複雑・ファジー小説
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- 八人目の小人〜導入〜
- 日時: 2018/08/24 00:13
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
どうもです!えっと、このお話は某チャットサイトの成り部屋のキャラクターについてのお話なので、一般の方は見て頂いても「???」となってしまうかと思われます!!ごめんなさぃぃぃぃいい()()
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美しき天才と呼ばれる彼女の過ち 〜八人目の小人〜
彼女‐名をフォメリー=レッドホワイテルという-は、幾重にも連ねられし残酷にして残虐、美しき物語、其れ即ち「童話のセカイ」にて都市とされる物語の舞台、「白雪姫」の主人公、白雪姫だ。
白雪姫として生まれた彼女は、生まれ落ちたその時から”完璧”を求められし役者達の一人。否、彼等より遥かにその完成度を求められる存在であった。彼女は、白雪姫としての生活に希望を抱きながら、必死に役を演じていた。呼吸、瞬き、足音、発せられる雰囲気さえも、完璧に。完膚なきまでに。
そんな彼女の”演劇”が始まって六年。彼女に異変が起きた。
たった二人を除いて、誰も知らない「童話戦争」。否、万物の記憶からその微々たる気配すら抹消されたのだ。「童話戦争」。「大災害グリムヒルド」。-この謎に包まれし戦争は、童話のセカイ全域に及び広がった、一つの災害が火種となった-
- Re: 八人目の小人〜導入〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/12/22 02:11
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
大災害、グリムヒルド。それは突然に始まった。「白雪姫」の王宮。魔法の鏡に美しき王妃が問う場面からは、本当にたったの一度も失敗できない。フォメリーの母親である王妃が魔法の鏡に話しかけたその時----王宮の壁が、床が、物が、人が、全てが、黒く染まった。漆黒に、闇に、只、黒に染まった。
それは、童話のセカイの神である、”グリムの死”を意味していた。突然死。突然に起こったその波紋は、白雪姫の王宮・鏡の間を中心に瞬く間に広がっていった。
昏く、黒く染まっていく”全て”の時の歯車が、まるでドミノ倒しのように、中心から順番に止まっていく。その中で奇跡的に時間が止まらなかった者達は、それぞれの物語でたった二百名ずつ(役を演じない者達の居ない物語では、総勢の半分以下)だ。フォメリーも、その中に含まれていた。彼等は周りの光景を見て、必死にいつも通りに演技しようとしたり、何をしていいか解らずに呆然としたりしている。そんな最中、童話のセカイの神の残留思念が、生き残った者達にこう語る。
「皆、すまぬ。奇跡的に生き残れたお前達に、新たにこの世界を紡いで貰いたい...。妾の死により、この世界の時空は湾曲した。粗全てが昏闇に染まり、彼等の時間は止まってしまった。この世界を救うには、新たな神を君臨させるより他ならない。然しながら、妾の次の神となる者に神の座を継承させるには、儀式を行わねばならないのだ。その儀式を行うには、少なくとも妾がその儀式の”譲冠”を務めねばならなかった。それが出来ない今、別のものが”譲冠”を務めねばこの闇は永遠に明けぬだろう。...”譲冠”の権利を持つ者。それは妾しか居らぬ。然し、我の死後、もしかしたら別の者がその権利を持つことができるのかもしれない。圧倒的力が認められし者。その者に、”譲冠”の権利が与えられる。力認められし者。それは、現在二種類知られている。一つは、生まれながらの”神”。もう一つは、”全てを統べし覇王となりし者”。妾の居ない今、お前達の誰かがその覇王になるより道は無い。...これからお前達には、戦争をしてもらう。勝利した者達を統べし者こそ、”譲冠”の権利を持つだろう。そして新たな神と共に、”物語”を紡いでいけ------」
全てが、静まり返った。その静けさは数秒程だったが、其れは何万年も、時が止まったように感じた。誰もが、そう感じた。
全員、只人形のように動けなかった。彼等にとっては、取り乱すなどという選択肢は無い。恐ろしい程に完璧な演技を求められていた彼等にそのような発想は粗無いのだ。そこに唯一人、立ち上がった一人の美しき少女が居た。フォメリー=レッドホワイテル。粉雪の白、血の赤、黒檀の黒を持つ、白雪姫。
「皆様、お立ちになって。私が白雪姫。全てを統べる、覇王。」
幼い彼女はその完膚なきまでの天才性により皆をまとめ上げ、周辺の物語の者達も次々と仲間にしていった。彼女の天才的指揮は、戦でも仲間の被害は比喩無くして一切出さなかった。殺しも一度もさせず、捕虜として捕らえた敵国の者達にも万民と変わらない待遇をし、瞬く間に名声と信頼を集めた。 彼女が童話のセカイを統一したのは、ほんの一瞬の出来事だった。
彼女は、全てを統べる布石を置きながらも、何処か違和感を覚えていた。「何故、神達はこの覇王を決める戦の一切を自分達に任せ、援助をしないのか」。神には神で事情があるのだろう、と、あまり気にしなかったが、その違和感は彼女の最大の不幸の要因となる----
全てを統べし、覇王。誰もが彼女を認め、彼女は「白雪姫」の王宮・鏡の間にて神のお告げを待つ。 神が、”全て”の前に現れる事は無かった。少しずつ周りに動揺が広がる。そして、感じ始める。「あの白雪姫は、覇王の器ではない」、と。
彼女は彼女以外の”全て”に襲撃を受けた。否、彼女は無傷だった。彼女は死を覚悟して目を閉じる。然し、いつまで経っても痛みは感じない。それどころか、聞こえるのは自らの鼓動のみ。そっと目を開けると...皆、”小人”になっていた。彼女は一体何が起きているのか解らず、その場に立ち尽くした...
「嗚呼、なんで私は覇王になれなかったんだろう。神様なんて、皆死んでしまえば。最初から童話のセカイなんて無ければ、皆からあんな風に期待される事も、最終的に襲われる事もなかったのにな...と言っても、襲われる前に何でか皆、小人になっちゃってるけど。」
そう、呟いた。すると、”小人達”はその目を鈍く緋色に光らせ、一斉に窓から天へ高く高く跳躍する。それを見て彼女は、驚いた様子で窓から小人達を凝視する。数秒後、赤く、赤く染まる、空。聞こえてくる、無数の悲鳴。
フォメリーは直感した。今、神達が虐殺されている、と。そして、神達を全員虐殺してしまった次には、先程呟いた通りに「童話のセカイが無くなる」と。後悔の念は、彼女の心臓に重い鎖が巻き付くように、酷く、黒く、彼女の全てを支配していく。統べていく-----皮肉にも、その瞬間、彼女は「全てを統べし覇王」となった。彼女の平和的世界の統一は覇王として認められていなかった。が、彼女が全てを”小人”に変えて支配し、自我まで闇に満たして統べた今、彼女は「覇王」として認められたのだ-----
- Re: 八人目の小人〜導入〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/12/22 02:12
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
悲鳴渦巻く赤き天から、一人の神が怯えながら降りてくる。「早く。早く”譲冠”を。」そう手短に言うと、許しを乞うような目でフォメリーを上目に見ながら頭を垂れる。フォメリーの手には、いつの間にか神々しい童話のセカイの神の象徴となりし”冠”が握られていた。幼いフォメリーは訳が分からず、涙を流しながら”譲冠”する。
----その瞬間、黒に染まった”全て”が、本来の幻想的な色を取り戻した----
新しき神となった”グリム”は、フォメリーにこう説明する。
「この儀式に至るまで、大変なご活躍をして頂きました。余程の苦労をなさったのでしょう....本当に感謝しております。然しながら、少々問題があるのです。貴方様は、先程、生き残られた全ての方々を”小人”に変えてしまいました。これは、私達神が与えた貴方様への能力。然し、暴発してしまったようですね。あの時能力を与えたのは、貴方様がその能力を使って”真の覇王”となって頂くためでした。...不運だったと言わざるを得ません。普通、能力を授かった者は、その能力の詳細が中枢神経に渡り、全身に理解される筈なのです。それがされる前に、貴方様は生命の危機に陥った。それにより、無意識の内に能力を暴発させてしまい、あの場の者達は”全て”小人へと成り果ててしまいました。そして、貴方様が呟かれた言葉。ご想像の通り、小人達に命令を下せば、小人達は”必ず”その命令をやり遂げます。...とある方法を用いる場合を除いて...。能力の暴発により、貴方様は呟いただけで”命令”という形をとってしまいました。能力自体が強力になりすぎてしまわれたのですね...。然し、だからこそ、小人達を止められるかもしれない。今から貴方様の身体能力を全て強化します。そして、フォメリー=レッドホワイテル。
貴方は、この童話のセカイの神となる。
再び譲冠式を行います。童話のセカイの神の素質のある者。その者のみに与えられる、”授冠”の権利。皮肉ながら能力の多大なる暴発により著しく力の強まった貴方に、私の身体強化をかければ、もしかしたら貴方にもその権利が与えられるかもしれない.....。天界の被害が広まる前に。そして、貴方の下してしまったもう一つの命令。”童話のセカイが無かったことになる”その前に、貴方様が神となり、そして小人達を戻して...救って...!!」
フォメリーの、氷のような絶望の色をした瞳は、少しずつ融解していった。その誰よりも美しき瞳には、覇王ではなく、神でもなく、誰も見たことのないような、然し誰もが彼女を「白雪姫」と呼ぶような、強くて美しい炎が宿っている。
新しき神の身体強化により、白雪姫は”授冠”の権利を得た。お互い先程とは逆の位置に立ち、速やかに”譲冠式”を行う。そして白雪姫は、童話のセカイの新しき神となった-----
- Re: 八人目の小人〜導入〜 ( No.3 )
- 日時: 2018/08/22 00:15
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
「闇風よ吹け。深なる背徳よ、深淵より解き放て。その姿を露になさい...。魔法の鏡よ。この世で一番美しいのは...?」
始まる。残酷にして残虐。そして何よりも美しき、幻想の世界が。今迄の全てが無かったことのように、その歯車を動かして。
後日談。先ず、「何故、神達は覇王を決める戦の一切を生き残った者達に任せ、援助をしないのか」。それは、神達が欲望に溺れ、天界で戦争を起こしていたからだ。童話のセカイ。その広大にして不可解な美しき世界を一任する神になれるのならば、なんだってする。その為、神達は戦争をしていた。結果的には、今は亡き童話のセカイの神が候補としていた”現在の童話の神”が、争いを起こした神達を断罪した為”授冠”の権利を得たという訳だ。神というのは、案外一番愚かしい者なのかもしれない。
そして、童話の世界を救った英雄・フォメリー。彼女はボロボロになりながらも小人達を元の姿へと戻し、これまた死人は一人も出すことは無かった。「これからも童話のセカイの神として、この世界を治めてはくれないか」と神達に頼まれたが、フォメリーは断った。結局もう一度譲冠式を行い、前述の通り、最初にフォメリーが譲冠した神が童話の世界を治めている。
今回の壮絶な出来事、「童話戦争」。それは、天界の極一部の者と、フォメリー以外は万物において知らない。これは天界の過ち。罪を認める認めない以前に、この事が公表されては全世界に混乱を招き、それこそ”崩壊”が訪れる可能性が否めなかったからだ。天界の極一部の者と、フォメリーを除いた万物のこの出来事についての記憶は抹消され、何事も無かったかのように童話のセカイは動いている。
それからというものの、フォメリーの「小人にした者は、命令を”必ず”遂行する」という能力は、”とある出来事”が起きるまでは消え失せた。然し、後遺症が残った。それこそが、「週に何度か小人を産んでしまう」という能力。この能力は自動的に作用するもので、産まないという選択肢は普通存在しない。-----この出来事が、後の”八人目の小人”を生み出すという悪夢の切っ掛けとなるのは、あまりにも突発的な、どうしようもない事だった-----
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