複雑・ファジー小説
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- 君とかくれんぼ。
- 日時: 2017/11/27 18:29
- 名前: 麗楓(のんたん) (ID: UmCNvt4e)
おはこんにちばんわ〜麗楓です。
また新しく連載はっじまっるよ〜。
現在執筆活動中の作品↓
・表裏一体〜100degrees〜 (複雑ファジーで)
・とんかつで乾杯 (コメディライトルビで)
ちょっと表裏一体が思い付かなくなったので、こちらを執筆させていただきますね。
コメライルビじゃなく、こちらで活動します。
フラフラしていてすみません(´・ω・`)
episode 0
本当の私はどこでしょう?
本当の君はどこでしょう?
本当の彼女はどこでしょう?
本当の彼はどこでしょう?
どこを探しても見つからない。それは何故?
自分で自分の気持ちを隠しているから。
それじゃあ、まるでかくれんぼのようだ。
ねえ、
本当のあなたはどこでしょうか?
- Re: 君とかくれんぼ。 ( No.1 )
- 日時: 2017/11/29 20:46
- 名前: 麗楓(のんたん) (ID: UmCNvt4e)
episode1
取り巻く世界は変わった。
「ねぇ、席多くない?」
この彼女の一言でクラスの人達は気がついたのだ。妙な違和感を感じている者も居れば、対して気にしていない人も居た。
「変な感じだったよね?」と同調を促されたので、反射的に頷いた。ここで変な空気にしても困るだろうから。
高校3年生、ついに受験生としての春が始まる。全てを大学受験に注がなければならない。
「大ニュースっ大ニュース!!!」
噂話が大好きなクラスメートが叫んでいた。去年から彼女が大騒ぎするとなると、大抵は誰かがカレカノになったとか、誰かが別れたとか。最新の情報を全クラスに垂れ流すのだ。
「聞いて、うちのクラスに転校生が来るんだって!」
机をバンバンと叩き、皆に知らせようとする。一部の生徒からうるさいよ、と言われたものの、彼女は気にしない。
私は周囲から離れて、自分の席でぼーっと外のコンビニから出てくる客を見ていた。
......あ、おばちゃんがミルクアイス買ってる。
「しかもその男子ね、女装してるんだって!」
「......え......?」
私は思わずそのグループの話に耳を傾け始めた。皆も私と同じような反応をした。苦笑いしている人も居れば、ドン引きしている人も居た。
「もちろん普通の男子だよ。でも趣味が女装で、たまに女装して登校するんだって!」
私はそっと目をつむる。友人から「大丈夫?」と聞かれたが、私は無視した。
「......それって、気持ち悪くない!?」
そして私はそっと目を開ける。ああ、やっぱりか。
彼女の一言で、私を取り巻く世界が急変したのが一瞬で分かった。彼女の発言の力強さには、去年から驚いたものだ。
うんうんと頷き、そうだよね、と同意した。それが大半だった。促されて頷いた人も居るかもしれない。
だが大半は気持ち悪い、そう思って同意しただろう。
それと同時にチャイムが校内に響き渡る。LHRの合図だ。皆は隣の人とひそひそ話ながら先生が来るまで待っていた。
私は先程と同様に、ただひたすら外を眺めていた。
「僕、好きなものは好きって言いたいなぁ」
それが彼の口癖である。この口癖に私を含め何人の人がココロを揺さぶられたのだろうか。
私を取り巻く世界はまだ小さく、私の知らないことばかりで世界は構成されているのだ。
私達はまだ何も知らなかった、だから彼らに平気で毒を吐くことが出来るのだ。
私も貴方も君も、彼女も彼も皆。
自分の気持ちを悟られないように、鬼に見つからないように、そっと隠してあるのだ。
- Re: 君とかくれんぼ。 ( No.2 )
- 日時: 2017/12/05 22:15
- 名前: 麗楓(のんたん) (ID: 9hX401bZ)
「表裏一体」は今小説の書き方を変えているので、しばらくお休み。
すぐ戻ってくると思うので、気楽にお待ち下さい。
体育のダンスの組分けが面倒なことになりました。仲良くない人と組むことに......。
ダレカタスケテー!
episode2.広田瀬奈
私の隣の席は彼の席だった。だが彼は一度も学校に登校することはなかった。窓側は周りに誰も居ないので、少し寂しい雰囲気が私の周りを漂う。前の人とは少ししか話さないので、実質私は"一人ぼっち"だ。
友人のほうを横目で見た。髪が乱れたのか、金色の髪を櫛でとかしていた。少し黒が混じった金髪から私は目をそらす。
気分転換に図書室でも行って新書を借りてこよう、そう思い席を立ち図書室へ向かう。
外から見えるコンビニは昼時だからか、車で溢れていた。
「んー......」
爪先立ちをし、何とか本を取ろうとするが、届かない。辺りを見渡した。しかし周りに台など無い、いやむしろ使って見られたら恥ずかしい。何度も挑戦するものの、やはり身長が低いからか取ることは出来なかった。
もう一度、そう思い爪先に全体重を乗せようとしたとき、ふわっと優しい石鹸の匂いがした。
ぱっと顔を上げると少し背の高い女子が取ってくれたのだ。彼女の髪が顔に触れて少しくすぐったい。
「はい、取れたよ」
少し大人びた声が私の耳元をくすぐる。可愛らしいツインテールをしていて子供っぽいものの、顔や姿は大人びているので何も違和感を感じなかった。
「ありがとうございます」
「気にしないで......」
クスッと笑った彼女の笑顔を私は見逃さなかった。口元を人差し指で押さえて「静かに」と私に微笑んだ。
彼女は一体何者だろうか?
友達になることは可能だろうか?
「待って、名前......」
「え、僕の名前?」
"僕"という言葉を聞いた瞬間、妙な違和感を感じた。彼女のことが知りたい、そう思っていたのに何故か一歩引いた自分が居るような気がした。
今、"僕"って言った?
「僕の名前は広田瀬奈だよ。またね工藤さん」
ニッコリと笑いかけられて彼女は去っていった。唖然として立っている私を何人かの生徒がこちらを見ていた。開いた口が塞がらない。それは私の隣の席の......。
「広田......"くん"......?」
長いまつ毛、大きな瞳、白い肌。柔らかそうな唇、スラッと綺麗な姿勢、セーラー服の身のこなし。全て完璧ではないだろうか?
まだ会ったこともないのに、なぜ私の名前を知っているのだろう?
これが私と広田瀬奈の最初の出会い。
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