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複雑・ファジー小説
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- カニカレー
- 日時: 2017/08/18 15:08
- 名前: r (ID: 1HHiytFf)
やや高めのクーラーの冷気と、ジャズのBGMがほのかに聴こえる喫茶店で、私は一つのテーブルで小説を読んでいた。300ページはある長編だが、あと10ページ残したところで店員が声をかけてきた。
「どうぞ、カニカレーです。」
店員が持ってきたカレーは、見た目こそごく普通のカレーだが、味が他のカレーよりも劣っていることを知っていた。しかし、このどこにもないシーフード料理、カニカレーが、私を妙に惹きつけるものがあった。それは、何なのか。いつも探りに来るといっても過言ではない。
スプーンを手に取り一口口にする。香ばしい。おいしいとは口が裂けても言えぬが、圧倒的に美学が味を勝っていた。
- Re: カニカレー ( No.1 )
- 日時: 2017/08/18 15:14
- 名前: r (ID: 1HHiytFf)
数分後、カニカレーを完食し、会計で850円店員に渡すと、店を出た。カランカランと鈴の音が店員のありがとうございました、という声とリンクし、カニカレーハーモニーといわんばかりの背徳感が私の心をつき動かした。また来る、絶対に。
1週間後。今日は会社が休みだ。日曜日の午前9時、いつもの休日のように、ベッドから降りずにテレビをドーナツを食べながら眺めていた。辺りには洗濯物や雑誌類が放置されている。しかし白い造りの一室からは何故か不潔という2文字を呼び起こさせないほどの圧倒的清潔感すら漂っている。
今日は何をしようか。先週は午後から映画を見に行った。
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