とある国の軍隊の中、少年兵団の座談室である。
あどけない彼女達は、全て軍隊を率いるエリートなのだ。

彼女は、夢を見ている。
それは幼き日の出来事。
自らの手で親を殺した、遠き日の思い出だった。





ここからは本編ではありません。
ご参考までに。当作品の階級一覧です。
上から順となっています。

元帥
大将→中将→少将
大佐→中佐→少佐
大尉→中尉→少尉
曹長→軍曹→伍長
一等兵→二等兵→三等兵


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