複雑・ファジー小説
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- 生徒会”執行部”と”捜査部” ~舞い散る桜STKとの出会い
- 日時: 2017/07/16 08:29
- 名前: 雪姫 (ID: JD.ktzjt)
盗撮犯逮捕! 学園爆破!? エリアンの侵略! 学園祭は命懸け? 事件を解決するのか、はたまた事件を起こす方なのか
無口で笑わない猫 風月(ふうげつ)春(はる)
たまに吐く毒舌が癖になる針鼠(ハリネズミ) 茨音(いばらね)智子(ともこ)
趣味は女の子へのセクハラ淫犬 中原(なかはら)彩乃(あやの)
天然乙女キラー狸(タヌキ) 小林(こばやし)餡子(あこ)
…たち【生徒会捜査部】メンバー+一人は今日もハチャメチャな学園生活を送っています。
—宝石みたいに輝ける青春って・・・
本当にあるのでしょうか?
★主な登場人物★
《諷焔(フンエン)学園・捜査部》(一年生メンバー)
「あれ? そういうことじゃなかったんれすか」
・風月 春(ふうげつ はる) ♀ 1ーA
私立の女子校行っていたけれど色々あって高校受験してこの学園に入学してきた子、普段は大人しいけど隠れサディストなところがあったりする。あとオタク要素が入っていたりする、人見知り
容姿はふんわりとした栗色の髪の毛にクールそうな顔、笑うと嫌がられるといってなかなか笑わない。
とにかく智子と趣味が真逆なのだが仲はいいようだ、成績は中の上。
趣味はお菓子作り、彼女が作ったお菓子はプロ並みの美味しさ。
「無理するなって言ったでしょ、気をつけなさいよ。」
・茨音 智子(いばらね ともこ) ♀ 1−A
春と急に友達になることが出来た女の子。我侭だけど友達思いで優しい女の子?
容姿は文学少女っぽいが武道などに長けていて春よりはサドなところが多いというギャップを持っている、オタク要素はないし逆なところが多いけれども何故か仲が良い。
藍色の瞳にアホ毛のようなものが一本生えている黒い髪の毛、銀縁のめがねをしている。
(二年生メンバー)
「ハルルは真面目さんだね〜」
・中原 彩乃(なかはら あやの)♀2−B
【生徒会捜査部】部長兼【生徒会長】 文武両道、容姿端麗、気品もあり性格も良し、廊下を歩けば誰もが二度見てしまう学園のマドンナ、ただし表面上は…のはなし。
中身はセクハラ&下ネタ大好き、ただのエロオヤジ、特技は目視でスリーサイズを当てること(男性のもできる)
白銀の銀髪碧眼、ウサギの耳/虫の触覚、のように別れたアホ毛が二本生えている。長さは肩ぐらい。
「風月はあんま笑わないな…笑えば可愛いのに」
・古賀 潤(こが じゅん) ♂ 2−B
春と同じ小学校だった男の子であこがれの人(初恋の人)
めんどくさいことは大の嫌いと言いつつ、困っている奴が居たら放っておけないトラブルシューター(解決屋)
双子とは幼馴染でいつも面倒事に巻き込まれ、後始末をさせられる苦労人。
容姿は、クールでニヒルな一匹狼風の不良っぽい、見た目のせいで勘違いされやすい、藍色のウルフヘアでツリ目、いつも怒って睨んでいるような表情。
仲の良い友人たちからは『コガジュン』というあだ名が付けられている。
(三年生メンバー)
「いいえ! こしあんなんて邪道よ! 餡子はつぶあんだわっ」
・小林 餡子(こばやし あこ)♀3−D
【元生徒会長】で今は受験戦争という現実から逃げた敗者であり、癒し担当みんなのお姉さん的存在。
実家は老舗和菓子屋、餡子(アンコ)が大好き、でもつぶあんしか認めない、こしあんは敵。
容姿はまさに大和撫子、黒い瞳に艶やかな黒髪で腰までの長さがある、普段着が着物。
***
その他 >>
***
◇エピソード◇
0.はじめまして? >>
1、Pink Lily >>
2、学園の母 >>
3、これが生徒会捜査部の変人たち >>
4、それでもボクはヤッてない! >>
5、ミッション・イン・ワンワンコ >>
6、株急上昇↑からの株急降下↓ >>
7、四人の変態と一人の不良少年 >>
8、アルタイル・ベガ >>
9、その挑戦状謹んで破り捨てます >>
10、天国への階段 >>
11、十円と事件 >>
12、beforeafter>>
∽掲示板∽
2017/7/16(日)スレ設立、コメライ板から移動
- 0.はじめまして? ( No.1 )
- 日時: 2017/07/17 09:15
- 名前: 雪姫 (ID: jBG6ii5p)
「あー……友達できない」
そんなことを小さく呟いて机に突っ伏した、風月 春(フウゲツ ハル)という女子生徒は入学して一ヶ月も経ったはずなのに全然友達ができないことにかなり困った、友達って言うのはいなくちゃいけないというわけではないが春にとってはいたほうがいいような存在だった
春は元々【お嬢様学校】と呼ばれていた今では不良がうじゃうじゃいるともいわれている女子校に通っていたが大人しくてフワフワしたような性格は嫌われるばかりだった。
そんなこんなで成績をどうにか中学三年生になってからトップのほうへとランキングが載るようになってから高校受験を考えて平和そうな感じのきれいな校舎である【諷焔(フンエン)学園】の入試を受けて、死に物狂いの受験勉強の結果、どうにか受かることが出来たのは良かった、しかし—
友達があの女子校時代と同じように全然できる様子もなさそうな感じの教室にだんだんと息苦しさを感じてしまったほどだった
「あのー、風月さんだよねー?」
「…あ、はい」
三日ぶりに話しかけられたような気がした春だったがポニーテールの黒い髪の毛に藍色の瞳を持った文学少女系の大人しそうな少女が声をかけてきたことに少し戸惑いを感じたがどうにか返事はした、確か茨音さんとか智ちゃんと呼ばれていたような子だった気がするけれどとりあえず顔を上げて少女のほうを向いた。
「私ねー【生徒会捜査部】の勧誘しているんだけどさー…
風月さん、入ってみない?
えっと…捜査部っていうのは生徒からの【捜査依頼】を受け付けるっていうのが主で暇だとお悩み相談もしたりするんだよね。
ちょっと…? 変な…あっいや面白い先輩もいるしきっと楽しいからさっ」
「…うん、いいれすよ」
何かなんとなく楽しそうだということから春が頷くと、少女はきらりと目を輝かせてサラサラと何かをメモ書きしてから喜んでいるようなはにかむような笑顔を見せた。
少女はやはり茨音 智子(イバラネ トモコ)という名前で一年生は茨音と春の二人だけだということが分かって、春は気がついたことがあった
—あれ……じゃあ、私たち以外はみんな上級生ってことっ!?
「え、あ、ちょっと「じゃあ、決定ということで! 一週間後に生物実験室へ来てね〜!」
「え、ちょっと…待ってくらさ「キャンセルはもう無しだからねっ☆」
友達のような存在は出来たけれども…と思った春はキャンセルが出来ないところでもう茨音のあの意見は誰にもとまらせることができないことがわかってまた机に突っ伏した。
そして風月 春の楽しいのかは良く分からない、でも普通じゃない高校生活がはじまったのだった…
入学してから一ヶ月という時間をかけてまるで繭から蝶へと変わるように
そして机に突っ伏しながら春は思った
——なんか…
こんな高校生活のはじまりでいいのか!?
まぁ…友達みたいな存在できて
安心しているけどね—
風月 春の高校生活は宝石のような青春になるのだろうか
それは……神のみぞ知ることなのかもしれない
「あー…キャンセルなしとかいわれてどうしようもないよー…」
続く
- Pink Lily ( No.2 )
- 日時: 2017/07/20 11:46
- 名前: 雪姫 (ID: RIMOjgnX)
Pink Lily(ピンク色のユリ→ピンクな展開の百合→少々アリ)
そして一週間後……春は茨音との約束の場所、生物実験室前へとやって来ました。
…やって来たのはいいけどどうしよう…生物実験室のドアの前をあっちへこっちへ行ったり来たりすること
三十分弱
【生徒会捜査部】の先輩たちが怖い人だったらどうしよう…
場に馴染めなかったらどうしよう…
とか色々考えていると、ドアが開けられなくなる。
「うぅ〜〜〜」
「あら? 生物実験室なにか用ですの?」
「え…あっ」
後ろからいきなり声をかけられて驚きながら振り向くと、そこには
「あ……中原先輩…さん」
諷焔学園のマドンナ生徒会長と名高い、中原 綾乃(ナカハラ アヤノ)先輩が首を傾げ笑顔をで「どうしたのかな?」って訴えてます。
「えっと…その…あの…」
「?」
日陰属性の存在である春にとって、太陽属性である中原 綾乃 生徒会長は天敵、いや神様的存在、下々の者が気安く話しかけるだなんて恐れ多いお人なのだ。
「…むふっ♪」
一瞬、会長が悪そうな笑みを浮かべ、ペロリと舌なめずり、春の背筋がゾクリと震える
会長はゆっくり春の方へと近づいて行く、そして片脚を春の股の間に入れて上半身を春の体に密着させ、鼻の頭が微かに触れそうなところまで顔を近づけまるで悪戯っ子のような笑みを浮かべている。
「……ゴクリ」
春と会長の距離はキスが出来そうなくらい近い、お互いの生暖かい息が顔にかかる、バクバクとうるさいくらいに自分の心臓が鳴り止まない。
春は本能的に感じた/気づいた
——私 このまま中原先輩に襲われるんだ!?
ヤバイ、ヤバイ、この状況はよろしくない、初めては好きな人とがいい、女の子同士はダメだった気がする、なんとかこの状況から脱出せよ
頭の中に警告が鳴り響く。考えろと、考えろ、この状況を打破する方法を…!
脳をフル回転/活用しようとしたけど、動かない、上手く働かい、フリーズ、バグった、砂嵐のアナログテレビのよう
「いただきまぁ〜す」
「!!!?!!!?」
妖艶に呟いた後、中原先輩の桜ピンク色の唇が、春の口元へ近づいて……く
ああぁ…オワッタ、私の高校生生活はここでオワリました。バットエンドロールです。
さよなら。お父さん、お母さん、琴美。どうかお元気で…
頭の中が真っ白になっていく、目の前も真っ白に…幼い頃の思い出がダイジェスト映画のように流れてゆく
「…そうかこれが…走馬灯」
「あっ風月さん、先に来てたんだねっ」
「…っ茨音さん」
高校生活以前に人生そのものを止めかけていた春の目の前に一人の救世主様! 茨音さまが現れた!
「会長、ちょっと邪魔「にゃふっ」
茨音さまは会長を片手で横に突き飛ばす、突き飛ばされた会長は廊下の壁にドーンとぶつかった
なるほど、これが俗に言う【壁ドン】というものれすね…となんか勝手になっとくしてる春の手を取り
「ようこそ【生徒会捜査部】へ、ささ入って入って〜」
「…うん」
横目でチラリと壁にぶつけられのびている会長を見た後、茨音さまに引っ張られるまま、春は生物準備室の中へと入って行のだった。
- Re: 生徒会”執行部”と”捜査部” ~舞い散る桜STKとの出会い ( No.3 )
- 日時: 2017/07/22 13:43
- 名前: 雪姫 (ID: d9npfmd5)
ガララッ、とドアを開けて生物実験室の中へと入って行く茨音さんに引っ張られるままに春も生物実験室の中へと入ってみる。
「…わ」
人体模型…だ。
生物実験室は理科の教室よろしくの、目玉が飛び出たリアルキモい人体模型や、ホルマリン漬けにされた蛇やネズミの死骸や、猫や鹿などの動物の頭部ばかりある骨や、蝶や蛾などの昆虫標本、などなどが部屋中にインテリアっぽい感じで置かれていた。
部屋の中央には木製の縦長机と木製で正方形の形で背もたれがないタイプの椅子が置かれている。
ドアから縦長机を挟んで向かい側に、大きなホワイトボードが置かれていて、そこになにかを書いていた女子生徒が春たちに気づき、振り返って声をかけた。
「いらっしゃ〜い、トモちゃん」
「餡子姉(あこねぇ)、ちわっす!」
「……ッ!」
あ、あの人は!! 雷に撃たれたかのごとく、春に衝撃がはしった。なぜなら目の前にいる女子生徒は、諷焔(フンエン)学園のお母さん、地母神、女神、と呼ばれ崇拝されている、小林 餡子(こばやし あこ)先輩だっただからだ。
小林先輩といえば、艶やかで日光が反射してる、腰まで伸びた黒髪、トロンとした垂れ目と右目の下にある泣きホクロ、白い肌にほんのりピンク色の頬にプルンプルンの唇、大和撫子と呼ばれる日本の女性代表みたいな外見
そして小林先輩を語るうえで絶対に忘れちゃいけないもの
『ばい〜〜ん』
あの胸だ! あのうらやま…けしからん胸、学園の母と呼ばれる由縁だ。なんとバストサイズは驚異のEカップだそうだ。ファンクラブ会員調べなので確かでしょう。
「……」
たとえ女の子でも、あんな大きな玉が二つああったら釘付けになるぞ。つい、自分のと相手のを交互に見てしまうのだ!
「あらぁ〜その子はトモちゃんのおともだちかしら〜」
「はい、ですですっ!」
えっ……友達!? 茨音さんに即答で友達と言って貰えて、驚きつつ嬉しい春。
「【生徒会捜査部】の救世主でもあるんですよっ」
「まぁあそうなの〜? 嬉しいわ〜、ようこそ【生徒会捜査部】へねぇ〜
私ぃは〜、三年の小林 餡子よ〜、本当のお姉ちゃんだと思って甘えていいからねぇ〜」
と軽く自己紹介した後、小林先輩はギュッと春を抱きしめた。
「むぐっ!?」
初めはなにが起こったのかわからなかった。突然視界が真っ暗になって、ナニか柔らかいモノが顔全体を包み込んだ。
これは…なんだ…この感触/感覚…懐かしい…かも? これは…お母さん…?
数秒思考を巡らせてみたら解った、今私は小林先輩の腕の中もとい胸の谷間に挟まれている状態みたいだ。
すごい姉オーラの持ち主だ……私も一応お姉ちゃんなのに全然違う…これが地母神の力?
小林先輩の抱きしめられていると、なんだか安心する……というより息が…出来ない…眠たく…なって…き…た…
「餡子姉! 駄目っ絞め過ぎ!! 風月さんがー! 風月さんがァァ!!」
「おねんねかしら〜?」
「違うから!」
ガラララドシャンッ!
「眠り姫(春)を起こすには王子様(彩乃)のチッス! よし、ボクの出番…「会長は引っ込んでてください」
ガラッドン。
颯爽と再登場した、中原会長であったがまたしても茨音さんに足蹴に扱われ生物実験室を追い出された…。
***
数分経過…。
「ん…」
「あっ起きた」
「オハヨーさんっ」
春が目を覚ますと、茨音さんと会長が同時に顔を覗き込む、おはよう…? 私寝てた? まだ寝ぼけているみたいで頭の中がはっきりとしない。
「おはよう〜眠り姫ちゃん、ちゅっ」
「/////!?」
な…に…されたの今…? そうだ整理しよう、何が起こったのか一個一個、整理しよう。
まず気が付いたら小林先輩の顔が真上にあって…その顔が近づいてきて…おでこに柔らかい感触が…軽いリップ音が…
「ずっりぃーよ、ころねぇ! ボクも新入りチャンとチッスしたいィィィ!!」
え…? チッス? …チッスってなんですか? チッス…チス…チ…ス……ってまさか////
カァーと顔が熱くなる。そして
「プシュ〜」
「風月さんっ!?」
「おぉ…頭から湯気出して倒れた」
「まあウブさんだったのね〜」
「「………」」
春はまた倒れた。
続く
- 3、これが生徒会捜査部の変人たち ( No.4 )
- 日時: 2017/07/23 10:03
- 名前: 雪姫 (ID: UcSW/zmZ)
「ということでみんな集合したかなー?」
またも気を失った春が起きるのを待ってから、仕切り直しと中原会長がホワイトボードの前へ立ち一声あげる。
「会長ー」
「うん、ここでは会長じゃなくて部長ね、いばやん。でっなにかね?」
「コガジュン先輩がいないみたいですけど」
コガジュン先輩…? 誰だろ? 部屋の中には春と茨音さんと会長と小林先輩の四人。
「ヤツのことはいいのよん。どーせ誰かとチチクリあってるだけだから」
「チチクリッ!!?」
また顔が熱くなるのを感じだ。顔が真っ赤になる春を楽しそうに/いやらしい顔でニヤニヤと会長が見てくる、のをニコニコ笑顔で見守る小林先輩たちを冷ややかな目でみる茨音さん。
「コホンッ」
ビクッ。茨音さんがわざと大きな咳をすると、会長は姿勢を正し
「じ、じゃあ…改めまして自己紹介のコーナー!」
イエーイ! パチパチ! と一人で叫んだり拍手したりして場を盛り上げようとし始めた…イタい。
「まずはボクから!
まあボクは有名人だからぁ? 今更名前なんて名乗らなくてもいい「じゃあ言わなくていいですよ。はい、次餡子姉「えぇぇーー!! うそです! ごめんなさいっ!」
わーわー言いながら、会長は何度も土下座を繰り返す。生で初めて見た…これが土下座! 春の心の奥底でなにかキラリと輝くものがあった。
「ゆるしてちよんまげ?」
「イラッ。いいから早くやってください会長」
「うん部長ね。ボクは部長の中原彩乃(なかはらあやの)二年生。さっきからそこのいばやんがボケてる、【会長】、現生徒会長でもあるぞぃ」
「べつに…ボケてなんてませんよ」
「あやちゃ〜ん、それは諷焔(ふんえん)学園の生徒だったらみんな知っていることだと思うわよ〜」
「あっそうかそうだね! ボク有名人だしね!
じゃあ〜、あっそうだっ! ボクのおじぃはロシア人なんだぞぃ、この学園に入る前は世界中を旅してたんだぞぃ
帰国ちぃ「帰国子女ですよ!」
「クォーターなのよね〜」
「……へぇ」
見た目が日本人じゃないから、外人なのは知ってたけど…、ロシア人なんだ。あと帰国ちぃ……なんて間違おうとしてたんだろ?
「世界中を旅してたんですか?」
「うむ。パピー(父親)の仕事の都合でねんねー」
「……そうなんれすかぁ」
なんで一々変な語尾と変なポーズセットで会話するんだろう…。
「次は私ぃかしら? でももうやってしまったから」
「えぇ!! ヤッタ? 先走り……「会長は、もう喋らないでくださいっ!」
会長はぶーぶーと口をつきだし不満げに椅子に座り、生暖かい視線を春へと向ける。…どうゆうこと??
「んぅ〜でももう一度言いましょうかしら〜、私ぃは小林餡子(こばやしあこ)ここじゃ最年長の三年生よ〜。
家は和菓子屋なの、好きな物はもちろん和菓子、特につぶあんよ〜」
「アンコって名前だけにねっ」
「そうね、せっかく餡子って名前を付けてもらったのだからあんこが好きじゃなかったらキャラが立たないわぁ〜」
「いやっキャラって…。大和撫子の餡子姉が老舗和菓子店の娘さんで和菓子好きってのはキャラ立ってると思いますけど…」
「でしょ〜?」
「あの…」
「なにかしら〜?」
「受験勉強とか大丈夫なんれすか? 受験戦争が今大変だってニュースでやってまちたが…」
「「「………」」」
ず〜〜〜〜ん〜〜〜〜。
あれ?空気がなんか一気に重たくなったような…春以外全員何故か下を向き、ブツブツと何かを呟きナニを恐れ小刻みに震えている。
もしかして【受験勉強】はNGワードだった…??
「じゃ、じゃあ……次は私ですね!」
「イケイケーいばやん!」
「がんばれ〜トモちゃん」
「もうっ自己紹介でなにを頑張るんっていうんですかっ!
といっても、私も春とは同じクラスだからオリエンテーションのときにもうやったんだけどね」
え…いつの間にか茨音さんの中で春になっている…? いつの間にそんなに仲良くなったの? 私達…。
「でもまっ[郷に入っては郷に従え]という事で、一年茨木智子(いばらねともこ)趣味は友達とおしゃべりとウィンドーショッピング」
「ウィンドーショッピングっつっても、ここド田舎だから畑と田んぼとおじぃとおばぁしかいないのに?」
「うぅ。実家に帰った時にするんです!」
「ここ…そんなにつまらないかしら……」
「ああっいやっそんなことは……ないことも……ないですかもです?」
茨音さんっ歯切れ悪すぎっ……。話の内容からして、中原会長と茨音さんは私と同じ地方出身者なのかな? 小林先輩は地元民? 地元愛強そう…。
「サイゴー、新入部員ちゃんどぞー!」
「あっ…はいれす…」
会長に言われたので春はとりあえず椅子から立ち上がって三人を見た…
希望の眼差しで見つめてくる中原会長、頬に片手を添えてニコニコと優しい笑顔で見守る小林先輩、小さくガッツポーズをして「頑張れ〜}とエールを送ってくれる茨音さん
多分ここで気楽にならなきゃいけないと思って短く息を吸ってから私は言った。
「私は……風月(ふうげつ)です、よろしく…「えー! 待ってよー、自己紹介が主人公よりみんなのほうが長いの変じゃない? 変じゃなーい?」
「完全に会長が一番長いですよ」
続く
- 4、それでもボクはヤッてない! ( No.5 )
- 日時: 2017/07/24 07:42
- 名前: 雪姫 (ID: kb4VCMbe)
「あのひとつ質問いいれすか?」
「どぞどぞ〜」
「そもそも【生徒会捜査部】ってなにする部活なんれす?」
一週間前、茨音さんに勧誘されたときにさらっと聞いたけど具体的な活動内容は知らない。今一度なにをする部活なのか聞いてみよう。
「なにっつても、ただ学園の生徒や先生達からよせられた【依頼】をこなすだけだよん」
「依頼?」
「そそ。落とし物をを探したり、学園行事を開催したり手伝ったり〜」
「去年は氷水ガマン大会なんてやったわね〜」
「あーヤッたヤッたー。あともう少しで優勝だったのに、畑のあんにゃろうめ…」
会長と小林先輩は楽しそうに話している隣で、春と茨音さんは顔を見合わせ苦笑い。
「あのっ会長!」
「部長ね。なにいばやん?」
「その活動内容だったら【生徒会執行部】と大差ないですよね?
生徒会長なのになんで同じ部活作ってるんですか」
さすが茨音さん…私が聞きたかったこと代わりに全部聞いてくれた…。
チラリと中原会長を見ると…
「そ、そんなことないもんっ!! 生徒会なんかとは違って、ご町内のみなさまの依頼も受けてるもん!」
「でも今の副会長ちゃんも〜依頼受けて回ってたわよ〜」
「うぐっ!!?」
お腹を殴られた人/拳銃で撃たれた人みたいにその場に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫…れすか…」
一応声をかけてみる。
「うーうぅー、生徒会なんてキライだぁーー!! わぁぁぁん」
駄々っ子みたいに暴れ出した。両腕両足をじたばたさせて、全身全霊で駄々をこねてる……なにこの人…。
「生徒会が嫌いって会長、生徒会長じゃないですか…」
呆れ気味に茨音さんが声をかけると
「会長じゃない! ここじゃ部長なの!」
まだまだ駄々をこねる高校二年生。
「…はいはい。…でなんで生徒会の人たちが嫌いなんですか?
優秀でいい人ばかりだってクラスでも有名ですけど…「そうソレ!」は?」
「ちょっと頼み事したらすぐに解決! 少し無理な内容でも確実適切に対応! 早急の事件解決、信頼と安心が売りの諷焔学園【生徒会執行部】」
諷焔学園案内パンフレットの一番最初のページに載っていた内容を大きな声で言う会長に春と茨音さんはポカンと口をあんぐり開ける。
「ボクが付け入るスキがないんだよ! ボクがやる前に全部解決しちゃうんだよ! みんな優秀だから!!
ボクだって仕事したいよ!
生徒会の顔? ボクはお荷物でもお飾りのお人形でもないよ!
みんなに内緒で依頼を受けたこともあったよ? でもすぐにバレて叱られたよん!
ボクだって…ボクだって…ぜぇぜぇ…はぁ…はぁ…」
一気にまくしたげて喋ったせいか、会長は虫の息だ。ただのおふざけ会長かと思ったけど、会長も会長なりに苦労しているようだ。
パチパチとひとつ拍手が鳴る。
音がした方をみると音のでどころは小林先輩だった。その拍手につられるように春と茨音さんも手を叩き拍手する。
【で】
一通り拍手してあげて、会長が満足したころ
「でも優秀な生徒会って去年までの話なんだけどね〜」
「「は?」」
「ちょっアンコ!?」
小林先輩からまさかの暴露発言。
「…どうゆうこと餡子姉?」
「今の生徒会は【新・生徒会執行部】なのよ〜」
「「新生徒会??」」
「アヤちゃんが抜けてから、ちょっと……大きな事件があったのね〜」
ようはその大きな事件のせいで旧生徒会は解散・壊滅状態まで追い込まれ、今の副会長が一年生を集めて【新・生徒会執行部】を作り上げたらしい…のだ。
会長は旧生徒会が解散する前に抜けたつもりだったのだけど、副会長の心遣いで席はまだ残っているらしい。
「会長…」
「違う!! ボクはヤッてないっ!」
「犯人はみんなそういうんですよ。もうそのネタ使い古されてます」
「でもボクはヤッてないんだってば!!」
旧生徒会を解散・壊滅状態にまで追い込んだ犯人はどうでもいいとして…だ。
「なんでこの部活を…」
作ったんだろう? 生徒会が無くなったから? でも復活したのだったらもいいんじゃ…?
「それはにゃだ…打倒生徒会! 優秀すぎてつまらにゃい、生徒会をクシャクシャとしてポイッとするために…「助けたかったのよね〜」ふにゃ!?」
言い訳苦しい会長に代わり小林先輩が答えた。
「アヤちゃんは、自分が抜けたせいかもって責任を感じてね〜。
副会長ちゃんを陰ながら少しでもお助けしたいって〜、この部活を作ったのよね〜」
「……バカ」
「ふふふ…照れ屋さんなんだから〜」
頬を赤く染めた会長は照れくさそうにそっぽを向きこっちを見ようとしない。
「へぇー。会長にも良心ってのがあったんですね〜」
「どうゆう意味だよっいばやん!」
「あははっ「このこのっ!」
茨音さんと中原会長がじゃれ合う姿はなんだか微笑ましくてみているとほっこりとした気持ちになる。
【で】
「それにしてもあの堅物には困ったものにゃも」
「かたぶつ?」
「ふくかいちょー」
「…がなんです?」
「この捜査部を作りたいって言ったらさ、なんて言ってきたと思う?」
「…なんてです?」
「部員を作るには最低でも五人集めてから言ってくださいダトヨー」
「「………」」
いや…それ普通じゃない…? と春と茨音さんは思ったが、そこをグッと堪え言わずに話を聞く。
「ボクにアンコにコガジュンにいばやん、四人じゃダメダーメ…そしてそこに現れたのが〜〜〜」
キラキラとした純粋な目で春を見つめる会長に少しドン引き一歩二歩と後退り…
「チミが現れたんだよハルゥ!」
「……ハルゥ???」
「チミが我が捜査部に来てくれたおかげで、無事既定の五人到達! これでしおかなちゃんも文句なし、ぐぅのでも出ないッっとはこのことナリ」
ブイッと自慢げにピース。
「うふふ〜あの時の副会長ちゃんの悔しそうな顔は可愛いかったわね〜」
「うんうんっ余は満足じゃ」
「なんですかそれは」
…なるほど。茨音さんが【救世主】と言っていたのはこのことれすか…ふむふむ…はい?
この時の春はまだ知らなかった——
捜査部の救世主になったせいで大変な目に合う事を——
だけどそれはまだ先のお話——
でもまぁ…悪い人たちではないですし…居心地も悪くないですし…いいっか!
続く
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