複雑・ファジー小説

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懐柔がやってくる
日時: 2018/03/14 11:10
名前: さっちゃん (ID: 49hs5bxt)

悲しさも悔しさも、愛しささえも忘れてしまった。君という暴力に打ち勝てず、僕は青空に住むことにした。さよなら、懐柔。こんにちは、僕の死と終末。

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はじめまして、さっちゃんです。
青春小説です。不快な描写が多々ありますので苦手な方は注意してください。アク禁にならないよう懺悔しながら書きます。

さっちゃんのプロフィール
学生 好きな食べ物はラーメン バカリズムが好き
Twitter【@KAIJU_sattyan】

2/23 本編開始
2/24 参照100突破
2/27 参照200突破
3/13 参照300突破

Re: 懐柔がやってくる ( No.1 )
日時: 2018/03/14 08:45
名前: さっちゃん (ID: 49hs5bxt)

もしかしたら、世界は砂糖で出来てるのかもしれない。ぺろりと宇宙を舐めてみたら、あの、ピンクと青と黄色のわたあめみたいな味がするのかも。ビカビカと光線銃で撃ち抜いて溶け落ちた飴に蟻は釣られて、そしたらきっと焼かれ死ぬ。僕は蟻なので熱さで溶け落ちそうだったし、ゆっくりと炙られているような感覚を覚えた。
銀色の手洗い場にうつる僕は相変わらず目の下のクマが酷い、色白というよりは出不精という感じで、不健康に白い。死人みたい、ゾンビ映画の死人の方が生気を感じる。
抑え込んでいた吐き気がついに耐えられないと悲鳴をあげて、僕はその場に座り込んでしまい、嘔吐する。何も食べてはいけなかったから、出るのは透明な胃液だけだ。蝉がうるさい。ミーンミーン。キツい、ゲロの匂い。また、吐き出す。
「やっほ」
「ヴっ」
君が来た。澄んだ青色の髪とキラキラした目に殺されそうになる時間だ、僕を懐柔する、ルゥルゥ星で怪獣になってしまった僕を追いかけてくれる、君が来た。
「痛い?」
「い、痛いよ。たすけて、死んじゃう」
無様に救済を求める僕、君のすべすべで健康的な色の足に手を伸ばすけど、君はふわりと避けてしまう。
「じゃあ、食べなきゃ。これ」
指を指すのは僕の胃液。砂、飲み込まれた蟻の死骸まで盛り込まれた僕の胃液を腹の中に戻さなきゃいけない、これが救済。今日の君の懐柔。
わかったわかったと勢いよく胃液を啜る。また嘔吐しそうになるけど、頑張るよ、頑張る。僕は勃起していた。
「これで、いいの」
「うん、大丈夫。君はルゥルゥ星に戻ってこれるよ」
にこりと微笑む君は、体育館裏に消えていって、僕はまた嘔吐した。

Re: 懐柔がやってくる ( No.2 )
日時: 2018/02/24 01:40
名前: さっちゃん (ID: 49hs5bxt)

グラグラする頭は、きっと誰かがかき混ぜている。ミキサーで脳みそを引き裂かれている気がするのに、あるのは暑さと鉄の匂い。伺うように、太陽を見上げる。すべてを焼け尽くすほどの太陽とすべてを包み込む青空のコントラストに、やはり、僕は憧れている。地球温暖化で陸が海水に包まれる前に、あの青空を突破して、君とともに逃げ出さなければならない。太陽のずっと向こう側にある、ルゥルゥ星に駆け込まなければならない。しかし、君が言うことには、僕は、この星で死んでいくことが決定しているらしい。
切れた口の中から血を吸い取って吐き出す。痛い、君の懐柔でも、吸い取れない痛みは嫌い。
「やっと見つけた」
「サクラバ」
「今日は一緒に帰る約束してただろ。でも、先に保健室かな。手ぇ、貸して」
手を差し出す。僕は軋む右腕をゆっくりあげて、サクラバの手を握る。サクラバは、ずんずん進む。僕が見えていないのかなとか思うけど、多分そうだ。僕が殺されそうになっていても、救済を求めてもサクラバには僕が見えていないから、何もしてくれない。多分死んでも気づかない。透明人間なのだ、僕。都合がいいから、サクラバが僕を欲しくなったら、僕は見えるようになる。ようやく可視化できる、サイダーになる。君は言ったよね、生物に求められた生物は、みんな、炭酸がすこし抜けたサイダーなんだって。サイダーが、生物を懐柔するんだって。



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