複雑・ファジー小説
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- もしも整形したら
- 日時: 2017/11/01 22:26
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
はじめまして!
わたあめと申します。
整形を題材に小説を書いていこうと思ってますのでコメント頂けたらとても嬉しいです!
↓登場人物↓
#古川結羽 フルカワ ユウ
顔のことで中学の時からいじめに遭っていた。大学入学を機に整形を決意する。
素直で心優しい。
#九条一哉 クジョウ カズヤ
結羽と同じ大学に通っている。
容姿端麗で成績も良く、女子からの人気が高い。
クールな性格で、面倒臭がり。
- Re: もしも整形したら ( No.1 )
- 日時: 2017/11/01 22:43
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
#01【 顔を変えたら人生変わる? 】
努力は必ず報われる。
とか、
努力は無駄にならない。
とか、
才能がなくても努力をすれば〜
とか。
そんな言葉は全部嘘だ。
報われない努力もある。
どんなに頑張っても勝てない相手はいる。
当たり前だ。
確かに努力をすればそれなりに何事もうまくいくだろう。
だがどうだろう。
元々運動神経の良い人間に、元々運動神経が悪い人間が努力で勝てるだろうか。
それも確かにそれなりにできるようにはなるだろう。
でも私はこう思う。
マイナスから始まった私と、100から始まった人とでは、どう頑張っても並ぶことはできないのではないか、と。
私が100になる頃、元々100から始まった人はきっと1000になっている。
私が1000になる頃、1000だった人は10000になっている。
私が悲観的なだけかも知れない。
もちろん私個人の意見だ。
でも私は今まで生きてきて、確実にそうだと感じた。
だって元々顔が良い人に、変えようのない顔は勝てないのだから。
化粧で誤魔化すにも、限界がある。
天然の美人が化粧をすれば、追いつくことすらできないじゃないか。
なんて、そんなことを思う。
実際そうだったから。
だから言える。
こういうことを言うと、天然の美人や、それなりに普通の顔をした人は『諦めているだけだ』とか、綺麗事を言う。
そんなことはわかってる。
わたしは『諦めている』から。
顔は諦めなければいけない。
そう思った。
『諦めている』ことに対して不快に思う人もいると思う。
だけどわかってほしかった。
悩みは人それぞれだ。
その中にはどうしようもないことだってある。
ただ、それをわかってほしかった。
- Re: もしも整形したら ( No.2 )
- 日時: 2017/11/05 04:32
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
小学生の頃、好きな男の子がいた。
マコトくん。
でも相手にされなかった。
その時はまだ小学生だったし、中学に入ってマコト君のことはすぐに忘れ、特に気にしなかった。
中1の頃、好きな人ができた。
ヒロキくん。
彼はわたしを避けていた。
普段はとても優しいのに、ある日突然避け始めた。
不思議に思っていたら、数日後、ヒロキ君はクラスのマドンナと付き合った。
好きな人がいたからか、そう思った。
中2でまた好きな人ができた。
コウスケ先輩。
だけどこの時、わたしは現実を見せられた。
コウスケ先輩に言われたのは、
『近寄んなブス!お前なんかと付き合えるわけねーだろ!きもいんだよ!』
という言葉。
ここまで罵倒されたのは初めてだった。
思春期に入って容姿を気にし始めて、わたしは初めて気づいた。
"わたしの容姿は醜い"ことに。
目は重く一重で、鼻も低く、エラが張っている。
鏡を見るたび辛かった。
そしてマコト君もヒロキ君もコウスケ先輩も、わたしがブスだから避けていたのだとこの時に気づいた。
それからはより自分に自信がなくなり、性格も暗くなった。
周りの意見に合わせ、できるだけ目立たないように生きてきた。
それでも人は陰口を叩いた。
わたしが何もしなくとも、不細工と言うことだけでいじめには絶好のカモだったのだ。
高校へ行ってもすぐに友達もいなくなり、毎日のように靴はなくなり、消しゴムを落としても誰も拾ってくれず、むしろ捨てられる。
ジャージには落書きされ、教科書は池に捨てられ、ノートにはブスと書かれる。
中学と同じ毎日が続いた。
高校へ行ってからは前のように恋することはなくなった。
恋するどころか、わたしはどこか人との関わり方を忘れてしまっていた。
どのような態度でいれば人に好かれるのか、そんなことを考えたが無駄だった。
どんなにいい性格だったとしても、いじめられる原因はこの顔にあったのだから。
もちろん努力もした。
体型だけでもと思い、人よりずっと細くなった。
運動もして、健康的な食事をとって、抜群のスタイルを手に入れた。
化粧品を買って目を大きくしてみたり、肌を綺麗にしてみたり、そんな工夫もたくさんした。
だが限界があった。
輪郭は変えられないし、鼻も、目も、口も、すべてわたしのままだった。
鏡を見ると吐き気がする。
もうこんな日々は嫌だ。
そんな時、わたしが何よりも魅力的に見えたのは整形外科の広告だった。
それは、化粧を上達させようと見ていたサイトの片隅にあった。
整形なんて昔から知っていた。
それなのに、今見ると無性に魅力を感じたのだ。
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わたしは音楽が好きだった。
こんな顔でも、ピアノを弾いている時だけは安らげた。
両親に無理を言って、東京の芸大に入ることにした。
誰も知らない土地で、わたしは2度目の人生を始める。
そう決意した結羽は、鏡を見つめた。
鏡に映る自分は、とても美しかった。
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