複雑・ファジー小説

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異世界から来た宝箱な彼女
日時: 2017/08/16 23:45
名前: 二文字 (ID: .FDTdicQ)
参照: https://twitter.com/Shige_mekakushi

ども!二文字(フタモジ)といいます!

Twitterは名前違いますけど、自分なので、フォローなどよろしければお願いします!

自分の事はこのへんで、以下あらすじです!






あらすじ

時東 時雨には欲がない。世界に興味がない。小学生の頃に彼を襲ったある出来事がこの世界の正体を暴いたからだ。
彼は擬態している。あたかもこの世界で生きているかのように装っている。返事返答、笑顔、食事、買い物、睡眠、会話、どれもこれも彼は嘘。大学生になってもそれは変わらない。
そんな彼がある日家に帰ると、そこにはアイテムでも入ってそうな木箱が……開けてみると木箱はミミックだった!
異世界から来たミミックと、大学の同サークルの仲間達で、非日常を過ごし、彼らは世界に隠れた異世界を探す!

Re: 異世界から来た宝箱な彼女 ( No.1 )
日時: 2017/08/16 23:46
名前: 二文字 (ID: .FDTdicQ)
参照: https://twitter.com/Shige_mekakushi

ただただ……ただただ暑い日だった。

———聞こえるのは悲鳴。

———呼吸はまともに出来ていない。

———視界に映るのは…………顔も体もグチャグチャの血と肉と骨になった彼女だった。


















今日の日中の最高気温は31℃、紛れもない真夏日だ。うだるような暑さが頭のてっぺんから身を焼いていく。

昼までだった前期最後の大学の授業を終え、俺、時東 紫雨(トキトウ シグレ)は自転車を走らせ家へと帰っている。

帰り際、同サークルの智菜(チナ)から部室に行くかどうか聞かれたが、用事があると言って断った。

それもその筈、妹にお昼ご飯を頼まれているからだ。「今日はお兄ちゃんのご飯が食べたいから昼は家にいてね!」とは妹の言葉である。先に夏休みに入っていた妹も、今日は昼までの登校日で学校に行っている。

昔から何かと妹に世話を焼いているのだが、そういう意味では俺はシスコンなのだろうと我ながら思う。兄として妹を大切にするという事は全然おかしい事じゃない。うん。

家に帰り着き、自転車をいつも停めてある場所へ。玄関のドアを捻ってみるが鍵がかかっている。どうやら妹はまだ帰っていないらしい。両親は考古学者をやっていて、仕事柄海外出張が多く今も家を空けている。

ポケットから家の鍵を取り出して鍵穴に挿し回す。ガチャリと鍵の開く音がし、鍵を抜いてドアを開ける。

靴を脱ぎ捨て自室のある二階へ……と思ったが、猛暑のせいで喉が渇いた。麦茶でも飲もうと思いつき、リビングへ……。

スライドのドアを開け、冷蔵庫を目指す。冷蔵庫から目的の物を取り出し、コップに麦茶を注ぎ喉を鳴らしながら一気に飲み干す。さて、昼飯を作らないといけないし、一旦自室に荷物を……と、ここでリビングの違和感に気付く。

「……なんだアレ?」

リビングの真ん中に大きな木の箱が居座っているのだ。その木の箱は見覚えがありそうな形をしている。なんだったか……そうだ、RPGなんかで出てくる宝箱のような感じだ。

「しかし、なんというか木の宝箱はあんまりレアな物が入っているイメージは無いよな」

そんな事を呟きながら箱に近づく。考古学者の両親がたまに変な物を持ち帰ってくる事があるからか、こういう物に対してあまり警戒心が無い。まぁ、大方妹が倉庫から引っ張り出してきて片付けずに学校へ行ったのだろう。

「やれやれ……」

呆れ声を漏らしつつ、一応気になったので中身を確認しようと手を伸ばす。まぁ誰だってそうする。中身が大したことなくても、なんとなく気になって開けてしまうものだ。

木の箱に手をかけ、ギギギ……と軋む大きな木の箱をゆっくりと開ける。……何か赤く光るものが見えるぞ……———ッ!!??

「シャーーーッ!!」

箱の中から何かが飛び出した!

「あーーーぁぁぁ……」

と思ったらぐったりと倒れた……なんだこれは?

「お、女の子?」

ぐったりと上半身を箱の淵に乗せ倒れているのは、紛れもなく女の子だ。というかどうなってんだこれ? 箱を開けたら女の子が出てきたぞ! っていうかこの娘誰?!

「うーーー、最後の力を振り絞って擬態したのにー、なんでこんな不味い奴がかかるのよーーー。っていうか! 悪かったわね! 木箱で! レアな物が入ってなさそうで!」

悪態をつきながらプリプリ怒っているその女の子は、赤い瞳で涙交じりに俺を睨みつけている。箱の中に光っていたのはこの瞳だったのか。

「えーっと、取り敢えず箱から出たら?」

「必要ないわ。ホイッと」

赤い瞳の女の子がそう言うと、箱がみるみるうちにキレイな素足へと変形した。

「どうなってんだそれ?」

疑問は尽きない、でもあるがままを受け止める。自分という人間は現実主義者(リアリスト)なのだろうとよく思う。起こったことは変えられないし、それが真実なのだと、あの日からずっと……。

「どうって……擬態に決まってるでしょ。私、ミミックだし。あーもうMP切れだもーん。悪運も尽きたわ。さっさととどめさしなさいよー」

床に伏せったまま面倒くさいと言ったような拗ねているような声でぐったりとしている。

「とどめなんかさしたら、俺は即逮捕だな」

「はぁ? 逮捕? 意味わかんない、アンタ、ギルドの人間じゃないの?!」

女の子はガバッと顔を上げて驚きの表情でこちらを凝視している。

「ギルド? RPGのか? うーん、強いて言うなら所属は大学だ」

「冒険者でもないの?」

「生まれはこの街、育ちもこの街、悪そうな奴は全然友達じゃない」

「勇者!」

「そんな大層な人間じゃない」

「じゃあ魔法使いね!」

「キサマッ——意味が解って言っているのか?」

「そうかわかったわ! 賢者ね!」

「とどめをさしてやろう!」

「じゃ一体何なのよー!」

「ただの大学生だ。……俺からも質問いいか? と、その前に名乗ってなかったな。時東 紫雨だ」

「クレル。ミミックよ。あなたの事は紫雨で構わないかしら?」

「ああ、呼びやすいように呼んでくれ。俺もクレルと呼ぶ」

「で? 質問っていうのは?」

色々と疑問は尽きないが、とりあえずクレルがおかれている現状を俺も理解しておく必要があるだろう。

「お前はなぜ鍵の掛かっているこの家に入っている?」

「気づいたらここにいたのよ。見た事ない物もいっぱいあるし……どこか別の大陸かなにかに転移させられたのかしら?」

「この地球上に転移魔法は存在しないが……ならばお前はどこか別の世界からやって来たって事になるな」

「別の世界? エルトグラントじゃなくて?」

「ここは地球だ。もっと言うなら日本だ」

「……ちきゅう? ……にほん? ……ぇええええええええええ!?」

「なるほど、そこから解ってなかったか、だとすると状況は一層混沌としているな」

「転移! そう転移よ! さあ私をエルトグラントに転移しなさい!」

「俺の職業は……学生だ!」

「ジョブチェンジ!!」

「できるか!」

「そうだわ! アンタからMPを奪って———ってうげぇえ……不味そう……」

今にも吐きそうにして口を押えてこちらを見ている。何だこいつ失礼な奴だな。

「人を見るなり不味そうって言うのはどうゆう了見だ」

「アンタからは欲ってのが感じられないのよ! 私達ミミックの擬態は主に金銭欲や物欲を煽るものなの! でもアンタにはそれがない! 完全に冷めてるのよ! 生きながらに死んでる! アンタそれで楽しいの?」

「っ!? …………」

あまりにも図星を突かれた。初対面のミミックに、俺の本質を暴かれた……。上手くやっているつもりだった……そうだ、俺は世界に興味がない。俺は…………

「たっだいまーーー! うおッ! お兄ちゃんジョカノ連れ込んでる! ごゆっくりー! エッチするときは呼んでくださーい! 動画撮るんで!」

「ちょちょちょっ! 奏雨(カナメ)!! ステイ!」

「えなに? 3P希望? 私できるかな〜?」

「そんな希望要望は無い! とにかーく! ステイ! 話がややこしくなる」

突如帰って来た妹の奏雨に驚いたが(ショッキングな言動も多々あったのでお兄ちゃん心配)これ以上ややこしくなるのはダメだ! 状況を整理したい!

「誰? この子?」

クレルがきょとんと奏雨を見つめている。

「妹だ。クレル、腹減ってるんだろ? 作ってやるから、ちょっとお前の情報整理しながら待っててくれ」

「え、ええ……。……妹……」

「お兄ちゃん! 私もう動いてもいい?」

「おう、昼飯作るから待ってろ」

「はーい!」


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