複雑・ファジー小説

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マジカル・ストーリー〜禁呪の書〜
日時: 2017/07/11 15:17
名前: フジ (ID: vyKJVQf5)

 黒いカーテンが覆いかぶさったかの様に、深い漆黒が世界を包み込んでいる。”禁呪”と呼ばれるそれは、主に真夜中にしか発動できないので、冬の夜はより一層その魔力を増幅させる。

 「この戦争も、いよいよ・・・」

 「本当に、やるの・・・?」

 二つの影が闇に溶け、世界はまるでそこには何も存在していないかのように振舞う。

 「もう、決めたことだ。あとには引かない」

 一人の老人は少年に優しく微笑みかけた。お互いに覚悟したハズなのに、その笑顔のせいで少年の瞳からは大粒の涙がこぼれてきた。

 「私はお前が居てくれたから、今ここにいるんだ。お前が居てくれたから、勇気を持てた」

 「ぼ、ボクも・・・っ!」

 「お前が居てくれたから・・・、幸せだったよ」

 深い夜、遥か天に向け一閃の光が突き抜けた。光に照らされた魔城都市・エンデュミオーンは・・・・・・、か・・・。


 「やはりこの本にも強い呪いがかけられているな・・・」

 王国に雇われた王国魔城調査団の一員であるセルージェは椅子に深く腰掛け、そうもらした。

 「そもそも図書街自体にも呪いがかかってたんだろ?だったら全部の本を調べたって無駄だろーよ」

 —セルージェ・レスティア。魔力自体は平均以下なのだが、その特異的な体質が国に認められ入団を許された特例中の特例。夜にしか使えない禁呪を昼間にも使えるので子供の頃は呪子(のろいご)として扱われていた。—

 セルージェの言い分は最もだし、ここにいる誰もが理解しているが、他でもない王国の命令とあらば、やらない、という選択をすることはできないのだ。

 「文句を言う暇があったらちゃんと仕事をせいっ!」

 彼の名はグラジー。—グラジー・エントリオ。元々は一級魔法建築士で、魔法を使い建築業を営んでいたが、その並外れた魔力が一際目を引き、国に雇われる形となった。—

 「全く、若いモンはなってねぇな」

 「ま、気持ちは分からなくもないですけどね」

 —リーナ・アテナウス。回復魔法を得意とする女魔術師。攻撃魔法が使えないので戦闘には向かないが、そもそも回復魔法を使える魔術師が世界規模で見ても少ないのでかなり重宝される存在—

 太古の時代、そこには確かに魔城都市が存在していた。国は栄え、心優しき王が民と共に世界平和を志し、日々魔法の修行に明け暮れていたのだ。

 だが、彼らは何も知らなかった。そもそも、人間の体に魔力が宿るという事が非常に稀有な例である、ということも、外の世界の人間は魔法を使えない、ということも。

 彼らが外の世界と接触を持ち始めて一年としないうちに、魔城都市には多くの人間がやってくるようになった。もちろん、悪しき人間が、だ。何故この国の人間には魔力が宿るのか・・・?多くの人間が連れ去られ、人体実験のモルモットとされた。

 「いたしかたない・・・。なにより、国民の為だっ!!」

 国王は、宣戦布告を行い、国民もそれに合意し大規模な戦争が長きに渡って繰り広げられた。
 
 図書街にある歴史書に書かれているのは主にここまでで、この先に何があったのかは一切不明だ。だが、一つだけ確かなのは、この国の国民達が、その血筋を引いているということだ。

 

 


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