複雑・ファジー小説
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- 八人目の小人
- 日時: 2017/12/22 03:45
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
どうもです!こちら、某チャットサイトの成り部屋にて創作したオリジナルキャラクターについてのお話なので、知らない方は「???」となってしまうかと思われます!本当に、申し訳ございませんんんんん!!!(土下座
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白雪姫。魔法の鏡の”宣告”より、運命の歯車を狂わす、幼く美しいお姫様のお話。
フォメリー・レッドホワイテル。彼女は、幼いながらも童話のセカイを救った知られざる英雄だ。彼女は、「童話戦争」の後遺症により、
「週に何度か小人を産んでしまう能力」
を得た。この能力は自動的なもので、普通、「産まない」という選択肢は無い。無理に抵抗すれば、耐え難い激痛を伴う。
この能力は、童話のセカイの神でさえも無効化する事は出来なかった。童話のセカイ。定められた役を全うせねばならない、残酷にして残虐、美しき世界。その掟を破れば、殆どが死罪。例外があったとして、罪は重く問われる。例えそこに、如何なる理由があろうとも。これは掟。絶対的に不可侵であり、変えることはできない。そう、神に定められている。湾曲はできない。
フォメリーは、なんとしても役を全うするまで小人を産んではいけなかった。絶対に。
- Re: 八人目の小人 ( No.1 )
- 日時: 2017/12/22 03:48
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
井戸で掃除をしていると、ロンテーヌ一族の王子が私と一緒に歌ってくれる。後ろから向けられるお母様の視線には、気付かない。
お母様の従者と、お花を積みに行く。従者はお母様の命令で私を殺そうとするけれど、結果的には逃がしてくれる。
深い、森。暗い、暗い、森。「大災害グリムヒルド」とは比べ物にならない位明るいなどという発想は毛頭無い。発想までも、完璧に演じている。....筈なのに.....。
なんだろう、この痛みは。激痛。嗚呼、変な感触に激痛が伴う。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいタいイたイイタいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!!!!!!!!
でも、産んではいけない....!!一切の行動全てに、この苦痛を一滴も滲ませてはいけない!絶対に!じゃないと.....じゃないと死んでしまう.....!!
......ッ!!
-...怖い、怖いわ。なんで?どうして?お母様が、私を殺そうとして...?嗚呼、あの従者さんは大丈夫かしら?どうかご無事でいますように...-
それからというものの、ちょくちょくとこの激痛は起こった。生き地獄。これで自分の行動全てを律しないとなのだから、最早お母様の”結末”なんかより余程タチが悪い。この痛みに慣れるだなんて、とんでもない。慣れてたら、今こんな風に心の中で喋っていないもの。今だって、本当に痛い....
小さな小さなお家を、友達になった動物達と力を合わせて大掃除。眠くなって寝ている間に、家主達...七人の小人が帰って来ていたようで、私の周りを取り囲む。
先生、おこりんぼう、ごきげん、ねぼすけ、てれすけ、くしゃみ、おとぼけ。と、個性豊かな名前で自己紹介してきたので、私も「白雪と言います」と自己紹介した。この時も、本当に痛かった。
そうやって不定期にやってくる痛みに耐えながらも、毎日を白雪姫として生きてきたある日、ついにあのお母様がやってくる。
一度目は、絞殺。正直痛みも苦しみも感じない...なんて思っていたけど、普通に苦しいし、怖かった。意識が朦朧としてくると、パッと私の目覚める感覚に切り替わる。
二度目は、刺殺のようでいて毒殺。これは正直痛くなかった。頭に猛毒を塗られた櫛を勢いよく刺されるというシチュエーションだが、頭を刺されたショックで気絶しただけで、その後の毒は弱すぎて効かなかった。最早毒殺でもない。
そして、また少し経って、三度目が訪れる前の日であろう夜、激痛を我慢しながら眠りに就く。恐らく明日が三度目。これを最期に、次に私が目覚めるのは、王子の従者が蹴飛ばす柩の中。正直、この長い期間に渡る痛みで、王子様との生活もきちんとやっていけるか心配だった。
そんな時、それは唐突に起きてしまった。朝、目覚めは快適だった。恐ろしい程に、気持ちのよい朝だった。さあ、今日は小人を見送った後、いよいよお母様との三度目のご対面。早く朝食の準備をせねばと、小人達が使っていたベッドを降りようとすると...
「え....あ、貴方は......誰.......!!?」
そこには、知らない顔の、赤ん坊めいた”小人”の姿が。突然の想定外に驚くが、この状況の要因の仮説は、嫌な程に頭に流れ込んでいく。
-この小人は、私が寝ている間に産んでしまった小人-
- Re: 八人目の小人 ( No.2 )
- 日時: 2017/12/22 03:54
- 名前: ∞HomelY∞ (ID: sb4c5jj4)
朝の快適さは、小人を産んだことによる永い激痛からの解放。もう、説明する必要もなかった。どうすればいい?これがバレれば、恐らく私は死刑。それ以上でもそれ以下でもない。幸い、この場面は物語に深く関わっていない為、この小人を隠して平然を装えば、もしかしたら刑は免れるかもしれない。まず、この小人を隠そう...そう思い、立ち上がる。すると、
「おかぁさん。ぉなか、ぺこん」
え....困った。まさかの事態だ。これ以上関わったら私がどうなるか分からない。然し、ここまで来れば、物語に深く関わらない所で何をしようが結果は同じなのでは?と半分諦めながら考察したので、取り敢えず軽い朝食を作ってあげた。
「おいし、ぅうあつぅい...。おいしい、よ?」
まだ赤ん坊なのに、よくこんなに喋れるな...と感心しながら、一度寝室に”八人目の小人”を隠す。そして、リビングへと降りて、七人の小人達を起こす。普段通りに朝食を振る舞い、鉱山まで働きに行く彼等を見送った。あ、おこりんぼうが遂に心を開いてくれたようだ。
そして、寝室に隠しておいた八人目の小人を解放し、成り行きでお母様がくるまで遊んであげる事にした。
あやとりに、しりとり。お掃除に、服選び、クッキーも振る舞って...
最初は仕方なく、と思っていたけれど、少しずつ楽しくなってきた。初めて心から笑ったし、初めて心から苛立ち、初めて心から愛しい、と思った。ずっと、こんな生活が続けばいいのに...そう、思ってしまった。
”幸せな時間”は、あっという間に過ぎ去っていく。嗚呼、そろそろお母様がやってくるだろう....
----掟を破れば、殆どが死罪。例外があったとして、罪は重く問われる。例えそこに、如何なる理由があろうとも。これは掟。絶対的に不可侵であり、変えることはできない----
何で?どうして?ねえ、教えてよ。だって、こんなの間違ってる。なんで人の幸せを踏みにじって、レールを敷くの?私の幸せは....真実の愛は?
嘆いたって、掟は掟。これは私達”童話族”に定められた、宿命。それは私が誰よりもわかっている。
---掟を守るためには、この子の存在を消すしかない---
できない...っ!!ぎゅっと目を瞑ったその時、優しく私の服を掴んで、笑いかけてくれた。まるで、自分の結末を理解しているかのように。
この子は、私なんかより余程天才だから。全てを理解し、受け入れられるのだろう...。
「....ごめんね。でも、最後に...私からの、プレゼント....!!貴方の名前は、”しあわせ”。ありがとう、私の”しあわせ”....!!」
泣きじゃくり、感謝の言葉を伝えそして、この子の首を締める。たった数時間一緒に過ごしただけなのに、こんなに溢れ出るのはどうしてなのだろう。悲しい。悲しいよ....!!
冷たくなった”しあわせ”にキスをする。そして、家の裏に埋める。お墓を作ったら、掟破りになってしまう。
埋葬し、家に戻って来た私は、抜け殻のようだった。でも...
------------- 歌わ、なくちゃ。 -------------------
お母様の足音が、遠くから聞こえてくる。いつものように歌い、パイ生地を練っている----
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