複雑・ファジー小説
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- 空色リリー
- 日時: 2017/08/07 05:32
- 名前: みるを (ID: UJz1k79g)
はじめまして、こんにちは。みるをといいます。
クリックしていただきありがとうございます。以下注意事項になりますので必ず読んで下さい。
・ストーリーのメインは百合(ガールズラブ)です。
・それ以外の部分も大きいのであえて別館ではなくこちらの板に投稿しています。
以上のことを理解していただける方のみお読みになってください。よろしくお願いします。
- Re: 空色リリー ( No.1 )
- 日時: 2017/08/07 06:13
- 名前: みるを (ID: UJz1k79g)
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私はひとりで行動するのが好きなんだと思う。ただ思うだけで、確信はできない。
でも、現に今こうしてひとりで電車に揺られて遠出をしている訳だし、
それはひとりが好きだからなのかもしれない。どっちでもいいんだけど、そんなこと。
オレンジ色の空を見ながらどっちでもいいことを延々と考えてしまうくらいに、私は暇を持て余していた。
夏休みに入って学校がなくなると、びっくりするくらい暇になってしまった。
大学ではサークルにも入ってないし、週に2回、バイトがあるくらい。
ある日曜日——今日のことなんだけど——、私は前にネットで見かけて気になっていたカフェに行くことにした。
カフェなんだけど温泉がついていて、お風呂にはいつでも入れる。
自然を意識したインテリアで、くつろぐためのソファや漫画、雑誌なども充実している。
簡単に言うと、温泉付きの隠れ家的なネットカフェってところだろうか。
私もネットで写真をいくつか見ただけだから、詳しいことは分からない。
ただ、その時間を忘れてしまいそうな空間に、無性に心が惹かれてしまった。
そこで本を読んで、ひたすら本の世界に没頭したい。そんな気持ちだった。
別に本が特別好きっていう訳でもないんだけれど。読書はする方だと思う。
部屋にあった、まだ読んでいないいくつかの小説を持って、今日はやってきた。
カフェは朝まで開いているから、明日の朝また電車で帰ってこようと思っている。
田舎から都会に出るのは少し大変。
最寄り駅から料金が少し高めの電車に乗って東京まで出たあと、電車を何本か乗り継ぐ。
ほんと、なんでこんな田舎の大学に来ちゃったんだろう。
こう言いながらも、大学は結構好きなんだけどね。
最後の乗り換えを終えて、時計を確認する。予定ではあと40分程で着くはずだ。
日はもう沈みかけていた。夏なのに、意外と日が短く感じる。
せっかく温泉に入るから、夜に着けばいいかなと思っていたけど、もう少し早く部屋を出ても
よかったかもしれない。
ビルばかりだった景色が、いつの間にか一面の田んぼに変わっていた。
真っ赤に焼けた雲が次々と流れ去っていく。
ふとあの人の顔が頭をよぎった。自分でもはっきり分かるくらいに、私は嫌な顔をした。
頭から振り払うように、ぶんぶんと頭を振った。
別にもうなんてことはない、ただの男友達。に、なった、はず。
普通は、「恋人」同士だった関係が終わったら、「友達」になるのだろうか。
私は普通を知らないし、分からない。一体何人と付き合えば普通が分かるのだろうか。
みんなはどうやって普通を知っているのだろう。
そんなことをまた考えてしまう。
どうしてか分からないけど、胸が苦しい。この気持はなんなのだろう。
なんなのか分からない気持ちが自分の中に溢れているのが、怖かった。
私は私が分からない。
私は、ひとりが好きなんだ、きっと。
そうこうしているうちに、電車が止まった。
私はよく忘れものをしてしまう。忘れ物がないか確認して、私は電車を降りた。
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