複雑・ファジー小説
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- 街を出る
- 日時: 2017/12/25 11:16
- 名前: モズ (ID: MgJEupO.)
──戦乱により、僕の過ごしていた街は崩壊を告げた。観光地として有名だった煉瓦造りの家達は既に形というものを失っていた。
そこにはそれだけではなく、元々あった筈の温もりや笑顔を作り出していた家族の動かない体、街を壊した原因達の死体で溢れていく。
無意味にも殺された住民は抵抗する術なんか持ってないから、すぐに殺されていたから腐敗が進んでいた。
それから溢れた血があちらそちらに見える。状態が酷いものだと娯楽のためにか、部位を切り取られたり、内蔵をえぐり出されていた。
そしてたまたま聞いた噂では、死体でも好みの物はいつの間にか持ってかれているとか。それを非難する人さえ、もう居ない。
街を壊した原因というのは、戦乱を起こした戦士達。または、それに強制的に巻き込まれている男性か、有能な女性だ。
一つの小さな街だというのに、そのトップは何を考えたのだろう。「私が国を統一する」だなんて。
しかし、それは思ったより上手くいってしまっている。初手にさらに小さな街を支配下に置けば、そこからは早かった。
戦士の数を増やし、他の街へとどんどん進軍していく。
……それ以外のことはもう何も知らない。知りたくない。だから、僕は街を出ることにした、一人ぼっちで。
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⊿低更新、誤字脱字、駄作者
- Re: 街を出る ( No.1 )
- 日時: 2017/12/29 22:57
- 名前: モズ (ID: MgJEupO.)
街を出た。そもそも、この状況でこの街から離れられたことは奇跡に近い。僕が幸運だったのだ、とにかく。
第一に、戦乱に駆り出されなかったことだろうか。
僕は男であるが、馬力は女子並みで頭は良いが、運動はそれほど出来ないタイプであったから使えないと判断され、武器などを作らされた。
第二に、僕の見た目が男らしくなかったことだ。母親も父親もとても美形で小さい頃は綺麗だ、可愛いなどともてはやされた。
僕が成長してもそれは変わらず、その見た目のせいか男子によくいじられることはあった。
けれども、周りによく女子がいたこともあっていじめられることはなかった。男子も女子の目には敵わないってことか。
当時では、使えない男子は強制的に働かされていたが、女性、その中でも綺麗、可憐な女性は重宝されていた。
ハニートラップや癒しとして街に使われたそうだが、その者たちの暮らしは確保されていた。
正直嬉しくなかったが、その対象になってしまった。男なのに何故だと思った僕がいたが、街には逆らえない。
きっと、色白で弱々しい体と顔付きで判断されたのだろうが。安全が確保されるというのは、とても嬉しかった。
そうでなければ、毎日の夜はとても怖かったからだ。いつ、敵兵がこちらへなだれ込むのかなんてわからない。
それに震えながら休息を得るなんて、難しいことだ。さらにこの対象となれば、強制労働は無くなる。
もちろん、罪悪感はあったがこの恐怖から抜け出せるなら光栄であったし、逆らったら殺されるだろう。
第三に重宝される者たちの生活は緩すぎたことだ。鶏や豚や牛のようにストレスを与えてはならないという政府な見解のもと、暮らしている。
から、どんな所にも警備が直接つくことはない。ある程度の距離があるものの。
それに一人くらい死んだとしても、代わりなんて幾らでもいるからけでこうどうでも良かったのだ。
基本、その対象となった女性たちは外に出るような冒険も出来ないから警備はそこにガッチリついていたし、僕はそれでも男だ。
部屋の中で引き籠りつつ、外を見ていたがその時に思ったのは、常にここから出ることだったからまだなにもしてなかった。
もし出ることになったとしても、窓からこっそり出ればバレない。バレたとしても、それほど騒ぎ立てない。
相手にそれを悟られるのが困るからであろうか? 脅しに使われるからか? まぁ、どうせどうでも良いのだろうけれど。
実際にそれを実行したら、すんなり出ることは出来た。街から出ることに苦労したが、それを話してたらキリがない。
その警備を口説き落として、意識を失わせて出ただけだ。きっと、僕は女性だと思われただろうし、一人ごときどうでもいいだろう。
街から出たなら、もうそれで終わりだ。この状況が伝わらない場所へ行きたい、僕の意思はそれしか示していない。
- Re: 街を出る ( No.2 )
- 日時: 2018/02/18 11:37
- 名前: モズ (ID: KZRMSYLd)
宛もなく、歩いた。学しか頼れる物がない僕だ、すぐに疲れて休む。歩いたらすぐ休む。
当分はこの繰り返しが続いた。歩いても歩いても、目の前は平坦でつまらない道しかない。
それを見るたびに目から光は抜け落ちるような気分が増大して嫌になった。
いつしか、地面に倒れこんだ。それでも前に進もうとしていたのか、手は何もないただの土に伸ばされていた。
光と影を何度か経験して、その間に何かを摂取したこともない。
その間に誰一人見ることなく、変わらぬ景色を眺めるしかなかった。
いつの間にか視界は低くなり、その状態になった。最後に聞こえたのは聞きなれた風の音だった。
【序章・結】
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