複雑・ファジー小説

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日時: 2021/02/17 01:18
名前: 北見之栖 (ID: rjNBQ1VC)

Re: UNK専門探偵事務所 ( No.38 )
日時: 2018/02/27 06:02
名前: 北見之栖 (ID: pmOIN4oE)


【なんか】

■一ヶ月後
天海家焼跡 天海門前

あの作戦作戦から一ヶ月後、仁は天海家跡地に来ていた。屋敷や蔵は全て焼けてしまい焼けた残骸も綺麗に片付けられて門だけが残っている状態だ。仁は門をぼーっと見つめている。

「兄さん、待ってくれって」

少し遠くから啓が松葉杖をついて地面を歩いてくる。あの後、西野に2区にあるいい病院を教えてもらったのだ。

その病院には他人の怪我なら何でも治せるという異能力を持った医者がいた。その人物に怪我を治してもらった。しかし、筋肉の状態は変えられないらしく啓は今衰えた筋肉の状態を良くするためのリハビリ中だ。啓は歩いたのは久々だった。天海家ではいつも浮く事を強制されていたからだ。

啓は啓はぜぇぜぇと息を切らしながらやっとの事で仁の下までたどり着いた。

「やっと来たのか兄さん」

「兄さん、俺こんな歩くのがキツイなんて考えたこともなかった。昔はもっと走れたりしたんだけどなぁ、今はまだ無理だな」

「次は手を貸そうか?」

仁が心配そうに啓に聞くが啓は首を横に降る。

「自分で歩きたい」

「そうか」

啓の言葉を聞いて仁は微笑む。

「そういや、なんでここまで来たんだ?もうこんなところ見たくもないだろうに」

「まだ言ってなかったな。やり忘れた事があったんだ」

「やり忘れた事?」

「門から出るのを忘れてた」

啓の言葉を聞いて仁はぽかーんと言う顔をする。

「まさか、それだけの為に?」

「そうだ。結構大切な事だと思ってな」

そう言うと啓は門をくぐって天海家の庭に入る。

「僕もそれやるの?」

「あぁ、勿論」

啓に言われると仁は渋々天海家の庭に入る。

「門から出て」

仁はサッと門から出てくるりと啓の方に向き直し啓に声をかける。

「次はお前の番だ」

啓は頷くも門の敷居を見つめている。そして、後ろの屋敷があったところを見る。

「啓?」

「分かってる。出る、けど…」

啓はそう言いながらも屋敷の庭から外へ出ずに屋敷のあった方を見ている。仁は腕時計を見る。時間が経つ、時間が経つ。実際にはあまり時間は経っていないのだがそれが仁にとってはとても長い時間に思えた。

ーもしかしたら啓は戻ろうとでもしてたのか?

仁はそう考えると不安になった。

ーもしも本当に仁が戻りたいって言ったら?

この短時間であっても仁の不安は募っていくばかりだ。仁の口が渇いていく何かを話そうとしても話せない。しかし、やっとの事で仁は声を絞り出すように言う。言わなくてはいけない。

「ここはもう燃えた。ここには何もない、何も残らないし残さない。あるのは残骸だけだ。早く出てこい兄さん」

仁の言葉に啓はぽかーんとするも少し安心したように頷く。

「そうだったな兄さん」

「ほら、来いよ豆腐!」

仁がケラケラと笑いながら手招きをする。それにつられて啓もケラケラと笑いだして返事をした。

「あぁ、弟」

啓は何を思ったのか、わざと門の敷居を一度しっかりと踏んでから外に出た。

二人はなんだか少しスッとしたような顔をして探偵事務所への帰り道を歩いた。

Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.61 )
日時: 2018/05/25 22:42
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: hgzyUMgo)


始めまして、狒牙と申します。初めは匿名で行こうかと思ったのですが横から見ると荒らしに見えますので本名で。
ちょっとコメントをつけてもよいのか分からない状態で緊張しているのですが、もしコメントが邪魔等ありましたら、一声かけていただきますと消しますので一声お願いします。

前々から気になっておりましたので、今週一気に読み進めて第一都市を読み終わりました。
シリアスな話を展開しているのに、警戒に台詞が重なって物語が進んでいくのが読みやすくてとても楽しかったです。
天海兄弟が話してるところが好きです。互いに兄と呼び合い、弟と呼び合い、若干やまびこみたいになっているのが。
二人とも弟で、二人とも兄。分かるようで分からないような理屈も、この双子の独特な雰囲気に繋がっているのかなと思うと、自分自身理解しきれていない事実もストンと落ちてくるような。

先に挙げた通り読みやすく、中だるみせずに次々と物語が進んでいくので全く飽きず、楽しく読ませていただきました。
今後は第二都市の方を読みたいなと思ってます。
始めましてなのに少々長くなってしまいましたが、ここらで失礼いたします。
返信も強要なんてしませんので、何かあった場合だけお願いします。
最初に書いた通りもし邪魔だった場合も、そう伝えてもらえるとすぐに対応します。

これからも更新されていくのを応援しております。


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