複雑・ファジー小説

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9/11はじめから
日時: 2017/11/12 18:00
名前: ませいりん (ID: NTjRWWeg)

9月11日。

これからやってくるその日には、また人が一人、亡くなります。

あなたに出来ることは、何もありません。

その事実を伝えることで何かが変わるわけでもありません。

ただ。

私の周りの人々は、よく、亡くなります。



「...。」

また、奇妙な夜が明けた。

「あ、気づいた?良かった〜。相変わらず静かだったからさ。今度こそ三途の川でも見たか?」

「ううん。私は見てないけど。」

いつも使う寮の寝室では、親友の白夜と共用して生活している。

「まあとりあえず、もう7:30だから学校行くぜ。お前も早く準備しろよ。」

「うん。」

私は現在、音羽瀬高校の在学生である。

白夜は隣の菅野高校に通っている。

私達は学生として普通の生活を送っている。

はずだったのだが。

Re: 9/11はじめから ( No.1 )
日時: 2017/11/12 17:17
名前: ませいりん (ID: NTjRWWeg)

「起立、礼、着席。」

私たちの学校は基本的に学問中心の堅い学校で、担任が教室に入ったとたん、

号令がかかり、皆揃って挨拶をした。

担任、といっても今日は代理人のようなものだが。

「今日からこの教室の担当を受け持つことになった。立花調だ。よろしく。」

と、彼は言ってから私と目があった。

この整いすぎた顔、嫌でも印象に残る。

顔馴染みというわけではない。

ただ、私は彼のことを少し知っている。

彼が私のことを覚えているかは知らないが。

彼は私たちに今日の連絡事項を伝え、その場を去った。

Re: 9/11はじめから ( No.2 )
日時: 2017/11/12 17:32
名前: ませいりん (ID: NTjRWWeg)

「遠崎さん。」

昼休み、不意に声をかけられた。

「音羽さん。」

彼女は音羽鎮音。

この学校の校長の娘で、常に成績はトップを保っている。

彼女はいわば、理想の少女像という感じだ。

と、人を羨んでも仕方ないが。

「前回の聴取、御苦労様でした。レポートは提出して頂けましたか。」

「うん。あれで良かったかな。」

「十分です。ありがとうございました。次回は私の担当ですが、引き続き共に頑張りましょう。」

「うん。よろしく。」

この学校には、パートナー制度というものが常にあり、

それぞれの教科の授業においては二人で聴取、考察、研究、発表等を行い、

それがペーパーテストの点に上乗せで成績に加味される。

その点では、彼女に迷惑をかけているかも知れないが、彼女は嫌な顔一つせず、

彼女の頭脳によって今のところは実技等の加点で私も救われているという状況だ。

「でも私、科学はあまり得意じゃないんだ。」

「大丈夫です。今回は修復するところはほとんどありませんでしたから。お疲れ様です。

他の方ではこうはいきませんよ。」

「本当?」

「ええ。あなたの努力は素晴らしいといつも感じています。」

その努力をしなくても結果が残せる人のほうがよっぽど素晴らしいと思うけど。

と、内心そう彼女に皮肉ったが、まあ、私が彼女に敵うわけもないか。

半ば諦めている。

「...ところで。あの件については考えてくれました?」

Re: 9/11はじめから ( No.3 )
日時: 2017/11/12 17:51
名前: ませいりん (ID: NTjRWWeg)

彼女が目を細めてそう訊いてきた。

「...あー、うん。でも、今のところ何も問題は...。」

「あります。今すぐ住居を変えるべきです。

もしよろしければこちらの寮に個室を用意しますよ。」

彼女が言うには。

現在の同居人に問題があるらしい。

私の同居人といえば、親友である白夜なのだが、それに問題があるというのだ。

以前は白夜と鎮音で共同生活をしたときがあったらしい。

その時白夜は夜中に寮を抜け出し、朝まで戻ってこないこともあった。

その夜に限って、近くでは奇妙な事件が起きている。

最近、空き家となっていた敷地が荒らされていたり、

樹木の上に猫が首を吊ってぶら下がっていたり、

地域の防災無線を繋いでいるコードが全て切られていたり、

最近では、素行不良な高校生が酷い暴行を受け、記憶を無くしたりと、だんだんエスカレートしていき、ついには、

私たちの担任であった奈村国子先生がその寮の近くの道端で遺体で発見された。

「...偶然だと良いんだけどな。」

「これが偶然ならば、あの夜、私が彼女を引き留めたときに彼女がそれを拒否すると思いますか。

彼女自身が事件に関与しているのはほぼ明確と言っていいでしょう。

そうでないとしても、危険なことには首を突っ込まないべきです。それがこの街においての最低限のマナーですから。」

彼女が言うことも一理ある。

だから私は迷っているのだ。

彼女は私の前で、私を最大限に心配しているという顔をしている。

私は...。







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