複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 彼方への壁
- 日時: 2017/04/30 19:56
- 名前: ふるふる (ID: rCT1hmto)
寒い。遠い。暗い。人は極限状態でどんなことを思うのか。
想像なんてできない。できてたまるか。だから私は働く。
いくら人との間に厚い壁ができても。この道しかない。
これしかやり方を知らない。
ふるふるっ寒い季節が終わったぞ。
えーと・・・この物語はバッチリいうとバットエンドですっ
そういった系が苦手な方はここでお引きください。
ではどうぞっ
- Re: 彼方への壁 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/30 20:22
- 名前: ふるふる (ID: rCT1hmto)
私が親の存在を知る前に両親は私を捨てた。
孤児院で高校生まで育てられ、無事大学に進学した。
そこまでは“普通”だった。
大学一年生の夏・・・私は暴漢に襲われ人間不信になった。
どうにか人に接触しようと、心なしの商売を始めた。
何も変わらない、普段の私と、どこも変えられてなんかない。
「初めましてっみきデェース」
「サホりんですっ」
『よろしくお願いしまぁす』
私の仕事は俗にいう「キャバクラ」だ。
男に媚び売ってお金をはかせて、ついでに自分の物も買ってもらう。
暴漢のせいで人間不審になったってのにおかしい話だ。
でもこれしか生きてなんかいける道はない。
前はアルバイトを7も掛け持ちして、体を壊して病院へ行く。なんて
珍しくもなかった。でもキャバクラ・・夜の仕事に変えてからは、昼夜逆転しただけで
何も変わらない。近所の人にも合わなくなって楽である。
病院代だってバカにならない。それを考えると、高収入で人にも合わず、
私服も無料だ。ジャージで行っても店ではキラギラに飾り立て、美しくなる。
「えー高城さんて、あの宮丘の幹事さんなんですかぁ」
「キャァッ私一度行ってみたかったんですぅ」
「今度ぉ連れてってくださぁい」
「い・・いいよっ予約開けておくしっおいで」
『ありがとうございまぁす』
やっぱり。私はこの仕事しか知らないんだよね。
宮丘は青山の高級二つ星レストランで、ウエイターからシェフまでがイケメン。
完璧だけど完璧じゃない。やっぱり完璧は三つ星の最高級でないと。
二つ星とか自慢にもならない。
「楽しみデェース」
今はそういうことにしておこう。
Page:1