複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- トライアングル
- 日時: 2017/03/05 00:11
- 名前: あさがお (ID: XWukg9h6)
複雑な気持ちを描いた学園もの&恋愛もの小説です。
主人公
高山広臣
新入生で同じクラス、同じ学年、同じ寮、同室の相手を好きになるが…
相手
朝比奈歩
正真正銘男だが、時折体に住むもう一人の女が出てくる時がある。どちからが、活動すれば、どちらかが不活動中。主人公と初めて話したのが女性の方で、女性の方が主人公に一目惚れ。
- Re: トライアングル ( No.1 )
- 日時: 2017/03/05 11:39
- 名前: あさがお (ID: XWukg9h6)
今日から初めての寮生活。そして、高校生だ。と言っても、途中から入る。所謂転入生だ。四月から3ヶ月遅れで入学。この学校は女子の数が少なく、八割近く男子が居ることで、男子校に近いと言われているが気にしない。寮は寮でも男子寮であって、男女共有した寮ではない。
寮長の三年、岩倉さんに案内してもらう。
部屋は二人一部屋ベッドが二段階構造で下に寝るか上に寝るかは同室の人と話して決めること。
手荷物以外は先に部屋に置いてあるらしい。門限は23時。それと同時刻に消灯となる為、それまでには帰宅してること。
などの話をうけ、質問があるか聞かれる。
「同室の人はどんな人なんですか?」
「そうだねー、気さくで優しい1年生だよ」
「俺と同じ学年なんですね、そこは安心できます」
それは良かった、と話し終わったところで漸く部屋に着く。305号室と書かれたプレートがドアの横にある。岩倉さんは他に困ったことがあれば同室の人に聞いて、と言って返事をして頷いた俺の肩を叩いて、後押しするように「頑張れよ」と笑って言えば去っていった。
俺は一息ついて、ドアノブ式の扉を引いて開けた。
- Re: トライアングル ( No.2 )
- 日時: 2017/03/07 07:14
- 名前: あさがお (ID: eP4z3AoX)
扉を開いた瞬間ブワッと風が吹いて反射的に顔を背ける。風がすぐに治まり部屋の中を見れば、正面の小窓が全開。白いカーテンが風に揺れている。勉強机が二つ。手前の左にある机にはいくつか教科書、ノート、参考書が置かれ、立ててあり整っている。入って右手にベッドがあり、下の階は使われている様子があった。
入って左手には俺の荷物と思われる段ボールが二つ。キャリーバッグを段ボールの隣に置き、手荷物を上のベッドに乗せる。
部屋の扉を閉めて窓も閉めれば部屋を誰かがノックする。
扉を押して開ければ明るい茶髪でストレートの女の子が立っていた。
「え、だれ?」
「キミこそ誰?」
「ごめん、ちょっと、ここ私の部屋だから」
「え?」
顔を見た瞬間可愛いと思った。俺より少し身長の低い彼女が俺を見て眉を寄せる。誰かという質問に質問で返せば俺の体と扉の隙間をくぐり抜けながら上記を述べて部屋に入ってくる。彼女の言葉を受け入れるなら、ここは俺の部屋ではないことになってしまう。男子寮の俺の部屋だったはずだと思い、部屋番号をもう一度見る。305号室、やっぱり変わってない。出入口の扉を閉めてため息混じりに部屋にいる彼女に声をかける。
「ここは俺の部屋だ。キミの部屋じゃない。間違えて入ってるんじゃない?女子寮は向こうだろ」
「ううん、私の部屋はここ」
融通が利かないというレベルじゃない。ここまで言い張る自信が分からない。俺が何を言い返せばいいかと悩み黙っていると彼女は振り向く。サラサラの髪が揺れる。彼女が歩み寄って来て、何だ、と身構えれば彼女は俺の肩に手を乗せ背伸びすると、俺の唇に触れるだけのキスをした。
何が起きたか分からない俺は数秒固まった。その間に離れた彼女は口角を上げて微笑み、勉強机に置かれた一冊の参考書を片手に俺に見える様にしながら自己紹介をした。
「私の名前は、あさひなあゆみ。あゆみって呼んでね」
見せられた参考書の裏には〝1-3 朝比奈歩〟という丁寧な字。状況が把握できないまま、もう一度彼女を見れば、参考書を机に置き戻した彼女はまた寄ってきて、右手を目の前に突き出しニコッと笑った。
「これから、よろしくね」
- Re: トライアングル ( No.3 )
- 日時: 2017/03/09 00:01
- 名前: あさがお (ID: qMXr7W56)
ハッと我に返れば何故キスをしたのか彼女に問うが、彼女は俺の質問に答えることなく、質問をし返してくる。
「なんで今キス…」
「貴方の名前は?」
「え…?」
「名前」
初対面の相手が強気で言ってくると少し怖じ気付くのは悪いところなんだろうか、名前を聞かれると答えなければいけないか迷ったが、自分も相手が名乗ってくれたのを思い返せば名乗るのが礼儀であって。
「高山広臣だ」
「広臣くん!よろしく」
名を名乗れば覚えるように復唱され、いつまでも出された右手に握手し返さなかった俺に待ちきれなかったようで、俺の右手を取り無理矢理握手してきて驚いている俺に彼女はニコニコ微笑んでいた。
「今日は疲れたんじゃない?荷物もあったし、先輩の説明も長かったでしょ?」
「え?いや、疲れはしたけど…説明が長かったとかは」
「明日から普通に授業受けるんでしょ?貴方モテると思うなぁー」
「…なんでそんなこと」
ペラペラと話し始めた彼女は俺が話し返せば俺の話は聞いてないというように別の話をどんどん入れてくる。彼女の言葉はまるで俺が岩倉さんのことを悪く思ってるような言い方で腹が立った。なんでそんなことを言うのかと聞けば、握手してた手を離した彼女は真面目な顔をして言った。
「私ね、貴方の事が好きになっちゃった」
Page:1 2