複雑・ファジー小説
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- 私の未来
- 日時: 2017/03/24 17:36
- 名前: 佳澄 (ID: mnPp.Xe.)
『もう〜!』
私は伊藤七瀬。4月から高校3年生になった。
「もう〜!何?さっきから。ブスな顔がもっとブスになってるよ!」
『うるさいなぁー!』
「ハイハイ。」
私に話しかけてきたのは同じクラスの佐々木涼香。小学生の頃から同じクラスになることが多く、仲がいい。
そして、なぜさっきから私が悩んでいたものは進路の事について。
本当は、3年生にもなると、ある程度進路を決めなきゃいけないのだが、私は悩んでいた。
何故なら、私の夢は女優になることだから。でも親や先生からには、「ちゃんとした企業で働け!」としつこく言われているが、私は、女優の夢を諦めきれなかった。
私は、「高校を卒業したら、2年間劇団に入って腕を磨きながらバイトをしてお金を貯め、その後は事務所に入って芸能活動をする」というのが、私のプランだった。
それでも親から馬鹿にされ、先生からは何度もしつこく言われてきたが、こうなったら自分から親と先生に説得するしかないと思った。
「まだ親に反対されてるの?」
『うん。』
「でも私は、七瀬のそういう諦めないところ、嫌いじゃないよ。」
『ありがと。///』
照れていると、放送がかかった。
「3年2組の伊藤七瀬さん、今すぐ教務室に来なさい。」
『またぁ〜!』
「ほら、いってらっしゃい!」
私は教務室によく呼び出される。多分今回も進路の事についてだろう。
そう思い、教務室のドアを叩き、中入った。そこには担任の神田が座っていた。
「伊藤、進路先は決まったのか?」
やはりそうだった。
『だからそれは・・・』
「いつまでそんな夢のような話してんだ?小学生じゃあるまいし。」
七瀬は黙ってしまった。
「学年集会で何度も言っただろ?劇団に所属して芸能界に入るなんて・・・そんな夢のような話が成功すると思うか?ただえさえ食べていけるかすら分からない世界なんだ。今ならまだやり直せる。うーん・・・じゃあ、伊藤は料理とかするか?料理系の専門学校に行くとか。」
『・・・先生は何も分かってませんね。』
「は?」
『私は、ずっと前から女優になるのが夢なんです。今さらやり直せるわけないじゃないですか。』
そこで神田は大きなため息をついた。
「まぁいい。頭冷やして考えてこい。言っておくけど、お前だけだからな、まだ進路のプリント出してないの。締め切りは今日の放課後だから、しっかり考えて出せよ。もういい、教室戻れ。」
私は悔しかった。自分の夢を認めてもらえない。確かに劇団に所属した後に事務所に入った時点で、人気になるかどうかも分からないのに。
『絶対に認めてもらおう!』
そして、七瀬が夢を認めてもらうまでの戦いが始まった。
タイムリミットは・・・
夏休み前まで。
- Re: 私の未来 ( No.1 )
- 日時: 2017/03/24 16:14
- 名前: 佳澄 (ID: mnPp.Xe.)
ご挨拶が遅れました!
佳澄です!
今回の小説『私の未来』について、登場人物の紹介をしていきます!
伊藤七瀬→高校3年生 17歳
女優を夢見る普通の女の子。演劇部に所属している。
佐々木涼香→高校3年生 17歳
七瀬に比べて大人しく、成績が良い。
神田→3年2組のクラス担任。1児の父。
伊藤健太→七瀬の父
大企業会社「伊藤建設」の社長。七瀬の夢を反対する1人。
伊藤百合子→七瀬の母
「伊藤建設」で父と一緒に働いている。
だいたいの登場人物はざっとこんな感じです!
増えたらまた紹介していきます!
どうぞ!お楽しみください!
- Re: 私の未来 ( No.2 )
- 日時: 2017/03/24 20:27
- 名前: 佳澄 (ID: mnPp.Xe.)
放課後・・・
七瀬は1人で教務室に行った。
『出来ました。』
神田にプリントを渡す。
神田はしばらく考えてから
「夏休み前に三者面談があるから、そこでお前のお母さんとじっくり話し合って決めよう。それでいいか?」
七瀬は、これですべてを賭けようと思い
『分かりました。』
と言った。
部活も終わり、帰り道に近所の書店に寄った。
『なんかないかな?』
そう思い、向かったところは、さまざまな演劇に関する本が置いてあるコーナー。
いろいろ見ていると、背後から声が聞こえた。
「あれ?もしかして七瀬?」
声がする方を向くと、そこには、翔がいた。翔は、小学生の頃に仲良くしてた人で、私が密かに好意を持っていた人でもある。中学校に上がってからは、翔は私立の中高一貫校に入った。そんな彼と会うのは久しぶりなため一瞬誰だか分からなかったが、雰囲気ですぐ分かった。
「何探してたん?」
『別に!』
翔は奥にある本棚を見て
「へぇー、演劇。」
どうせまた馬鹿にされる。と思っていたが
「演劇っていいよな〜。」
『え?今なんて言った?』
「え?だから、演劇っていいよなーって」
『何で?』
「何でって・・・そっちこそ何で、んな事聞いてくんだよ。」
七瀬は黙ってしまった。それに気づいた翔は
「なんかあったのか?」
七瀬は頷くと
「聞いてやることしか出来ねえけど。・・・ここじゃなんだし、場所変えるか?」
『うん。』
2人は、近くのカフェへ移動し、七瀬は翔にすべてを話した。
「ふーん・・・」
まぁ、そりゃ黙るのも当然か・・・
「俺はさ。」
七瀬は翔の方を向くと。
「俺はもちろん、役者になりたいと思ったことはないから、そういうのはよく分からないけど、俺がもし、お前みたいな立場だったら、三者面談ですべてを出し切る。こう・・・自分の想いを、自分なりの言葉で、先生と親に全力でぶつける。それで届かなかったら諦める。」
七瀬は下を向いた。
「あ、ごめん。」
七瀬は少し笑った。翔は少し不思議な顔を出した。
『ありがとう。優しいんだね。』
翔は少し照れたが、すぐに立ち直った。
しばらく話し、時刻はもうすぐ8時になるところだった。
『もう帰らなきゃ。』
「あ、俺送ってくよ。どうせ家近いし。」
その後は七瀬と話しながら帰ると、あっという間に家の前に着いた。
別れ際に、翔と連絡先を交換し、家に帰った。
- Re: 私の未来 ( No.3 )
- 日時: 2017/03/25 10:22
- 名前: 佳澄 (ID: mnPp.Xe.)
『ただいま。』
中に入ってリビングに行くと、父の姿はなかった。
『あれ?お父さんはまた仕事?』
「そう。」
七瀬の父は「伊藤建設」の社長なため、帰るのが遅いことが多い。母もそこで働いているが、定時になったら帰らせてもらえるらしい。
「ただいまー。」
父が帰ってきた。
「帰ってきたみたい。」
『おかえりー。』
「もうすぐで夕飯の準備出来るから、それまでに着替えてらっしゃい。」
『はーい。』
そして七瀬は、荷物を部屋に置き、着替えを済ませると、母が部屋に入って来た。
「七瀬。」
『ご飯出来たの?なら・・・』
「そうじゃなくて、夕方先生から電話があったの。あなたまだ女優目指してるの?」
七瀬は黙る。
「先生からね、三者面談は、もし七瀬の気持ちが変わらなければ、両親揃っての参加にしてくれないかって言われたんだけど・・・もしだったら、お父さんとお母さんと一緒に伊藤建設で働く?今うちは人が足りないから、七瀬が来てもらったらこっちも助かるんだけど・・・。」
七瀬は呆れ顔を見せ、話を無視した。
『夕飯食べる。』
・・・
食事中は、七瀬はずっと考え事をしていた。どうしたら認めてもらえるのか?その事ばかり頭の中に入っていた。
そんな中、父と母は・・・
「どうしたのかしら?」
「進路を考え直してくれたんだろ?そんな女優なんて・・・やっと現実を理解してくれたんだよ。」
七瀬には、父の言ったことは聞こえていたが、聞かなかった事にした。
そんな中、七瀬の頭の中で、何か思いついた・・・
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