複雑・ファジー小説
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- Re:Ject-リジェクト-
- 日時: 2017/08/05 02:06
- 名前: 製作委員会 (ID: yU3pc2AF)
◆目次◆
序章——
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- Re: Re:Ject-リジェクト- ( No.1 )
- 日時: 2017/08/06 01:09
- 名前: 製作委員会 (ID: yU3pc2AF)
- 参照: 序章
「ひ、ひィ! た、助けて……! 殺される!」
終わりのない鬼ごっこ。
鬼に捕まれば最期。少年は、ただ一人逃げ回っていた。
鬼は何も語る事なく、表情が隠れた仮面を被り少年を追う。
走る事もなく、ただゆっくりと追い詰めていく。
一方少年はというと、涙を堪えつつ後ろを振り返りながら走る。
本来であれば三人で明日も出会う筈だった。友人が目の前で殺され、次は自分の番。
立ち止る事が出来ず逃げ回る少年だった———が。
「あ、あっ、あァ……!」
行き止まり。
この地域周辺は自分の故郷で、道を間違うなんてことはあり得ない。
それだというのに、行き止まりの道を走ってきてしまっていた。
壁をよじ登ろうと少年は必死になって登ろうとする。
刻一刻と、仮面の鬼は迫っていた。
鬼の持つ右手には、日本刀と呼ばれる武器。
「お願いだ……! 助けて……!」
壁をよじ登るのを諦めた少年は、振り返り命乞いをする。
だが、既に友人を二人も殺している鬼に、命乞い等無意味だ。
———グサッ。
少年の心臓を貫く日本刀。
刃には少年の体内の血が付着し、鬼は刀を引き抜く。
「———ガッ、ハッ……!」
大量の血を吐き出し、少年は倒れる。
最期目に焼き付いた光景……それは鬼が不気味に微笑む口元だった。
- Re: Re:Ject-リジェクト- ( No.2 )
- 日時: 2017/08/06 01:27
- 名前: 製作委員会 (ID: yU3pc2AF)
- 参照: 第一章
最近、謎の殺人事件が頻繁に起こっている。
犯人は同一犯で間違いないが、その殺人方法が特殊なのだそうだ。
———刺殺。
日本刀で心臓を貫き、相手を殺す。
一見ただの殺人事件だ。寧ろ警察が動いて調査するべきではないか。
「心臓一突きだというのに、何故痕跡が残っていないのか」
一人の男が、俺を訪ねてきた。
警察でもない俺達が話をするべき内容ではないんだがな。
「また勝手に調べたのか? 懲りない奴だなお前も」
自分で淹れた珈琲を片手に、男の話を聞いてやっていた。
暇だったというのもあるし、俺自身この手の事件に興味がない訳ではないからな。
「いいだろ別に。どうせ警察なんかじゃ真相掴めねえよ」
まあそれはご尤もなんだが。
「いやいや。警察も犯人探しくらいはできますからね?」
犯人に辿り着く事が出来たとしても———まあ、勝てないだろうな。
「そこでお前の出番なんだよ。神内」
俺を苗字で呼ぶのは止めてもらいたいもんだ。
この男、下里 明人(さがりあきと)と俺、神内 悠(じんないゆう)は、数十年前からの友人だ。
俺も明人も他の人とはかなり変わった特殊な力が存在する。
それは犯人にも同じことが言えるだろう。寧ろ一般人が日本刀なんてのは持たないだろうしな。
「で、お前はどう思ってるんだ?」
明人は尋ねる。
「犯人の目星はわからないけど、調べる方法はあるな」
この事件の犯人、無差別に殺人をしているわけではない。
そう、狙っているのは深夜帯にふざけているような学生連中だ。
昨日殺された少年達然り、一昨日殺された少女然り。
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