複雑・ファジー小説

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不幸対質
日時: 2017/10/16 02:35
名前: しおつ (ID: KZRMSYLd)


 技術が発展し、世界から先進国と呼ばれるとある国の政府には秘密があった。
それは「ウイルス」を作っていること。しかしそのウイルスが何処からか漏れてしまった……。
ただし安心しろ、世界にこのウイルスが広がることはない。
何故かって? それは国ごとに領土、領海、領海があるだろ。
それを本格的に国ごとに区切ることにしたから、だってさ。
つまり、海から地面から空から空気まで……全て特別なシェルターで区切っているから。
そのシェルターは些細なウイルスさえも通さない、もちろん空気も通さない。
そうなれば貿易が出来ないって? はぁ、君たちが生きている世界が当たり前と思うな。
僕が生きている世界は君たちの世界よりもずっとずっと……凄いんだ。
貿易みたいにでっかいことをしなくても良い、個人で欲しいものを手にいれろよ。
各家庭にテレポート装置があるだろ……えっ、それさえもないっていうのかい?
あっはっは、そんなの嘘だろ信じられないよ。可哀想な世界だね。
 って、大分本題からずれちゃったじゃないか。
ま、とにかく。そのとある国の開発したウイルスのもたらす効果っていうのが「不幸体質」になるってこと。
簡単にいうと「死ぬ」可能性が高まるってやつらしい。
その国の誰かがあげた動画だとポンポン、ポンポンと人が死んでるんだとよ。
まぁ、僕には関係ないけどもね。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 長い前置きを読んでくれたならお疲れ様、そしてありがとうございます。
この板は初めましてのしおつです、板ごとに名前を変えてますので誰だってなるでしょう。
まぁ、健全なコメントなら募集してますし読んでくれただけで感謝です。



Re: 未定 ( No.1 )
日時: 2017/10/11 23:02
名前: しおつ (ID: OypUyKao)

 赤い。視界が赤く染まっている。何故だ、何故だろう。
目元を手で軽く拭ったら液体を感じた。水のようにサラサラしてるわけでもなく、粘着質でもない。



 「……血か」



 それが血だと何となく察してた。だって、目の前で人が血飛沫をあげて死んだから。
そんなの、人生で初めて……ではなかったが。



 「今日は人体が破裂して血飛沫を浴びた、昨日は瓦礫が落ちてきて人が巻き込まれて死んだかな。
一昨日は……俺の近くで人が死にすぎて覚えてないや」



 いつからだろう。ポンポンと人が死ぬようになったのは。
この国は治安も良く、医療技術も発展していて世界からは長寿国と呼ばれていたのに。
そんなこの国でさえポンポンと人が死んでいく。



 「あぁ、あ……あつい、あついよぉ……あつ、い……あ、あぁ」



 歩いていたら角から火だるまになった人がこちらに向かってきている。
昔なら悲鳴とかあげて逃げていた俺だろう。だが、俺は人が死にゆく瞬間を毎日のように見てきた。
馴れたくもなかったが、もう馴れっ子だ。
 だからその火だるまを最低限の動きで避ける。もう助けようがないほどに燃えていたから仕方ない。



 「まともな人間になかなか会えないな」



 ふいに溢れたその一言。ずっと思っていたことがふいに口から出てきた。
 いつの日からか死にそうな人しか見ていない。まともに生きている人間なんているのだろうか。



 「人がポンポンと死ぬようになったのって確か……あの日か? 」



 ジャージのポケットに入ってたスマホを取り出し、調べる。
「ウイルス 政府 機密」というキーワードで。
出てきたのは「20**10/11 日本政府ウイルスの存在を公表」という記事。
他にも記事はあったがいちいち内容を見るのも面倒だから一番上のその記事を見る。
 それの現在における最新の情報はそのウイルスが人体に変異をもたらすことのみ。
その例としてあげられているのは過度な「不幸体質」になることだった。
 過度な「不幸体質」とは俺が今まで見たようなことを言うらしい。
その記事による説明は難しい用語ばかり並べられていて読むのがだるくなった。
だが、幸運にも簡単にまとめてくれた文があった。それによると「死ぬ」リスクが増加する、そうだ。
 もちろん人によって死ぬリスクが高まる度合いは異なるがおおよその人間が一年以内に事故だか何らかで死ぬと書かれている。
その中でも個人差はあるようで感染して秒で死んだ者もいればまだ生きている者もいる。



 「俺はいつか何かのきっかけで死んじゃうのかよ」



 遠くから聞こえる人のわめき声に心ない呟きは消されていく。
 もしかしたら今日、死ぬのか。明日、死ぬのか。わからないから、怖い。そんな日々。
死ぬ恐怖に震えながら、死にゆく人を歩きながら見て。そして夜を越す。
 ピロン、とスマホがとある通知を知らせる。「ウイルス抗体完成 数は少ない」
そして聞いたこともないようなサイレンが爆音で響いている。
無機質な声で知らされたのは「抗体に限りあり、保管場所はシラブル市内の建物のどこか、早い者勝ち」
 シラブル市内を歩いてた俺は建物を探す。そして見てしまった。



 「あ……」



 ウイルスによる「不幸体質」による人の死じゃなく、人によって殺された死を。
殺したそいつは目が合った俺を見て、ニヤリと笑った。
 どうやら、ウイルス抗体争奪戦による殺人が大量発生しそうだ。これから、どうしようか。



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