複雑・ファジー小説

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陰陽Master〜咒を紡ぐ者
日時: 2017/07/12 20:28
名前: 長月★ (ID: mnvJJNll)

部屋の四隅に置かれた灯明の灯りが薄暗い室内に橙色の薄明かりのみが揺らめいている。
四隅に置かれた灯明の丁度中央に真っ黒の着流しに毒々しいまでの赤い揚羽蝶の刺繍が施され、揺れる灯明の灯りのせいで余計に不気味さを際立たせていた。
ごぉーん、ごぉーんと
この家の柱に取り付けられている柱時計が深夜12時を告げる。

ぺた・・・ぺた・・ぺた・・・。

12時をむかえた途端に何かが室内を裸足で歩いているような物音がひっきりなしになり始める、しかしこの部屋には男しかおらず、依頼主であるこの家の家主は二階の部屋でこの部屋の様子をモニタリングしているのであるから音の発生元は不明ということになってしまう。

「来たか。」

男がそう呟くとぺた・・・ぺた・・・という足音とともに青白くか細い光を纏った幼児が忽然と男の正面へと姿を見せた。

「失せろ。天(てん)地(ち)玄(げん)妙(みょう)神(しん)變(ぺん)之(の)加持力(かじりき)火急律令!」

男は何事か力強く呟き、目の前のモノに向かって五芒星を空所する。
途端に毒々しいまでの赤い光が発せられたかと思うと、一瞬にて幼児のようなモノを焔が襲う、眼前のモノは一瞬

「おかあーーー。」

と何か言葉を発しようとしたようであったが、苦悶の表情を浮かべると完全に跡形もなく燃え尽きてしまった。

「終わりましたよ。」

取り付けているインカムに向かって仕事のの終了を告げる。

「すいません、あれはり哲史(さとし)ちゃんだったんでしょうか。」

中年女性の弱々し声が鼓膜を刺激する。

「さぁ、どうでしょう?どちらにしても悪霊でしょう。」

「さぁって、あなたはプロじゃないんですか!」

先程までの弱々しい声が一転して怒声混じりの声色へと変わっていく。

「プロですけど?だから始末したじゃないですか?器材は明日部下が回収に来ますので、指定の料金を口座に振り込んでおいてください、2万で悪霊調伏なんてやってくれる所なんてないですよ、得しましたね貴女!ではこれで。」

言いたい事だけを告げるとインカムのスイッチをオフにして必要な物のみを持ち、依頼人の家を後にする、玄関を出る際に依頼人が何事か怨み言をあびせてきたようであったが、此方は予定通りの仕事をこなしただけであるからまったく不当な扱いだと少し頭にきたがまぁ良しとしよう。

車に乗り込むと直ぐに着信が入った為に手を止めてスイッチを押す。

「終わりましたよ。楽勝ですよ楽勝、器材はそちらで回収してくださいね何時も通り。」

「えっ?依頼人の状態?知りませんよそんなもの取り敢えず始末したから問題ないでしょう。それじゃあ、また。」

一方的に此方の要件のみを告げると相手の話もそこそこに通話を終了させ車を発車させる、アクセルをおもいっきり踏んでいるため半ば急発進のようになりながらも、この場を後にして帰路へとついていくのであった。




駄文につき閲覧注意、荒らし行為もご遠慮下さい。

陰陽Master〜咒を紡ぐ者 ( No.1 )
日時: 2017/07/15 19:51
名前: 長月★ (ID: RVrqr3ZE)

[壱]

二十畳はあろうかと思われる広々とした和室のど真中に大きな白木で設えた祭壇が陣取っている。

祭壇には米、塩水、清酒、野菜、果物、海鮮等様々な食物が三方(さんぼう)にのせられ、その他にも御幣(ごへい)、大麻(おおぬさ)、塩湯(えんとう)等といった祭祀に必要な用具が補設されている。

シーン・・・と静まり返っている室内に突然ポップで軽快な着信音が鳴り響く。

「はい、西洞院(にしのとういん)、一昨日の仕事は全く中身の無い下らない仕事でしたよ、あんな案件なら他に誰か適任者がいたんじゃないの?例えば池田の奴とか?」

「はぁ?池田は法事だったの?なら仕方ないか・・・それでモニター他の器材は回収してくれたのか?」

「それならOK、明日には此方に戻しておいてくれ、あ〜それと次はもう少しマシな仕事を頼むよ、ヒステリックな依頼人は勘弁と言うことでそれじゃあ。」

相手にあまり話をさせずに一方的に自らの意見を伝え通話を勝手に終了させる、幸い何時もこの調子であるために通話相手も慣れてしまっている様子である。


「此(こ)れの神床(かむどこ)に斎(いは)ひ奉り鎮(しづ)め奉る 掛けまくも畏(かしこ)き泰山府君(たいざんふくん)之大神ーーー。」

白衣、紫袴姿に着替えると日課となっている日供(にっく)の為に祝詞が奏上される。


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