複雑・ファジー小説
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- 壊れた彼女を壊していく
- 日時: 2017/04/03 00:47
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
《前書き》
皆様はじめまして、みまると申します。
よろしくお願いします。
この作品は、別サイトカクヨム様で執筆させていただいてましたが、
違反対象になってしまい削除されたのでこちらに書き込むことを決意しました。
未熟者ですがよろしくお願いします。
《第1章 過去と記憶に──》
【第1話 監禁】
♪〜♪♪♪♪〜
おしゃれな洋楽が流れている。
意識がまだはっきりしない。
ただ、体が動かないことと、洋楽が流れていることしか理解できない。
視界も暗く、見えない。
瞼を閉じているのか、閉じていないのかさえ判別できない。
「……」
声すら出ない。
徐々に、足に痺れを感じ始める。
それがきっかけになったのか、手の感覚と足の感覚、体の感覚が戻ってくる。
冷たい何かが私の腕に付いている。
鉄?
手を動かそうとする。
じゃらっ。
鎖のような音がする。
そして、ハッとする。
瞳が開き、私は現状を確認した。
見慣れないピンク色の照明だけが点いている部屋。
手が上に上げられ、鎖に繋げられてる。
足は自由。
「どこだここ…」
監禁された??
私、何してたんだっけ。あ、そうだ。
あいつの家に遊びに来てたんだった。
______________________________
昔から私は男らしいと言われ、男とばかり遊んでいた。
女子とももちろん遊んでいたが。
暇だなぁ。
そんなことを考えていた頃。
男友達からメッセージが来た。
《ぱむお》
《明日、まさるとはるとと俺でまさるの家に遊びに行くんだけど、お前も来る??》
《ぴつこここ》
《もちいくわ〜。何時から?》
《ぱむお》
《10時〜やで。てか、お前まさるに告られたらしいけど
遊んで大丈夫なん?》
そうだった。
わたしは、まさるに告白されたんだ…。
ま、大丈夫っしょ。
《ぴつこここ》
《大丈夫っしょ!フッたからって友達やめた訳じゃないし〜w
んじゃ、明日A駅に行きゃいーか?》
《ぱむお》
《フッたwwww
A駅に10時な。体調崩すなよ》
「まさる、かぁ…。」
______________________________
そうだった。
そんな流れでまさるの家に遊びに行ったんだった。
あれ、でもおかしくないかな?
遊びに行って、えーっと…。
あ、そうそう。
ゲームして12時まで時間潰してたら、はるととはづきが買い物行くって言って、私とまさるだけになって、まさるから飲んでって言われた紅茶を飲んだら…
意識がなくなってた。
「…誰か、いますかー?」
恐る恐る、尋ねる。
返事はない。
そりゃ当たり前だ。
こんな部屋に誰かいるわけ…
キィィッ…
部屋の奥の方から、扉が開くような、軋む音がした。
「だ、誰かいますか?」
もう一度、聞く。
「…おきたのか。」
聞きなれた声が聞こえた。
「…まさる!!
これ、なんなの!?助けて!!」
ジャラジャラ、とうるさく音を立て、暴れながら助けて、と私は叫ぶ。
そんな姿を見て、まさるは鼻で笑った。
そして、まさるは近づいてくる。
「どんな気持ち?」
真顔で訪ねてくる。
「どんな気持ちとかじゃなくて早く助けて…」
真顔で返す。
そうすると、まさるは不快そうな顔をした。
「もっと叫べよ!泣けよ!!おら!!!」
まさるは叫びながら、私の元へ飛びかかり、おもむろにブラウスのボタンを壊し始めた。
「ギャッ…何すんの!?やめてよ!」
「だまれ!!!」
まさるは叫び、私のブラジャーの真ん中をはさみでちょき、っと切った。
- Re: 壊れた彼女を壊していく ( No.1 )
- 日時: 2017/04/03 00:50
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
《第2話 救出と崩壊》
「やめて!!」
「うるせえ!!」
ジョキジョキジョキ…
今度はスカートを切って行く。
暗くてよく見えないが、手芸用のハサミのようだ。
──もう、だめだ。
私、ヤられるんだ…。
無防備すぎた。まさるに告白された時点で会うのをやめるべきだったんだ…。
ぽろぽろと、無造作に頬を伝っていく涙。
反抗する勇気もなく、私はスカートが切れていく音とまさるの荒い鼻息を聞きながら、ただただボーってしていた。
そのうち、足の付け根に冷たい感触を感じるようになった。
パンツも、切られるんだ。
最悪。
気持ち悪い。
いやだ…。
ジョキッ…
パンツが布切れになった瞬間だった。
「…なにしてんの。」
聞き覚えのある、低い声が部屋に響いた。
「はるとっ…たすけぶっ…」
はるとに助けを求めようとすると、勝に口を塞がれる。
「はぁっ…い、今からよお、こいつを犯すんだけど…ははっ、お前らも参加するか??」
ニヤニヤしながらまさるは言う。
「もちろ…」
はるとではない声が答えた瞬間。
「やらねーよ」
はるとがそういい、まさるに殴り掛かる。
パンチがまさるの腹にブチ当たる。
「六百、まさるをつまみだせ」
はるとがそう言うと、ぱむお(六百)は「はい!」
と言って、空手技を出しながらまさるをまさるの家から追い出す。
「大丈夫か?今助けるからな。
俺ん家に避難しよう…って、服…。
しゃーない、まさるん家の毛布パクるか。とりあえず、今解放するからな。」
はるとは優しくそう言い、私を鎖から解放し、毛布を被せた。
「それで隠して。おんぶしてやるから乗れ。」
そう言われ、私は何も言えずただ支持されるがまま乗る。
「よし、行くか。六百!!俺ん家避難するぞ!!!」
「お、おう!!」
はるとがそう言うと、六百とはるとは走り出す。
街を歩く人々が振り返って私を見ている気がする。
好奇の目?哀れみの目?
なんなの??
それとも私の被害妄想??
わからない、わからない、
怖い、怖い…。
信用してたのに。
裏切られた。
まさるは良い友達だと思ってたのに。
だから、ふったあとも仲良くしてたのに。
嫌だ、怖い、信用できない。
もうぱむおとはると以外…
走馬灯のように、先程の出来事が頭に過ぎる。
あれ、そう言えばぱむおの声で…
「もちろ…」
「いやぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
「ど、どうした!?」
私は急に叫んでしまう。
ぱむおは心配そうな顔で近づいてくる。
その目は好奇の目に見えて、怖くなる。
「いやっ…やぁっ」
うまく、言葉に出せない。
「落ち着け。大丈夫だ。もうすぐうちに着く。」
ハルトがそう言うと、本当にはるとの家に着いた。
はるとは手早く片手で鍵を開け、とりあえず、と、来客用の部屋に私を下ろした。
「何?何事?あれ、六百君じゃん。って、マキノちゃん?………はると、事情を説明して。」
聞きなれた声が聞こえる。
はるとのお兄さんだ。
「…分かった。上で話そう。」
はるとがそう言うと、ぱむおは閃いたかのように
「じゃあ俺マキノの警護してるわ!」
と、言い出した。
「…お前も来い。お前にも話がある。一人にさせてやれ。」
そのはるとの声を最後に、誰の声も聞こえなくなった。
- Re: 壊れた彼女を壊していく ( No.2 )
- 日時: 2017/04/03 01:12
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
《第3話 亀裂》
「あれ。」
突然、目の前が眩しくなる。
「あ、起きたか?すまん。」
はるとが急に目の前に出てくる。
私、寝てたのか。
「…あり、がと…はると。」
声が出しづらい。
「気にするな。レディーファーストが常識だろ。」
「マキノちゃん、とりあえずだけど、うちの母には連絡しといたから。母が仕事帰りにマキノちゃんの服買うらしいから、申し訳ないけれど今は毛布で我慢してくれるかな。」
はると兄がゆっくり優しく話す。
「は、い。それ…で、ぱむおは?」
私が ぱむお と口にした瞬間、二人の顔が曇った。
「あ、あぁ…六百君はね、帰ってったよ。時間なんだって。」
「そうなんですね…。」
ぱむお、という言葉に違和感を感じる。
違和感、というか恐怖?
私、ぱむおになにかされたっけ…。
「あ…お母さんに電話しなきゃ…って、お母さん仕事か…。どうしよ…」
「あ、お母さんのことなら大丈夫だよ。うちの親が連絡入れてくれたらしいし。」
はるとの兄は微笑む。
有難いなぁ。
「仕事終わったら連絡するって。でね、親が帰ってきたら警察に行こうかと思うんだけど…どうかな?」
「…わかりました。」
警察、か…。
そっか、あれは未遂とはいえ犯罪だもんなぁ。
妙に落ち着いている自分がいた。
ほんと、はるととぱむおが助けに来てくれてよかった。
「もちろ…」
ぱむおの声が脳内に響く。
「いやっ…いや…ま、まさか…」
「どうした?」
気がついたら声に出していた。
「ぱむ…六百が……っ…」
ぱむおはまさるに協力しようとしていたんだ。
「…」
はるととはるとの兄は無言で部屋を出た。
一人にしてくれるのだろう。
「うっ…っ、うぅっ…」
激しくほほに涙が伝え、
私は狭い部屋で一人、泣いていた。
__________________________________
あれ、暗い。
ん?なんか聞こえる。
「…!!!…ん!!!!!」
「おーきゃーくーさーん!!!!」
「えっ!?」
突然、目の前が明るくなる。
そして、店員さんが前にいる。
「もう閉店ですよ。」
険しい顔をして店員さんは言う。
「えっ、あー、はい。すみません。」
軽く返事をして、お勘定を済ませた。
深夜4時。
早朝と言うべきだろうか。
まだ、冬場だから暗い。
「…酔ったのかなぁ…」
店を出て、呟くと。
「酔ったんだよ、ばーか。」
聞き覚えのある声が大通りに響く。
「あれ、はるき。何でいんの?」
「一緒に飲んでたの忘れたのかよ。はー、全く。てか、はるき呼びとか懐かしいな。なんで急に?」
「いや…」
昔の夢を見た、と言おうと思ったが、私はすぐ口を止めた。
「なんとなく。」
なんとなく、と誤魔化し、私は軽く笑う。
昔のあのコトは私達の間では禁句だからだ。
過去に、あのコトについて女友達が言った際、私はパニックになり、はるきは怒ったからだ。
それくらい、私たちにとっては黒歴史な事だ。
「ほら、早く帰るぞ。」
「うん、って、はると。そっちはるとの家の方向じゃなくない?」
「ばか、お前のこと送ってくんだよ。こんな時間に女が歩いてたら危ねーだろ。」
「…そっか。ふふっ。」
つい、笑ってしまう。
「何笑ってんだよ。気持ちわりーな。」
「はー、毒舌毒舌。」
私がそう言うと、はるきは私の手首を掴んだ。
「早く行くぞ。」
不意に、あのことが脳裏によぎる。
強く手首に巻かれた鎖。
「ひっ」
私ははるきの手を振り払った。
「あ…すまん。」
「あ、ごめん。ちょとビックリしちゃって…えへへ」
顔が赤くなるのがわかる。
恥ずかしい。
「…なんで泣いてんだよ。」
「えっ?」
ほほに手を当てると、暖かい何かで頬が濡れていた。
「…はやくいこうぜ。」
そう言って、先に早歩きで進むはるきを、私は小走りで追い、
「待ってよ」
と言った。
どうして。
どうして、涙がこぼれたんだろう。
あの夢を見たから?
あのコトを思い出したから???
分からない。分からない。分からない!!
「分からない!!!」
叫ぶ。
無意識に私は叫ぶ。
そして、はっとする。はるとは私を振り返ってみていた。
「…お前さ、あのコトの夢、見たんだろ。」
「えっ…」
「俺も見たんだ。俺も──あいつに、まさるに乱暴されかけてる、お前の夢を見たんだ。俺がすぐ助ける、あのコトの夢を。」
「…はるとも見たんだ。」
「うん。」
「…帰ろう。帰って話そう。寒いし。」
私がそう言うと、私達は無言で歩き出した。
- Re: 壊れた彼女を壊していく ( No.3 )
- 日時: 2017/04/03 01:16
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
《登場人物まとめ1》
第3話までの登場人物をまとめました。
今後の混乱を防ぐため、是非ご覧ください。
______________________________
《主人公》
牧乃 紗月 マキノ サツキ
25歳(あのことの当時は高一)
性別 女
ニックネーム マキノ、マキノちゃん、サツキ。
男っぽい性格の美麗系女子。
腰当たりまである長いストレートの綺麗な髪が特徴的。
目が大きく、鼻は高すぎず、唇も絶妙なバランスで美しい。
涙ボクロがさらに美しさを強調している。が、自分の事をとんでもないブスだと思い込んでいる。
人の事を信用しすぎる癖があり、常に無防備。
過去のことがあり、少しは警戒するようになった。
傍から見たらセクシーガール。
山野 颯斗 ヤマノ ハルト
25歳
性別 男
ニックネーム ヤマノ、はると、ハルト、はるるん、イケメソ
クール系イケメン。
細身なのにしっかりと筋肉がついていて、そこそこ強い。
見た目はモヤシ…。
紗月と歩くと絵になる。
親の教育のお陰で、ずっと頭にレディーファーストという言葉がある。
そのお陰でモテるが、未だに恋人を作ったことは無い。
恋愛に興味が無い訳では無いが、ずっと紗月に付き添っている為、彼女ができない。
彼が紗月の事をどう思ってるかはわからない。
毒舌系ドSで、かなりドM男子、女子に人気がある。
よく憧れられる。
六百 智彦 ムオ トモヒコ
25歳
性別 男
ニックネーム 六百、むお、ぱむお、とも
かなりのブサ面。
ニキビが悩み。
はるとの事を尊敬しており、何かあればついてくる。
レディーファーストのはるとといるため、性格が良く見えるが、それはただはるとのいうことを聞いているからであり、単体でいるととんでもない性悪。
紗月と本心で対等に言い合える仲でもある。
まさるのことをかなり嫌っている。
田原 勝 タハラ マサル
25歳
性別 男
ニックネーム たはら、まさる、さる
六百の下を行くブサメン。
ダイエット中であるが、全然体重が減らない。
性欲が理性に勝ってしまい、紗月を苦しめた張本人。
美女で性格も良い紗月に惚れ、告白するがフラれる。
その後、あのコトを起こし、逃げた。
その後の生活はわからない。
ー今後の登場人物ー
牧乃 翠月 マキノ シヅキ
紗月の弟
山野 裕翔 ヤマノ ユウト
はるとの兄
江澤 美音 エザワ ミオン
紗月の職場の同僚、高校時代からの仲でもある
- Re: 壊れた彼女を壊していく ( No.4 )
- 日時: 2017/04/03 01:20
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
《第4話 休み》
しんみりとした明るい部屋に、私とはるとは座る。
しばらく、しんとする。
気まずい。
「…あのさ。」
先に口を開いたのは、はるとだった。
「あの時…六百の言った言葉、覚えてるか??」
「もちろん。って言いかけたやつでしょ?」
「そう。だから俺、あの日、俺の家から六百を追い出したんだ。」
「…知ってた。と言うか、わかってた。」
伏せ目がちで答える。
「…そうか。ってすまん、もう時間だ。帰るわ。戸締まりちゃんとしろよ。」
そう言い、はるとはサッと家を出て行った。
一人、鍵を閉める。
六百、まさる、はると。
仲の良い4人として遊んでたのになぁ。
はぁ、思い出して馬鹿みたい。
早く忘れよう。
私はそう思い、電気を消し、布団に入った。
______________________________
「辛かったね。どんなことされたか言える??」
目の前の女性警官が、心配そうな顔で私を覗き込みながら言う。
「まさるの…家で、目が覚めたら鎖が──」
一部始終を説明する。
「そっか…。怖かったね。もう今日は大丈夫だよ。」
警官はそう言い、私を部屋から出す。
「…どうでしたか。」
はるとのお兄さんが言う。
「…予想以上に深刻でした。紗月ちゃんの腕には未だ締め付けられた痕が残ってますし、相手が飲み物に仕組んだ物が危険物質の可能性もあるし…。逮捕は確実かも知れません。」
「そうですか…。」
______________________________
夜の公園で、私はブランコに乗っている。
隣のブランコには、はるとが乗っている。
公園の端の方に、はるとの母と私の母がいる。
「…だから言っただろ。」
突然、はるとが言う。
「何を?」
「…まさるに襲われちゃうかもよ、って。」
「あ…」
ぽむおとはるとと私で遊んだ日。
まさるの話になった。
「でもさぁ、まさるって何考えてんのかわかんねーよな。なんでお前なんかに告ったんだろ。」
ぽむおが半笑いで言う。
「そりゃわからんよ…。まぁ、でも、友達なのには変わんないからさ。」
私が笑いながら答えた瞬間だった。
「まさるに襲われちゃうかもよ。あいつ危ないし。」
「……ごめ、わかんない。あ、そうそう。それより怪物ハンターの新作が──」
適当にあしらった。
「…そう言えば、そんなこと言われたね。」
「…お前無防備すぎるんだよ。男の事信用しすぎ。男なんて常に危ないことばっか考えてんだぞ。」
「あんたも…そういう事、考えてんの?」
「…なわけないだろ。俺は女子には興味無い。」
「あそ。じゃあ男には?」
「あるわけねーだろ」
「ふーん…。」
「お前は?」
「いや、お前はって…今回ので男が少し怖くなった。かと言って、女が好きになったわけじゃないけど。」
「…俺、怖い?」
静かな公園に響くはるとの声。
心配そうな顔をしていた。
私は親達が離れてるのを確認し、ボソリと言った。
「怖くないよ。はるとは恩人だよ。
はるとがいなかったら今頃私はバージン捨ててたよ。」
「…そう言う下ネタを軽く言うのも、尻軽だと思われやすいから気をつけろよ。」
「え?そーなの?」
「そうだよ。現にぱむおとまさるは「あいつ非処女だと思うから軽くヤらせてくれんじゃね」的なことをほざいてたし。」
「え、もしかしてはるとも非処女だと思ってたの?」
「…そうだよ。だってお前、DTバカにするような事を言って…」
「え?言ったっけ?」
「言ってたよ。オンラインゲームの対戦で、童貞ってキャラがいたからって童貞死ねって…」
「え、それ敵に対して言ってたんだけど。私非童貞思想とかそういうの持ってないし。」
「ま、まぁ処女だろうと非処女だろうと、お、おれには関係ねえしな、あはは。まぁ、江澤みたいな尻軽だと思われないように、気をつけろよー」
「すっごい棒読みだな。まぁ、そうだね。うん。よし、納得。まぁ、私は美音みたいなビッチになるつもりは無いよ。あんなパツキンに露出の激しい服とか私には無理ゲーだよ。」
「そう考えると、ある意味江澤って凄いよな。」
「露出狂度が凄いって?」
笑いながら、笑顔で答える。
こういう話、楽しい。
「露出狂度ってなんだよ。」
はるとの笑顔。
久しぶりだなぁ。
______________________________
「……っいたっ。」
足に痛みを感じ、目が覚める。
「しーびーれーたーぁぁ…」
誰もいない一人暮らしの部屋での私の声は異常に響き、寂しさを煽ってくる。
「テレビつけよ…」
今日は仕事休み。
だから、ゆっくりしよう。
さっき見た夢のことなんか、忘れよう。
忘れよう、忘れよう
「忘れようとしていることほど忘れないんですよね」
聞いたことのない声が聞こえ、私はビックリする。
「なんだ、テレビか。」
時刻は10時。
かなり爆睡した。
今日は休もう。
ゆっくり休もう。
- Re: 壊れた彼女を壊していく ( No.5 )
- 日時: 2017/04/04 23:37
- 名前: みまる ◆jcfgG7aJMA (ID: qF9RkhdN)
〈第2章 決別と再会〉
《第5話 飲む》
忘れたい。忘れない。
なんなのかなぁ…ついこの間まで、抹消されてたじゃん…。
もういい。朝から飲もう。
そして、私は冷蔵庫からビールとおつまみを出す。
プシュッ、と缶を開け、ゴクゴクと飲む。
次第に、顔が真っ赤になって、心地よくなってくる。
酔ってると、忘れられる気がする。
思い出さない気がする。
そう思ってても、消えない。
「なーんで消えねーんだよぉ…」
寂しさが湧き上がってくる。
ピンポーン
インターホンの音が鳴る。
「はぁーい?誰ですかぁ?」
「…はるとだよ。朝から飲んでんのか?」
「わーおはーるとー。おはよー。朝っから飲んでねーとやってらんねーんだよぉ。忘れたくても思い出しちゃうしよぉ!」
「…上がるぞ。」
「おーいいともいいともー。お前も飲むかぁ?」
「はぁ…じゃあ飲む。」
呆れ気味にはるきは部屋に上がり、冷蔵庫を開けビールを取り出した。
「うぃ〜!!!!」
そんなはるきを、何故か面白く思い、肩を思いっきり組む。
「あのさぁ、ほんと、無防備すぎる。」
あ、そうだった。
薄っぺらい黒Tシャツにノーブラ、短パンだったんだ。
「はーっはっはっは!!そんなに照れんなよぉ!さ、のもーぜのもーぜ!!!」
そんな事、気にしていられなかった。
忘れるために必死だったから。
そして、ソファに座り、ビールをテーブルに置いた瞬間。
意識が途絶えた。
______________________________
「っ…はへっ?」
次に目が覚めた時には、辺りは暗くなっていた。
口元に垂れていた涎をティッシュで拭き、電気を付ける。
はるきは眠っている。
時刻は十八時。
「くそおお、休日無駄にした…」
そう独り言を言うと、はるきはムクリと起き上がり
「何時?」
と言った。
さすがイケメン。
目元に付着するものも、口元にキラつくものも無く、キリリとしている。
「…十八時」
「一日無駄にした…。まじクソ…」
はるきがそう言った瞬間だった。
ピンポーン
インターホンが鳴る。
「…こんな時間に誰だよ」
はるきは険しい顔をして 舌打ちをしながら言った。
「わかんない…宅配も頼んでないし…。テレビ局の集金かな?」
そう言って、私は はーい と言って扉を開けた。
途端、異臭が漂う。
「…おっ…おまえら…ゆるずない!!」
とんでもなく悪い滑舌で、異臭の主が語る。
直後、私は首を絞められる。
そして、意識がまた途切れた。
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