複雑・ファジー小説
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- 私に、
- 日時: 2017/04/30 07:40
- 名前: いぬ (ID: 3i70snR8)
「由奈、聞いてる?」
「あ、ごめん」
斎野怜央(さいの りょう)が私の顔を覗き込んだ。予想以上に肌が綺麗なのと、まつ毛が長い。高校生になったのに、未だにこうして私の話を聞いてくれるのはありがたい。でも怜央にだって好きな女子ぐらいいるし、休日の昼間なら男子と遊んだり何なりするはず。
「だからさ、健也と別れるなよ。お前らあんなに仲いいんだから」
「昔の話だよ、そんなの」
「お、お前…結構冷たいな」
部活終わりにファストフード店で1人、カウンターでハンバーガーを食べていると、怜央が後ろから肩を叩いてきた。久しぶり、元気かよ?たわいもない話をしてきた。
「俺部活終わり」
「…私も」
「お前さぁ、1人で虚しく飯食ってるから」
高校に入ってから約1ヶ月。まだクラスに馴染めないような自分がいる。どうしても中学が恋しくなる。あいつのことも。
「本当に健也と別れるのか?」
「わからん、健也次第」
健也。有泉健也とは私の彼氏のこと。中学2年の年明けから付き合い始めた。中学で弱小バスケ部の部長をしていて、私に比べて友達も多い。何より女子から人気がある中で、私にしつこいほど絡んできた挙句…付き合ってください。好きです。と言われた。
自分に卑屈な私からすれば、どうせ健也はすぐ他の女の子に目移りするから最長3日と考えていた。それでも1年以上続いている。
「健也はマジでイイ男だよ」
「…」
今から健也への愚痴を話そうとしているのに、こいつはしきりに健也を褒めている。
「ごめんごめん。話聞くから」
「健也ね、私に冷めてる。あとね、他に好きな女の子いると思う」
直感が当たるのが、小さい頃からの唯一の取得。エピソードは数しれず。
そのことを怜央は知っているので、気難しそうに自分の頭を掻いていた。
- Re: 私に、 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/30 07:50
- 名前: いぬ (ID: 3i70snR8)
春川由奈…県内でも進学校への受験を失敗して、私立校に通う高校1年生。ジュニアからバドミントンを続けている。めんどくさがり屋であまり自己主張がない。
斎野怜央…由奈の中学の同級生。由奈が落ちた高校に通っている。容姿も含め、悪いところがない。バスケ部。
有泉健也…由奈とは偏差値が30離れたバカ高校に入学。見た目チャラそうだが、家業(工事会社)を次ぐため勉強中。猫好き。
- Re: 私に、 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/30 09:33
- 名前: いぬ (ID: 3i70snR8)
午後6時。家に帰ると誰もいない。
母…外出
父…仕事
兄…地方の大学生
お昼のあと、怜央が近くの書店で漫画を買いたいと言ったので書店に寄った。
「あー!」
ジャンプを立ち読みしていると、向坂菜々子に会った。小中同級生で商業高校に入学した子。めっちゃギャルになっていた。眉毛の細さ、スカートの短さ。
「さっきね、斎野怜央に会ったよ。相変わらずイケメンだった!」
怜央は少女漫画のコーナーにいたらしい。菜々子は私の手を引き、少女漫画のコーナーへ。
「斎野〜由奈だよ」
「久しぶりだな」
「う、うん」
恐らく2人で来たことを隠したのか。そんなにやましいことではないような気もするけど。とりあえず怜央に乗る。
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「さっきの動揺しすぎ」
「いきなり知らないふりしないで」
「だって、俺と2人だったら浮気ーとか言われそうだし」
「…たかが本屋言ったくらい」
それよりも花粉辛い。
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